( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´< _` )弟者が子育てするようです 第三話〜

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3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:47:57.83 ID:XmE4S7ct0
( ´_ゝ`)「だぁ、だぁ!」

(´< _` )「……おー、よしよし、元気か?」

( ´_ゝ`)「だー!」

(´< _` )「お前だーとかばぶーとかしか言えないのかよ〜」

( ´_ゝ`)「ばーぶぅ!」

(´< _` )「イクラちゃんの真似かー! 上手いなぁ!」

(´< _` )「……はぁ。なんだこの寂寥感。
       結婚三年目の倦怠ってやつか」

( ´_ゝ`)「?」

(´< _` )「兄者、そろそろ寝たほうがいいんじゃね?」

( ´_ゝ`)「ぶぅ」

第三話 はじまり


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:48:54.20 ID:XmE4S7ct0
弟者はたまごクラブを読むことにした。
何せ、子育てなどこれまでしたことがない。
そして気づいた。

たまごクラブが妊娠中の女性のための雑誌であることに。

(´< _` )「買うならひよこクラブの方だったのか……
       普通さ、生まれたての子供のためのたまごクラブだと思うじゃん。
       いや、卵ってことはまだ産まれてないのか?
       でも、身体からは離脱してるよな……」

女なんてしゃぼんだまー。
そう叫びながらたまごクラブを窓際に放る。

万事休すといったところか。
幸い、兄者はソファの上でうつらうつらし始めた。
このまま寝てくれれば助かる。

(´< _` )「……ううん、暇だな」

辺りを見回す。
極めて整頓された部屋だ。
ここ、リビングダイニングにあるのは食卓とソファ、そしてテレビをパソコンぐらいである。


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:49:44.64 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「兄者はパソコンが好きだったな」

触って良いものかわからない。
とりあえずそのまま放置して、ソファに座り直した。
途端に襲ってくる眠気。

都会にやってきたばかりなのだ。
疲労が溜まって当然というものである。

(´< _` )「よし、兄者。一緒に寝るか」

( ´_ゝ`)「Zzz」

(´< _` )「……寝たか。
       つーかこいつ、上半身裸でいいのか?」

正しくはオムツ一丁。
弟者は持ってきたカバンの中からタオルを取り出して、それで兄者をくるんでやる。

(´< _` )「……風呂、入ってこよう」


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:50:34.64 ID:XmE4S7ct0
十数分経過して。

(´< _` )「ふー、すげーな、昨今の風呂は。
       あれなんだな、35℃とか設定できるんだな」

熱湯と水を混ぜなくて済む。
そんな、どうでもいい感傷に浸りつつ、弟者は持ってきたバスタオルでわしゃわしゃと

髪を拭く。

兄者は相変わらずソファで寝こけている。
よく落ちなかったものだ。そんなことをふと思う。

(´< _` )「さってと。あんまりデカい音を出しちゃいけないだろうし。
      このまま寝かしておくにはテレビも見ることができないな」

(´< _` )「……とりあえず、明日はいろいろ買わないといけないな
      必需品と思えるものが何もない。
      乳母車だろ、あのカラカラやるやつだろ、モビールだろ……」

今後の予定に思いを馳せていると、兄者がまたも、目をクワッを見開いた。

( ;_ゝ;)「ぴぎぃぃぃぃぃぃぁぁゅぅぅぅぅ!」

(´< _` )「うおう!? 今度はどうした! 空襲か!?」


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:51:13.56 ID:XmE4S7ct0
オムツの問題だろうかととりあえず剥がしてみると。
すると案の定。

(´< _` )「あれだな。大じゃないだけマシだな」

せこせこと、不器用にオムツを取り替えてやる。
それが済むと、兄者はすぐに静かになった。

(´< _` )「全く……用事があるなら喋れよ。
      今年で二十四だろうが」

( ´_ゝ`)「Zzz」

泣き腫らした目を閉じて、静かに眠り込む兄者。
弟者もあくびを一つ。

(´< _` )「んん……そうだな、もう、俺も寝るか」

しかし、夜は終わらない。


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:52:00.83 ID:XmE4S7ct0
PM8:00

( ;_ゝ;)「ぎゃあぁぁぁぁあぁぁあ」

(´< _` )「どーした兄者! ついに日本は戦争に負けたのか!」

PM9:00

( ;_ゝ;)「もぎゃあぁぁあぁあぁああぁあ」

(´< _` )「そーだな兄者! GHQの横暴は目に余るものがあるよな!」

PM10:00

( ;_ゝ;)「みぎょぉぉあぁああぁあぁああ」

(´< _` )「ああ、何か歌って欲しいのか!?
      こんにっちわーあっかちゃん♪ あーなたーのーえーがーおー……」

PM11:00

( ;_ゝ;)「みょおぉぉおおぉぉんおおおぉぉん」

(´< _` )「やったぞ兄者! ついに沖縄が返還される!」

PM:12:00

( ´_ゝ`)「だいにっぽんてーこくばんざぁぁぁあああああい」

(;< _; )「うぎゃああぁぁぁあああああああん」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:52:47.65 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「時に落ち着け、兄者」

