( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´< _` )弟者が子育てするようです 一気読み〜

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5 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:52:03.94 ID:J3+/Z9j+0
第一話

三月の終わり。
場所は都会の駅。
夕刻、会社帰りのサラリーマンやらがせわしなくホームを行き交っている。
そんな雑踏に紛れ、今まさに電車から降り立った一人の青年。

(´< _` )「ここが俺の……新天地!」

両手に大きなバッグを抱え、初めて見る多くの人々に圧倒されながらも、弟者は力一杯叫んだ。

(´< _` )(そうだ、俺はここで新生活を始めるんだ……)

十五歳の、バッグを落としてまで作り上げた握り拳は震えている。

(´< _` )(しかし……兄者と同居するのはどうにも気が進まん」

弟者は先日、都会の高校に図らずも合格してしまった。
田舎住まいの身である。
毎日電車で通うにはちと遠すぎる。

よって、母者の命令により、弟者はこれからしばらく、すでに会社員として
都会に越している兄者と同居することとなったのだ。


(´< _` )「ま、いい。噂によるとさんえるでーけーらしいからな」

そんなわけで、弟者はバッグを拾い上げ、意気揚々と出口に向かったのである。


6 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:52:32.48 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「……ありゃ」

持っている手書きのメモと見比べる。
兄者との待ち合わせ場所はこのあたりのはずだが……。

(´< _` )「いないな、兄者」

合格祝いとして貰った腕時計を見る。
すでに十分ぐらい、予定時刻を過ぎているというのに。
とりあえず待つことにした。
来ない。
まだ待つ。
やっぱり来ない。
まだまだ待つ。
それでも来ない。

そろそろ待ちくたびれた。

(´< _` )「……マンションまでの道筋は大体把握してるし、一人で行くか」

頭の上のカラスを払いのけて、弟者は北北東に進路をとった。


7 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:53:08.59 ID:J3+/Z9j+0
都会は違う。
まずアスファルトが敷かれている。
等間隔に街灯がある。
やっぱり下水も整備されているのだろうか。

(´< _` )「ぶーちのめしーてやれー。くたばれー。たわーけどもよー♪」

さながらピクニック気分である。

やがて兄者の住むというマンションが見えてきた。

(´< _` )「おお、でかいな」

およそ築十年の八階建て。
小綺麗なマンション、掲げられている名前は「メゾン・ド・G」

(´< _` )「さて、と」

320号室だったな、と思い返しつつ、弟者はマンション内に足を踏み入れた。


8 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:53:47.04 ID:J3+/Z9j+0
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。

('A`)「うるせえな!」

(´< _` )「あ、すみません……間違えました」

どうやら302号室の間違いだったらしい。

それなりに大きなマンションだ。
さぞかし家賃も高いのだろう。
駅にも近いし。

自分の境遇と考え比べて、弟者は若干の不条理を覚えた。

やっと部屋の前まで到着する。

名札を見上げ、今度こそ正しいことを確認する。

(´< _` )「あにじゃー」

ピンポーン。


9 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:54:42.47 ID:J3+/Z9j+0
・・・

(´< _` )「うん、いないのか」

もしかしたら仕事かもしれない。
そういえば今日は平日である。
春休み真っ盛りの弟者はその認識が欠けていたことに気づく。

(´< _` )「俺、だめじゃーん」

(´< _` )「……で、どうするかな」

このままドアの前で頬杖をつきつつ待つか。

(´< _` )「いや、そんな二ヶ月前に別れた彼氏とよりを戻そうとする女みたいな行動は慎むべきだな」

ふと周囲を見渡すと、近しい場所に家電量販店らしきロゴが見えた。
田舎では見たことのない、まるでデパートのような店である。

(´< _` )「よし、時間をつぶすためにあそこへ行こう」

バッグやらをほっぽり出して、弟者は素早く階下へ向かった。


10 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:55:21.64 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「だーいなまーいとでー♪」

某家電量販店。
五階建ての構成。
一階はテレビ、二階はパソコン……というように、各階ごとに違う商品が売られている。
田舎育ちの弟者にとってはあまりにも新鮮だ。

(´< _` )「テレビうっすいなー。兄者はこういうの持ってるのか?」

まずは一階を踏破。
続いて二階……と飽くなき探求心を持った弟者は全ての商品を熱心に眺める。

そのうち、三階の冷蔵庫売り場に到達した。

(´< _` )「冷蔵庫白いなー。家の冷蔵庫はくすんで真っ黒になってるからな」

パカリ、と扉を開く。

(´< _` )「おお!? 卵が入ってるぞ!」

年甲斐もない歓喜の声がフロア中に響き渡る。
しかし、手に取ってみるとあまりにも軽い。


11 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:55:54.04 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「なんだよフェイクかよ……」

落胆。
しかしすぐに次の扉を開ける作業に戻る。

(´< _` )「お、ペットボトルか……空だけど。なんだよー、飲んだの誰だよー」

(´< _` )「缶ビール……いや、未成年はさわっちゃいけないな」

そのうち、三菱のMF-14Jの前に到達した。
所謂ホームフリーザーである。
130cmほどの、こぢんまりしたシロモノだ。

(´< _` )「もう、何が来ても驚かない」

そんな決心を抱きつつ弟者は扉をオープン。

(´< _` )「……」

「だぁ?」

そこに、赤ん坊が入っていた。


12 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:56:38.81 ID:J3+/Z9j+0

(´< _` )「こんにっちはーあっかちゃん」

不自然な格好をしている。
およそ背丈に合わないスーツに包まれた赤ん坊は、おそらく生後一年ぐらいだろうか。

「だぁ、だあぁ」

(´< _` )「うーん、これは微妙」

ちょっと驚いてしまったので反省。
しかしながら、これはこのまま放っておいて正解なのだろうか。
赤ちゃんを冷蔵庫に入れるのは都会の風習なのか。

(´< _` )「やけに目を輝かせてるな……めっちゃ見られてるし」

這って弟者に迫ろうとする。
しかし衣服が絡まってなかなかおもうようにいかない。

「ばぁぶぅ!」

(´< _` )(マジでばぶーとか言うんだな)


13 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:57:16.21 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「おー……よしよし」

とりあえず頭をなでていると……。
店員らしき男が声をかけてきた。

( ゚∀゚)「へい、そこのボーイ」

(´< _` )「あい?」

( ゚∀゚)「ダメじゃないか、赤ちゃんを冷蔵庫に放置したりしちゃ」

(´< _` )「え、いや、ちが……」

( ゚∀゚)「あーもう、これだから近頃の若者はだめなんだよな。
     命を命と思ってねえんだ。
     てめえのタレが腹痛めて産んだ子だろう?
     つーか捨てるなら最初から産むなボケ。
     つまりおっぱい」

(´< _` )「え、いや、その、俺の子じゃないっていうか」

( ゚∀゚)「うるせー! 厄介事持ちこんでんじゃねーよ! 
     さっさとその赤ん坊連れて出て行け!」


14 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:58:09.67 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「困った、これは困ったぞ俺」

(´< _` )(養えるか、養えるのか? 俺に?)

(´< _` )「それにしてもこいつ……誰かに似ているな」

( ゚∀゚)「なーにブツ×2抜かしてるんだYO!」

(´< _` )「あ、え、いや、その……」

オムツ一丁の彼を抱き上げる。

よく見ると、オムツに油性マジックで何か書かれていた。

(´< _` )「ん?」

「だ?」

『あにじゃ』

(´< _` )「……そういえば、似ている」

なんと、赤ん坊=兄者のようだ。


15 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:58:53.53 ID:J3+/Z9j+0
それなら背広にも説明が付く。
とりあえず片手に兄者、片手に背広という状態で、弟者は店を飛び出した。

( ´_ゝ`)「ばぁぶぅ、だぁだぁ」

(´< _` )「どうしたー兄者。病気か? 鳥インフルエンザでこうなっちゃったのか?」

( ´_ゝ`)「ばぁ!」

必死に手を伸ばして弟者の顔に触れようとする。
そんな兄者を弟者は愛おしく思った。
兄弟の壁を越えた何かが生まれかけた。

(´< _` )「いや、いかん。感傷に浸っている場合じゃない。
       病院に連れて行かないと……この場合は……内科か?」

そんな感じで、弟者は病院を探す。


16 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 00:59:32.40 ID:J3+/Z9j+0
やっと見つけた個人病院。
名前は『ペニサス泌尿器科』

(´< _` )「すみませーん!」

('、`*川「あらあら、どうしたの?」

中から、暇そうな女医が顔を出した。

弟者は抱いている兄者を差し出す。

(´< _` )「兄が、鳥インフルエンザにかかったみたいなんです」

('、`*川「まぁ、それは大変。……え、兄?」

(´< _` )「はい、兄者です」

('、`*川「うーん、そもそも私泌尿器科のお医者さんなのよね」

(´< _` )「あれ? 看板に内科って書いてませんでした?」

('、`*川「書いてませんでした」

(´< _` )「困ったな」


18 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:00:06.01 ID:J3+/Z9j+0
('、`*川「それに……え、兄?」

(´< _` )「はい」

('、`*川「ちっちゃいね」

(´< _` )「もう、それはもう」

('、`*川「えっと……ええっと……私はどうすればいいの?」

(´< _` )「兄者を元に戻してください」

('、`*川「無理な相談ね。これあれでしょ? どこかの名探偵みたいに薬飲まされたんでしょ」

(´< _` )「テトロドトキシン?」

('、`*川「そう、それ。まずは阿笠博士から探さないと」

腕を組む弟者。


19 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:00:31.53 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「っていうか、コイツ俺を見た途端に懐きだしたんですけど」

('、`*川「あー、あれよ。刷り込み」

(´< _` )「なーるほど」

('、`*川「ふむ……で、本当に兄なの?」

(´< _` )「はい、オムツに兄者って書いてますし、背広も着てましたし」

('、`*川「ああ、今手に持ってるやつ?
     じゃあ兄さんなのか」

(´< _` )「あきらめるべきですか?」

('、`*川「そーね。ああ、住所教えてよ」

(´< _` )「え、なんで?」

('、`*川「興味が湧いた。時々往診に行ってあげるわ」

適当な広告の裏とペンを差し出すペニサス女医。
受け取った弟者はうろ覚えの住所を書き記す。


21 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:01:02.60 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「それで……いくら払えば?」

('、`*川「あー、今日は私なんにもしてないし、無料でいいです」

(´< _` )「それはありがたや」

( ´_ゝ`)「ばぁ、ばぶ?」

(´< _` )「うん、もうすぐ家に帰れるからねー」

('、`*川「お大事にー」

病院を出る二人。
そういえば、ペニサス女医以外誰もいなかったな、と今更思い返す。

兄者は何も言わない。
泣き出さないだけ、マシといえるか。

(´< _` )「……はっ!」

ここで弟者は、重大なことに気づいた。


22 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:01:39.68 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「俺、どうやって生きていけばいいんだ?」

赤子と化した兄者が会社に行けるはずもない。
いくらか貯金があるだろうが、所詮新入社員。額は知れている。

(´< _` )「俺、いきなりの路上生活か? ロジョーか、俺」

目下のところそれが最大の問題だ……。
イノセントな目で見つめてくる兄者をあやしながら、弟者はマンションへ戻ることにした。

そういえば鍵がない。
と思ったが、背広に入っていた。

(´< _` )「辞表って俺が書いてもいいのかな?」

そんな感じで三階へ。

そこで、弟者は誰かの怒号を聞きつけた。

「出てきなさいよ!!!」


23 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:02:05.24 ID:J3+/Z9j+0
「何、私にはもう飽きたの?
 もう一緒に住むことはできないの?
 このバッグは誰の!?」

どうやら、302号室付近からの声だ。

(´< _` )「今日は問題山積みだな」

( ´_ゝ`)「……ぱぱぁ」

兄者の発言を無視して、弟者は歩調を早める。

「ああ、私は何かあなたに悪いことをしたの!?
 いつから不倫してたのよ!!」

(´< _` )「あ、あのう」

その人物の方を叩く。
キッという効果音が聞こえてきそうな動作で、彼は振り向いた。

( ,,゚Д゚)「何よ!?」


24 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:02:41.80 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「失礼ですが、どちらさまで?」

( ,,゚Д゚)「何よぅ、子持ちに興味は無いわよ!!
      ……はっ、まさかあなたが彼の浮気相手!?」

(´< _` )「え」

( ,,゚Д゚)「そういえば顔が似てる……近親相姦なのね!? そうなのね!?」

赤いチャイナドレスに身を包んだロングヘアーの男は、あらんかぎりの怒号を吐いて弟者に詰め寄る。

( ,,゚Д゚)「ああ、言ってくれれば整形手術したの……その子はあなたの子供!?
      孕んだの!?」

(´< _` )「いえ、違います。
       俺は兄者の浮気相手じゃありません」

( ,,゚Д゚)「じゃあなんなのよ!」

半狂乱の男をなんとか鎮めて、弟者は事情を話す。

かくかくしかじか。


25 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:03:07.52 ID:J3+/Z9j+0
( ,,゚Д゚)「じゃあ、このバッグはあんたのなのなの?」

(´< _` )「そういうことですです」

( ,,゚Д゚)「なんだぁ」

ペタンと尻餅をつく男。

(´< _` )「それで……あなたは?」

( ,,゚Д゚)「ギコよ」

(´< _` )「兄者の友人か何かですか?」

( ,,゚Д゚)「こ・い・び・と」

(´< _` )「把握」

いつの間に同性愛に走ったんだろう。
弟者は考える。
昔は普通の女の子が好きだったはずだが。

(´< _` )(つまり、メゾン・ド・GのGはゲイの略なのか)


26 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです 第一話[] 投稿日:2007/02/13(火) 01:03:46.17 ID:J3+/Z9j+0
( ,,゚Д゚)「とにかくお邪魔するわ……鍵もってんの?」

(´< _` )「ああ、はい……でも」

( ,,゚Д゚)「え?」

(´< _` )「兄者、こんな姿になっちゃったんですが」

弟者がすでに眠ってしまった兄者を見せびらかす。

( ,,゚Д゚)「……ああ、オッケー。ストライクゾーン」

(´< _` )「それはよかった」

・・・

・・



第一話 おしまい。


2 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/13(火) 23:14:14.66 ID:J3+/Z9j+0
噂通りの3LDKだ。
小綺麗な家具が並んでおり、とても田舎者の住む部屋とは思えない。
そして、やっぱりテレビは薄い。

(´< _` )「……よく、こんな家に住めるな」

( ,,゚Д゚)「なんで?」

(´< _` )「新入社員の分際で」

( ,,゚Д゚)「新入社員? 誰が」

(´< _` )「兄者」

すると突然、ギコはおほほとばかりに笑い出した。

( ,,゚Д゚)「なーに言っちゃってんの? 私、会社員じゃないわよ」

(´< _` )「いや、兄者」

( ,,゚Д゚)「彼も会社員なんかじゃないわよ」

(´< _` )「え」

第二話 はじまり。


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:14:55.20 ID:J3+/Z9j+0
リビングにあるソファにどっかりと座って、ギコはどこからかタバコとライターを取り出した。

(´< _` )「ではどうやって、ここの家賃、推定月額十万円を払っているというのです?」

( ,,゚Д゚)「私に決まってるじゃないの。彼、ヒモなのよ」

(´< _` )「ヒモって所謂あれですか。養って貰ってる系ですか」

それで母者が訪ねようとしたときも頑なに拒んだのか。
と、今更ながらに納得する。

( ,,゚Д゚)「そう、それ。まー彼だからこそできる芸当よね」

(´< _` )「いい生き方だと思います」

(´< _` )(よかった。辞表を書かずに済む)

そんな時。
突如兄者の目がクワッと開いた。
ついでに泣き出した。

( ;_ゝ;)「ぴぎゃああぁぁあぁあぁぁぁあああぁああ」

(´< _` )「うおう、初めて泣いたな、兄者」


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:15:36.31 ID:J3+/Z9j+0
( ,,゚Д゚)「私に任せなさい」

弟者が兄者をソファに寝かせていると、ギコが胸を叩いた。

(´< _` )「もしや子育て経験が?」

期待を伴って訪ねると、彼は遠い目をした。

( ,,゚Д゚)「そう……あれは二十五年前……まだ私がゲイじゃなくてバイだったころのお話」

(´< _` )「あーもう、男ありきの恋ですね」

( ,,゚Д゚)「私先天性ゲイだから」

(´< _` )「つーかあなた、何歳?」

( ,,゚Д゚)「もうすぐ五十路に突入するわ」

記憶が正しければ、現在兄者は二十四歳。

(´< _` )「ペタジーニが涙しそうな話だ」

( ,,゚Д゚)「そんなことはどうでもいいの!
      ん……そうね……アニージャは多分おなかがすいているのよ」

(´< _` )「アニージャ?」

( ,,゚Д゚)「そうよ。彼のセカンドネーム」

(´< _` )(チリ人妻みたいだな)


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:16:37.10 ID:J3+/Z9j+0

( ,,゚Д゚)「と、なると食事が必要ね……」

(´< _` )「粉ミルクありますか?」

( ,,゚Д゚)「粉……あんた、男だったの?」

思うに、ギコは母乳を期待していたのだろう。

(´< _` )「はい、一応。だから兄者を孕むなんて無理なのです」

( ,,゚Д゚)「そうだったの……」

(´< _` )「で、粉ミルクありますか?」

( ,,゚Д゚)「無いわよ……クリープならあるけど」

(´< _` )「じゃあ一応それを水で溶いてみればいいんじゃないでしょうか」

( ,,゚Д゚)「うん……ってかこの子、何歳だっけ?」

(´< _` )「二十四です」

( ;_ゝ;)「ぴぎゃー! ぴぎゃおー!」

( ,,゚Д゚)「そうよねえ。じゃあ離乳食ぐらい食えるんじゃ……
      あんた! ちょっとお使いしてきなさい!」


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:17:15.43 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「は。何を?」

( ,,゚Д゚)「さしあたりたまごクラブと粉ミルクと蝋燭ね。あとオムツ。
      オムツは布の方がいいだろうけど……
      ま、どっちでもいいわ」

(´< _` )「なんか言ってることがベテランっぽいですね。
      蝋燭は何に使うんです? 墓参り?」

( ,,゚Д゚)「バカじゃないの。日本香堂のやつ買ってきてもダメ。えっと」

ギコは食卓に置いてあったメモ用紙とペンを掴み、さらさらと何かを描画していく。
瞬く間に、手書きの地図ができあがった。

( ,,゚Д゚)「この地図の通りに進めば、TWO-SEEってお店にたどり着けるわ。
      そこで私の名前を出しつつ、蝋燭を所望するの」

(´< _` )「はあ。なんかぶいあいぴーみたいだ。しかし金がないです」

( ,,゚Д゚)「あっちの部屋のタンスに、十三万円入ってるから一枚ぬいときなさい」

そんな感じで。
弟者は息をつく間もなく、再び外出することになったのである。


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:17:47.60 ID:J3+/Z9j+0
そろそろ、夕日が沈み始めていた。
弟者はたった一枚の紙片を頼りに「TWO-SEE」なる店を探していた。

あるくにつれ、通行人のジャンルが変わっていく。
先ほどまでは帰宅目的の会社員が中心だった。
しかし今は、夜の街に繰り出すアダルティーな雰囲気を醸す人間と
通りすがることが多くなっていた。
早々に酔っぱらった会社員の叫声が耳を刺す。

(´< _` )「この道を……って思いっきり裏路地だな」

(´< _` )(ラジオ抱えた黒人が闊歩してそうな雰囲気だ)

怖じ気づく。
街灯も少ないその小路に、弟者はゆっくりと歩を進めた。

(´< _` )「こわーくなーい♪」

二、三度角を曲がった辺りで弟者は足を止めた。

(´< _` )「確かこのあたり……お」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:18:22.13 ID:J3+/Z9j+0
場違いなデザインを施された店があった。
『TWO-SEE』と書かれた安っぽい看板がピンク色の明かりに照らされている。

(´< _` )「ふむ……ここか」

「若妻との出会い体験!」

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えとせとらえとせとら……。

何やらB級雑誌の広告欄を彩るような怪しげなチラシが店の壁面に貼られている。

そもそも『TWO-SEE』という文字の横には小さく「アダルトグッズ専門店」と書かれているのだ。

(´< _` )「……俺、十五歳だったよな」

軽く年齢確認した後、弟者は扉を押して中に入った。


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:18:54.60 ID:J3+/Z9j+0
ドンキホーテを彷彿とさせる店の構造。
名前も知れぬえろてぃっくなグッズがそこらじゅうにうずたかく積み上げられている。

(´< _` )「おう、ピンキー」

「いらっしゃいませええええええ!!!」

突如、店の奥からうら若き乙女のハスキーボイスが生温い空気を劈いた。
足音と商品が崩れ落ちる音が徐々に近づいてくる。

(*゚∀゚)「美少女が織り成す大人の祭典、アダルトショップ『TWO-SEE』へようこそ!」

(´< _` )「あ、どうも」

(*゚∀゚)「今日は何をお探しでっ!?
     つーかよくこの場所がわかったね!!」

(´< _` )「いやあ、ギコって人に紹介されまして」

(*゚∀゚)「ぎ、ギコだってぇ!?」

たじろぐ女店員。
その拍子に、陳列されていたバイブの電源が入り、振動音が響いた。

(´< _` )「やっぱり知ってるんですか?」

(*゚∀゚)「まー、知ってるも何も父親だからねえ」

(´< _` )「把握」


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:19:25.69 ID:J3+/Z9j+0
(*゚∀゚)「私はつー! このあたりで密かなブームを起こしている魅惑の美少女だよ!
     まーそんなことはどーでもいーや。今日はなにを お探しでっ!?」

(´< _` )「えっと、蝋燭」

(*゚∀゚)「蝋燭か! ちょっとまっちくり!」

忙しそうな女性だ。
つーはまた、奥の方に消えていった。
しばらくして戻ってきた彼女の手には、赤い身体の蝋燭が数本握られていた。

(*゚∀゚)「低温蝋燭だよ! M初心者にもピッタリさ!
     一本千二百円。でも二本セットだと……なんと二千二百円!」

(´< _` )「……」

(´< _` )「おおっ! 二百円もお得!」

(*゚∀゚)「買うのかい!? 買っちゃうのかい!?」

(´< _` )「ええ、じゃあ二本」

(*゚∀゚)「まいどっ!」

その場で商品の受け渡しを行う。
レジがないのか、弟者が万札を差し出すと、つーはエプロンのポケットから七千八百円を取り出した。


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:20:08.22 ID:J3+/Z9j+0
(*゚∀゚)「そーいえばキミ、若いね!」

(´< _` )「……ええ、まあ十五歳ですが」

(*゚∀゚)「んー、いいねえ、まだあれだね。どっちの道に行くかわかんないね」

(´< _` )「やっぱり、まずいですかね?」

(*゚∀゚)「うーん、まずいね! 私としてはもうちょっと大人になってからの方が良いと思うよ!」

(´< _` )「やっぱり」

(*゚∀゚)「蝋燭とかに手を出すのはっ!」

(´< _` )(そっちか)

(*゚∀゚)「それ、彼女が使うのっ!?」

(´< _` )「……強いて言えば、彼氏。多分」

(*゚∀゚)「おおぉ、いっつあぶのーまる!」

「おとーさんによろしくねー!!」という声を背中で聞き、弟者は『TWO-SEE』を後にした。


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:20:48.11 ID:J3+/Z9j+0
その後、弟者は本屋でたまごクラブ、スーパーで紙おむつと粉ミルクを購入して家路についた。

途中、ふと空を見上げる。
星が見えない。
地上の光が夜空を喰ってしまっているのだろう。

(´< _` )(……田舎じゃあ、満天の星空が拝めたんだがな)

ノスタルジーな気分が沸々とわき上がる。

(´< _` )(母者……妹者……)

(´< _` )(兄者は……一歳かそこらになってしまったようです……)

(´< _` )(俺は……兄者を立派な人間に育て上げることができるのでしょうか……)

一縷の涙を地面に落として、弟者は再び力強く歩み出した。

(´< _` )(そういえば……)

ぎこちない動作でポケットを探る。

(´< _` )「後で……メールしてみよう」

『絶対に出会える出会い系サイト! ※サクラはいません!※』

ちゃっかり剥がしてきたチラシを見つめて、弟者は大人の階段を上る決意をしていた。


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:21:14.44 ID:J3+/Z9j+0
「お父さん! もう、またここに来てたのね!」

「うるさいわね! 私は今、恋人とのすいーとな時間を満喫してるの!
 娘に用は無いわ!」

三階に降り立つと、またも怒号が聞こえてきた。
今度は二人分。
男性と、女性の者だ。
いっぽうはギコのものだろうが……。
室内からだからか、若干ボリュームは控えめである。

「帰るわよ!」

「ダメよぉ。もうすぐ私、お仕事に行かなくちゃ!
 それに彼の帰りを待たないと!」

(´< _` )(……元妻か、いや、それにしては若すぎる
       そういえば、娘、とか叫んでるな……)

推理を脳に張り巡らせつつ、弟者は302号室の扉を開いた。


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:21:44.85 ID:J3+/Z9j+0
(*゚ー゚)「てゆーか、いつの間に赤ちゃんとかできちゃったの!?」

( ,,゚Д゚)「……つい、三ヶ月前」

(*゚ー゚)「マジで言ってる!?」

(´< _` )「あ、あのう」

( ,,゚Д゚)「あ、お帰りなさい」

弟者が声を発すると、やっと気づいた女がツカツカと歩み寄ってくる。
なんというか、ビジネスマンタイプだ。
ぴっちりとした服に身を包んで、眼鏡が似合いそうな。

(*゚ー゚)「あなたが父の!?」

(´< _` )「え、いや。違いますよ。むしろそっちです」

すでに起きて、泣きじゃくっている兄者を指さす。
憮然とした表情で女はギコを見やる。
ギコは、赤面したまま俯いた。


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:22:04.62 ID:J3+/Z9j+0
(*゚ー゚)「そ、そんな……ここまで堕ちていたなんて」

( ,,゚Д゚)「何よ! 同性愛に幸あれ!」

(*゚ー゚)「この場合同性とかどーでもいいわよ!」

(´< _` )(そーいえば、誰かに似ているな)

頭を捻らせていると、ギコが涙目で助けを求めてきた。

( ,,゚Д゚)「む、娘がいじめる……って、そういえばあなたの名前は?」

(´< _` )「ああ、どうも初めまして。弟者です」

( ,,゚Д゚)「これはこれは、ご丁寧に……ってどーでもいいわそんなこと」

(´< _` )「この人、娘なんですか」

( ,,゚Д゚)「ええ、そうよ。出来が悪いでしょ?」

(*゚ー゚)「あなたが欠陥品なんでしょ!?」

( ,,゚Д゚)「け、ケッカンヒン……」

よろめくギコ。
勝ち誇ったような女性。
そのままの表情で、弟者を見据える。


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:22:37.08 ID:J3+/Z9j+0
(*゚ー゚)「私はしぃと言います」

(´< _` )「しぃ……」

しー。
つーとしー。
TWO-SEE……。

(´< _` )「なるほど」

納得する。

(*゚ー゚)「何?」

(´< _` )「いや、別に」

(*゚ー゚)「それで? あなたは結局父の何なの?」

(´< _` )「……なんでしょう、あれですね。
       恋人の弟です、要約すれば」

( ,,゚Д゚)「それよりオトージャ。買ってきた?」

(´< _` )「ええ。とりあえず粉ミルクを」

袋から缶を取り出す。

( ,,゚Д゚)「あ・り・が・と。第二彼氏候補にしてあげる」

(´< _` )「光栄です……ん?」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:23:21.27 ID:J3+/Z9j+0
ギコはそれを手にキッチンに向かっていった。

(*゚ー゚)「ねぇ、ちょっと」

(´< _` )「はい?」

(*゚ー゚)「本当にアレは父の……なの?」

(´< _` )「アレとは失礼な。いのちをだいじに。
      仮にも俺の兄なんですから」

(*゚ー゚)「……はい?」

(´< _` )「さっき言ったでしょう。俺はギコさんの恋人の弟だって。
       本当に、最近の若者は話を聞かないから困る」

(*゚ー゚)「え、ちょ、ま、え、ええ?
     おかしくない? 生物的に」

(´< _` )「何らおかしくないですが、何か」

不毛な問答を続けていると、ギコがほ乳瓶を片手に戻ってきた。
なぜほ乳瓶があるのだろうという疑問はこの際胸にしまっておく。


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:24:14.92 ID:J3+/Z9j+0
( ,,゚Д゚)「ほーら、アニージャ、ご飯でちゅよー」

ギコが兄者の口元にほ乳瓶を差し出すと、彼はとても可愛いしぐさで先端を咥えた。
そして、こくんこくんと飲み干していく。
それを見たギコが親の顔で微笑む。

(*゚ー゚)「…………お父さんの恋人の存在は知ってたけど。
     っていうか何度か会ったことあるけど。そりゃあ確かに名前は兄者だったけど」

(´< _` )「つまりこれが真実です」

(*゚ー゚)「認めない、認めないわ!」

( ,,゚Д゚)「ほら、大声出さないの。
      というか、何しに?」

(*゚ー゚)「堕落したあなたの生活を改善するために」

( ,,゚Д゚)「余計なお世話よ。一人前に稼いでるのに」

(´< _` )「ギコさんは何の仕事を?」

( ,,゚Д゚)「ゲイバー。ああ、もうすぐ行かないと」

七時を示す掛け時計を見上げ、ギコは呟いた。


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:24:46.08 ID:J3+/Z9j+0
(*゚ー゚)「ダメ! 今日こそ家に無理矢理にでも連れ帰るからね!」

( ,,゚Д゚)「まぁいいわ……そのための対策ならしっかり用意してあるから。
      ……オトージャ!」

(´< _` )「あ、俺ですか」

( ,,゚Д゚)「蝋燭出しなさい」

(*゚ー゚)「!」

言われたとおり弟者が袋に入った赤い蝋燭を取り出す。
二本。

( ,,゚Д゚)「あ、二本も」

(´< _` )「安かったんですよね」

(*゚ー゚)「こ……これ……」

しぃの顔が豹変した。
さっきまでの険悪な表情が一転、エサを目の前に置かれたネコのようである。
そこでギコが囁いた。

( ,,゚Д゚)「ほ・し・い・で・し・ょ・?」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:26:02.46 ID:J3+/Z9j+0
(*゚ー゚)「……はい」

これほどバカ正直な女性を弟者は昔拾ったエロ漫画でしか見たことがない。
ギコは弟者から蝋燭を受け取ると、それをほれほれ、とばかりに彼女の眼前でちらつかせる。

( ,,゚Д゚)「あげるから、今日は素直に帰りなさい」

しぃの顔の紅潮はピークに達している。
手を伸ばしたくて仕方ないらしく、ギコの言葉に何度も頷いた。

(´< _` )(娘を嬲る父親……鬼畜也)

ギコがしぃに蝋燭を手渡すと、彼女はうっとりした表情でしばらく見惚れていた。
やがてそれをハンドバッグに突っ込んで、黙って玄関に向かう。

ドアの閉まる音が響いた後、ギコは溜息をついた。

( ,,゚Д゚)「……ま、そのうちまた来るんでしょうけどね」

(´< _` )「あの蝋燭、何に使うんですかね」

( ,,゚Д゚)「そこまで知らないわよ」

まぁ、用途など限られていそうだが。


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:26:34.59 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「あの人とつーさんは双子ですか?」

( ,,゚Д゚)「えっと、どうだっけ。
      確か一年違いかな。どっちが年上か知らないけど
      って、つーも知ってるの?」

(´< _` )「ええ、TWO-SEEにいましたよ」

( ,,゚Д゚)「……ああ、そういえばそうだったわね」

この人はアルツハイマーか何かに冒されているんじゃないだろうか。
そんな、一抹の疑問を抱いた。

( ,,゚Д゚)「あ、そろそろ行かないと」

床に転がっていたポーチを拾って、ギコは駆け出そうとする。

(´< _` )「ちょっと待てい」

( ,,゚Д゚)「なんでい、べらぼうめい」

(´< _` )「仕事ですか?」

( ,,゚Д゚)「そうよ。しばらく帰ってこないわ」

(´< _` )「ほう、了解しました」

( ,,゚Д゚)「それじゃあねぃ」

片手をヒラヒラ振って、ギコは扉の向こうに消えていった。


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/13(火) 23:27:09.51 ID:J3+/Z9j+0
(´< _` )「……
       ん? つまり……」

ご機嫌になってハイハイしている兄者を見下ろす。

(´< _` )「今宵は、俺が世話しないといけないのか?」

( ´_ゝ`)「ばーぶぅ!」

・・・

・・



第二話、おしまい。


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:47:57.83 ID:XmE4S7ct0
( ´_ゝ`)「だぁ、だぁ!」

(´< _` )「……おー、よしよし、元気か?」

( ´_ゝ`)「だー!」

(´< _` )「お前だーとかばぶーとかしか言えないのかよ〜」

( ´_ゝ`)「ばーぶぅ!」

(´< _` )「イクラちゃんの真似かー! 上手いなぁ!」

(´< _` )「……はぁ。なんだこの寂寥感。
       結婚三年目の倦怠ってやつか」

( ´_ゝ`)「?」

(´< _` )「兄者、そろそろ寝たほうがいいんじゃね?」

( ´_ゝ`)「ぶぅ」

第三話 はじまり


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:48:54.20 ID:XmE4S7ct0
弟者はたまごクラブを読むことにした。
何せ、子育てなどこれまでしたことがない。
そして気づいた。

たまごクラブが妊娠中の女性のための雑誌であることに。

(´< _` )「買うならひよこクラブの方だったのか……
       普通さ、生まれたての子供のためのたまごクラブだと思うじゃん。
       いや、卵ってことはまだ産まれてないのか?
       でも、身体からは離脱してるよな……」

女なんてしゃぼんだまー。
そう叫びながらたまごクラブを窓際に放る。

万事休すといったところか。
幸い、兄者はソファの上でうつらうつらし始めた。
このまま寝てくれれば助かる。

(´< _` )「……ううん、暇だな」

辺りを見回す。
極めて整頓された部屋だ。
ここ、リビングダイニングにあるのは食卓とソファ、そしてテレビをパソコンぐらいである。


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:49:44.64 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「兄者はパソコンが好きだったな」

触って良いものかわからない。
とりあえずそのまま放置して、ソファに座り直した。
途端に襲ってくる眠気。

都会にやってきたばかりなのだ。
疲労が溜まって当然というものである。

(´< _` )「よし、兄者。一緒に寝るか」

( ´_ゝ`)「Zzz」

(´< _` )「……寝たか。
       つーかこいつ、上半身裸でいいのか?」

正しくはオムツ一丁。
弟者は持ってきたカバンの中からタオルを取り出して、それで兄者をくるんでやる。

(´< _` )「……風呂、入ってこよう」


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:50:34.64 ID:XmE4S7ct0
十数分経過して。

(´< _` )「ふー、すげーな、昨今の風呂は。
       あれなんだな、35℃とか設定できるんだな」

熱湯と水を混ぜなくて済む。
そんな、どうでもいい感傷に浸りつつ、弟者は持ってきたバスタオルでわしゃわしゃと

髪を拭く。

兄者は相変わらずソファで寝こけている。
よく落ちなかったものだ。そんなことをふと思う。

(´< _` )「さってと。あんまりデカい音を出しちゃいけないだろうし。
      このまま寝かしておくにはテレビも見ることができないな」

(´< _` )「……とりあえず、明日はいろいろ買わないといけないな
      必需品と思えるものが何もない。
      乳母車だろ、あのカラカラやるやつだろ、モビールだろ……」

今後の予定に思いを馳せていると、兄者がまたも、目をクワッを見開いた。

( ;_ゝ;)「ぴぎぃぃぃぃぃぃぁぁゅぅぅぅぅ!」

(´< _` )「うおう!? 今度はどうした! 空襲か!?」


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:51:13.56 ID:XmE4S7ct0
オムツの問題だろうかととりあえず剥がしてみると。
すると案の定。

(´< _` )「あれだな。大じゃないだけマシだな」

せこせこと、不器用にオムツを取り替えてやる。
それが済むと、兄者はすぐに静かになった。

(´< _` )「全く……用事があるなら喋れよ。
      今年で二十四だろうが」

( ´_ゝ`)「Zzz」

泣き腫らした目を閉じて、静かに眠り込む兄者。
弟者もあくびを一つ。

(´< _` )「んん……そうだな、もう、俺も寝るか」

しかし、夜は終わらない。


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:52:00.83 ID:XmE4S7ct0
PM8:00

( ;_ゝ;)「ぎゃあぁぁぁぁあぁぁあ」

(´< _` )「どーした兄者! ついに日本は戦争に負けたのか!」

PM9:00

( ;_ゝ;)「もぎゃあぁぁあぁあぁああぁあ」

(´< _` )「そーだな兄者! GHQの横暴は目に余るものがあるよな!」

PM10:00

( ;_ゝ;)「みぎょぉぉあぁああぁあぁああ」

(´< _` )「ああ、何か歌って欲しいのか!?
      こんにっちわーあっかちゃん♪ あーなたーのーえーがーおー……」

PM11:00

( ;_ゝ;)「みょおぉぉおおぉぉんおおおぉぉん」

(´< _` )「やったぞ兄者! ついに沖縄が返還される!」

PM:12:00

( ´_ゝ`)「だいにっぽんてーこくばんざぁぁぁあああああい」

(;< _; )「うぎゃああぁぁぁあああああああん」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:52:47.65 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「時に落ち着け、兄者」

未だ泣きじゃくっている兄者を無理矢理座らせる。
ちょうど日付が変わった頃である。

夜泣きという言葉が頭を駆け抜ける。
赤ちゃんの夜泣きは心配に値しないとYAHOOか何かに書いてあった。
しかしうるさいことに変わりはない。
安眠妨害だ。訴えたい。

(´< _` )「まぁ話そう。話せば分かり合えるはずだ」

( ´_ゝ`)「ぐすっ……」

(´< _` )「静かだと可愛いのになあ。あれだな、性格悪い女みたいだな。
      ……しかし困ったな。このままだと眠れない」

( ´_ゝ`)「……」

ころん、とソファに転がる兄者。
そして、瞬く間に寝息を立て始めた。

(´< _` )「……」

そんな時。
突如、据え置きの電話がけたたましい電子音を響かせた。


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:53:25.18 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「電話……とっていいのか?」

パソコンの隣に設置されていたそれを取り上げる。

(´< _` )「はい……もしもし……ああ、母者か……ああ、もう着いたよ」

(´< _` )「うん……兄者も元気そう……いやむしろ元気すぎて困っている」

(´< _` )「まぁ、若気の至りだよ……仕方ないよ」

(´< _` )「……え……あ、挨拶回り? 隣近所に?」

(´< _` )「お母様、時間感覚は大丈夫でしょうか」

(´< _` )「あ……はいはい、行きます。行きますって」

(´< _` )「だから電気椅子はやめてくださいお願いします」

(´< _` )「……はい。はい……」

ガチャッ

(´< _` )「なんてこったい」

電話は母者からであった。
用件は、要約すると「隣近所に挨拶回りしてきなさい」

時計を見る。午前0時半。
言いようのない恐怖に苛みながら、弟者は上着を着て家を出た。
粗品を手に。


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:54:12.89 ID:XmE4S7ct0
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポーン。

('A`)「うるせえな!」

(´< _` )「ああ、すみません。ちょっと顔出してもらえません?」

('A`)「またお前か」

インターホン越しに舌打ちが聞こえた。
やがて扉から出てきたのはいかにもオタッキーな三十手前の男。
多分独身。いや、絶対独身。いや、永遠に独身。

('A`)「なんだよ、こんな時間にピンポンピンポン」

(´< _` )「挨拶回りです。このたび302号室に移り住んできた弟者です」

('A`)「ふーん、あっそう」


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:55:17.00 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「……興味なさそうな」

('A`)「眠いんだよ。お前時間わかってる?」

(´< _` )「夜中の十二時ちょい過ぎた頃ですかね」

('A`)「もっと朝とか、昼間に来いよ」

(´< _` )「全く同感です」

('A`)「……てめぇ」

扉を閉めようとするドクオ。
それを慌てて、弟者は足を挟み込んで阻止する。

('A`)「なんだよ!」

(´< _` )「これ、粗品です」

('A`)「へぇ……ってたまごクラブとかいらねーよ!」

(´< _` )「そんな、ひどい!」

('A`)「つーか何で夕方、ピンポンダッシュまがいのことをしやがった?」

(´< _` )「部屋を間違えたんです。320号室と302号室を」

('A`)「ここ308号室なんだが……」


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:56:40.76 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「いやあ、他の部屋の人たちは寝てるみたいで」

('A`)「俺も寝てたけどな」

(´< _` )「やっぱり一回ピンポンしただけじゃダメですかね」

('A`)「つーか俺の部屋も一回ピンポンで諦めろよ」

(´< _` )「いや、このピンポンは慣れたんです」

('A`)「もう二度と来るなお前。首吊って塩酸と水酸化ナトリウム一緒に飲んで死ね」

(´< _` )「塩ができるなあ」

('A`)「うるせえ!」

(´< _` )「ところで、ピンポンするって動詞は都会的にアリですか?」

('A`)「しらねーよ!!」

無理矢理扉を閉められる。

(´< _` )「ああ、最後に、せめて最後にお名前を!」

('A`)「ドクオだ!」

扉越しに、微かな声が聞こえてきた。


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:57:22.56 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「ふう」

家に帰ってきた弟者。
ここでまた、大あくび。

(´< _` )「本気で寝たいな……ドクオって人の家のベッドを借りればよかった」

見ると兄者はスヤスヤ眠ってしまっている。
この安穏はいつまで続くのであろうか。

(´< _` )「……おやすみ」

今度こそ、弟者は深い眠りに落ちこんだ。

途中、幾度か兄者の泣き声を聞いた。
全て無視した。

すると、泣き疲れたのかすぐに止んでしまった。
すばらしい対処方法だと、弟者は寝ぼけた頭で考えていた。
まさに外道?


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:58:09.99 ID:XmE4S7ct0
ピンポーン。

早朝。
弟者はそんなチャイム音で目を覚ました。

(´< _` )「なんだ……まだ五時じゃないか
       世の中、常識知らずもいるもんだな」

もしやギコが帰ってきたのか。
そう思いつつ、寝ぼけ眼で扉を開けに向かう。

ガチャ

(´< _` )「どちら様?」

('、`*川「やーやー」

立っていたのは、やたら大きなトートバッグを提げた若い女性。

(´< _` )「……」

(´< _` )「誰?」

('、`*川「あれー?」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:58:44.86 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「私だよ。この白衣を見て思い出さない?」

(´< _` )「……ペニス泌尿器科の……」

('、`*川「その間違え方はありきたり且つアグレッシヴすぎるな。
     ペニサスだよ。昨日、あなたのお兄さんを診察してあげたでしょ?」

(´< _` )「ああ、その節はどうも」

('、`*川「いえいえ、こちらこそ」

(´< _` )「……はっ!
      お前、なんでここの場所を知っている!?」

('、`*川「……昨日、住所教えて貰ったでしょ」

(´< _` )「ストーカーか」

('、`*川「違う」

(´< _` )「で、何の用ですか。つーかこんな時間に来るなんてアホですか。
      アホですね。人類みんなアホです
      もうこれからアナタのニックネームはアホサスです」

('、`*川「なんかキミに言われると腹立つねぇ」


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:59:13.04 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「往診。昨日言ったでしょ。
     ちょっと見させてもらっていーい?」

(´< _` )「あー、いいですよ」

('、`*川「しつれいー」

上がり込むペニサス。
それに続く弟者。

('、`*川「あー、寝てる寝てる……って、ヌードじゃないの!」

(´< _` )「隠すべき所は隠してますよ」

('、`*川「風邪ひいたらどうすんの!?」

(´< _` )「いや……風邪はひかないですね」

('、`*川「どうして?」

(´< _` )「根拠は……春、だから」

('、`*川「あーまぁ、じゃあ大丈夫か」


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 20:59:56.78 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「でもやっぱり、服は欲しいよね」

(´< _` )「でも無いですよ。何しろ突然の出来事でしたから」

('、`*川「そう思いまして、心優しい私としましては、ですね」

トートバッグを漁り始めるペニサス。

('、`*川「じゃーん。赤ちゃん用の服合計五十着」

(´< _` )「ほう。色とりどりですな」

('、`*川「まぁいろいろあったからねえ」

(´< _` )「まさか、若いのにすでに子育て経験が!?」

今度こそ、などという若干の期待を込めておく。
するとペニサスは遠い目をした。

('、`*川「いいでしょ……過去の事なんて……どうでも」

(´< _` )「まぁそこまで聞きたくもないですが」

('、`*川「なにぃ!?」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:00:56.78 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「ありがとうございます。で、おいくら?」

('、`*川「タダ」

(´< _` )「相変わらず太っ腹!」

('、`*川「崇めなさい崇めなさい」

(´< _` )「太っ腹! 腹が太い!」

('、`*川「……そーでもないと思うけどなあ、個人的には」

(´< _` )「自意識過剰ですね」

('、`*川「……ま、まぁ他にも欲しいものがあったら言ってよ。
     一応、家にいろいろあるからさ」

(´< _` )「把握した」

('、`*川「んー、それにしても可愛いなあ」

( ´_ゝ`)「Zzz」

(´< _` )「自慢の兄です」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:01:44.74 ID:XmE4S7ct0
('、`*川「でもね」

(´< _` )「?」

('、`*川「この頃が一番可愛いのよ」

(´< _` )「はあ」

('、`*川「そのうちね、身体が大きくなってね、親の言うこと聞かなくなってね。
     『私は世界を征服するのだー』とか言って旅に出たりするのよ」

(´< _` )「それがバラモスの生い立ちですか」

('、`*川「いや、ゾーマ」

(´< _` )「どっちでもいーや。
      つーか何もしないなら帰ったらどうです?」

('、`*川「ひどいな。モノさえもらえればそれでいいって。
     まるでオトコだな、キミは」

(´< _` )「男ですが」

('、`*川「ニュアンスが違うの。男とオトコ」


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:02:10.39 ID:XmE4S7ct0
ガチャリ
鍵の開く音。
玄関の方を見やると、チャイナドレスのギコが突っ立っていた。

(´< _` )「お帰りなさい」

( ,,゚Д゚)「あ、ただいま。あー、疲れたわね、
      まったく、ワカやんはお金たくさん落としてくれるのはいいんだけど
      蘊蓄が長い……そちらの人は?」

(´< _` )「あ、えーっと」

( ,,゚Д゚)「タレ?」

(´< _` )「いえ、違います」

( ,,゚Д゚)「ふぅん。ま、いいわ。
      ちょっとお風呂でリフレッシュしてくるわねぇ〜」

その格好のまま風呂場へ向かうギコ。

('、`*川「……ねえ」


25 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(水) 21:02:27.02 ID:XmE4S7ct0
(´< _` )「はい?」

('、`*川「あの方は?」

(´< _` )「ギコです」

('、`*川「いいわね」

(´< _` )「はい?」

('、`*川「……惚れた。一目惚れってヤツ?」

(´< _` )「……」

(´< _` )「頭、大丈夫でしょうか?」

・・・

・・



第三話 おしまい。


2 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです[] 投稿日:2007/02/15(木) 22:53:32.51 ID:feK2lAkW0
('、`*川「ギコさんについて詳しく教えて」

(´< _` )「ゲイ」

('、`*川「他には?」

(´< _` )「ホモ」

('、`*川「あえて付け加えるなら?」

(´< _` )「同性愛者」

('、`*川「なるほど……わかったわ」

(´< _` )「それはよかった」

('、`*川「私とあの方の間には、なんの障害も無いわけね」

(´< _` )「いっそのこと死ねばいいのに」

('、`*川「なんとな!?」

(´< _` )「昇格しますか? スーパーアホサスに昇格しますか?」

('、`*川「現状維持でいいわよ!」

第四話 はじまり。


6 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです[] 投稿日:2007/02/15(木) 22:54:30.05 ID:feK2lAkW0
('、`*川「ところで、他に何か要るものは無いの?
     昔の名残が家の押し入れに保管されてるんだけど」

(´< _` )「さしあたり乳母車とカラカラするやつとモビール。
       ついでにコロンコロンするやつとか口にくわえるヤツとかがあればなおよしですね」

('、`*川「乳母車は……あったかなあ。かさばるから捨てちゃったかも。
     カラカラするやつとかはあったと思う。
     まぁ、帰ったら探してみる」

(´< _` )「もうあれですね。太っ腹っていうか超肥満体ですね」

('、`*川「うるさいな」

(´< _` )「それにしても、やけに関わろうとしますね」

('、`*川「まー、あれじゃない。子供は人類みんなの宝じゃない」

(´< _` )「どうでもいいですけど」

('、`*川「どっちかっていうとSだよねキミ」

風呂場から声が聞こえてきた。
嬌声と表現するのは間違いだろう。
しかし、嬌声だ。


7 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです[] 投稿日:2007/02/15(木) 22:55:49.72 ID:feK2lAkW0
( ,,゚Д゚)「ああ、疲れた……。オトージャ、私帰るわね」

(´< _` )「あ、同棲じゃないんですか」

( ,,゚Д゚)「そうよ。私はすぐにでもしたかったけど、アニージャが許してくれないの」

(´< _` )(さすがヒモ。微妙な距離感を大切にしているな)

( ,,゚Д゚)「それじゃあねぃ。また、夕方に来るわぁ」

ギコはポーチを手にフラフラと家を出て行く。
兄者があられもない姿になった現状、特に気兼ねする必要もないと思う。
しかし、これが彼の日常サイクルなのだろう。

('、`*川「それじゃあ、私もそろそろ……」

(´< _` )「ああ、帰るんですか?」

('、`*川「まあね。そろそろ診察始まるし」

(´< _` )「ストーカー?」

('、`*川「聞いてないよね、キミ」


8 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです[] 投稿日:2007/02/15(木) 22:56:25.59 ID:feK2lAkW0
パタリ、と扉が閉まって静寂が舞う。

(´< _` )「よかったなー、兄者。
       あのおデブなおねーさんがいろいろ貢いでくれるぞー」

( ´_ゝ`)「Zzz」

兄者が未だ寝こけていることを確認。
当初、兄者を上手く育てられるか心配で仕方なかった。
しかし周囲の人間、ペニサスやギコにはどうやら経験があるらしい。
安堵に包まれる。

(´< _` )(母者……俺、上手くやっていけそうだよ……)

そして弟者は立ち上がり、キッチンへ向かう。
突如襲った空腹。
そういえば昨日の夕飯は抜いてしまったのだ。
それすら忘れて寝こけてしまった自分に非があるのだが。

テレビを付けると黒人がドアップで映し出された。
と思ったらみのもんただった。


9 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです[] 投稿日:2007/02/15(木) 22:56:51.10 ID:feK2lAkW0
(´< _` )「……ほとんど何も無いな」

冷蔵庫を開いてみて唖然とする。
飲料用と思われる水とパンが少々。
それに酒とつまみ類、それだけしか入ってないのだ。

ギコに奢ってもらったりしていたのだろう。
まったく、良いご身分である。
ヒモのくせに、大して顔も良くないくせに。

とりあえず食パンを一枚拝借。

評論家の小難しい議論を耳にしつつ、弟者は簡単な朝食をとることにした。

(´< _` )「なんか、やっと俺は都会に来たって感じがするな
       この、食パンの耳あたりが違う」

束の間の休息。
弟者はそれを、十分満喫するつもりなのだ。


10 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです[] 投稿日:2007/02/15(木) 22:57:17.46 ID:feK2lAkW0
十数分経過して。