未だ泣きじゃくっている兄者を無理矢理座らせる。
ちょうど日付が変わった頃である。

夜泣きという言葉が頭を駆け抜ける。
赤ちゃんの夜泣きは心配に値しないとYAHOOか何かに書いてあった。
しかしうるさいことに変わりはない。
安眠妨害だ。訴えたい。

(´< _` )「まぁ話そう。話せば分かり合えるはずだ」

( ´_ゝ`)「ぐすっ……」

(´< _` )「静かだと可愛いのになあ。あれだな、性格悪い女みたいだな。
      ……しかし困ったな。このままだと眠れない」

( ´_ゝ`)「……」

ころん、とソファに転がる兄者。
そして、瞬く間に寝息を立て始めた。

(´< _` )「……」

そんな時。
突如、据え置きの電話がけたたましい電子音を響かせた。


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:53:25.18 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「電話……とっていいのか?」

パソコンの隣に設置されていたそれを取り上げる。

(´< _` )「はい……もしもし……ああ、母者か……ああ、もう着いたよ」

(´< _` )「うん……兄者も元気そう……いやむしろ元気すぎて困っている」

(´< _` )「まぁ、若気の至りだよ……仕方ないよ」

(´< _` )「……え……あ、挨拶回り? 隣近所に?」

(´< _` )「お母様、時間感覚は大丈夫でしょうか」

(´< _` )「あ……はいはい、行きます。行きますって」

(´< _` )「だから電気椅子はやめてくださいお願いします」

(´< _` )「……はい。はい……」

ガチャッ

(´< _` )「なんてこったい」

電話は母者からであった。
用件は、要約すると「隣近所に挨拶回りしてきなさい」

時計を見る。午前0時半。
言いようのない恐怖に苛みながら、弟者は上着を着て家を出た。
粗品を手に。


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:54:12.89 ID:XmE4S7ct0
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。

('A`)「うるせえな!」

(´< _` )「ああ、すみません。ちょっと顔出してもらえません?」

('A`)「またお前か」

インターホン越しに舌打ちが聞こえた。
やがて扉から出てきたのはいかにもオタッキーな三十手前の男。
多分独身。いや、絶対独身。いや、永遠に独身。

('A`)「なんだよ、こんな時間にピンポンピンポン」

(´< _` )「挨拶回りです。このたび302号室に移り住んできた弟者です」

('A`)「ふーん、あっそう」


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:55:17.00 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「……興味なさそうな」

('A`)「眠いんだよ。お前時間わかってる?」

(´< _` )「夜中の十二時ちょい過ぎた頃ですかね」

('A`)「もっと朝とか、昼間に来いよ」

(´< _` )「全く同感です」

('A`)「……てめぇ」

扉を閉めようとするドクオ。
それを慌てて、弟者は足を挟み込んで阻止する。

('A`)「なんだよ!」

(´< _` )「これ、粗品です」

('A`)「へぇ……ってたまごクラブとかいらねーよ!」

(´< _` )「そんな、ひどい!」

('A`)「つーか何で夕方、ピンポンダッシュまがいのことをしやがった?」

(´< _` )「部屋を間違えたんです。320号室と302号室を」

('A`)「ここ308号室なんだが……」


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:56:40.76 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「いやあ、他の部屋の人たちは寝てるみたいで」

('A`)「俺も寝てたけどな」

(´< _` )「やっぱり一回ピンポンしただけじゃダメですかね」

('A`)「つーか俺の部屋も一回ピンポンで諦めろよ」

(´< _` )「いや、このピンポンは慣れたんです」

('A`)「もう二度と来るなお前。首吊って塩酸と水酸化ナトリウム一緒に飲んで死ね」

(´< _` )「塩ができるなあ」

('A`)「うるせえ!」

(´< _` )「ところで、ピンポンするって動詞は都会的にアリですか?」

('A`)「しらねーよ!!」

無理矢理扉を閉められる。

(´< _` )「ああ、最後に、せめて最後にお名前を!」

('A`)「ドクオだ!」

扉越しに、微かな声が聞こえてきた。


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:57:22.56 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「ふう」

家に帰ってきた弟者。
ここでまた、大あくび。

(´< _` )「本気で寝たいな……ドクオって人の家のベッドを借りればよかった」

見ると兄者はスヤスヤ眠ってしまっている。
この安穏はいつまで続くのであろうか。

(´< _` )「……おやすみ」

今度こそ、弟者は深い眠りに落ちこんだ。

途中、幾度か兄者の泣き声を聞いた。
全て無視した。

すると、泣き疲れたのかすぐに止んでしまった。
すばらしい対処方法だと、弟者は寝ぼけた頭で考えていた。
まさに外道?