( ´_ゝ`)「……んー……」

(´< _` )「おう、起きたか、兄者」

( ´_ゝ`)「う……」

早々に目に涙を溜め始める兄者。

(´< _` )「お、落ち着け。何が欲しいんだ?
       ミルクか? オムツか? 竹島か!?」

( ;_ゝ;)「うぎゃああぁあああああぁああぁあぁああぁあ」

泣くのは赤ん坊の仕事。
そんなことを言い出した輩を、弟者は心底恨んでやろうと思った。

何が仕事だ、他人に迷惑かけやがって。
でも可愛いから怒れないだろ、畜生。

(´< _` )「しばらく待て、ミルク用意するから、な?」

( ;_ゝ;)「う……うぇぇ……」


12 名前:(´< _` )弟者が子育てするようです[] 投稿日:2007/02/15(木) 22:57:43.53 ID:feK2lAkW0
更にその十数分後。

( ´_ゝ`)「だぁ、だあ!」

(´< _` )「ご機嫌麗しゅう、今朝は猪木の物まねですか」

やはり一人で赤ん坊と接するのは無理だ。
弟者はいよいよ悟っていた。

(´< _` )(改めて、母者の偉大さが身にしみてわかる)

(´< _` )(……あの盛り上がった上腕二頭筋は、俺たちのせいかもしれないな)

( ´_ゝ`)「ばぁぶぅ、ばぁぁ」

(´< _` )「さて、兄者もご機嫌になったし。
       勉強するかな……」

弟者は自身のバッグから筆記用具と問題集を取り出した。

合格が決定したとき、高校から配布されたシロモノである。
普段大して宿題もしない弟者だが、こればかりはしないといけないという使命感に襲われていた。

どーせ数ヶ月もたたないうちに、授業中平気で寝るような野郎に成り下がるというのに。


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 22:58:49.52 ID:feK2lAkW0
(´< _` )「……その前に」

弟者がリビングを見回した。
そういえば、昨日から他の部屋を覗いてないではないか。

(´< _` )「この部屋に住むにあたって、空間構成その全てを理解することは至極重要である」

もっともらしい理由をつけて、弟者は探検することにした。

まずはリビングの隣。
ふすまを開くと、そこに六畳ばかりの和室があった。
使われている形跡がない。
つまらないのですぐに閉めた。

次の部屋。
こちらは同じく六畳程度の洋室……のはずだが、見事に服置き場になっていた。
壁と壁を繋ぐ紐から垂れ下がっている様々な制服。
弟者はそれらから連想される職業を口にしてみる。

(´< _` )「パイロット、看護婦、小学生、赤ん坊……ってなんだ、
       ここに赤ちゃん用の服があるじゃないか。
       でもちょっと大きすぎるな」

なんとなく吐き気を催したので閉めた。

最後の部屋。
玄関の傍にある、木製の扉に閉ざされた場所である。
そこで弟者は、見てはいけないものを見てしまった。


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 22:59:15.27 ID:feK2lAkW0
            ζ
        _,,旦,_
       ./ -ω-ヽ 
       l      l
        `'ー---‐´


(´< _` )「……」

黙って扉を閉める。

(´< _` )「……」

(´< _` )「……なんだ?」

大きさは、おそらく弟者の腰ぐらい。
目があった。口みたいなものもあった。
ついでに、頭に湯飲みを乗せていた。
そして寝ている。

(´< _` )「……ゆぅ、えむ、えぇ……」


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 22:59:45.07 ID:feK2lAkW0
戦慄。
あんなものが存在して良いのだろうか。
可愛すぎるではないか。

(´< _` )「……あれか、兄者と競り合おうとする宇宙からの使者か」

気になる。
いつからあの場所に鎮座していたのか。
そこは、兄者の私室として使われているであろう部屋だった。
ベッドや小型テレビ、ノートパソコンなどが所狭しと設置されている。
そんな、雑然とした空間のちょっとしたすきまに、彼は座ったまま眠り込んでいたのだ。

(´< _` )「ダニの進化系……なはずはないか。
       しかし、どうしろというんだ」

そんなおり、声が聞こえた。

「セイヤ-」

(´< _` )「!!」

それは明らかに、あの物体が居た場所から聞こえてくる。

(´< _` )「ゆぅ……えふ……おぉ……」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:00:20.08 ID:feK2lAkW0
たまらず、弟者は再び扉を開いた。
そこに。

              _,,..,,,,_
             ./ ・ω・ヽ
              ヽ(゚Д゚)ノ
               )_) ))
               ( (
             l ̄ ̄ ̄~l
              `'ー---‐´
(´< _` )「……は?」

(Д゚)「セ、セイヤー……」

(´< _` )「あの、どちらさん?」

突如物体を分離させて登場したのは小人。
腰が艶めかしく動いている。

/ −ω−ヽ「ぽ……」

そして、本体までもが起動を始める。

(´< _` )「つーか、切り離されても生きてるのか」


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:01:03.53 ID:feK2lAkW0
/ ・ω・ヽ「ここはどこだぽ?」

(´< _` )「ようこそ、ビバリーヒルズへ」

/ ・ω・ヽ「嘘だぽ。ここは確かメゾン・ド・Gだぽ」

(´< _` )「知ってるなら聞かないでもらおうかミュータント」

(Д゚)「ミ、ミズセイヤー」

/ ・ω・ヽ「中の人が死にかけてるぽ!」

(´< _` )「中の……人?」

/ ・ω・ヽ「こいつの名前ぽ」

もしも手があれば、今にも倒れそうになっている満身創痍の小人指さしていただろう。

(´< _` )「中の人って名前?」

/ ・ω・ヽ「そうだぽ
      とにかく水を持ってきて欲しいぽ!!」

(´< _` )「……さっきの湯飲みはどうしたの?」

/ ・ω・ヽ「なんのことだぽ?」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:01:34.06 ID:feK2lAkW0
わけがわからない……。
そう思いつつも、弟者は台所から水を持ってきてやる。

(Д゚)「フ、フッカツセイヤー!!!」

途端に、腰の動きが一層激しくなる。

(´< _` )「HGも廃れ始めたこの時代に、こいつは何を求めているのか」

/ ・ω・ヽ「そんなことはどうでもいいぽ。とりあえず、中の人が元気になったよかったぽ」

(Д゚)「セイヤー!」

(´< _` )「どうでもいいですが、あんた方は語尾に何かつけないと喋れないの?」

(Д゚)「セ、セイヤー……」

/ ・ω・ヽ「いや、ぶっちゃけ普通に喋れる」

(´< _` )「……」

(´< _` )(こいつら……結構イライラさせてくれるな)


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:01:58.62 ID:feK2lAkW0
(´< _` )「はい、事情聴取はじめまーす」

/ ・ω・ヽ「お手柔らかにお願いするぽ」

(´< _` )「まず、お名前をどうぞ」

/ ・ω・ヽ「ぽだぽ」

(´< _` )「ぽだぽさん、と」

/ ・ω・ヽ「違うぽ! ぽ!」

(´< _` )「ああ、ぽさんね。種族は?」

/ ・ω・ヽ「闇属性悪魔族ぽ」

(´< _` )「滅びのバーストストリーム!」

/ ・ω・ヽ「ずっとぽレのターン!」

(´< _` )「本当は?」

/ ・ω・ヽ「それが……よくわかんないぽ」

/ ・ω・ヽ「どうやら記憶喪失らしいぽ」

(´< _` )「ふうん、ずいぶんナメた口叩いてくれますねえ。お兄さん怒っちゃうよ?」


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:02:21.78 ID:feK2lAkW0
/ ・ω・ヽ「本当だぽ!」

(´< _` )「えっと、そこの人……人?」

(Д゚)「セイヤー」

(´< _` )「名前は?」

(Д゚)「ナ、ナカノヒトセイヤー」

(´< _` )「記憶喪失?」

(Д゚)「……イロイロオボエテナイセイヤー」

(´< _` )「半角読みにくいね」

/ ・ω・ヽ「中の人いじめちゃだめぽ! 大体中の人は……」

(Д゚)「ダ、ダイジョウブセイヤー」
/ ・ω・ヽ「人が喋ってるときに喋るなぽ!」

(Д゚)「ゴ、ゴメンナセイヤー……」

(´< _` )「人じゃないような、もうどうでもいいような」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:02:47.06 ID:feK2lAkW0
/ ・ω・ヽ「とにかくそんな感じだぽ」

(´< _` )「ふうん、どうしたもんだか」

/ ・ω・ヽ「必要とあれば今日からペットになってあげるぽ」

(´< _` )「口をガムテープで封じれば結構アリだよな」

しかしこいつはいったい何者なのか。
もふもふしているあたりはネコっぽい。
しかし四肢が見えないぐらい小さい(或いは無い)し、何より人間の言葉を喋る。
そのうえ、人を飼っているのだ。

(´< _` )「いつからここに?」

/ ・ω・ヽ「あんまり覚えてないぽ。いつの間にか、ここで寝てたぽ」

(´< _` )「無意識で家宅侵入とは良い度胸だな」

/ ・ω・ヽ「まぁそんな日常もありだと思うぽ」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:03:22.67 ID:feK2lAkW0
/ ・ω・ヽ「ところで、どうするつもりだぽ?」

(´< _` )「……」

/ ・ω・ヽ「ま、一応邪魔はしないぽ」

(´< _` )「……ま、いいか。お前は何も食べないのか?」

/ ・ω・ヽ「微妙だぽ。食べなくても一応大丈夫だぽ」

(´< _` )「生物かどうかも怪しくなってきたな」

(´< _` )「まぁ邪魔にならないならここにいてもいいだろうが……
      問題は、だ」

(Д゚)「オナカガスイタセイヤー……」

/ ・ω・ヽ「大変だぽ! 中の人が餓死しちゃうぽ!」

(´< _` )「そいつは問題だろう。養わないといけない」

/ ・ω・ヽ「そんなことどーでもいいから、早く食べ物を分け与えるぽ!」


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:04:14.68 ID:feK2lAkW0
仕方ないので冷蔵庫からもう一枚パンを拝借。
そして中の人にちぎって渡す。

(Д゚)「カンゼンフッカツセイヤー!」

(´< _` )「こいつとお前は一心同体なのか?」

/ ・ω・ヽ「いや、ぶっちゃけいなくても大丈夫」

(Д゚)「!!」

/ ・ω・ヽ「まーいわゆるしゅじゅー関係だぽ」

(´< _` )「格差社会を体現しているわけか」

/ ・ω・ヽ「……じゃ、そろそろ寝てもいいかぽ?」

(´< _` )「何が『じゃ、』なの?」

/ ・ω−ヽ「眠いんだぽ。もう一眠りしたいぽ」

(´< _` )「まぁ……いいかもしれない」

/ −ω−ヽ「それじゃ」

瞬間、中の人の姿が消える。
正しくは、ぽの身体の中に戻ったのだ。


25 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:04:31.61 ID:feK2lAkW0
(´< _` )「いや、待て。寝かせといて良いのか?」

結局、かわいさに負けてしまったわけだ。
すやすやと寝こけるぽは、まるで兄者のようでもある。
口を閉じたぽは、見ているだけでもほほえましい。
というか正直、喋っているときもまた、別のかわいさを醸しているような気がする。

(´< _` )「まぁ……いいか」

育てる対象が一つ増えただけだ。
それに、こっちはあまり手がかかりそうにない。
中の人とやらは……未知数だが。

弟者はリビングに戻る。
そしていそいそと、勉強を始めた。

(´< _` )「……兄者、勉強を教えてくれ」

( ´_ゝ`)「Zzz」


26 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/15(木) 23:05:12.35 ID:feK2lAkW0
一日は緩やかに過ぎ去った。
昼時にはペニサスが、様々な荷物を手にやってきた。
乳母車は無かったという。それなら買いに行かないといけないなーと、弟者は考えた。
しかし今日は、どうにも動くのが面倒である。昨日の反動だろうか。
持ってきてくれたモビールを天井に吊す気力さえも無い。
だから明日に持ち越すことにした。
彼女は特に兄者の部屋……つまり、ぽが居る部屋を積極的に覗こうとはしないので安心。

夕刻には、すっかり体力回復したギコがやってきた。
彼は兄者の顔を見るとすぐに出勤してしまった。

彼もまた、兄者の部屋を見ようとはしない。
兄者から禁じられているのだろう。

そんな感じで。
一日は、ゆったりと終幕を迎えた。

・・・

・・



第四話 おしまい


2 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:07:09.83 ID:DuoPWeoZ0
(´< _` )「ついに、ついに完成したぞ兄者!」

翌日。
四月の始まり。

昼過ぎ、弟者の叫び声がこだまする。

( ´_ゝ`)「!?」

(´< _` )「使われもしないかわいそうな和室を俺の手で改造してやった!」

じゃーんとばかりにご開帳。
そこには、天井からぶら下がるゾウやキリンを象ったモビールと、
ただ放置されたとしか思えない毛布が一枚。

(´< _` )「ザ、ベビールーム!」

( ´_ゝ`)「……」

(´< _` )「どうだ兄者。岡本太郎もビックリなこのデザインは!」

(´,_ゝ`)「……プッ」

(´< _` )「!?」

( ´_ゝ`)「ばーぶっ」

(´< _` )「鼻で笑うかなあ」

第五話 はじまり


3 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:07:53.74 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「でも正直、あなた一人で育てるのはムリだと思うのよね」

(´< _` )「チャイムぐらい鳴らしてくださいアホサスさん」

押しかけてきたペニサス。
どうも、「今日は午前診療だけなんだよね」ということらしい。
上着代わりと思われる白衣をベビールーム(仮)に放った。

兄者はそこでお昼寝中。

(´< _` )「それで、どういう意味ですかアホサス」

('、`*川「ついに呼び捨てかい? まぁいいけど。
     ほら、キミのお兄さんのことだよ」

中途半端に開かれたふすまの向こうを見やるペニサス。

('、`*川「キミには当然子育ての知識が無い。
     でも私にはあるのさ」

(´< _` )「でもギコさんもあるみたいですけどね。知識が」

('、`*川「なんとな?」

(´< _` )「つまりあなたの手を借りなくても問題は」

('、`*川「なおよし! 明日から通ってやろう、病院を放棄することも辞さない構え」

(´< _` )「まじめくさった口調を混ぜなくても」


5 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:08:19.62 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「大体ギコさんはいつもお疲れでしょ?
     彼にさらなる労働を課すなんて真似、私にはできないね」

(´< _` )「俺にはできますから問題なし」

('、`*川「キミの嗜虐的な精神にはほとほと呆れるな!」

(´< _` )「あなたの利己的な精神には負けますよ」

('、`*川「あはははははははは」(´< _` )

空虚な笑い。

ペニサスのグーが弟者の顔面に伸びようとした瞬間、都合良く玄関のチャイムが鳴り響いた。

(´< _` )「誰か来たようですよ、本当はSのアホサス」

('、`*川「何いってんの? どっちかっていうと私は松本だよ?」

(´< _` )「Sですね」

('、`*川「Mだよね」

(´< _` )「S……はいはい、どちらさま」

ちょうど扉を開けたとき、アホサスの絶叫が轟く。

(*゚∀゚)「ちわー、三河屋でー」

('、`*川「エ・ム!!」


7 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:08:51.05 ID:DuoPWeoZ0
(*゚∀゚)「……」

('、`*川「あ」

(´< _` )「乙女なんて種族は昭和時代に滅びたようです」

(*゚∀゚)「ボケ……つぶされた」

(´< _` )「関西だなあ」

('、`*川「誰、この人」

アホサスが憮然とした表情で両手にビニール袋を提げた来客を指さす。

(*゚∀゚)「プリンセス天功もびっくりな妖艶オーラ、美少女つーとは私のことさ!」

('、`*川「叶姉妹よりは森三中にいそうなタイプ」

(*゚∀゚)「そーゆーアンタはこまどり姉妹かなっ?」

('、`*川「あはは、冗談の上手い人だ」

(*゚∀゚)「あははははははははは」('、`*川

そしてはじまるデスマッチ。
グーが飛ぶ。
パーが乾いた音を響かせる。
チョキが眼をつぶす。

(´< _` )「あほー、あほー。どっちもあほー」


8 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:09:27.63 ID:DuoPWeoZ0
(´< _` )「で、何の用です?」

(*゚∀゚)「よくぞきいてくれたっ。いやはや、キミがいることはお見通しだったよ!」

(´< _` )「そうだよ俺が犯人だよ!」

('、`*川「何の?」

(*゚∀゚)「今日はほら、国民的行事の日じゃん?
     そーゆー日は、TWO-SEEをおやすみすることになってるんだよっ!?」

(´< _` )「国民的行事……今日が? 何かありましたっけ」

(*゚∀゚)「バレンタインデー!」

(´< _` )「……」

('、`*川「……嘘! チョコレート作ってないよ!?」

(*゚∀゚)「うっそー! 正解はエイプリルフールでしたー!
     あっはははははは」

(´< _` )「……」

('、`*川「ウザいなー」

(´< _` )「中途半端なボケをしないでください」

(*゚∀゚)「にゃははのはっと」


9 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:09:55.89 ID:DuoPWeoZ0
(´< _` )「まああなたが店を休むのは勝手です。
       しかしそれとここに来る理由がいまいち繋がりません」

(*゚∀゚)「国民的行事の日は、一家揃ってパーティーを開くことにしてるんだよっ!
     我が家のしきたり、みたいな感じで」

(´< _` )「それで、ここに?」

(*゚∀゚)「おとーさんが言ってたさ」

(´< _` )「……」

ギリリ、と歯ぎしり。
企画人はギコで間違いないだろう。

(´< _` )「一家のことは一家で勝手にやればいいじゃないですか」

(*゚∀゚)「さーんえーるでぃーけーい!!
     つまりそういうことさ」

(´< _` )「どういうことさ?」

('、`*川「なるほど……そういうことか」

(´< _` )「アホサスは黙りなさい」

(*゚∀゚)「そーだ、黙りなさい」

('、`*川「むー」


10 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:10:22.32 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「え、じゃあ……ちょっと待ってよ」

(*゚∀゚)「待たない」

('、`*川「あ、そう」

(´< _` )「その、両手に持っているビニール袋は何か関係します?」

(*゚∀゚)「食材。今日は鍋料理ですよー」

(´< _` )「また微妙な時期に微妙な食べ物を」

(*゚∀゚)「おいしいですよー。鳥鍋ですよー。
     必要とあらば美少女のよだれも混入させますよー」

(´< _` )「青酸カリだけは勘弁してください」

('、`*川「おーい」

(*゚∀゚)「カセットコンロと酒はしぃとおとーさんが持ってくるよ」

(´< _` )「ああ、酒ですか。久しく飲んでません」

(*゚∀゚)「おやおや、十五の夜だねえ」

('、`*川「あのー」


12 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:10:48.39 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「ちょっと聞いて良い?」

(*゚∀゚)「ダメ」

('、`*川「あなた、ギコさんの娘か何か?」

(*゚∀゚)「うん。長女、或いは次女」

(´< _` )「何その微妙な身分は」

(*゚∀゚)「一応双子なんだけどさー、どっちがさきに産まれたか教えてくれないんだよ」

(´< _` )「それはアンビリーバボー」

(*゚∀゚)「まあ忘れてるだけだろうけど」

('、`*川「んなことはどうでもいいよ! 
     ……ふっふっふ。そうかそうか。ギコさんのねえ」

突然ベビールーム(仮)に入り、ふすまを固く閉じるアホサス。

(´< _` )「?」


14 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:12:12.06 ID:DuoPWeoZ0
(*゚∀゚)「……」

(´< _` )「……」

( ;_ゝ;)「ひぎゃあぁぁあぁぁあぁぁあぁあぁあ」

(*゚∀゚)「!」(´< _` )

……

(*゚∀゚)「……誰の声?」

(´< _` )「あ、知りませんでしたっけ。
       実はかくかくしかじか」

(*゚∀゚)「へえ。結構一緒にパーティー開くからよく知ってるよ。
     赤ちゃんになっちゃったかあ」

(´< _` )「そりゃあもう、可愛いですよ」

(*゚∀゚)「どれくらい?」

(´< _` )「デビュー当時のグレート義太夫が神木隆之介になったぐらい」

(*゚∀゚)「それはもう、人智を超えた変貌だね」

珍妙なやりとりをしていると、再びふすまが開いた。

そこに、いかにも理知的な女性を装ったアホサスが立っていた。


17 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:12:46.78 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「コホン」

(´< _` )「さっきの、兄者の泣き声……というより悲鳴はなんだったんだ?」

('、`*川「つーさん」

(*゚∀゚)「へ?」

('、`*川「どうもこんにちは。ハーバード総合病院の院長、ペニサス・セガールです」

(*゚∀゚)「は、はい」

('、`*川「実は……大変申し上げにくいのですが」

(*゚∀゚)「ほう」

('、`*川「あなたのお父さんは、ガンです」

(*゚∀゚)「!」

(´< _` )「一般庶民の住宅で何がハーバードだ」

(*゚∀゚)「そ、それで……父の命は!?」

(´< _` )「なに、信じてる系?」

(*゚∀゚)「キミは黙ってて!」

つーはあまつさえ涙を目に溜めている。
アホだ。いや、バカだ。


18 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:13:13.62 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「脳みそガンがけっこう進行しています」

(´< _` )「せんせー、のーみそってガンになるんですかー?」

('、`*川「このままではお父さんの命は長くないでしょう」

(* ∀ )「そ、そんな……」

('、`*川「率直な話、この重病を治せるのは……日本広しといえど私だけでしょうな」

(´< _` )「ハーバードのくせに」

(* ∀ )「せ、先生! おとーさんを、おとーさんを助けてあげてください!」

('、`*川「うむ、それには必要な書類にサインしてもらわなければなりません」

そういって取り出したのは電気店のチラシ、の裏。

('、`*川「ここにお父さんの住所を書いてください」

ふてぶてしくそんなことを言う。

(* ∀ )「は、はい……」


19 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:13:36.75 ID:DuoPWeoZ0
(´< _` )「うわぁ、最低だ」

もはやあきれ果てている弟者にアホサスが耳打ちする。

('、`*川「エイプリルエイプリル」

(´< _` )「近づくなアホ菌がうつる。うつったら絶対自殺する」

('、`*川「小学生か」

フルフルと震える手でつーが住所を書き記す。

(* ∀ )「こ、これを」

('、`*川「よろしい。お父さんは、私が必ず治してさしあげよう」

(* ∀ )「せんせぇ……」

泣きつくつーをよしよししてやるアホサス。
そして、彼女には見えないように、弟者に向かってVサイン。

(´< _` )「みんなみんな、死ねば良いんだ」


20 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:14:09.05 ID:DuoPWeoZ0
騒動が終息すると同時に、玄関の扉が勢いよく開け放たれた。

( ,,゚Д゚)「ハッローゥ」

(*゚∀゚)「お、おとーさん!!」

( ,,゚Д゚)「え、何、何?」

いきなり抱きついてくるつーに戸惑いを隠せない、重病のギコ。

(* ∀ )「おとぉさぁん」

( ,,゚Д゚)「相変わらずわけのわかんない……あ、オトージャ、事情は聞いた?」

(´< _` )「ええ、はっきりと」

( ,,゚Д゚)「それならいいわ……あ、そっちの人は?」

('、`*川「ペニサスです」

(´< _` )「アホサスです」

( ,,゚Д゚)「アホサスね。アンタも一緒にどう?」

('、`*川「え、いいんですか?」

(* ∀ )「ぜひ、どうぞ!」

('、`*川「そこまで言うのなら……」


22 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:14:37.06 ID:DuoPWeoZ0
(´< _` )「よかったね、アホサス」

親子の会話に盛り上がっている片隅で、アホサスと弟者は密談中。

(´< _` )「相手も負けず劣らずのアホで」

('、`*川「この私にかかればちょろいもんよ」

(´< _` )「で、いつネタばらしするの?」

('、`*川「うーん……。
     ま、頃合いを見計らって」

( ,,゚Д゚)「あ、そういえばアニージャは元気?」

(´< _` )「ああ、今向こうの部屋で寝てますよ」

( ,,゚Д゚)「顔見させてもらうわねえ」

らんららんとばかりにベビールーム(仮)へ向かうギコ。

そしてすぐに、満面の笑みを湛えて戻ってくる。

(´< _` )「どうでした?」

( ,,゚Д゚)「寝てたわ。なんか、悪夢に魘されてるみたい」

('、`*川「……」


25 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:15:15.57 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「さ、そろそろ鍋の準備を始めましょうか。
      アホサス、手伝って」

言われて弟者は壁時計を見る。
午後六時。
まだしぃは来ない。

アホサスがいそいそと台所に向かう。

(´< _` )(さて、兄者のこと、か)

今はまだ大丈夫だ。何せ、春休みだから。
しかし、高校が始まればそうも言ってられない。
ギコは夜に仕事があるから昼間は寝てなければならない。
アホサスとて一応医者だ。

そうなった場合、誰が母親役を買って出るのか。

(´< _` )(目下のところ、一番の問題だな……)

和室に入り、時々顔を歪めながら眠り込んでいる兄者を見下ろす。
アホサスから受け取った服は、よだれでひどく汚れている。

(´< _` )「あ、そうだ。
       兄者にも晩ご飯の準備をしないとな」


26 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:15:42.89 ID:DuoPWeoZ0

三十分ほどして。

( ,,゚Д゚)「なーべパーティー!」

(*゚∀゚)「でも、主食はビール!」

('、`*川「いえーい」

食卓の真ん中でクツクツと音を立てる鍋。
鶏肉やら菊菜やら白菜やら。
鍋料理のレギュラーメンバーといったところか。

弟者以外の人間の前にはビールジョッキ。
そして、テーブルの上や下には誰が飲むんだと言いたくなるほどのビール瓶が置かれている。


(*゚∀゚)「しぃが来ないね」

( ,,゚Д゚)「ま、そのうち来るでしょ」

ピンポーン

('、`*川「来ましたね」

( ,,゚Д゚)「チッ」

(´< _` )「え?」


27 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:16:09.51 ID:DuoPWeoZ0
(*゚ー゚)「おじゃましまーす……」

(*゚∀゚)「おぉ、しぃ!」

(*゚ー゚)「あ、つーだ……」

(*゚∀゚)「何、その嫌そうな顔は」

(*゚ー゚)「あんた、TWO-SEEて名前やめたんでしょうね?」

(*゚∀゚)「相変わらず細かいなあ。そのうち肖像権料? みたいなのは払うよ」

( ,,゚Д゚)「ケツの穴が小さいわね」

(*゚∀゚)「お詫びに……ホラ、蝋燭三本あげるから」

(*゚ー゚)「あ、ありがと」

(´< _` )「それ、何に使うんですか?」

(*゚ー゚)「え」


29 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(前) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:16:28.18 ID:DuoPWeoZ0
(´< _` )「何に使うんですか?」

(*゚ー゚)「いや、あの、ええと、その」

(´< _` )「な、に、に、つ、か、う、ん、で」

('、`*川「オトージャオトージャ」

(´< _` )「はい?」

('、`*川「すでに酔ってる?」

(*゚ー゚)「ふええ……」

しぃの涙と弟者のS成分と赤い蝋が入り交じり。
鍋パーティーの始まりが告げられた。

・・・

・・



第五話(前) おしまい
第五話(後) へ続く


30 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:16:53.46 ID:DuoPWeoZ0
箸が鶏肉をつつく音が、たちまちよくわからない笑い声に変わる。
それから、阿鼻叫喚の空間に至るまで、それほど時間はかからなかった。

(*゚ー゚)「おいおい、冗談じゃねーよ!」

(´< _` )「おう?」

(*゚ー゚)「だから最近の若者はダメだって言ってるんだ。
     そもそも、奴らは口ばっかりで行動が伴っていない。
     今だってそうだ。俺の鶏肉だってのに、このバカが先に食いやがった。
     もう俺MK5? みたいな感じだよ。
     要するにおっぱい」

(´< _` )「どうなったんでしょうか」

( ,,゚Д゚)「しぃは……酔うとイタコになるんだ」

(´< _` )「憑き上戸ですか」

( ,,゚Д゚)「がっはっは、おめぇ上手いこと言うなあ!」

(´< _` )「にしてもあのしゃべり方……どこかで……」

(*゚ー゚)「なーにジロ×2見てるんだYO!」

(´< _` )「あ……」


32 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:17:48.23 ID:DuoPWeoZ0
( ゚∀゚)「あーもう、これだから近頃の若者はだめなんだよな。
     命を命と思ってねえんだ。
     てめえのタレが腹痛めて産んだ子だろう?
     つーか捨てるなら最初から産むなボケ。
     つまりおっぱい」


( ゚∀゚)→(  ∀ )→(   )

(´< _` )「あの警備員、死んだのか」

四月一日午前八時二十二分。
長岡ジョルジュ スズメとバトルして敗北。死亡。

弟者は胸の中で、静かに黙祷を捧げた。

( ,,゚Д゚)「まぁそのうち元に戻るから気にするこたぁねえよ」

(´< _` )「はあ、そうですか」

(*゚∀゚)「おとじゃくん……」

(´< _` )「ん?」


33 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:18:17.24 ID:DuoPWeoZ0
(*゚∀゚)「おねがい……わたしをだいて……」

(´< _` )「……」

(*゚∀゚)「えっと、初めてだから……やさしく、してね?」

(´< _` )「これも憑いてるんですか?」

( ,,゚Д゚)「いや、違うな。
      つーは酔うとアダルトゲームのヒロインみたくなる」

(´< _` )「対処法は?」

( ,,゚Д゚)「選択肢を間違わなければ最後まで持ち込めるかもしれねえな」

(´< _` )「……」

(*゚∀゚)「や、やっぱり、いきなりこんなこと言うなんて……わたし、エッチな子なのかな?」

(´< _` )「とりあえず死ね」


34 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:18:39.74 ID:DuoPWeoZ0
(´< _` )「で」

( ,,゚Д゚)「おう?」

(´< _` )「あなたは今、どんな感じですか?」

( ,,゚Д゚)「俺はいつもと変わらねえよ」

(´< _` )「異議あり! その証言はムジュンしています!」

( ,,゚Д゚)「な、なにぃ!?」

(´< _` )「まず一人称が違う。いつもは「私」なのに今は「俺」だ!
       しかもなんかしゃべり方が男だ!」

( ,,゚Д゚)「ぐ、ぐぐぅ!」

(´< _` )「裁判長!」

(*゚∀゚)「ほえ?」

(´< _` )「とまあ、三文芝居はこのあたりでやめておいて」

(´< _` )「あなたは酔うとオカマじゃなく普通の男になるんですか?」


35 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:18:58.83 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「おいおい、冗談はよし子ちゃん、だぜ?」

(´< _` )「そのギャグをなぜ言う気になったのか」

( ,,゚Д゚)「言っただろう、俺の恋愛は男ありきだって……」

(´< _` )「し、しまった!」

( ,,゚Д゚)「いいのかい? ホイホイ人の素性を明かしちゃって。
      俺は恋人の弟でも構わず食っちまうオトコなんだぜ?」

(´< _` )「つまりオカマがホモになるわけですか」

( ,,゚Д゚)「それよりこの」

(´< _` )「あれ、アホサスは?」

先ほどから姿が見えない。
弟者が立ち上がり、泥酔した一家を尻目にアホサス探しに出かける。


36 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:19:33.22 ID:DuoPWeoZ0
アホサスはベランダに立っていた。
それほど広くない、洗濯物だけで埋め尽くされそうな場所。

('、`*川「フッ……」

(´< _` )「酔うとハードボイルドになる系?」

('、`*川「違うわよ。私は強いから」

(´< _` )「ああ、そう」

('、`*川「なに、私を探しに来てくれたの?」

(´< _` )「自惚れるな」

('、`*川「ひどいな」

そのまま戻ろうとする弟者。
アホサスが慌てて呼び止めた。

('、`*川「ギコさんたちはまだ酔ってる?」

(´< _` )「そりゃあもう、すごく」

('、`*川「じゃあ酔いが覚めたら教えてね」

(´< _` )「いやだ」

('、`*川「えー」


37 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:19:56.02 ID:DuoPWeoZ0
ペニサスが頬を膨らませていると、室内から誰かの叫び声が聞こえてきた。

何事かと急いで戻る。
すると、しぃがありもしないマイクを握るようにして立っていた。

(*゚ー゚)「悪魔の森の奥深く……一見何の変哲もない古い屋敷……
     だがその一室からは、毎夜、毎晩……
     少女の悲鳴にも似た叫び声が聞こえる、とか?」

( ,,゚Д゚)「きゃぁぁぁぁぁ」

(*゚ー゚)「聞こえないとか……聞こえるとか?」

( ,,゚Д゚)「きゃぁぁぁぁぁ」

(´< _` )「少女だぞ」

('、`*川「まだ酔ってるわね」

(´< _` )「いや、ギコがホモからオカマに戻っただけまだマシ」

突如勃発したカラオケ。
或いは雄叫び大会。
それは室内を越えて三階全域に轟く。


40 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:20:28.59 ID:DuoPWeoZ0
ピンポーン。

時刻は午後九時。

皆が真剣に歌い始めたところで、チャイムの音が耳を刺す。

( ,,゚Д゚)「誰よこんな時間に……」

ぶつくさ言いながらギコが扉へ。

( ,,゚Д゚)「はい?」

('A`)「あの」

( ,,゚Д゚)「何よおぼっちゃん」

('A`)「同階の住人だが……うるせえ」

( ,,゚Д゚)「あらあら、まだ三階に誰か住んでたのね」

(´< _` )「それ、どういう意味ですか?」

( ,,゚Д゚)「なんか私がここに来るようになってから住人が次々と退去してるらしいの。
      ……プレイの音が大きすぎたかしら?」

(´< _` )「それで挨拶回りしても誰もいなかったのか」

('A`)「そうだったのかよ……」

(´< _` )(兄者……ヒモっていうか、結構本気だったんじゃないのか?)


41 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:20:54.28 ID:DuoPWeoZ0
('A`)「とにかくうるせーよ。
    近所迷惑考えろ」

( ,,゚Д゚)「五月蠅いわね。文句があるなら出て行きなさい」

(´< _` )「なんという傲慢」

('A`)「そーいう問題じゃ」

( ,,゚Д゚)「ああそうだ、あんたも参加しなさいよ!」

('A`)「は?」

ギコの、意外と筋肉質な腕がニュッと伸びてドクオを捕らえる。

('A`)「いやいやいや、勘弁」

( ,,゚Д゚)「室内はハーレムよ? オトージャ以外は全員女だもの」

(´< _` )「兄者は?」

( ,,゚Д゚)「一名様ごあんなーい」


43 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:21:20.19 ID:DuoPWeoZ0

連れ込む→飲ませる→酔わせる。

このプロセスを経るのにそれほど時間はかからなかった。

('A`)「うへぇ」

(´< _` )「なんかまともな酔い方だ」

('、`*川「一番マシだからいいんじゃない?」

他の皆はすでに酔いが覚めている。

(*゚∀゚)「しぃ、私何か変なこと言わなかった?」

(*゚ー゚)「え? さ、さぁ」

('A`)「あー、ほうはひらひへほひへるへは」

( ,,゚Д゚)「よし、お姉さんが尋問しちゃう」


44 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:21:45.00 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「お名前は?」

('A`)「ドクオ」

(´< _` )「はっきり喋れるのか」

( ,,゚Д゚)「年齢は?」

('A`)「25」

( ,,゚Д゚)「職業は?」

('A`)「ニイイイイイイイイイイイイイイトオオオオオオオオオオオオオオオ」

('、`*川「なんでテンション上がったの?」

(´< _` )「知るか」

( ,,゚Д゚)「家族と一緒に住んでるの?」

('A`)「一人暮らし」

ギコの顔が曇る。


45 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:22:20.68 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「このマンション広いのに」

(´< _` )「ヒモと同じようなもんだ」

( ,,゚Д゚)「アニージャはいいのよ。所詮この世は顔だし」

(*゚∀゚)「顔出し? 顔射?」

( ,,゚Д゚)「なんで一人暮らししてるの?
      もしかして金持ち?」

('A`)「親には都会の大学に行ってると申しております。
    バカな親なのでだますのは簡単でしたはっはっは
    今は仕送り生活真っ盛りはっはっは」

( ,,゚Д゚)「……」

(*゚∀゚)「おう、いっつくれいじー」

(´< _` )「俺には到底考えられない話だ。
       母者をだます? ……死にたくない死にたくない」


46 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:22:49.09 ID:DuoPWeoZ0
( ,,゚Д゚)「仕送りは月いくら?」

('A`)「13万円。足りない部分はバイトで補う」

(*゚ー゚)「一人なら十三万で十分でしょ」

('A`)「……アスカ」

(*゚ー゚)「は?」

('A`)「アスカに貢がないといけない。
    そのために金に糸目をつけられない」

(´< _` )「アスカって?」

(*゚∀゚)「エヴァだね」

( ,,゚Д゚)「またありがちな」

(*゚∀゚)「そのキャラで一人エッチしてる人なんて世に数多といるだろうにね」

('A`)「ああ、アスカが帰りを心配する」


47 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:23:17.13 ID:DuoPWeoZ0
フラフラと立ち上がるギコ。
そのまま玄関へ。

閉まる扉。
残された五人は唖然と。

('、`*川「なかなか強いね」

(*゚∀゚)「25って私と同い年じゃん」

( ,,゚Д゚)「……はぁ、すっかり酒がまずくなったわね」

連れてこなければ良かった。
ギコが吐き捨てる。

(*゚ー゚)「……どうする?」

(*゚∀゚)「飲む」

(*゚ー゚)「まだ飲むの?」

(*゚∀゚)「湿っぽいもん」


48 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:23:40.17 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「おっと、その前に!」

いきなりアホサスが大声をあげる。

( ,,゚Д゚)「どうしたのアホサス」

(´< _` )「ああアホサス、あなたはどうして阿呆なの?」

('、`*川「これから私がメインで進めさせてもらいます」

(*゚∀゚)「よっ、アホサス!」

(*゚ー゚)「アホサスって珍しい名前だね」

(´< _` )「ですよねー」

('、`*川「では」

こほん。
一度せきをして、アホサスは聴衆を眺望する。

大きく息を吸い込んで。

('、`*川「これから重ひょうひゃっ」


49 名前: (´< _` )弟者が子育てするようです 第五話(後) [sage] 投稿日:2007/02/18(日) 00:23:58.22 ID:DuoPWeoZ0
('、`*川「……」

(´< _` )「……噛んだな」

(*゚∀゚)「噛んだね」

(*゚ー゚)「どうする?」

( ,,゚Д゚)「とりあえず、飲みましょ」

(´< _` )「あーあ、余計に雰囲気が悪くなった」

('、`*川「……うえぇぇええん……」

・・・

・・



第五話 おしまい


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:24:01.80 ID:V8rgEwz90
('、`*川「ぐすっ……そ、そろそろ、考えた方が良いと思うんだよねっ」

(´< _` )「何を?」

('、`*川「お兄さんのことさ!」

(´< _` )「……」

('、`*川「つ、つまり……ぐすっ、元に戻る方法は無いのか、ってことを!」

(´< _` )「何、元に戻したい派?」

('、`*川「え、いや、別に私は見たことないけど、でも常識的に考えて……ね?」

(´< _` )( ,,゚Д゚)(*゚ー゚)(*゚∀゚)「えー」

('、`*川「大不評!?」

(´< _` )「だからどうしてリア・ディゾンを樹木希林に戻したいのかって話ですよ」

('、`*川「ああ、人種まで変わっちゃうのか。
     って、ギコさんはいいんですか!?」

( ,,゚Д゚)「うーん、どっちでもアリだわよ。激しいプレイができなくなるのは残念だけど」

(*゚∀゚)「ああ、お客さんが一人減るなあ」

('、`*川「その程度の認識なのね」

第六話 はじまり


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:24:58.46 ID:V8rgEwz90
('、`*川「しかし、そうも言ってられないね!
     私はここで、三つの仮説を披露させてもらう!」

(´< _` )「テンションあがるなあ。X JAPANみたいだ」

('、`*川「一つめ。『コナンにやられた』」

(´< _` )「テトロドトキシンで?」

(*゚∀゚)「ていうか、黒の組織じゃなくてコナンにやられたのか」

('、`*川「そう。逆恨みみたいな感じで。ええと、対策としてはですね」

飲み残されたビール瓶を指さすアホサス。

('、`*川「ほら、一回焼酎か何かを飲んで元に戻った話があったでしょ?
     焼酎がないからビールで代用」

(*゚ー゚)「一回しか効かないんじゃ……」

('、`*川「独自の研究によりますと、ミルクとビールを9:1の割合でミックスする……。
     これで、いける!」

(´< _` )「独自の研究って?」

('、`*川「主に某巨大コミュニティサイトでの資料収集ですね」

(´< _` )「教えて!gooだな」

('、`*川「なぜわかった!?」


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:25:29.67 ID:V8rgEwz90
('、`*川「二つめ。『喪黒福造』にやられた」

(´< _` )「ドーン!!」

('、`*川「うわ、ビックリ」

(*゚∀゚)「ツー!!」

('、`*川「わお、ビックリ」

ここで弟者とつーがしぃを凝視。

(*゚ー゚)「え、な、何? ノらないといけないの?」

(*゚∀゚)「愚問」

('、`*川「カモンカモン」

(*゚ー゚)「し、シィー!!」

(*゚∀゚)「うわ、つまんないギャグ」

(*゚ー゚)「えええぇぇええ」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:26:06.02 ID:V8rgEwz90
('、`*川「一度、ドーンってやられた人が子供になる話があったよね」

(´< _` )「仮にそうだとして、何か対策があるの?」

('、`*川「……もう一度ドーンってしてもらう」

(*゚ー゚)「受精卵レベルに退化しそうな気がします」

(´< _` )「大体喪黒さんはどこに?」

('、`*川「……都会の波」

(´< _` )「連絡方法は?」

('、`*川「……ホーッホッホッホッホ」

(´< _` )「考えもせずに口に出すからそうなるんですよ」

('、`*川「うるさいな。三つめ!『お兄さんはお兄さんじゃない』」

(´< _` )「……ついに狂ったか。まぁ順当な病状進行だ」

('、`*川「いやいや、常識的に考えて、いきなり赤ちゃんに戻るなんてありえないでしょ?
     タイムふろしき被ったわけでもないんだし」

(´< _` )「それはあれですか、俺たちの兄弟の絆を疑うわけですか?」

( ,,゚Д゚)「私たちアベックの絆を否定するの?」

('、`*川「うーん……ごめんなさい」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:26:53.73 ID:V8rgEwz90
なし崩し的に酒宴は終わる。
後片付けはギコとアホサスに任せ、しぃとつーは床にへたって酔いを覚ます。
弟者はふすまを開いて兄者を確認。
日付が変わって少しが経過。終焉のぐだぐだ感がいささか心地よい。

(´< _` )「よく、寝てる」

(*゚∀-)「あれだけ騒いで起きないんだからもうひゅくすひひへ〜」

すでに半分睡眠に落ちているつー。
しぃについては、八割ほど。

( ,,゚Д゚)「片付け、終わったわよぅ」

('、`*川「いやいや、至福の一時
     あ、ついでにミルクとビールを9:1で混ぜた液体も生成しておいた。
     名付けてビルク!」

(´< _` )「パクリかよ」

(*゚∀-)「ほれじゃあ、帰りますか〜?
     ほらあ、しぃ、起きろよ〜」

つーが思いっきりしぃの背中を叩く。
のそのそとしぃは起き上がり、眼をこすり周囲を見渡す。

(*゚ー゚)「ここ、どこ?」

(*゚∀゚)「ガラパゴス諸島。さ、帰るよ」


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:27:24.78 ID:V8rgEwz90

('、`*川「私はまだここにいるよ」

(´< _` )「ええぇええ。おえぇ」

('、`*川「なんでえずく? ほら、兄者にミルクビールを投与しないと。
     ノートルダム総合病院の院長としては」

つーがハッとした表情になる。
思い出したらしい。

(´< _` )「ハーバードじゃなかったっけ」

(*゚∀゚)「よ、よろしくお願いします!」

('、`*川「まかしときなー。ギコさん、今度お宅に訪問しますのでー」

( ,,゚Д゚)「?」

片手を振って扉の向こうに消えるギコ一族。
残るは三人。

('、`*川「さて、寝ようかな」

(´< _` )「おい」


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:27:41.03 ID:V8rgEwz90
( ;_ゝ;)「みぎいいいいいいいいいいいいいぃぃ」

('、`*川「お。起きたよ、お兄さん」

(´< _` )「ふむ……で、投与?」

('、`*川「おふこーす」

(´< _` )「ことばにーできなーいー。
       兄者、ご飯だぞ」

( ;_ゝ;)「WRYY……YY」

ほ乳瓶に入っている液体を兄者に飲ませてやる。
兄者は時折顔をしかめるが、それでも順調に飲み干していく。

('、`*川「あ、そういえば」

(´< _` )「ん?」

('、`*川「分量間違えたんだよね。ミルクとビールを9:1じゃなくて、
     ビールとミルクを9:1にしちゃった」

(´< _` )「どーりで黄色いと思ったよ」

('、`*川「だよねー!」

(´< _` )「あははははははははは」('、`*川

弟者はその時、気づいていなかった。重大な事実を忘れていることに……。


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:28:03.95 ID:V8rgEwz90
(´< _` )「あ!」

('、`*川「ん?」

(´< _` )(そういえば……ぽ……はどうでもいいが……中の人……)

餓死の二文字が脳裏に浮かぶ。

('、`*川「何?」

(´< _` )「ちょっと用事をしに22世紀に行ってくる」

そう言い残して、冷蔵庫から柿の種を奪取。
そのまま兄者の私室まで駆けていく。

そこに夜の闇が広がっていた。
佇むぽ。眠っているのか、反応を見せない。

(´< _` )「おい、ぽ」

/ ・ω・ヽ「……」

(´< _` )「中の人はまだ生きてるか!?」


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:28:27.85 ID:V8rgEwz90
/ ・ω・ヽ「もう……手遅れだぽ」

(´< _` )「!」

/ ;ω;ヽ「お前のせいで、お前のせいで中の人は死んじゃったんだぽ!」

(´< _` )「そ、そんな……俺は、俺は!」

広がる叫喚。
ぽの双眸は弟者を捕らえ、逃さない。

/ ;ω;ヽ「ああ、かわいそうな中の人。
      信じていた同胞にも裏切られ……」

セイヤー

(´< _` )「……」

/ ・ω・ヽ「……」

セイヤー……テンポウノダイキキンセイヤー……

(´< _` )「おい」

/ ・ω・ヽ「中の人は空気が読めないぽ!」


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:28:58.13 ID:V8rgEwz90
ぽの中から這いずるように出てきた中の人に柿の種を渡す。

(Д゚)「……ノドカワクセイヤー」

(´< _` )「うるせー」

/ ・ω・ヽ「ひどい、まさに外道だぽ!」

(´< _` )「おい、毛玉」

/ ・ω・ヽ「ぽ!?」

(´< _` )「青か黒か……そういえば都会には黄色もあるな。
       どれがいい?」

/ ・ω・ヽ「なんのことだぽ?」

(´< _` )「お前をぶち込むゴミ袋の色」

/ ・ω・ヽ「冗談キツいぽ〜」

(´< _` )「ああ、まずは燃やしてやる」

(Д゚)「ダメセイヤー」

(´< _` )「いや、お前は燃やさないぞ?」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:29:18.54 ID:V8rgEwz90
(Д゚)「イッシンドウタイセイヤー」

(´< _` )「……」

/ ・ω・ヽ「流石中の人ぽ!」

(´< _` )「……そうか」

(Д゚)「セイヤー! カキノタネアリガトウセイヤー!」

(´< _` )「いやいや、どういたしまして」

/ ・ω・ヽ「ぽと対応の仕方が違うぽ」

そういえばこいつらは何者なのだろう。
というか、一日中ここでこうしていたのか?