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:58:09.99 ID:XmE4S7ct0
ピンポーン。

早朝。
弟者はそんなチャイム音で目を覚ました。

(´< _` )「なんだ……まだ五時じゃないか
       世の中、常識知らずもいるもんだな」

もしやギコが帰ってきたのか。
そう思いつつ、寝ぼけ眼で扉を開けに向かう。

ガチャ

(´< _` )「どちら様?」

('、`*川「やーやー」

立っていたのは、やたら大きなトートバッグを提げた若い女性。

(´< _` )「……」

(´< _` )「誰?」

('、`*川「あれー?」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:58:44.86 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「私だよ。この白衣を見て思い出さない?」

(´< _` )「……ペニス泌尿器科の……」

('、`*川「その間違え方はありきたり且つアグレッシヴすぎるな。
     ペニサスだよ。昨日、あなたのお兄さんを診察してあげたでしょ?」

(´< _` )「ああ、その節はどうも」

('、`*川「いえいえ、こちらこそ」

(´< _` )「……はっ!
      お前、なんでここの場所を知っている!?」

('、`*川「……昨日、住所教えて貰ったでしょ」

(´< _` )「ストーカーか」

('、`*川「違う」

(´< _` )「で、何の用ですか。つーかこんな時間に来るなんてアホですか。
      アホですね。人類みんなアホです
      もうこれからアナタのニックネームはアホサスです」

('、`*川「なんかキミに言われると腹立つねぇ」


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:59:13.04 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「往診。昨日言ったでしょ。
     ちょっと見させてもらっていーい?」

(´< _` )「あー、いいですよ」

('、`*川「しつれいー」

上がり込むペニサス。
それに続く弟者。

('、`*川「あー、寝てる寝てる……って、ヌードじゃないの!」

(´< _` )「隠すべき所は隠してますよ」

('、`*川「風邪ひいたらどうすんの!?」

(´< _` )「いや……風邪はひかないですね」

('、`*川「どうして?」

(´< _` )「根拠は……春、だから」

('、`*川「あーまぁ、じゃあ大丈夫か」


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:59:56.78 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「でもやっぱり、服は欲しいよね」

(´< _` )「でも無いですよ。何しろ突然の出来事でしたから」

('、`*川「そう思いまして、心優しい私としましては、ですね」

トートバッグを漁り始めるペニサス。

('、`*川「じゃーん。赤ちゃん用の服合計五十着」

(´< _` )「ほう。色とりどりですな」

('、`*川「まぁいろいろあったからねえ」

(´< _` )「まさか、若いのにすでに子育て経験が!?」

今度こそ、などという若干の期待を込めておく。
するとペニサスは遠い目をした。

('、`*川「いいでしょ……過去の事なんて……どうでも」

(´< _` )「まぁそこまで聞きたくもないですが」

('、`*川「なにぃ!?」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:00:56.78 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「ありがとうございます。で、おいくら?」

('、`*川「タダ」

(´< _` )「相変わらず太っ腹!」

('、`*川「崇めなさい崇めなさい」

(´< _` )「太っ腹! 腹が太い!」

('、`*川「……そーでもないと思うけどなあ、個人的には」

(´< _` )「自意識過剰ですね」

('、`*川「……ま、まぁ他にも欲しいものがあったら言ってよ。
     一応、家にいろいろあるからさ」

(´< _` )「把握した」

('、`*川「んー、それにしても可愛いなあ」

( ´_ゝ`)「Zzz」

(´< _` )「自慢の兄です」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:01:44.74 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「でもね」

(´< _` )「?」

('、`*川「この頃が一番可愛いのよ」

(´< _` )「はあ」

('、`*川「そのうちね、身体が大きくなってね、親の言うこと聞かなくなってね。
     『私は世界を征服するのだー』とか言って旅に出たりするのよ」

(´< _` )「それがバラモスの生い立ちですか」

('、`*川「いや、ゾーマ」

(´< _` )「どっちでもいーや。
      つーか何もしないなら帰ったらどうです?」

('、`*川「ひどいな。モノさえもらえればそれでいいって。
     まるでオトコだな、キミは」

(´< _` )「男ですが」

('、`*川「ニュアンスが違うの。男とオトコ」


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:02:10.39 ID:XmE4S7ct0
ガチャリ
鍵の開く音。
玄関の方を見やると、チャイナドレスのギコが突っ立っていた。

(´< _` )「お帰りなさい」

( ,,゚Д゚)「あ、ただいま。あー、疲れたわね、
      まったく、ワカやんはお金たくさん落としてくれるのはいいんだけど
      蘊蓄が長い……そちらの人は?」

(´< _` )「あ、えーっと」

( ,,゚Д゚)「タレ?」

(´< _` )「いえ、違います」

( ,,゚Д゚)「ふぅん。ま、いいわ。
      ちょっとお風呂でリフレッシュしてくるわねぇ〜」

その格好のまま風呂場へ向かうギコ。

('、`*川「……ねえ」


25 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:02:27.02 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「はい?」

('、`*川「あの方は?」

(´< _` )「ギコです」

('、`*川「いいわね」

(´< _` )「はい?」

('、`*川「……惚れた。一目惚れってヤツ?」

(´< _` )「……」

(´< _` )「頭、大丈夫でしょうか?」

・・・

・・



第三話 おしまい。




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