そんな、解決しようもない疑問を抱えつつ、弟者はリビングに戻ることにした。

廊下にて。
突如響くのはアホサスの悲鳴。

(´< _` )「なんだろな?」

('、`*川「ひぃ……」


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:29:42.20 ID:V8rgEwz90
ペニサスが指さす先にテレビがある。
そこから、何かが半身を突き出していた。

(´< _` )「おう!?」

丑三つ時。
それは、ずるずると頭をもたげた。
垂れ下がる長髪が顔面を覆い隠す。

川д川「おじゃましまああああああああす……」

('、`*川「いやああややあああぁあああ」

アホサスが弟者にしがみつく、
弟者はそれを鬱陶しそうに払いのけて。

(´< _` )「誰?」

川д川「サダコでええぇええす……」

(´< _` )「……何、その普通な名前」

川д川「え、そんな反応?」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:30:03.67 ID:V8rgEwz90
(´< _` )「……ロッキー」

川д川「え?」

(´< _` )「お前の名前はロッキー」

川д川「え、いや、ちょ、あたし……」

(´< _` )「ロッキー」

川д川「さだ(´< _` )「ロッキー」

川д川「……はい」

見たところ弟者と同い年ぐらいの女だ。
しかしそれは身体的特徴から判別した結果である。
顔は未だ隠れたままなので、詳しくは定かでない。

('、`*川「なんでキミはそんなに普通に接することができるの?」

(´< _` )「……で、何の用?」

川д川「えっと、うんと」


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:30:47.55 ID:V8rgEwz90
(´< _` )「つーかサダコって安直なネーミングはどうにかならないの? ロッキー」

川д川「だって……本名が……鬼頭佐蛇子って」

(´< _` )「なんか男塾に出てきそうな名前だな」

('、`*川「し、死んでる……?」

川д川「いいえ、死んでない……はずです」

(´< _` )「詳しく」

川д川「なんか……誰かにこんな姿にされちゃったんです。
    あたしだって元々は、普通の女の子だったんですよ?
    でも……いつのまにか」

(´< _` )「そんなファンタジーを信じろと」

川д川「でも……そもそもあたし自身がファンタジーじゃないですか」

('、`*川「ほ、ほら、きっとお兄さんと同じ事情なんだよ」

(´< _` )「……」

川д川「一人だと寂しいんです……だから出てきたんです……。
     そしたらここに出ちゃったんです。
     だからちょっと怖がらせようと」

('、`*川「何が『だから』なの。繋がってないし」


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:31:15.99 ID:V8rgEwz90
川д川「すみませんすみませんすみません」

('、`*川「許さない許さない許さない。月経不順にしてやる」

川д川「えええ……」

(´< _` )「ううん、もっと詳しく話せよ。
       その時の状況とかを」

川д川「は、はい。えっと、ですね……」

――――回想入りまーす――――

川д川「リンゴを囓ると歯茎から血がでるだろー?」

(???)「それはこれが、悪魔の実だからだお!」

川д川「誰!?」

(???)「ある時はアンドロイド、ある時は死人……しかしてその実体は!
      ただの???だお」

川д川「え、あ、あの、ここ私の部屋……」

(???)「問答無用!
      うん、お前は貞子っぽいお!」

川д川「そ、そんな。き、気にしてるのに」


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:31:37.68 ID:V8rgEwz90
(???)「そんなキミをモノホンの貞子にしてやるお」

川д川「えええええええ」

(???)「ふっふっふ、覚悟しろお!」

・・・

・・



――――回想終わりまーす――――

川д川「そこからは覚えてません」

(´< _` )「気にしてるなら前髪切れよ」

川д川「……ハッ!」

(´< _` )「頼むから今気づいたみたいな顔をするな」

('、`*川「……ハッ!」

(´< _` )「うるせー死ね」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:32:32.77 ID:V8rgEwz90
('、`*川「そいつ、誰なんだろうね」

川д川「思い出した!」

(´< _` )「どうしたロッキー」

川д川「彼……多分男だと思いますけど……。
     そいつはこんなことも言ってました。
     『これで、五人目だお』……って」

('、`*川「五人目……?
     全人類貞子化計画でも推進してるのかいな?」

(´< _` )「……五人、か」

弟者の思惑はアホサスとは別の所にある。
つまり、兄者のこと。
彼は五人に含まれるのか、否か。

(´< _` )「その男、誰なんだ?」

川д川「わかりません……思い出そうとしても、なんかもやもやしてて」


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:33:10.86 ID:V8rgEwz90

川д川「あたし、これからどうすればいいのか……」

('、`*川「ううん。どうしよう。キミと一緒にいさせるのは危険だよね?」

(´< _` )「なんで」

('、`*川「性的に」

(´< _` )「……」

('、`*川「私の家、来る? おぞましいぐらい散らかってるけど」

(´< _` )「というか、帰る家はないのか?」

川д川「……ううん、思い出せない」

('、`*川「重度だね」

(´< _` )「そりゃテレビから出てくる時点でいろいろと」

('、`*川「でも今日はここに泊まらないといけないよ?
     だって私は患者を看取らないといけないし」

川д川「はい……わかりました」


25 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:33:41.72 ID:V8rgEwz90
結局。

アホサスとロッキーはベビールーム(仮)で。
弟者はリビングで軽い睡眠をとることになった。

(´< _` )(仮に、兄者とロッキーが同族だとして)

その場合、ロッキーが出くわしたという男を捜さなければならない。

(´< _` )「いや、待てよ……」

兄者は元に戻ることになるかもしれない。
それは望むべき結果ではない。

そう、明らかに。

(´< _` )(……放置しよう。
       ロッキーもまぁ、アホサスに任せればなんとかなるだろう。
       うん、そうしよう)

('、`*川「ほれほれ、ここがいいのかい?」

川д川「や、やめ……」

そんな感じで。

薄明も始まって、鳩が騒がしくなり始める。
そして。
アホサスの絶叫で弟者は目を覚ます。


27 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:34:15.24 ID:V8rgEwz90

('、`*川「大変だよ、キミ!」

(´< _` )「なんだ?」

('、`*川「お兄さんが、お兄さんが……」

(´< _` )「うん?」

('、`*川「二歳ぐらいになった!」

言われて兄者を見る。

( ´_ゝ`)「あはは」

未だオムツをはいている。
しかしベビー服は取り払われて。
兄者はしっかり、両の足で立っていた。
身長や体重も、ワンランク以上進化している。

(´< _` )「た、たってる」

('、`*川「それはまだじゃない?」

(´< _` )「そのたつと違う」


28 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:35:06.27 ID:V8rgEwz90
( ´_ゝ`)「ぱぱぁ」

(´< _` )「パパ!?」

( ´_ゝ`)「ままぁ」


28 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/18(日) 21:35:06.27 ID:V8rgEwz90
( ´_ゝ`)「ぱぱぁ」

(´< _` )「パパ!?」

( ´_ゝ`)「ままぁ」

('、`*川「わ、わたし?」

(´< _` )「……」

('、`*川「あなた……」

(´< _` )「おまえ……」

・・・

・・



第六話 おしまい


2 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:38:16.54 ID:WjUgwtEN0
(´< _` )「そんなわけで父親になりました」

('、`*川「私は母親です」

川д川「え、え?」

(´< _` )「この場合家族関係が非常に濃密なものになります」

('、`*川「お兄さんは弟と私の子供になるわけですね」

川д川「あ、あの……意味が……」

(´< _` )「つまり異母兄弟か?」

('、`*川「子供の頃、私は異母兄弟をイボの兄弟だと思っていました」

川д川「あ、そ、そうですか。私は蚊帳の外ですか……」

('、`*川「でも、この場合ロッキーはどうなるんだろう」

川д川「え、あ、関係してる……?」

(´< _` )「……曾祖父」

川д川「ふ!?」

第七話 はじまり


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:38:37.40 ID:WjUgwtEN0
( ´_ゝ`)「たった、たった!」

('、`*川「ほっらー、私の実験は見事成功したわけですね」

(´< _` )「調子に乗るな」

川д川「あ、あの。ど、どうなってるんですか?」

('、`*川「かくじか」

川д川「な、なるほど……あ、ある意味私と似たような」

(´< _` )「……兄者は五人のうちに入っているのかな」

('、`*川「ロッキーが言ってたやつ?」

(´< _` )「しかし顔もわからないとなると捜しようがないな」

川д川「語尾になぜか「お」がついてたから遭遇したらすぐにわかると思いますが」

(´< _` )「まーめんどくせーな」

川д川「え……え、ええ? いいんですか、そ、そんな対応で」


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:38:55.95 ID:WjUgwtEN0
(´< _` )「しかし困ったな。服のサイズが合わない」

('、`*川「うーん、この年頃の子が着るようなのは持ってないなあ。
     ……そうだ!」

(´< _` )「期待、しない」

('、`*川「失礼ナリ。私のいとこにね、小学生の子供を持ってる人がいるんだよね。
     その人に頼んでみよう」

(´< _` )「……すぐにそうやって嘘をつく」

('、`*川「なんで信じないかな……よし、今夜つれてきてやるよ!」

アホサス、胸を張る。

('、`*川「それじゃあ……帰るよ、ロッキー」

川д川「は、はい……あの」

('、`*川「なに?」

川д川「ロッキーについて、私はあきらめなければならないですか?」

('、`*川「何言ってるの?」

川д川「いいえぇ……なんでも……ないです……」


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:39:31.57 ID:WjUgwtEN0
扉の向こうに消える二人。
見送った弟者は、とりあえずベビールーム(仮)へ。

(´< _` )「もう、ベビールームじゃないよな」

( ´_ゝ`)「ぱぱ、ぱぱ♪」

(´< _` )「この調子で成長すると、今月終わる頃にはもう死ぬんじゃないか?」

( ´_ゝ`)「んーん?」

(´< _` )「ま、それもアリかな」

あくびを一つ。
さて、今日はこれからどうするか。

そんなことを考えつつ、とりあえず中の人にエサをやりに行くことにした。
そんな感じで兄者の私室へ。

(´< _` )「おい、ぽ」

/ ・ω・ヽ「ビッグニュースだぽ!
      ……って、中の人が言ってるぽ」

(´< _` )「なんだよ」


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:40:14.27 ID:WjUgwtEN0
(Д゚)「ショクジアリガトセイヤー」

(´< _` )「で、ビッグニュースって」

(Д゚)「……キオクチョットモドッタセイヤー」

/ ・ω・ヽ「な、なんだっぽー!」

(´< _` )「誰かに、その姿にされたって記憶か」

(Д゚)「シッテタセイヤー!?」

その後、しばしの情報交換。
中の人が口にしたのは、ほとんどロッキーが言ってたことと同じである。

つまり、突然現れた語尾に「お」がつく人間に、こんな姿にされてしまった、と。

(´< _` )「……その姿になる前は、普通の人間だったと」

(Д゚)「デモヨクオモイダセナイセイヤー……」

/ ・ω・ヽ「じゃあぽも元々はにんげ(´< _` )「それはない」
  _, ._
/#・ω・ヽ「ぽ……」


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:40:47.29 ID:WjUgwtEN0
(´< _` )「兄者にロッキー、そしてぽと中の人……か。
       これで四人だな」

あと一人。

/ ・ω・ヽ「なんのことだぽ?」

(´< _` )「……話すべきかな。ぽ、耳をふさげ」

/ ・ω・ヽ「ムチャ言っちゃいけないぽ」

(´< _` )「……かくかくしかじか」

/ ・ω・ヽ「それはそれは……ううん、事情はよくわかったぽ」

(Д゚)「ガクブルセイヤー……」

(´< _` )「ロッキーが言ってたことが本当なら、後一人同じ状況に陥っている人がいるはず」

/ ・ω・ヽ「捜すのかぽ?」

(´< _` )「だりい」

/ ・ω・ヽ「おお、現代の若者的なノリだぽ」

(´< _` )「それに、ムリに捜す必要も無いだろう。
       こうして四人が同じ場所にいる。もう一人もそのうち、集まってくるだろ。
       万有引力の法則だ」

/ ・ω・ヽ「なるほぽ……」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:41:16.15 ID:WjUgwtEN0
しきりに礼を言う中の人とぽを放置し、弟者はリビングへとって返す。

(´< _` )「しかし……兄者がいるとなると無闇に外もいけないな」

( ´_ゝ`)「?」

無垢な目で見つめ返してくる。
このまま家でくすぶらせるのは正解か。
そんな疑問がよぎる。

(´< _` )「……兄者」

( ´_ゝ`)「?」

(´< _` )「外、行こうか」

アホサスが持ってきた服の中からできるだけ大きなものを選び出し、着せる。
それでも少しキツキツだが、この際我慢してもらおう。

(´< _` )「よい……うお、重たいな兄者。
       さて、どこに行くか」

( ´_ゝ`)「ほにゃ」

(´< _` )「おう? なんだ、本屋か?」

( ´_ゝ`)「うん」

(´< _` )「よし、任せろ」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:42:02.02 ID:WjUgwtEN0
午前の都会。
混雑は相変わらず、といったところか。
抱えている兄者を落とさないように、人の間をぬっていく。

( ´_ゝ`)「……」

興味深げに、あちこちを眺めている兄者。

(´< _` )「もうすぐだぞー」

そんなとき。
聞こえてきた女性の声。

「おいおい、ここは私のシマだぞ?
 勝手なまねをしてくれるな」

見ると、一人の、どこかの消費者金融のロゴが描かれた服を着た女が、ライバル社の男に詰め寄っていた。

しばらくその光景を眺める。
眺める。
すると、男のほうが観念したのか、すごすごと去っていった。


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:42:25.48 ID:WjUgwtEN0
(´< _` )「何、権力争い?」

興味を伴って接近。
女はこちらに向かって作り笑いを浮かべた。
何かを差し出しながら。

川 ゚ -゚)「よろしくおねがいしまあす」

(´< _` )「え……ティッシュ配り?」

バイトじゃん。
バイトでしょ?
派遣なの?
どっちでもいいけど。
なんでそんなに必死なの?
バカなの?
バカだな。

川 ゚ -゚)「……私の顔に、何かついてるか?」

(´< _` )「ああ、いや」

川 ゚ -゚)「む。それは息子さんか。
     あれか? リアル十四歳の母か?」

(´< _` )「違います。リアル十五歳の父です」


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:42:50.61 ID:WjUgwtEN0
川 ゚ -゚)「ああ、もしかしてさっきの騒動について、か?」

(´< _` )「まぁ、それなりに」

川 ゚ -゚)「気にするな。日常茶飯事だ」

(´< _` )「日常茶飯事でこんなことやってるんですか」

川 ゚ -゚)「まあな。私にも品格というものがある」

(´< _` )(ああ、やっぱり。ドラマに毒されたバカだ)

川 ゚ -゚)「……若いのに大変だな」

(´< _` )「あなたこそ、いろいろ大変ですね」

川 ゚ -゚)「はっはっは、そうかな?」

(´< _` )(ああもう、皮肉も通じないし
       まだ若いだろうに、モッタイナイ)

早々に立ち去ることにした。
ついでに、もうこの道は使わないでおこう、と心に決める。

本屋で絵本を数冊、そして自らの昼食をコンビニで仕入れて、弟者は帰宅する。


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:43:20.50 ID:WjUgwtEN0
(´< _` )「はんとしご、そこにはげんきになったすてぃーぶんのすがたがありました」

( ´_ゝ`)「おーおー」

(´< _` )「すてぃーぶんはいいました。もうにどと、あんなことはごめんだよ」

( ;_ゝ;)「おおおお……」

(´< _` )「おいおい、泣いてどうする」

( ´_ゝ`)「スティイイイイイヴウウウウウウウン!!」

(´< _` )「ああ、なんかミリタリー映画で聞きそうなセリフだ」

( ´_ゝ`)「ぱぱぁ、おなかすいた!」

(´< _` )「はいはい。今からミルクを……って、もうそんな年でもないか」

( ´_ゝ`)「?」

(´< _` )「うーん、サンドイッチなら、食えるか」

自分用に買ったサンドイッチの袋をやぶる。
そして食べさせる。
幸い、笑顔を浮かべてくれた。


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:43:36.08 ID:WjUgwtEN0
(´< _` )(いかん、これではまるでまだ見ぬ母親のようだ)

( ´_ゝ`)「ねむい……こもりうた、うたって!」

(´< _` )「食べてすぐ寝ると牛になるんだぞー」

( ´_ゝ`)「そんなごたくはどうでもいいから」

(´< _` )「……よし、後で首を絞めてやろう」

蝋人形の館と地獄の皇太子を歌ってやる。
すると、兄者はすぐに眠ってしまった。

(´< _` )「子供はいいなあ、自由で」

すでに何かを悟った弟者。

そんなとき。
電子音を響かせる携帯電話。

(´< _` )「はい、もしもし」

(*゚∀゚)「もしもし!? 昔のあだ名はハンプティーダンプティーだったよ! つーだ」

ピッ

つー
つー


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:43:58.22 ID:WjUgwtEN0
再び、電子音が響く。

(´< _` )「はい」

(*゚∀゚)「切るなアホ!」

(´< _` )「なんで知ってるんです? 俺の携帯の番号」

(*゚∀゚)「昨日、そっちに行ったときに登録した。
     だって、キミのものと思わしき旅行カバンの中に落ちてたよ!
     ちゃんと管理しないキミが悪いね!」

(´< _` )「……コロス」

(*゚∀゚)「なんか言った?」

(´< _` )「いいえ、何も」

(*゚∀゚)「……そうだ! 用事があるんだよ!」

(´< _` )「なんです?」

(*゚∀゚)「実はね……赤紙!」

(´< _` )「赤紙?」


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:44:31.57 ID:WjUgwtEN0
(*゚∀゚)「そう……弟者は戦争に行かないといけないんだよ?」

(´< _` )「ああ、それは大変ですねー」

(*゚∀゚)「うん……行き先は衛星エウロパ! 攻め込んでくるM78の奴らを倒せ!」

(´< _` )「バナナはおやつに入りますか?」

(*゚∀゚)「そんな使い古されたネタは必要ない。
     持っていってもいいのは愛と勇気だけ! 水も、1リットルまでなら許そう」

(´< _` )「国歌、斉唱」

(*゚∀゚)「きーみーがーあぁーよーおぉーはー
     ……ここまでしか覚えてない」

ピッ

つー
つー

(´< _` )「20点」

(´< _` )(しかし……なんのことだ、赤紙って)

その答えを、弟者はやがて知ることになる。


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:44:48.62 ID:WjUgwtEN0
テレビを見ながら勉強していると、いつの間にか夕方に。

(´< _` )「……よし、課題は終わらせたぞ。
       そろそろ食料調達に」

ガチャリ

( ,,゚Д゚)「イかせないわよぅ」

(´< _` )「ああ、ギコさん」

( ,,゚Д゚)「さ、今から作戦会議よ。
      つーとしぃも来るからね。
      おーよしよし、ってアニージャがでっかくなってる!?」

(´< _` )「とりあえず落ち着け。
       で、作戦会議ってなんですか?」

( ,,゚Д゚)「あれ、つーから聞いてないの?」

(´< _` )「ええ、電話もかかってきませんでした」

( ,,゚Д゚)「あの子ったら……。
      いいわ。あとで説明してアゲル」

(´< _` )「赤紙と関係ありますか?」

( ,,゚Д゚)「は?」


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:45:08.05 ID:WjUgwtEN0
昨日に引き続いて、ということになる。
ギコに、兄者について説明しているうちに現れた二人。
つーは両手に何やら荷物を抱えている。
しぃは満身創痍といった表情だ。
二日酔いともいう。

(*゚∀゚)「電話切るなよー!」

(´< _` )「はいはい、黙りましょうね」

( ,,゚Д゚)「さてさて、集まったわね」

時刻は午後六時半。
今回、司会者はギコのようだ。

( ,,゚Д゚)「今回の作戦は世間に蔓延る右翼団体を壊滅させるためのものである。
      しかしながら市民団体による賄賂の贈与は目に余るものがあり、
      それによって生じる天下りを我々国民が許すわけもなく、
      したがって」

(*゚ー゚)「言ってることが無茶苦茶だよ」

( ,,゚Д゚)「作戦名「自堕落なニート野郎をたたき直す」」

(´< _` )「作戦名っていうか、概要?」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:45:41.88 ID:WjUgwtEN0

(´< _` )「ドクオさんのことですか」

( ,,゚Д゚)「そうよぅ。あれから数時間考えたけどあれじゃダメ。
      私たちが正義の鉄槌を下すの」

(*゚∀゚)「オカマのくせに」

(*゚ー゚)「そういうあなたは……いかがわしい店の主人でしょ」

(´< _` )「そんなあなたは蝋燭大好き」

( ,,゚Д゚)「……まぁそんな感じ」

(´< _` )「初っぱなからグダグダですけど」

( ,,゚Д゚)「とにかく、アイツを懲らしめる方法をみんなで考えて」

(*゚ー゚)「ねえ、つー。その荷物はなんなの?」

(*゚∀゚)「あ、これ?」

つーが持ってきた袋の中身をぶちまける。


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:46:04.98 ID:WjUgwtEN0
縄、蝋燭、手錠、鞭。
その他諸々のSM用品。

( ,,゚Д゚)「でかした」

(´< _` )「これは、何?」

( ,,゚Д゚)「まぁなんていうか、作戦の方向性?」

(´< _` )「……一家で勝手にやってくださいよ」

( ,,゚Д゚)「何言ってるのよ。ここはあなたの家よ?」

(´< _` )「意味がわからない」

そんなとき。
またもや来客。
そういえば、ペニサスがまたやってくると聞いていた。

('、`*川「おじゃましまーす。オトージャ、連れてきたよー!」

入ってくる三人。

(´< _` )「……あ」

川 ゚ -゚)「あ」


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:46:26.68 ID:WjUgwtEN0
('、`*川「いとこのクーだよ!」

(´< _` )「……」

川 ゚ -゚)「……」

('、`*川「おや、おや? 何か妖しい雰囲気?」

川 ゚ -゚)「初めまして。クーといいます。
     ペニサスとはいとこの間柄です」

(´< _` )「……初めまして」

双方、棒読み。

川 ゚ -゚)「……」

(´< _` )「子持ちだったんですね」

川 ゚ -゚)「ええ、まぁ。いいお子さんに育ってますよ」

(´< _` )「なんで他人事みたいに言ってるんです?」

川 ゚ -゚)「さあ、なんでだろう」

(´< _` )「あははは」

川 ゚ -゚)「おほほほ」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/19(月) 23:46:48.44 ID:WjUgwtEN0
('、`*川「あ、ギコさんたちも来てるんですね!」

( ,,゚Д゚)「ちょうどいいわ! あんたたちも加わりなさい」

(*゚∀゚)「ねー、そっちの子は誰?」

川д川「え、あ、あたしは」

('、`*川「ロッキーだよ!」

(*゚ー゚)「よろしくね、ロッキー」

川 ゚ -゚)「……」

(´< _` )(ああ、バ家族二組……)

・・・

・・



第七話 おしまい


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:51:34.23 ID:ncUXidnS0
ここまでの登場人物 まとめ。
左から、AA・名前・年齢

(´< _` ) 弟者 15

( ´_ゝ`) 兄者 2

( ,,゚Д゚) ギコ 49

(*゚ー゚) しぃ 25

(*゚∀゚) つー 25

('、`*川 アホサス 24

川 ゚ -゚) クー 24

/ ・ω・ヽ ぽ ??

(Д゚) 中の人 ??

( ゚∀゚) ジョルジュ 故人

川д川 ロッキー 15

(???) ??? ??


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:52:24.57 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「そんなわけで、今夜はドクオを粛清するわよ」

(´< _` )「そんなわけってどんなわけで」

( ,,゚Д゚)「だからこうやってみんなで作戦会議してるんでしょ!?」

(*゚∀゚)「あなたの名前は!?」

川 ゚ -゚)「クー。今流行の、派遣やってます」

(*゚ー゚)「おおおぉ、す、すごいなあ」

川 ゚ -゚)「そこの大通りでティッシュが必要になれば、是非私に申しつけてくれ」

(*゚∀゚)「おーおー、それっぽいぞ!?」

(*゚ー゚)「よろしくお願いしますね」

('、`*川「アンタってそういえば、テレビを通じてどこにでも移動できるの?」

川д川「や、やったことないのでわからないです」

( ,,゚Д゚)「うんうん、会議は順調に進行してるわね」

(´< _` )「ああもうなんか混沌……」

第八話 はじまり
(今回と次回、一部、よい子がマネをしてはいけない展開が繰り広げられます、多分)


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:52:54.08 ID:ncUXidnS0
(*゚ー゚)「へえ、クーさんって子供いるんですか?」

川 ゚ -゚)「今月、小学生二年生になる」

( ,,゚Д゚)「んん? なんか会議の方向が間違ってない?」

(´< _` )「すでに井戸端会議の様相を呈していますが」

3LDKとはいえ、リビングに集まっているのは七人。
キツキツにもほどがある。

(´< _` )「そういえば、アホサスが持っている古着はそれに関連して?」

川 ゚ -゚)「ああ、それは」

('、`*川「それは、ねえ」

アホサスの表情から輝きが消える。
黄昏の表情。双眸が彼方を射抜く。

('、`*川「昔……私にも子供がいたの」

(*゚ー゚)「え……」

('、`*川「でも……あの子、すぐに亡くなっちゃってね。
     それなのに、家にある子供用品は捨てられなかったの……」

(*゚∀゚)「……」

('、`*川「バカよね……私」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:53:22.11 ID:ncUXidnS0
川 ゚ -゚)「嘘つけ」

クーが一蹴。

(*゚∀゚)「え、嘘?」

('、`*川「♪〜」

川 ゚ -゚)「昔……沖ノ鳥島に派遣されたとき、一時的にこいつに子供を預けたんだ」

(*゚ー゚)「はあ、そうだったんですか」

(´< _` )「っていうか沖の鳥島で何を?」

川 ゚ -゚)「シマの死守。それでな、その時こいつは古着を拾ってきたらしい。
     ゴミ捨て場から」

(´< _` )「何やってんだ」

('、`*川「だってクーったら、着るものとかは全然貸してくれなかったもん。
     ついでにモビールとかも拾った」

(*゚ー゚)「なんだ、信じて損した」

('、`*川「誰だ、嘘をついたのは!」

(´< _` )「黙ったまま死んでください、どうぞ」

('、`*川「断りますぜ、ダンナ」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:53:58.00 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「はいはい、おしゃべりはそこまで!」

ギコが食卓をバシバシ叩く。

( ,,゚Д゚)「会議に戻るけど……さっき言ってた話。
      えっと、ロッキー!」

川д川「はい……」

( ,,゚Д゚)「あなた、ちょっとテレビを介してドクオの家に侵入してくれない?」

(´< _` )「つまり不法侵入ですね」

川д川「ええええぇえ……」

( ,,゚Д゚)「大丈夫よ。あなた、部屋で見つけたゴキブリを捕まえる?」

川д川「ゴキブリ……私……ゴキブリ……?」

(´< _` )「捕まえませんが、殺します」

川д川「ヒィッ!?」

( ,,゚Д゚)「つまりそういうこと。それじゃ、頼むわね」

川д川「あ、ちょ」

(´< _` )「そうするにしても、彼が家に居ないときの方がいいのでは?」


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:54:26.96 ID:ncUXidnS0
川д川「そうですよ! それに、こ、心のじゅん(*゚∀゚)「安心しな!」

(*゚∀゚)「さっきそこでヤツとすれ違ったよ。どこかに行ったみたいだ」

川д川「……」

( ,,゚Д゚)「善は急げ。ああ、それと、向こうに行ったら……」

ギコがロッキーを引き寄せて。
ごにょごにょ
ごにょにょ

ごにょ

川д川「はい……わかりまひゃっ!?」

( ,,゚Д゚)「あんた、耳、弱いわね」

川д川「……行ってきます!」

ロッキーはしぶしぶテレビの中へと身を投じる。
彼女の身体は、スムーズに消えた。


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:55:19.26 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「久々に血が騒いだわ」

そんなギコに、耳を近づけるアホサス。

( ,,゚Д゚)「?」

('、`*川「……なーんでーもなーい」

( ,,゚Д゚)「あら、そう?」

('、`*川「……もう、鈍感なんだから♪」

川 ゚ -゚)「年齢的にキツい」

('、`*川「何ぃ!?」

(´< _` )「つーか、なんで内緒話?」

( ,,゚Д゚)「そりゃアンタ、秘密にしといたほうが楽しいじゃないの」

(´< _` )「会議じゃなかったのか」

( ,,゚Д゚)「さて、今のうちに他のことも決めましょう」

そして。
会議は続く……。
ごにょにょ……。

やがてロッキーがブツを持ち帰って来たときには、
すでに大体のことが決定されていた。


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:55:39.56 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「あら、お帰り」

川д川「た、ただいま……ええと、その、あの、持ってきました、けど」

( ,,゚Д゚)「でかした。それにしてもアンタ、なんで顔が赤いの?」

川д川「……そ、そんなこと、ないです」

( ,,゚Д゚)「いや、だってほら、前髪も赤くなってるし」

(´< _` )「ねーよ」

ロッキー、ブツを差し出す。
それは二枚の写真。
一枚は、おそらくドクオが愛して止まないという「アスカ」という人物のモノ。
二次元のスマイルがこちらを見つめている。

弟者は吐き気を感じた。


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:56:07.83 ID:ncUXidnS0
川д川「探すの、大変でしたけど、机の中に一枚だけ、ありました」

(´< _` )「やってることがコソドロと変わらない」

( ,,゚Д゚)「でも殺されなかったわ」

(´< _` )「ゴキブリってレベルじゃねーですが」

川д川「……崖」

(´< _` )「は?」

川д川「崖……宙づり……ひんむいて……いやだ……」

(´< _` )「時にギコさん」

( ,,゚Д゚)「何かしら、弟者さん」

(´< _` )「ロッキーに何を吹き込みました?」

( ,,゚Д゚)「その言い方には悪意があるわね。ちょっと、ね?」

(´< _` )「そんな二人だけの秘密よん? みたいな感じで言われると殺意が芽生えます」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:56:33.69 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「で、彼女が持ってきた、もう一枚は……家族写真」

(´< _` )「ああ、そんな感じですね」

要約すると、

J( 'ー`)し('A`)

こんな感じである。

( ,,゚Д゚)「これを、私は彼の中に燻る最後の良心と考えるわ」

(*゚∀゚)「でも私たちがやろうとしてることって、結構外道だよね」

川 ゚ -゚)「ああ、非道だな」

('、`*川「むしろ犯罪、みたいな」

(*゚ー゚)「みたい、じゃなくて立派な犯罪ですね」

( ,,゚Д゚)「じゃあ、計画通り進行させるわよ。
      しぃ、この二枚を拡大コピーしてきて。
      できるだけ素早くね。ヤツが帰ってくるとマズいから。
      さあ、ほかの皆さんは目出し帽を装備しましょう。
      それと、誘拐する時には……わかってるわね?」

('、`*川(*゚∀゚)(*゚ー゚)「りょーかい!」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:57:09.86 ID:ncUXidnS0
川д川「あ、あの、弟者、さん?」

(´< _` )「はい?」

川д川「な、何が始まるんですか?」

(´< _` )「……」

川д川「……」

(゜< _゜ )「まさに外道ォ!」

川д川「!」

(´< _` )「つまり、そういうこと。
       ほら、目出し帽」

川д川「……何か、犯罪とか言ってましたけど」

(´< _` )「バレたら、まあ……そういえば、デカはカツ丼を奢ってくれないらしい」

川д川「……とめなくて、いいんですか?」

(´< _` )「今日はフィーバーデーだから。
      スーパーでいうと、消費税分還元デー、みたいな」

川д川「はぁ、そうなんですか」

そして夜。
ドクオが帰宅すると同時に、作戦は開始される。


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:57:30.33 ID:ncUXidnS0
――――ここで、視点の変更が使用されます――――

包む暗澹。
ドクオは両手に袋を提げて、エレベーターに乗っていた。
精神の高揚。めくるめく人形の世界。

('A`)「フッヒッヒーアッスッカ〜♪」

脳内に浮かぶイメージ。
自分の周囲を無数のアスカが埋め尽くしている。

ドクオは最高の気分でエレベーターから一歩踏み出す。
その瞬間だった。

彼を、何者かが拘束した。
すぐに視界を覆われる。

('A`)「な、なんだよおまムグッ!?」

続いて口。

「アンニョンハシモニカ!」

('A`)(はぁ!?)


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:57:49.19 ID:ncUXidnS0
「キムジョンナムカシマハムニダ!」

「HEY! BOY! YARANAIKA?」

「ボンジョベーノカルボナーラペスカトーレ!」

「え、あ、ええと、そのう、ごめ「こらロッキー! 誘拐の時は外国語使えって言われたでしょ!」

「え、あ」

「カネ! カネ!」

('A`)(この男の嬌声、ハイテンションな女)

いつの間にか抱え上げられ、どこかへと運ばれるドクオ。
彼は思った。

('A`)(あいつらかよ……)

('A`)(つーか俺のアスカたちを返せよ!!!!)

('A`)「ムグー! ム、グ!」

「ジュテイム!」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:58:12.89 ID:ncUXidnS0
ドアが開く音、閉まる音。
廊下を走る音。
誰かの歓声。

そのまま、目隠しされていてもわかるほど暗い場所に連れ込まれ……。

ドクオは椅子に座らされた。

即座に四肢を拘束される。

しばしの沈黙。
やがて、誰かが近づいてきた。

口を塞いでいた布のようなものが取り除かれる。

「さぁて、あなたは誘拐されたわよ」

「ぱぱぁ?」

「時に兄者、少し黙ろうか」

('A`)「……またお前らか」

「そ、それはどういうことかな!?」

('A`)「いいから目隠しをはずせよ! 面は割れてるんだよ!」

「……仕方ないわね。その代わり、絶対下を見ちゃだめよ」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:58:38.08 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「ハッローゥ」

('A`)「……」

暗い部屋に、SM用蝋燭の明かりが灯されている。
そして天井には、なぜかモビール。
目の前に、目出し帽を被った輩が二人。
一方はボンテージを着用している。しかしどう見ても男。

( ,,゚Д゚)「どうかな、気分は」

('A`)「アホ言ってんじゃねえよ。つかなんだよ、この状況は」

( ,,゚Д゚)「そりゃあんた、拘束」

('A`)「わかっとるわボケ!」

(*゚∀゚)「或いは誘拐。でも身代金は求めない!」

('A`)「ああもう、いいよ。さっさと用を済ませてくれ」

( ,,゚Д゚)b「イエーッス。それでは、順を追って説明するわね」

ピシャリ、と。
鞭が唸る。


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:58:56.61 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「アンタは先日、酒の席で自分がニートだと言いました」

('A`)「ああ、言ったよ」

( ,,゚Д゚)「ついでに、親から仕送りを受けて生活しているとも」

('A`)「酔うと口が緩くなるから困る」

( ,,゚Д゚)「それは許されない」

('A`)「なんでだよ」

( ,,゚Д゚)「常識的に」

('A`)「そんなもん、家庭の問題だろうが。
    他人のオカマには関係ないね」

( ,,゚Д゚)「な、なんですって!?」

('A`)「わかったよ。来年度から働く」

( ,,゚Д゚)「394日も先のこと言わないの!」

(*゚∀゚)「おされてるよ、おとーさん」

('A`)「俺にはアスカがいるから大丈夫なんだよ!
    他のことなんか知ったこっちゃねえ。
    仕送りがなくなっても、アスカと添い遂げられるなら本望だ」


25 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:59:19.65 ID:ncUXidnS0
(*゚∀゚)「そういえばさっきの袋、すんごい量のアスカが」

( ,,゚Д゚)「アンタは蟻のように群がるアスカを見て楽しいの?」

('A`)「もうね、わかる? この抑えられない欲求。 アイウォントユーみたいな?
    ほら、寝るときにさ、掛け布団をアスカに見立てるんだよ。
    それで、いろいろ話しかけたりするんだよ。
    そのうちに眠りにつく、これ最高。
    パソコン画面にアスカ、ふと横を見ればアスカ。
    天井にもアスカ。振り返ればアスカ」

( ,,゚Д゚)「霊じゃないんだから……っていうか、掛け布団をアスカにって」

(*゚∀゚)「いや、中学生にはよくあること。
     ほら、枕でキスの練習とか。
     でも、さすがに痛いよね」

( ,,゚Д゚)「そうよねえ、やり過ぎよね。社会復帰できないほどに」

(*゚∀゚)「抱き枕ぐらい買えって話よ」

( ,,゚Д゚)「そっち?」

('A`)「!」

( ,,゚Д゚)「うるせえ」

('A`)「何も言ってねえ」


26 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 22:59:45.21 ID:ncUXidnS0
( ,,゚Д゚)「さて、ここでサプライズ」

('A`)「なんだよ」

( ,,゚Д゚)「……見下げてごらん」

('A`)「ん……?」

俯いてみる。
そこに、二つの人と思われる影がボンヤリと。
ドクオは、その顔面を踏みつけている。
椅子の脚に縛り付けられているため、動かせない。

('A`)「なんだ、これ」

怪訝そうなドクオにギコが歩み寄る。

( ,,゚Д゚)「さあ、つー! ライトアップ!」

瞬間、室内に光。
ドクオは、一瞬の合間の後に驚愕した。

右足が拡大されたアスカを。
そして、左足が同じく拡大された母親を。

それぞれ、踏みつけていたのだ。


27 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 23:00:04.05 ID:ncUXidnS0
('A`)「ちょ、ちょ、ちょっと待て!!」

椅子ごと飛び退こうともがくドクオ。

( ,,゚Д゚)「はいはい、暴れない暴れない」

しかし隠れマッチョ、ギコがそれを許さない。

('A`)「俺の、俺の……」

( ,,゚Д゚)「俺の、何?」

('A`)「はぁ!?」

( ,,゚Д゚)「俺の、アスカ? それとも俺のマミー? どっち?」

('A`)「何を言ってるんだよ……」

( ,,゚Д゚)「あなたの良心を確かめてるのよ。
      本当に大事なのは、母親か、アスカか……」

(*゚∀゚)「おお、これは泣ける展開」

踏み絵戦法、ここに極まれり。

('A`)「んなことどーでもいいんだよ、俺のアスカに何しやがってんだ!」


28 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/20(火) 23:00:22.20 ID:ncUXidnS0
時が止まる、或いは見える。

( ,,゚Д゚)「……は?」

('A`)「ああ、アスカ、大丈夫か!? こんなにでっかくなっちゃって、おい!?」

( ,,゚Д゚)「……あの、予想と違う……」

('A`)「俺のアスカに手を出して、覚悟はできてるんだろうな!? ええ!?」

( ,,゚Д゚)「……」

(*゚∀゚)「ダメじゃん」

・・・

・・



第八話 おしまい


2 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:55:07.69 ID:gB3MP0z90
( ,,゚Д゚)「ダメ、こいつを更生させることは、ムリ……」

(*゚∀゚)「おやっさん……」

( ,,゚Д゚)「ああ、ごめんね、メアリー。
      私には……最初から、ムリだったのよ」

(*゚∀゚)「じぇばんにょーる……」

('A`)「ほら、早く俺をここから出せ! そして楽園に帰らせてくれ!」

(*゚∀゚)「イカ臭い部屋の何が楽園なんだか」

('A`)「アス……お前ぇ! なんで俺の部屋がイカ臭いことをしってるんだ!」

( ,,゚Д゚)「自覚してるならファブリーズしなさいよ」

(*゚∀゚)「あれってイカの臭いもとれるのかな?」

('A`)「おい!」

( ,,゚Д゚)「さて、問題。あなたのお母さんの写真を、我々はどこから入手したのでしょう?」

('A`)「あ? ど、どこってそりゃおま……ま、まさか!」

(*゚∀゚)「そう、そのまさ('A`)「アスカを返せ!」

(*゚∀゚)「……なんでそうなるかな」

第九話 はじまり


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:55:40.04 ID:gB3MP0z90
('A`)「どうせあれだろ!? アスカを拉致してその上で……畜生!」

(*゚∀゚)「っていうか、どのアスカが奪われたか、とかわかるのかな?」

('A`)「ちゃんと名前がある!」

(*゚∀゚)「全部アスカでしょーが!」

('A`)「個体識別番号だ馬鹿野郎!」

(*゚∀゚)「牛じゃないんだからさあ……それに、もう楽園は無いわよ」

('A`)「あ?」

( ,,゚Д゚)「彼方の楽園……ああ、手が届かない。
      それなのに、ああそれなのに、いつまでも求めてしまう……
      お聞きください、デーモン小暮閣下で、『翼の折れた天使』」

('A`)「演歌の前振りみたいなのどーでもいいから、おい、どういうことだ?」

(*゚∀゚)「それは……では、ふすま、オープン!」

開かれるふすま。
一日前に酒宴が行われた場所が見える。
リビングの床に山積みになっている何か。

('A`)「おおおおおおおおおおい!!」


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:56:02.51 ID:gB3MP0z90
('A`)「A23、それにB65、おまけにWX-95まで!」

それは大量のアスカ。
ポスターにフィギュア、パソコンソフトらしきCD-ROM……エトセトラエトセトラ。
その横に立ち尽くすのは、赤面したロッキー、そしてその他数名。

ドクオが叫ぶ。個体識別番号を、次々に。
それをよそに、ギャラリーと化している弟者たち。

(´< _` )「こんな人形の何がいいんですかね?」

('、`*川「ほら、パンツ見えてるでしょ?」

(´< _` )「……ただの白色じゃないですか」

('、`*川「よく見なさいよ。ほら、皺」

(´< _` )「……ああ、つまり老婆が好きなんですね」

('、`*川「違うんだなあ。ここから先は、大人にならないとわからないなあ」

川 ゚ -゚)「私はわからんぞ。一度メイド喫茶に派遣されたとき、客が熱心に会話していたがな」

(´< _` )「節操のない派遣会社だ」

川 ゚ -゚)「ム、私のプロポーションにケチをつける気か?」

(´< _` )「あえて言うなら、脳の構造に」

川д川「うう、いやだ、いやだぁ……えっちぃ」


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:56:37.29 ID:gB3MP0z90
( ,,゚Д゚)「いや、私としてはね、ここでアンタに「もうお前たちとは出会わない……じゃあな」
      みたいなことを言わせようとしたわけ」
(*゚∀゚)「でも頓挫しちゃった」

(;A;)「おおぉぉぉおおお」

ついに泣き始めるドクオ。
まるで獣のように。豚のように。

川д川「あ、な、泣いちゃいましたけど」

(*゚ー゚)「ちょっとかわいそう」

( ,,゚Д゚)「そうね……じゃあ、このアスカ」

川д川「返しま( ,,゚Д゚)「燃やそうか」

(*゚∀゚)「普通にゴミ捨て場に持っていった方が楽じゃない?」

( ,,゚Д゚)「ダメよ。こいつのことだから、多分回収しに行くわ」

(;A;)「おぉおぉおおぉぉおおん。
    俺は生きていけない。特にそこのFS-19なんてさっき買ったばっかりじゃないか。
    いや、でもパソコンの中でまだFF-12とかは生きている……。
    でも、でも、あんまりじゃねえかああああああああ……」

そこで一人が、反旗を翻す。

(*゚ー゚)「みんな、もう、やめようよ」


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:57:03.68 ID:gB3MP0z90
( ,,゚Д゚)「はい、ろうそく」

(*゚ー゚)「あ、ありがとうございます」

(´< _` )「しかし、このまま放置しても仕方ない気が」

('、`*川「コレと同居するのは、中学卒業したてのキミには厳しいね。
     抑えられない欲求……ああ、アスカさん! みたいな感じで」

(´< _` )「何そのフランス書院まがいの台詞」

('、`*川「知っているキミにも十分問題がある」

( ,,゚Д゚)「そうねえ……ロッキー!」

川д川「ひゃい!?」

( ,,゚Д゚)「これ、もう一度ドクオの部屋に運んでおいて」

(;A;)「ああああああ、メシアアアアァァ」

川д川「ま、また触らないといけないんですか……?」

( ,,゚Д゚)「まぁまぁ。十往復ぐらいで終わるでしょ?」

川д川「ポスターとかところどころ破れてるんですけど……」

( ,,゚Д゚)「問題ナッシン。ああ、それとね……ごにょにょ」

川д川「!?……ひゃ、耳くすぐった……は、はい、わかりました……」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:57:39.39 ID:gB3MP0z90
そして。
「元に戻す」作業が開始された。
働くのはロッキーのみ。

川д川「鏡……丸見え……背後……」

そんなことを呟きながら、様々なアスカと、その他の何かを持ってテレビに入っていくロッキー。

('、`*川「彼女はなぜボンドを?」

(´< _` )「ギコさんの入れ知恵」

で。
二時間後。

('A`)「あの、そろそろ足がしびれて」

( ,,゚Д゚)「おだまりんこ」

('A`)「いや、ええと、その、まだ終わらないんですか?」

( ,,゚Д゚)「ボウヤ、よく聞きなさい?
      再生することは、壊すことよりうんと難しいのよ……」

('A`)「ああ、RPGで聞きました」

( ,,゚Д゚)「じゃあ黙ってなさい」

('A`)「……」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:58:16.84 ID:gB3MP0z90
日付が変わって……未だロッキーは、目に涙を溜めて働き続ける。
すでに監禁されて六時間は経過しただろうか。

川д川「なんで私ばっかりこんな……リンカーンは自由をくれなかったですか!」

( ,,゚Д゚)「……バール」

川д川「は、はい! ヤります、ヤらせていただきます! ヤらせてくださいぃ!」

('、`*川「なんかやらしいね……ふあぁ」

川 ゚ -゚)「そろそろ帰っていいか?
     今日はたかた社長の前で「やすーい」って言わないといけないんだ」

('、`*川「そういえば私、診察が」

(´< _` )「ああもう、深夜放送も終わりましたし、いいんじゃないですか?」

それでは、と一礼して帰ろうとするクーとアホサス。
しぃがついていこうとするが、ギコに引き戻される。

川 ゚ -゚)「ああ、アホサス」

('、`*川「クーまでそう呼ぶの? じゃあ私もパーって呼ぶよ?」

川 ゚ -゚)「意味がわからない。
     実はな……」

ごにょ。


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:58:54.35 ID:gB3MP0z90
('A`)「アスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカ
    アスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカアスカ……」

(*゚∀゚)「もう、そこまで言ってるとアスカかスカアかわからなくなってこない?」

('A`)「アスカアスカ……スカア?
    待てよ、アスカってそもそもなんなんだ? 
    その前に俺はなんだ?
    俺は俺であるから俺の中の俺が俺で、つまり俺は……。
    いや、そもそも俺とアスカの存在は確かなのか……?」

(*゚∀゚)「……哲学に浸っちゃった」

( ,,゚Д゚)「中学生で卒業すべき問題ね」

(´< _` )「つーかこの人、ロッキーがテレビから出入りしていることに何も不思議を感じないんですかね?」

(*゚∀゚)「まあ、変人だし。クーさんも特に不思議そうじゃなかったでしょ? ほら、変人だし」

(´< _` )「……そういえば、あなたたちも、でした」

( ,,゚Д゚)「アンタもでしょうが」

('A`)「ああ、死んだらどうなるんだ?」


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:59:14.10 ID:gB3MP0z90
川д川「お、終わりましたよぅ……」

開始から七時間。
テレビから出てくるなり、ロッキーがその場にへたりこんだ。

(´< _` )「ご苦労様」

ギコがドクオを解放する。
彼は、何も言わず、一目散に扉へ。

( ,,゚Д゚)「……はあ。結局、最悪の方法をとらざるを得なかったわ」

(*゚∀゚)「そだねえ……っていうか、眠いよ。ロッキーのせいで」

川д川「もうどーでもいいですよぅ」

(*゚∀゚)「今ここでオトージャに襲われても?」

川д川「別にいいですよぅ」

(*゚ー゚)「完全にイッちゃってるじゃん。
     っていうか、私、今日仕事あるんだけどさあ」

(*゚∀゚)「私もだよ!」

(*゚ー゚)「一緒にしないでよ」

(´< _` )「ところで、最悪の方法って?」


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 21:59:40.75 ID:gB3MP0z90
( ,,゚Д゚)「ああ、アスカの顔にアイツの母親の顔を貼り付けたの。ボンドで」

川д川「ちっちゃいフィギュアとかは、顔写真で包み込みました」

(´< _` )「……ああ、もう、ドSもここまでくるとイタいですね」

( ,,゚Д゚)「ロッキー」

川д川「はいぃ?」

( ,,゚Д゚)「あとでボイスレコーダー、はずしてきてね」

川д川「はいぃ……」

( ,,゚Д゚)「さて、それじゃあ帰る……しまったあ!」

(*゚∀゚)「なに、なに?」

( ,,゚Д゚)「ゲイバー……行かないといけなかった……」

(*゚∀゚)「何を今更」

(´< _` )「せめて悪夢を見てください」

帰宅するギコ一族。
しかしロッキーは一向に動こうとしない。
こたつに入ったネコのように身体をまるめている。


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:00:15.12 ID:gB3MP0z90
川д川「おとじゃさぁん」

(´< _` )「なに?」

川д川「今日、ここに泊まって良いですか? いつの間にかアホサスさん、帰っちゃいましたし」

(´< _` )「……別に」

川д川「ありがとうございますぅぅ……」

そのまま、まどろみの世界へ。

(´< _` )「……こうしてみても、可愛くないな」

その時、ひょこひょこと現れる人影。

( ´_ゝ`)「ぱぱぁ」

(´< _` )「おお、兄者。ごめんな、お前の影、すっかり薄くなったよな」

( ´_ゝ`)「ぱぱぁ、むこうのへやに、へんなのがいるよぉ」

(´< _` )「……? ……!」

すぐに気づく。
ぽのことだ。


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:00:47.99 ID:gB3MP0z90
(´< _` )(自由に行動できることを忘れていた……ガッデム)

( ´_ゝ`)「あれなにー? なんかねてたよー?」

(´< _` )「なんでもないよー。さー、お部屋に戻ろうか」

( ´_ゝ`)「んー……あ、へんなひと」

兄者が熟睡するロッキーを指さす。

(´< _` )「うん、変な人だよー」

弟者はなんとか兄者をキッズルーム(仮)へ追いやり、寝かせてやって。

やっと、一息つくことができた。
時計を見る。午前三時。
十二時間後におやつの時間。

(´< _` )「もうね、俺は疲れてるのよね……。
       なんであいつらはあんなに元気なんだか」

今日は一日使って爆睡してやろう。
そう心に決め込んで、弟者はリビングのソファに座ったまま、眠りについた。

しかし。

翌朝、まだ早い時刻にロッキーに起こされた。


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:01:07.29 ID:gB3MP0z90

川д川「あ、あの、あの!」

(´< _` )「うるせえ死ね」

川д川「……その、今から、ええと、帰りますけど。
    その、ボイスレコーダー、置いときますね。
    さっき、取ってきたので……」

(´< _` )「うるせえ死ね」

川д川「それじゃあ……一晩、お世話になりました」

(´< _` )「その言い方は誤解を招く」

のそのそと起き上がり、なぜか恥ずかしそうに手を振るロッキーを見送ってやる。

(´< _` )「帰るって……アホサスの家が実家ってわけでもないだろうに」

黒光りするボイスレコーダーを手にとって。
再生する。


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:01:58.31 ID:gB3MP0z90
('A`)「ああ、アスカァアアァアアァア、会いたかったよぉぉ」

歓声、もしくは悲鳴。
続いて、せわしない足音。
それから、電気のスイッチをONにする音。
それら、聞きたくもない音が鮮明に録音されている。

('A`)「俺の、俺のアスカたち……これこそ、楽園、これこそ、未来!」

(´< _` )(さて、いつ気づくのか……)

('A`)「おおおおおん、アスカアアアアア……」

(´< _` )(まだ気づかないのか)

('A`)「……あれ? アスカ……顔、変わってない?」

(´< _` )(お、気づいた)

('A`)「まぁどーでもいいや! アスカアアァァァアア!!!」

(´< _` )(……)

停止ボタンを押す。

(´< _` )「こいつは、アスカとやらの何に惚れていたんだ」


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:02:25.53 ID:gB3MP0z90
睡眠再開。
今度は、ゆっくり眠れると思っていた。
しかし、そうもいかない……。

( ´_ゝ`)「ぱぱぁ!」

突如、腹の上に物体が落下。

(´< _` )「ごふぅっ!」

( ´_ゝ`)「あそぼーよ!」

(´< _` )「……うん、わかったから腹の上からどいてくれ」

( ´_ゝ`)「おなかすいたよー!」

(´< _` )「うん、わかった、わかったって」

( ´_ゝ`)「わーい!」

(´< _` )(赤ん坊の時より手がかかるな、チクショウ)

中の人にエサをやったりもしないといけない。
憂鬱な気分。

そして、更に弟者を憂鬱にさせる電子音。

ピンポーン。

(´< _` )「あいあい、どちらさま」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:02:51.76 ID:gB3MP0z90
扉を開けると、そこに。

ξ゚听)ξ「……」

(´< _` )「!?」

幼女が立っていた。
およそ、小学生ぐらいだろうか。

ξ゚听)ξ「おじゃまします」

(´< _` )「いやいやいや、お待ちください……誰?」

ξ゚听)ξ「ツン。聞いてないの?」

(´< _` )「うんにゃ全然」

ξ゚听)ξ「クーの娘。クーに言われてここにきたんだけど」

(´< _` )(あのアマ……)

ξ゚听)ξ「おじゃまします」

(´< _` )「ああもういいよ、どうぞ」

(´< _` )(しかし……かわいい)


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:03:20.90 ID:gB3MP0z90
それは純情の芽生え。
新たなる恋愛の誕生。
昔の人は言った。
幼女の胸を触ってみれば、文明開化の音がする、と。

(´< _` )「時に落ち着け、俺」

ξ゚听)ξ「? あ。子供」

( ´_ゝ`)「……だれー?」

(´< _` )「そうだ。キミ、この子と遊んでくれない?」

ξ゚听)ξ「年下に興味はない」

(´< _` )「ませたクソガキだな」

ξ゚听)ξ「つーか小学生にもなって童貞とか処女ってありえないよねー!」

(´< _` )「日本の崩壊が目に見えるような台詞だ」

ξ゚听)ξ「ねー?」

(´< _` )「お前は捨てたのか」

ξ゚听)ξ「……まだ十日くらいある」


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:04:14.27 ID:gB3MP0z90
(´< _` )(あれ、こいつクーさんの話だともう小学生じゃ……まぁいいか。どうでも)

ξ゚听)ξ「そういえばね、桃の濃い天然水が売ってた」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「色が違った。なんか、桃の実の色してた」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「あれって水じゃないと思った」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「なんでピーチジュースって言わないのか、不思議」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「……おしまい」

(´< _` )「なんなの、その生産性の欠片もない話は」

ξ゚听)ξ「オチを求めるなんて、バカじゃないの?」

( ´_ゝ`)「おねーちゃん、あそぼーよー!」

ξ゚听)ξ「はいはい。絵本があるわね。読み聞かせてやる」

(´< _` )「……」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:04:56.41 ID:gB3MP0z90
ξ゚听)ξ「むかしむかし、ろんどんにきりさきじゃっくというおとこがいました」

(´< _` )(……このまま放置して良いかな。
       ま、大丈夫だろ)

ξ゚听)ξ「じゃっくは、つぎつぎにじょせいをころして……」

(´< _` )「じゃあ、お兄さん、ちょっと出かけてくるからね、お買い物に」

ξ゚听)ξ「そして、ついには…………」

(´< _` )「?」

ξ゚听)ξ「違う」

(´< _` )「何が」

ξ゚听)ξ「アンタは、お兄さんじゃない」

(´< _` )「どういうこと?」

ツン、兄者を指さす。

ξ゚听)ξ「こいつの、弟でしょ?」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/21(水) 22:05:36.69 ID:gB3MP0z90
(´< _` )「……なんで、知っている?」

ξ゚听)ξ「だって私、全知全能だから」

(´< _` )「……」

ξ゚听)ξ「……」

(´< _` )「はぁ?」

ξ゚听)ξ「他にも知ってるわよ。向こうの部屋に、変な生物がいる」

(´< _` )「……」

五人目。
そんな言葉が、浮かんだ。

・・・

・・



第九話 おしまい。


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:41:08.30 ID:PjuO90D90
ξ゚听)ξ「あのね、うちの犬がね」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「昼ご飯としてピザにラーメン、それにペペロンチーノをたいらげちゃうの」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「飲み物は水なんだけどね」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「太らないか心配なんだけど、運動してるから大丈夫だと思うんだ」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「だっこしてあげるとね、ほっぺたとかなめてくるんだよ」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「おしまい」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「……」

(´< _` )「……で?」

第十話 はじまり


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:41:57.23 ID:PjuO90D90
(´< _` )「全知全能、ぜんちぜんのう、ゼンチゼンノウ、ZENTIZENNNOU……」

昼食時。
中の人にエサをやってきた弟者は、兄者に食べさせてやっているツンを眺める。

ξ゚听)ξ「そうよ、全知全能」

(´< _` )「つまりなんでもわかるのか」

ξ゚听)ξ「当たり前じゃないの。バカじゃないの?」

(´< _` )「……宇宙に果てはあるのか?」

ξ゚听)ξ「ない」

(´< _` )「即答されるとは思わなかったよガール」

ξ゚听)ξ「だからね、私にわからないことはないの。つまり天才」

(´< _` )「誰がお前にその能力を与えた?」

ξ゚听)ξ「……わかんない」

(´< _` )「てんでダメだな」


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:43:01.96 ID:PjuO90D90
ξ゚听)ξ「そ、それがわかれば苦労しないわよ!」

(´< _` )「苦労しろよ、ガキのうちは」

ξ゚听)ξ「それで、どうするつもり?」

(´< _` )「何を」

ξ゚听)ξ「私は、お母さんの前ではただの少女であるように振る舞うわ。
      でも今、あなたは五つの……全てのパーツを手に入れた。
      そして、それを知るのはあなたと私だけ。
      これから誰かに知らせいだだだだだだだだだだっ!」

饒舌なツンのツインテールを横に引っ張る弟者。

ξ゚听)ξ「何してくれてんだこの野郎!」

(´< _` )「なんかその饒舌さにすげえ腹立った」

ξ゚听)ξ「ワシらなめとったら痛いメにあうでぇ……」

(´< _` )「慣れないことを口にするなよ」

ξ゚听)ξ「うっさい」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:44:03.04 ID:PjuO90D90
(´< _` )「ぽ、のことも知ってるのか」

ξ゚听)ξ「容姿や、中で人を調教していることも。
      でも、以前どんな姿だったか、とかはわかんないわね」

(´< _` )「役に立たない」

ξ゚听)ξ「アンタの役に立とうとも思わない」

(´< _` )「……まあ、そろそろ潮時かも知れない」

ξ゚听)ξ「え?」

(´< _` )「隠すことが、だよ。いつまでも黙ってて、後で厄介なことになっても困る」

ξ゚听)ξ「言うの?」

(´< _` )「そうする」

ξ゚听)ξ「変な人だと思われる」

(´< _` )「残念ながら、変態具合では勝てそうではない」

ξ゚听)ξ「変な人と変態では若干ニュアンスが違うけど……まぁいいわ」

それから。
ツンが兄者の相手をしている間。
弟者は十分に、睡眠を貪ることができた。
久々の幸福。最後の幸福。


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:45:02.88 ID:PjuO90D90
夕刻。
電子音が、クーの来訪を告げる。

川 ゚ -゚)「あ、あー、本日は晴天、いや曇天?」

(´< _` )「ガラガラ声になってますよ」

川 ゚ -゚)「やすうううううううぅぅぅぅぅいなああぁぁああぁあぁああぁああOUCH!」

(´< _` )「……」

川 ゚ -゚)「って叫んだらジャパネットから追い出された」

(´< _` )「何がしたかったんですか」

川 ゚ -゚)「娘が世話になった」

ξ゚听)ξ「おかーさん!」

(´< _` )「……ああ、クーさん。少しお話が」

川 ゚ -゚)「性的なことか、猥談か、どっちだ?」

(´< _` )「あえていうなら、あなたの脳に余命宣告を」

川 ゚ -゚)「ほう」

(´< _` )「あと五分」


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:45:42.00 ID:PjuO90D90
ちょっと待ってろチンカス。
そうクーに言ってから、弟者は兄者の私室へ。
そこで眠るぽ。

(´< _` )「おい」

/ ・ω・ヽ「ぽ?」

(´< _` )「出番」

/ ・ω・ヽ「ぽはブロードウェイの舞台にしか立たないぽ!」

(´< _` )「てめえのような、井の中の蛙がブロードウェイを口にするだと?
       おこがましいにもほどがあるわ!」

/ ・ω・ヽ「いやだぽ! ぽは、ぽは、いつかきっとニコラス・ケイジを超越するんだぽ!」

(´< _` )「お前など、所詮窪塚洋介どまりだよ!」

/ ;ω;ヽ「せめて広末涼子より上にいきたいぽ!」

(´< _` )「なあ」

/ ・ω・ヽ「できればチョコボール向井に……なんだぽ?」

(´< _` )「いつまで続けるんだ?」

/ ・ω・ヽ「そろそろ厳しいことぐらい自覚してるぽ」


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:46:38.80 ID:PjuO90D90
川 ゚ -゚)「おお? お、おお……」

ぽを見たクーが微妙な反応を見せる。

川 ゚ -゚)「狐?」

(´< _` )「どうやったらそう見えるんだろう」

川 ゚ -゚)「じゃあ、FOX?」

(´< _` )「何が変わるんだ」

/ ・ω・ヽ「初めましてだぽ。君たち人類の祖先、ぽだぽ」

(´< _` )「いやな祖先」

( ´_ゝ`)「かわいー!」

/ ・ω・ヽ「こら、抱きつくなぽ!
      美しい国を体現しているこの身体が汚れてしまうぽ!」

川 ゚ -゚)「これを、支持率低下という」

ξ゚听)ξ「おかーさんあたまいーね!」

(´< _` )「はっはっは。
       死ねばいいのに」


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:47:40.23 ID:PjuO90D90
川 ゚ -゚)「こいつは一体?」

(´< _` )「実はですね、かくじか」

経緯を話す。
ツンのことを抜きにして。

川 ゚ -゚)「ほほう。つまり、アニージャやぽ、それにこの中に住んでいる奴は皆兄弟ということか」

(´< _` )「微妙に違いますけど、まぁそんなところですね」

(Д゚)「ゼンジンルイキョウダイセイヤー」

川 ゚ -゚)「……ベンツ」

(´< _` )「は?」

川 ゚ -゚)「こいつの名前はベンツ」

クーが中の人を指差す。

(´< _` )「ねーよ」

/ ・ω・ヽ「お高い名前だぽ」

(Д゚)「……ベンツセイヤー」

(´< _` )「何「ちょっとありかな? えへっ♪」みたいな顔してるんだよ」

ξ゚听)ξ「サダコにロッキーって名づけたアンタの台詞とは思えないわね」


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:48:29.21 ID:PjuO90D90
川 ゚ -゚)「ん?」

ξ゚听)ξ「あ、しまっ……」

川 ゚ -゚)「……うん、ところで、だ」

(´< _` )(ちっとは我が娘に気を配れよ」

川 ゚ -゚)「この事実をどうするつもりだ? 皆に知らせるのか?」

(´< _` )「一応、そのつもりですが」

川 ゚ -゚)「やめておいたほうがいい。
     そうやって情報を無闇に広げることは有益でない……ってプーチンが言ってた」

(´< _` )「そうですか」

川 ゚ -゚)「……すまない。今、うそついた。プーチンはそんなこと言ってない」

(´< _` )「何もかもが中途半端だ」

川 ゚ -゚)「無闇に広げないほうがいいっていうのは私の考え」

(´< _` )「……そういうわけにもいかなさそうです」

川 ゚ -゚)「なぜ?」


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:49:33.46 ID:PjuO90D90
(´< _` )「貴方の背後に、ギコさんが立っているから」

川 ゚ -゚)「ハッ!」

( ,,゚Д゚)「グッイーヴニン」

(´< _` )「なんで物音も立てずに入ってくるんですか?」

( ,,゚Д゚)「そりゃアンタ、何かシリアスな話してるから」

(´< _` )「どこから聞いてました?」

( ,,゚Д゚)「あのね、うちの犬がね、から」

(´< _` )「あなたが神か」

( ,,゚Д゚)「ウソに決まってるでしょー!」

(´< _` )「なんでそんなウソがつけるんでしょうね」

( ,,゚Д゚)「……あれ? なんでかな?」

(´< _` )「もういいです、どうでも」

( ,,゚Д゚)「でも話は聞かせてもらったわ。
      つまり、ロッキーの記憶に微かに残っている語尾が「お」の奴を犯せばいいのね?」

(´< _` )「その結論にはいささかミステイクがあります」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:50:13.25 ID:PjuO90D90
( ,,゚Д゚)「でも、探しようがないわよねえ」

(´< _` )「そこが問題ですよ」

そんなときである。

(*゚∀゚)「やっほおおい!」

玄関から叫声。

( ,,゚Д゚)「おや、つーじゃない」

(´< _` )「なんでまた来るんですかもう勘弁してくださいよ正直つかれてるんですよ。
      誰か僕に平和と愛と勇気とバター犬をください」 (*゚∀゚)「はっはっは、発狂してるなあ!
     ところでさ、おとーさん。さっき、そこで妙なヤツを拾ったんだけど」

( ,,゚Д゚)「拾った? どこで」

(*゚∀゚)「玄関前。置いてあるよ」

(´< _` )「それは拾ってないという」


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:50:46.18 ID:PjuO90D90
ギコが玄関まで赴き、件の人物を運んでくる。

( ,,゚Д゚)「新鮮な少年よ」

(  ω )

(´< _` )「誰?」

( ,,゚Д゚)「さあ。さて、オトージャに選択肢を与えるわ」

(´< _` )「どんな?」

( ,,゚Д゚)「嬲るかいたぶるか弄ぶか」

(´< _` )「じゃあ、嬲るで」

( ,,゚Д゚)「おぉけい」

言うなり、ギコが少年にディープキス。

川 ゚ -゚)「あれは舌が入ったな」

(´< _` )「ああ、唾液が洪水のようだ
      というか、選択肢によって何かが変わったとは思えない」

それから、ギコの攻めが始まったのだが、詳しい描写は割愛。

およそ、二十分ほど続いた。


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:51:43.61 ID:PjuO90D90
(*゚∀゚)「罰ゲームだよね」

(´< _` )「ただの罰です」

(  ω )「お……」

( ,,゚Д゚)「ふう、やっと目を覚ましたかしら?」

( ゜ω゜)「いやだお、助けてくれおーーーーーー!」

( ,,゚Д゚)「!」

(  ω )「……命を大切にしないやつなんて、大嫌いだお……」

再び気絶。

( ,,゚Д゚)「では、再び」

(´< _` )「ちょっと待った」

(*゚∀゚)「語尾が「お」だったよ?」

(´< _` )「ですね。なんと都合のいい展開」

川 ゚ -゚)「それに、妙な言葉を発したな。
     お前も蝋人形にしてやろうかー! とか」

(´< _` )「言ってねえ」


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:52:49.69 ID:PjuO90D90
( ,,゚Д゚)「じゃあ、この少年が黒幕なの?」

(´< _` )「ちょっと違うような」

(*゚∀゚)「うん……なんか、ひ弱そう」

( ´_ゝ`)「あーほー」

川 ゚ -゚)「若ハゲの前兆が見られる」

ξ゚听)ξ「口臭がキツそう」

( ,,゚Д゚)「全体的にキンタマっぽいわね」

(´< _` )「とにかく、覚醒させないといけませんね」

( ,,゚Д゚)「じゃあもう一度ディープキス?」

(*゚∀゚)「そういえば、まだSM器具が残ってるよね?」

( ,,゚Д゚)「採用」

(´< _` )「え」


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:53:29.37 ID:PjuO90D90
川 ゚ -゚)「……さ、私たちは帰ろうか」

ξ゚听)ξ「え、でも……」

川 ゚ -゚)「ここから、ここは繊細且つ淫靡でグラデーション豊かなつまりジェネレーションの荒波を乗り越えし者たちの」

(´< _` )「自分でもわからなくなってるでしょ? さっさと帰れ」

名残惜しそうなツンだったが、やがて扉の向こうへ。

そして、つーとギコによってSMのステージがつくられていく。

/ ・ω・ヽ「……感慨深いぽ」

(´< _` )「まだいたのか、お前」

(Д゚)「コ、コレカラナニガオコルセイヤー……」

( ,,゚Д゚)「つー、少年の右腕を縛って」

(*゚∀゚)「おっけーい」

(´< _` )「見たくないなら、ぽの中に入ってなさい」

(Д゚)「リョ、リョウカイセイヤー」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:54:17.42 ID:PjuO90D90
( ^ωー)「お……お?」

ついに目を覚ました少年。
自らの姿を見て驚愕。

(;^ω^)「な、何が起こったお!?」

( ,,゚Д゚)「お黙りなさい少年!」

(*゚∀゚)「もう私たちからは逃れられないよ!」

/ ・ω・ヽ「ここはゴルゴダの丘だぽ!」

立てられた十字架。
そこに縛り付けられている少年。

まるでキリスト処刑。
すなわち神への冒涜。

最低だ。死ねばいい。
全人類死ねばいい。

(´< _` )「俺は関係ありませんだから許してください許してくださいお願いします……
       つーかどこに十字架を作る木材があったんだよ」

( ,,゚Д゚)「クローゼットに常備していたのよ!」

(´< _` )「定番プレイなのか……」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:54:47.75 ID:PjuO90D90
( ^ω^)「ねーお!」

( ,,゚Д゚)「さて、受刑者よ……最後の文言を聞いてやるわ」

( ^ω^)「一体全体どうなってるお!? ぼ、僕が何かしたって言うのかお!?」

(*゚∀゚)「とぼけてもカツ丼はおごらねえってんでい!」

( ,,゚Д゚)「あなたがやったこと、全てわかっているのよ!」

(;^ω^)「こ、これはまずいお……」

(*゚∀゚)「とりあえず、名前から教えなさいっ!」

( ^ω^)「……ブーンだお」

( ,,゚Д゚)「自己紹介を、続けて」

( ^ω^)「えっと、高校二年生で、A型で、乙女座で……」

( ,,゚Д゚)「誰が自己紹介しなさいなんて言った!?」

ピシャリ。
鞭が唸る。

(;^ω^)「ええええええ」

( ,,゚Д゚)「そんなことはどうでもいいの!」


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:55:31.69 ID:PjuO90D90
(*゚∀゚)「あなたの罪について説明は不要だなぁ!?」

( ^ω^)「わ、わかってるお、あんたたちが言いたいことは大体……
       でも、信じてくれお! あれは僕が企てたんじゃないお!」

( ,,゚Д゚)「はぁ?」

( ^ω^)「め、命令されたんだお!」

(*゚∀゚)「……よくわかんないことを言うね」

( ,,゚Д゚)「それなら教えてもらおうじゃないの。
      いったい、誰に命令されたっていうの!?」

ブーンが顎である人物を示した。

そう、つまり黒幕はこの場にいたのだ。

皆が一斉に彼のほうを向いた。

そして、誰もが沈黙した。

( ´_ゝ`)「だー?」

( ^ω^)「兄者さんだお!」


25 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/02/23(金) 21:56:15.93 ID:PjuO90D90
( ,,゚Д゚)「……」

(*゚∀゚)「……」

(´< _` )「……」

/ ・ω・ヽ「……」

( ,,゚Д゚)「……やーわらっか戦車ー♪」

(´< _` )「現実逃避してはいけない」

・・・

・・



第十話 おしまい


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:43:57.91 ID:tepVhUWG0
(´< _` )「……まぁ、とりあえず詳しく」

( ^ω^)「なぜこんなことになってしまったのか……
       それを説明するためにはまず、僕の過去を話さなければならないお」

( ,,゚Д゚)「へえ?」

( ^ω^)「あれは十七年前……僕がまだ、カーチャンの胎内にいたころの話」

(´< _` )「遡りすぎではないだろうか」

( ^ω^)「じゃあ……二十五年前、まだこの日本が幕府に支配されていたころのお話」

( ,,゚Д゚)「じゃあって何よ」

(´< _` )「つーかバカ」

( ^ω^)「お前に言われたくないお!」

(*゚∀゚)「海賊漫画的にいうと、過去に涙はつきものだよね!?
     お姉さん期待しちゃうよ?」

( ^ω^)「そう……あれは……涙無しには語れないんだお……フヒヒッ」

(´< _` )「何が面白いの?」

第十一話 はじまり


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:45:00.87 ID:tepVhUWG0
――二週間前にジャンプ。ついでに視点も切り替わります――

二週間ほど前。高校からの帰り道。
ブーンは一人、白日の下を歩いていた。

( ^ω^)「あっしたからー、春休みだおっおー」

マックでランチを一人でエンジョイするために駅前へ。
その途中、公園を通りかかったとき。
偶然にも、不幸にも。
ブーンは一人の、考える人を見つけてしまった。

ベンチに座って頭を抱える若い男。

( ^ω^)「お? なんだか困っている人がいるお!」

「……おーみすあふろーでぃてー、ほわいどんちゅーくらいふぉーみー?」

男の歌う声が、微かに聞こえてくる。
末期症状だ。
ブーンはそう判断した。

( ^ω^)「よし、僕が助けてやるお!」

こっころはいっつでもスーパーマーン。
ブーンは鼻歌を響かせながら、その男に接近した。

( ^ω^)「ヘイ少年! どうかしたのかお!?」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:45:52.37 ID:tepVhUWG0
( ´_ゝ`)「……あぁ?」

憔悴していた男が顔を上げる。
見たところ、二十代半ばといったところか。

( ^ω^)「どうしたお? 何か悩んでいるのかお?」

( ´_ゝ`)「いや……そうだな。
       あえていうなら……俺の心の天秤が、腐っちまったようだぜ」

( ^ω^)(やっべえこいつやっべえ)

( ´_ゝ`)「ああ、夜空にリスペクト……」

( ^ω^)「真っ昼間だお」

( ´_ゝ`)「ふん……瞼に映るペルセウスを感じることのない愚者め。ぐしゃぐしゃめ」

会話の齟齬なんてレベルではない。
男は立ち上がると、着込んでいるくたびれたコートを必要以上に揺らして、去ろうとする。

( ^ω^)「ちょ、待つお!」

( ´_ゝ`)「なんだい坊主……俺ァ、暇じゃねえんだ」

( ^ω^)(台詞の中で最低一回は三点リーダ入れないと喋れないのかお? こいつ)


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:46:34.96 ID:tepVhUWG0
( ´_ゝ`)「まぁなんでもいい……坊主ゥ……ウゥ!?」

突然頭をおさえる男。

( ^ω^)「だ、大丈夫かお!? 頭痛いのかお!?」

( ´_ゝ`)「……いや、むしろ痛いのは……心、さ……」

( ^ω^)「それは多分腐ってるんだと思うお」

( ´_ゝ`)「日常の空気は……俺には強すぎるんだ……ああ、毒される」

( ^ω^)「とりあえず119番に連絡していいかお?」

( ´_ゝ`)「いや……俺の神は……俺を守るんだぜ……?」

( ^ω^)「もうめんどくさいから死んでくれお」

( ´_ゝ`)「俺は行く……アァ、一つだけ忠告しておく」

( ^ω^)「お?」

( ´_ゝ`)「夜道にィ……気をつけな……」

男はフラフラと立ち上がって、公園を出て行った。
その背中を見送る。ただ、呆然と。

・・・・・・・・

――時間軸が元に戻ります――


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:47:31.90 ID:tepVhUWG0
( ^ω^)「その時はまだ、あんな恐ろしいことが起きるとは夢にも思ってなかったお」

(*゚∀゚)「余計なナレーションはいいから、続き!」

(´< _` )「決めた、今日から俺は全力で兄者を軽蔑する」

( ,,゚Д゚)「え、普通じゃない」

(´< _` )「……そりゃあ昔から結構危ない性格でしたけど、まさかここまで進化してるとは」

( ^ω^)「進化のエヴォリューションだお〜」

(´< _` )「意味一緒じゃねえか」

(*゚∀゚)「つ・づ・き!」

( ^ω^)「ああ、そうだったお。
       それから僕はマックに行って、それから本屋で立ち読みしてたんだお」

(*゚∀゚)「ほうほう」

( ^ω^)「ちなみに快楽天だお」

(´< _` )「それはどうでもいい」

( ^ω^)「帰る頃にはもう、夕方になってたお……」

( ,,゚Д゚)「本屋で読破しちゃったのね……」

――再び、二週間前――


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:48:08.86 ID:tepVhUWG0
ブーンの家は閑静な住宅街の中程にある。
その近辺。人気のない狭い道にさしかかったとき。

从 ゚∀从「ヘーイ、ソコノブォーイ」

(;^ω^)「おお!?」

やたら髪の長い女が一人。角から突然現れた。
科学者みたいな風貌で、手には一つの小瓶。
ついでに、背がやたらと低い。小学校高学年といったところか。

( ^ω^)「誰だお?」

从 ゚∀从「ミーはハインリッヒというもんでごザンス」

( ^ω^)「……」

从 ゚∀从「シェー!」

(;^ω^)「!?」


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:48:42.89 ID:tepVhUWG0
从 ゚∀从「ところでチミィ、このカプセルに興味はないかね?」

ハインリッヒはぎこちない動作で瓶を開ける。
中から取り出されたのは青と白で彩色されたカプセル錠。

( ^ω^)「全然興味ないお。つーか、もう行っていいかお?」

从 ゚∀从「OH〜〜、そんなじ、じ? ああ、邪険に扱わないでチョ!」

( ^ω^)「お前、どこの国の人だお?」

从 ゚∀从「なーに言ってるかっナー? じゅ、ピュアな日本人ヨー?」

( ^ω^)「いい加減にしないと、お兄さん怒るお?」

从 ゚∀从「バカ言っちゃいけねえなあ、旦那……あっし、こう見えても来年で還暦ですぜ?」

( ^ω^)「……もう一度聞いてもいいかお?」

从 ゚∀从「ホワッ?」

( ^ω^)「お前、どこの星の人だお?」

从 ゚∀从「オーゥ、グローバールな話になったNE!」

( ^ω^)「……」

从 ゚∀从「ところでチミィ、このカプセルに興味は( ^ω^)「ないお」


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:49:28.29 ID:tepVhUWG0
从 ゚∀从「じゃあ……仕方ない。ここは一つ、狡猾な手段で攻めさせていただシェー!」

( ^ω^)「ノイズみたいな感じで叫ぶのはやめたほうがいいと思うお」

从 ゚∀从「あ、UFO! 未確認飛行物体! アンノウン……なんとかかんとか!」

( ^ω^)「その手には乗らないお」

从 ゚∀从「くっ……あ、チミの背後でナース服を着たグラマラスなねーちゃんが四つんばいで歩いてる!」

( ^ω^)「趣味が親父臭いお」

从 ゚∀从「なかなかー、悟りを開いたヴォーイだねえ」

( ^ω^)「もういいかお?」

从 ゚∀从「あ、幼女安売りキャンペーン!」

( ゜ω゜)「どこだお!?」

从 ゚∀从「イマDA!」

ハインリッヒがカプセルを投げる。
時速160kmのカプセルがブーンの口内から一気に胃まで達した。


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:50:01.34 ID:tepVhUWG0
( ゜ω゜)「ハッ、し、しまったお!」

从 ゚∀从「ま、今のはえにぼでーが引っかかるから仕方ないシェー!」

(;^ω^)「ふ、不覚……い、いったい何を飲ませたお!?」

从 ゚∀从「気にスンナー! なんつーかあれだYO! 実験用ドラッグだYO!」

( ^ω^)「そ、そんな……」

瞬間。
ブーンの心臓が躍動した。
脳が沸騰する。身体が爆ぜそうになる。

从 ゚∀从「サクセス!」

( ^ω^)「ぼ、ぼくはどうなったお!?」

从 ゚∀从「すんげぇ力を与える力をゲッツアンドターン……ってこれは言わない方がよかった?」

( ^ω^)「そう……思う……お」

从 ゚∀从「YO-SI! YO-SI!」

何度も、満足げに頷くハインリッヒ。
大声で、誰かを呼ぶ。

从 ゚∀从「アニージャ! できたワンYO!」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:50:31.78 ID:tepVhUWG0
( ´_ゝ`)「おぅ……そうかい」

どこからか現れた一人の男。

( ^ω^)「あ、あんたは……!?」

ずいぶん身体の変異もおさまってきたブーン驚く。
しかし男は覚えていないようだった。

( ´_ゝ`)「フルビキニ・ド・アニージャ……だ。覚えておけ」

( ^ω^)「変な名前だお……フランスか何かのハーフかお?」

( ´_ゝ`)「いや……ボスニアァ……なんとかかんとか」

( ^ω^)「ヘルツェゴヴィナ?」

( ´_ゝ`)「そうだ……ついでに……ハーフじゃなくてェ……ウォリアーだ」

( ^ω^)「クォーター?」

( ´_ゝ`)「それ……だっ……」

( ^ω^)「間違えるにもほどがあるお」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:51:14.26 ID:tepVhUWG0
( ^ω^)「そんなことはどうでもいいお! なんでこんなことを!?」

( ´_ゝ`)「そいつは……俺の素性と関係してくるんだぜ……」

( ^ω^)「素性……お仕事は何をしてるんだお?」

( ´_ゝ`)「フン……仕事、か。
       久しく……コミットしてねえ単語だ」

( ^ω^)「エヌイーイーティー?」

( ´_ゝ`)「……バカにしちゃいけねぇよ、坊主……俺ァ、エージー……イー……?」

( ^ω^)「綴りがわからないなら普通に言えばいいと思うお」

( ´_ゝ`)「エージェント……だ。何もかもを超越した、神に最も近しい存在」

( ^ω^)「えーじぇんとってそんなにすごかったかお?」

( ´_ゝ`)「そういうわけだ……だが……だからこそ……悩みも多い……」

( ^ω^)「鬱陶しいから一気に喋れお」

( ´_ゝ`)「俺ァ……生きることに疲れちまった」

自称フルビキニが宵闇を仰ぐ。
その目から一縷の涙。
ブーンには到底理解できないクレイジーワールド。


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:51:46.18 ID:tepVhUWG0
( ´_ゝ`)「聞いてくれるかい……坊主……」

( ^ω^)「いやだお」

( ´_ゝ`)「……一年前、俺ァこの街にやってきた。
       遠い田舎の村から……騒々しい世界へ」

( ^ω^)「……」

( ´_ゝ`)「人混みに紛れているうち……俺は、いつしかピュアハートを置き忘れたようだ」

( ^ω^)「めんどくさいから死んで欲しいお」

( ´_ゝ`)「でもなァ……坊主……神は俺の味方だ……
       ……お前に、一つ頼みがある」

( ^ω^)「なんだお?」

( ´_ゝ`)「お前に力を与えた……それを……俺に使え」

( ^ω^)「お?」


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:52:24.56 ID:tepVhUWG0
( ´_ゝ`)「使い方は簡単だ。俺に向かって、ただ念じろ。
       『生後一年かそこらになれえええぇぇえ』ってな……!」

( ^ω^)「なるほ……お? 生後一年?」

( ´_ゝ`)「人生をやり直すゥ……んだよ!」

( ^ω^)「……」

从 ゚∀从「生後一ヶ月になったコイツは拙者が処理すっから安心しRO!」

( ^ω^)「……念じるだけでいいのかお?」

( ´_ゝ`)「そうだ……邪念を払え……
       光と闇が交わるとき、そこに一つの偉大な( ^ω^)「生後一年になれお!」

そして。
兄者を紫色の何かが包んで……

・・・

・・



――再び、元の時間軸へ――


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:53:09.14 ID:tepVhUWG0
( ^ω^)「ま、そんな感じだお」

(´< _` )「……うん」

( ^ω^)「……」

(´< _` )「その、いかにも「ツッコんでくれー!」みたいな顔をやめろ」

(Д゚)「ナンデヤネンセイヤー」

(´< _` )「律儀にツッコまんでよろしい」

( ,,゚Д゚)「突っ込もうか?」

(´< _` )「あなたの場合若干意味合いが異なるでしょ」

( ^ω^)「これが悲しい物語……その1だお」

(*゚∀゚)「まだ続くの!?」

(´< _` )「……ん? しかし、だとすると、おかしいな」


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:53:49.29 ID:tepVhUWG0
(´< _` )「どうして兄者は今、二歳児なんだ」

(*゚∀゚)「元々薬で得た能力だから、副作用でも起きたんじゃないの?」

(´< _` )「把握……このまま成長することもあり得るのか」

( ,,゚Д゚)「ちょっと待てやゴルァ!!」

(´< _` )「びっくりしたなあ、もう」

( ,,゚Д゚)「なに……つまり、それって、私以外にも女がいたってことなのぅ!?」

(´< _` )「あなたは元々男でしょうが」

(*゚∀゚)「まぁおとーさんとしてはそれが一番のポイントだよね」

( ,,゚Д゚)「ぶるわあああああああああああああああああ」

(´< _` )「まー所詮ヒモですし」

( ,,゚Д゚)「うるせえよボケ! 死ね!」

(´< _` )「おお、完全に男モード」


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:54:31.32 ID:tepVhUWG0
(*゚∀゚)「単純な協力者かも知れない。
     ほら、まっどさいえんてすととボスの組み合わせって結構あるじゃん」

(´< _` )「マッドサイエンティスト」

(*゚∀゚)「……まっどさいえんてすと」

(´< _` )「マッドサイエンティスト」

(*゚∀゚)「うるさいなあ」

/ ・ω・ヽ「それで、続きはないのかぽ?」

( ^ω^)「全知全能と、貞子の話は面白くないお。
       単純に、家宅侵入しただけだお」

(´< _` )「面白くなさすぎるな」

( ^ω^)「……でも仕方ないお!
       なんというか、義務感が僕を支配していたんだお
       やらされていた、みたいな? 所謂サービス残業だお」

(´< _` )「働いてもいないくせに」

( ^ω^)「お前が言うなお」


26 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:55:07.43 ID:tepVhUWG0
( ^ω^)「そこにいる二人の話は面白いと思うお」

/ ・ω・ヽ「ほうほう、つまり僕はハリウッドスターだったのかぽ?」

(´< _` )「ベンツは?」

(Д゚)「セイヤー?」

/ ・ω・ヽ「……ムーディー勝山」

(*゚∀゚)「ヤケに具体的だね」

(´< _` )「微妙な位置の芸人だし」

(Д゚)「ウケナガセイヤー!」

( ,,゚Д゚)「ぶるわあああああああああああああ」

(´< _` )「うるせえな」

( ^ω^)「聞いて驚いちゃいけないお……二人は……」

/ ・ω・ヽ「プリキュア!」

( ^ω^)「違うお! 宇宙人だったんだお!」


27 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:55:42.94 ID:tepVhUWG0
(´< _` )「……」

( ,,゚Д゚)「ぶるわああああ……あ?」

(*゚∀゚)「……」

(´< _` )「カリカリモフモフ」

(*゚∀゚)「逃げちゃダメだよオトージャ」

/ ・ω・ヽ「おい、語尾の変なヤツ、てきとーなこといってんじゃねーぽ!」

( ^ω^)「お前にだけは言われたくないお!」

(Д゚)「マーズアタックセイヤー」

(*゚∀゚)「また微妙な映画のタイトルを知ってるね」

(´< _` )「どういうことだ?」

( ^ω^)「僕が通りかかったとき、二人は地球を征服するためにUFOから降りてきたところだったお」

( ,,゚Д゚)「はぁん、つまり二人は敵なのね?」

(´< _` )「やっぱりあの時、ゴミ袋に入れて捨てておけばよかった」


28 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/25(日) 20:56:30.97 ID:tepVhUWG0
/ ・ω・ヽ「……ま、まあとりあえず詳しい話を聞きたいぽ」

( ^ω^)「わかったお……あれは、そう。
       僕が悟りを開くために山登りに出かけたときのことだお」

(*゚∀゚)「冒頭から突っ込んでくれって雰囲気がぷんぷんするよねっ!」

( ^ω^)「そこで……僕は……」

・・・

・・



第十一話 おしまい


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:09:34.43 ID:3aD6zIJH0
( ^ω^)「あの日、僕は悟りを開きにいったんだお」

(*゚∀゚)「悟り? 希望職業の欄に坊主って書いちゃう系?」

( ^ω^)「違うお!
      単純にフィーリングだお」

(´< _` )「フィーリングで悟りが開けたらいいよねー」

( ,,゚Д゚)「ねー」

( ^ω^)「そんなわけで……僕は人気のない樹海を散策していたんだお」

(*゚∀゚)「バカじゃないの?」

( ^ω^)「そこで……見つけてしまったんだお」

(´< _` )「うん」

( ^ω^)「……」

(´< _` )「……」

( ^ω^)「続きはweb(´< _` )「さっさと喋れ」

(;^ω^)「せめて最後まで言わせてくれお……」

第十二話 はじまり


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:10:10.03 ID:3aD6zIJH0
時はまたもや遡る。
間もなく四月になろうかというある日。
ブーンは無我の境地を目指すため、樹海に入った。

生い茂る樹木をかきわけ、先へ。
装備など無い。よくいえばサバイバー。悪く言えばアホ。つーか単純にアホ。

( ^ω^)「ゆめにまでーえーみーたー エルドラードォォォォォォォォおっおー」

しばらく歩くと開けた場所が見えてきた。
そこで、陽光を受けて輝く銀色のおぶじぇ。

「さあ、ちんぽっぽちゃん、つきましたよ!」

誰かの嬉々とした声が聞こえてきたので、近くの草むらに息を潜めた。

( ><)「これからたいよーけーだいななわくせーの征服をはじめるんです!」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ!」

そこに二人の、宇宙服みたいなのを着た何かが立っていた。

一人は無意味に飛び跳ねている。


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:10:41.28 ID:3aD6zIJH0
( ^ω^)(なんだお? あいつら……)

( ><)「だからちんぽっぽちゃん! この星ではその言葉はひ、卑猥な意味になるんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ? ちんぽっぽ!」

( ><)「まったく、地球の言葉をしっかり勉強しないからこんなことになるんです……」

(*‘ω‘ *)「みかんっん!」

( ><)「好きな食べ物しか覚えてないんですか!」

( ^ω^)(なんだか和やかなムードだお……)

( ><)「さ、行きますよ、ちんぽっぽちゃん!」

( ^ω^)(でもあいつら、地球を征服しようとしてるみたいだお)

ガサガサッ

( ><)「! そこにいるのは誰ですか!」

( ^ω^)「し、しまったお……」

飛び跳ねてない方が近づいてくる。


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:11:12.73 ID:3aD6zIJH0
( ><)「ふっふっふ……典型的な見つかり方なんです!」

( ^ω^)「し、しまったお」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ?」

( ><)「ちんぽっぽちゃん、こいつはかせーじんなんです!
      見つかったからにはただじゃおかないんです……」

( ^ω^)「……」

( ><)「かせーじん、覚悟するんです!」

取り出されたのは、ちょっと豪華な水鉄砲みたいな光線銃。

(;^ω^)「ちょ、ちょっと待つお!
      話せばわかりあえるお!」

( ><)「もんどーむよーなんです!」

( ^ω^)「そもそも僕は火星人じゃなくて地球人だお」

( ><)「え」

( ^ω^)「ちなみに、ここは太陽系第三惑星だお」


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:11:43.02 ID:3aD6zIJH0
( ><)「う、宇宙地理は苦手なんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ〜」

( ><)「ちんぽっぽちゃん! そんなに怒らないでください!」

( ^ω^)「そこの、さっきからちんぽちんぽ言ってるヤツはなんなんだお?」

( ><)「ちんぽっぽちゃんです」

( ^ω^)「……」

( ><)「……」

( ^ω^)「終わりかお?」

( ><)「終わりなんです! 詳しいことはわかんないです」

( ^ω^)「なぜペニス?」

( ><)「それは、ちんぽっぽちゃんの国の言語が、
      基本的に「ちんぽ」で構成されているからなんです!
      イントネーションとアクセントが大切なんです……」

(*‘ω‘ *)「みかんっん!」

( ><)「みかんだけは、辛うじて覚えてくれたんです!」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:12:25.22 ID:3aD6zIJH0
( ^ω^)「どうして地球に来たんだお?」

( ><)「……ちんぽっぽちゃんはみかんが大好きなんです!
      でも、そんなちんぽっぽちゃんが星のみかんを食べ尽くしてしまったんです……」

( ^ω^)「化け物かお?」

( ><)「ちんぽっぽちゃんが怒ると、それこそ惑星の二つや三つは
       簡単に吹き飛んでしまうんです。
      それを防ぐためにも、みかんを探さないといけなかったんです」

( ^ω^)「それで、はるばる地球へ……」

( ><)「ワープを繰り返して三ヶ月……長かったんです。
      途中、何度ちんぽっぽちゃんが機嫌を悪くして宇宙船が壊れそうになったことか」

( ^ω^)「とりあえず……お茶でも飲んでいけお」

( ><)「煎茶がいいんです……って、違うんです!
      さぁさぁ、戯れ言は終わりなんです……」

照準がブーンに当てられる。

( ><)「最後に、遺言を聞いてやるんです」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:12:58.55 ID:3aD6zIJH0
( ;ω;)「田舎の母に……親不孝できなくてごめんだお……と」

( ><)「住所を教えてほしいんです」

( ;ω;)「えっと、暗黒面二丁目……」

( ><)「ふむふむ」

( ^ω^)「嘘に決まってるおっおー!」

( ><)「なんですって!」

そうだ、僕にはあの能力があるじゃないか。
そんな感じで。
ブーンが宇宙人Aに向かって、叫ぶ。

( ^ω^)「えっと、とりあえず、宇宙人じゃなくなれお!」

( ><)「きゃー!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ〜!?」

( ^ω^)「そいでもって、僕の前からいなくなれお!」

そして……

――――――――――


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:13:38.80 ID:3aD6zIJH0
( ^ω^)「現在に至るお」

(´< _` )「……つまり」

( ><)→(Д゚) (*‘ω‘ *)→/ ・ω・ヽ

(´< _` )「というわけか」

/ ・ω・ヽ「どっちがどっちかわからないぽ!」

(*゚∀゚)「いや、大体わかるよ……主従関係的に」

( ,,゚Д゚)「語尾にも若干名残があるわ」

/ ・ω・ヽ「……でも、そんな記憶は一つも残ってないお」

(Д゚)「ショックセイヤー」

( ^ω^)「まぁつまり、僕は世界の平和を守ったヒーローってわけだお」

(´< _` )「自惚れるなデブノロゴミムシ」

( ^ω^)「ひ、ひどいお……」


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:14:10.76 ID:3aD6zIJH0
( ^ω^)「わかってるお……ちゃんと落とし前はつけるお」

(´< _` )「慰謝料」

(;^ω^)「それはムリだお」

(´< _` )「賠償金」

(;^ω^)「それも、勘弁してほしいお」

(´< _` )「弁償」

(;^ω^)「僕はまだ高校生なん(´< _` )「罰金」

( ^ω^)「……金の狗」

(´< _` )「世の中顔と金回りがよければ生きていけちゃうんだぜ?
       真心とかいらないんだぜ?
       つまり、忠犬ハチ公はバカだぜ?」

(*゚∀゚)「オトージャが若干壊れてる……」

( ^ω^)「そうじゃなくて……
       ちゃんと、元に戻るよう念じてみるお」


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:14:50.52 ID:3aD6zIJH0
(´< _` )「だが断る」

/ ・ω・ヽ「なんでだぽ!?」

( ,,゚Д゚)「だってあんた、元々地球征服しに来たんでしょ?」

(*゚∀゚)「ていうか、今でも十分宇宙人っぽいよね」

/ ・ω・ヽ「……こ、光線銃はどこだぽ!?」

( ^ω^)「あんたが僕の前から消えたと同時に、消失したお。
       個人認識なんちゃらかんちゃらでも搭載されてたんじゃないかお?        ちなみに、宇宙船も」

(*゚∀゚)「帰れないってこったね!」

/ ・ω・ヽ「あ、あんまりだぽ……。
      まだ見ぬお母さん、お父さん……元気ですかぽ……」

(´< _` )「ついさっきまでのうのうと生きてたくせに」

/ ・ω・ヽ「機械の身体なんでいらないぽ!」

(´< _` )「うるせえ死ね」

( ^ω^)「じゃあせめて……そこにいる兄者さんだけでも」


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:15:35.18 ID:3aD6zIJH0
(´< _` )「だが断る」

( ^ω^)「……二度目かお」

(´< _` )「お前、木下あゆ美と秋吉久美子だったらどっちを選ぶ?」

( ^ω^)「秋吉久美子」

(´< _` )「! ……い、いいだろう。今の兄者は、秋吉久美子だ」

(*゚∀゚)「逆を予想してたんだね」

(´< _` )「それをわざわざ元の姿に戻す必要があるだろうか、いや、ない」

( ^ω^)「じゃあ、どうしろっていうんだお?」

(´< _` )「現状維持がベスト」

/ ・ω・ヽ「それには納得できないぽ!」

(´< _` )「うるせえデブリ」


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:16:05.78 ID:3aD6zIJH0

( ^ω^)「じゃ、じゃあ僕は……」

(´< _` )「よし、帰れ」

( ^ω^)「ほ、本当にいいのかお?」

(´< _` )「かまわない」

ピンポーン。
チャイムの音。
続いて、扉が開かれる音。

ξ゚听)ξ「……邪魔します」

なぜか、顔を赤らめているツン登場。

(´< _` )「……帰ったんじゃなかったのか?」

ハテナマークを浮かべる弟者にツンは耳打ち。

ξ゚听)ξ「母親がテレフォンせ……せっくすのバイトを始めた」

(´< _` )「把握」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:16:37.99 ID:3aD6zIJH0
ξ゚听)ξ「意味がわかるって辛いわよ……あ、兄者、遊ぼうか」

( ´_ゝ`)「わー!」

( ゜ω゜)「す……すと……」

(´< _` )「あぁ?」

( ゜ω゜)「ストライイイイイイイイイイクだお。
       この子、可愛いお」

ξ゚听)ξ「?」

(*゚∀゚)「えらくストレートだね」

(´< _` )「お前、秋吉久美子が好きじゃないのか」

( ^ω^)「僕のストライクゾーンは10歳以下50歳以上だお」

(´< _` )「見事に世間の常識から外れてやがる」

( ^ω^)「ああ、そこの愛しいマダム、ユーの名前はホワット? だお?」

ξ゚听)ξ「死ねデブノロゴミチンカス」


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:17:08.63 ID:3aD6zIJH0
とりあえずブーンを追い出す。
途端に静かになる場景。

ツンが兄者と遊んでいる。
手持ち無沙汰なその他三人、と元宇宙人二匹。

(´< _` )「……あ」

(*゚∀゚)「何?」

(´< _` )「ロッキーのことを忘れてた」

( ,,゚Д゚)「ああ、あの子は確かに困ってるわよねえ……」

(*゚∀゚)「うーん……」

( ,,゚Д゚)(*゚∀゚)(´< _` )「ま、いいか」

/ ・ω・ヽ「……でも、これから僕はどうすればいいんだぽ?
      せっかく自分が誰なのかを知れたのに、帰ることもできないぽ」

(´< _` )「……捨てる」

(Д゚)「!」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:17:49.44 ID:3aD6zIJH0
(*゚∀゚)「そうなったら私のところで飼ってあげるから安心しなよ!」

/ ・ω・ヽ「それは助かるぽ!」

(*゚∀゚)「身体に出会い系の広告貼り付けて、街を練り歩いてくれれば万事OK!」

/ ・ω・ヽ「……遠慮しとくぽ」

( ,,゚Д゚)「で、どうすんのぉ? 今日はお開きぃ?」

(´< _` )「けだるそうですね」

( ,,゚Д゚)「そりゃあんた……二股って」

(´< _` )「ああ、そういえば」

(*゚∀゚)「アニージャもバイだったんだね」

(´< _` )「ま、とりあえず今日は解散ということで」

( ,,゚Д゚)「おおけぇ……お店、行ってくるわぁ……」

(*゚∀゚)「じゃあ、私は開店準備しに行かないと」

また二人。
人が消えた。


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:18:21.93 ID:3aD6zIJH0
ξ゚听)ξ「……それで、どうなったの?」

ぽが定位置に戻ったところで、ツンが尋ねる。

(´< _` )「ついに北海道がロシア軍に占拠された。
       さようなら大泉洋……」

ξ゚听)ξ「鉄の処女で殺すわよ?」

(´< _` )「かくじか」

ξ゚听)ξ「……つまり、帰しちゃったの?」

(´< _` )「余裕で」

ξ゚听)ξ「私はどうなるの!?」

(´< _` )「お前は何も不便じゃないだろう」

ξ゚听)ξ「う……うん、まぁ……」

(´< _` )「母親のエロワードに困らされるぐらいだろう」

ξ゚听)ξ「そうかもしれないけどさあ」

ピンポーン


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:18:52.51 ID:3aD6zIJH0
('、`*川「へい、少年少女! おや、ツンちゃん」

ξ゚听)ξ(´< _` )「帰れ」

('、`*川「なんで!?
     それより、聞いてくれるかな?」

(´< _` )「嫌だ」

('、`*川「私とギコを結ぶ大作戦」

(´< _` )「……つまり?」

('、`*川「春休み、オトージャは暇でしょ?
     そこで、しばらく私の下僕になりなさい」

(´< _` )「おや、何をふざけたことをぬかしてやがっておられます?」

('、`*川「なぬ」

(´< _` )「あのねえ、暇じゃないんすよねえ、俺。
       明日にはコロニー落としを防ぐために宇宙に行かなければ」

('、`*川「そーかー。それは仕方ないねえ」


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:19:25.82 ID:3aD6zIJH0
('、`*川「じゃあ、独自の方法で」

(´< _` )「例えば?」

('、`*川「まぁ要するにストーカーなんだけど。
     家を出たギコさんをお店までついていく。
     勿論、見つからないように」

(´< _` )「……」

('、`*川「冗談だよぉ!」

(´< _` )「せいぜい豚箱にぶちこまれればいいと思います」

('、`*川「ううん」

(´< _` )「用事は済みましたか?」

('、`*川「それが、まだなのよねえ」

(´< _` )「さっさと済ませてください」

('、`*川「実はねえ」

(´< _` )「はい」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [] 投稿日:2007/02/27(火) 22:20:00.35 ID:3aD6zIJH0
('、`*川「時は鎌倉時代に遡るんだけどねえ」

(´< _` )「はい」

('、`*川「私の先祖が……いや、これは関係のない話だ」

(´< _` )「……」

('、`*川「えっと、あれはそう、私が崖で船越英一郎に説得されてる時」

(´< _` )「……」

('、`*川「あれ? これも、関係ないかな……」

(´< _` )「……一つ、いいですか?」

('、`*川「なんでござろー」

(´< _` )「そろそろ言い飽きましたが、死ね」

・・・

・・



第十二話 おしまい


2 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/01(木) 21:51:09.06 ID:NBVACXnA0
プルルルルル……
プルルルルル……

(´< _` )「あ、電話」

('、`*川「おう?」

(´< _` )「あい、もしもし……あ、母者……」

(´< _` )「……え、絞首刑……はは、まさか」

(´< _` )「はい……いえ、うん、元気……断頭台じゃないです、ええ」

(´< _` )「……あ、兄者もまぁ、それなり……かなあ」

(´< _` )「……え……」

(´< _` )「……」

(´< _` )「こっちに……来る……? 三日後、に……」

第十三話 はじまり


3 名前:愛のVIP戦士[sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:51:49.39 ID:NBVACXnA0
電話を置いて溜息。
アホサスを見てもう一度。
兄者を見やって三度。

('、`*川「誰から?」

(´< _` )「神は私をお捨てになられた。
      世界は終わりだ……もう、何もかもが崩壊する。
      ああ、主よ。貴方はこの世界に飽いてしまったのか……」

('、`*川「どうしたの!? なんかアラブ系になってるよ!?」

(´< _` )「母者が、来る」

('、`*川「それは、そんなに危惧すべきことなの?」

(´< _` )「まぁ、現状が知れたらこの街は綺麗さっぱりバスクリン」

('、`*川「……ああ、アニージャねえ」

( ´_ゝ`)「?」

(´< _` )「チェルノブイリの悪夢が再来するよおおおおおおおおおおおおお」

つまりそれは世界の終焉。
地球の崩壊。或いは、地獄の皇太子の降臨。


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:52:26.20 ID:NBVACXnA0
(´< _` )「この状況を乗りきる方法は、およそ二つ」

('、`*川「詳しく聞かせてもらおうか!」

(´< _` )「ひとおおおおおおおおおおおおつ」

('、`*川「おおおおおおおおお!」

ξ゚听)ξ「無駄にテンションあげないでようっさいわね」

(´< _` )「……とりあえず、この街にある全ての線路を爆破しましょうか」

('、`*川「つまりダイナマイトが必要だねってなんでやねん!」

(´< _` )「半端なノリツッコミやめてください」

('、`*川「せめて石を置く、ぐらいにしときなよー」

(´< _` )「事は緊急なんですよ! 地球と線路、どっちが大事です!?」

('、`*川「なんか、私の頭の中でハハージャとやらのイメージがバルタン星人になってるけど、いいのかな?」

(´< _` )「むしろスペースゴジラですね」


6 名前:愛のVIP戦士[sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:53:09.66 ID:NBVACXnA0
(´< _` )「……二つめ」

('、`*川「テンションがた落ちだね」

(´< _` )「ブーンを捕まえるしか」

('、`*川「ブーン?」

(´< _` )「かくじか」

('、`*川「つまりアニージャは地球を征服するためにやってきた宇宙人で、
     ロッキーの家に不法侵入したわけか」

(´< _` )「混ざってる混ざってる」

('、`*川「……で、そのブーンってのが元凶ってわけか」

(´< _` )「と、いうよりはハインリッヒなる奇妙な奴が黒幕」

('、`*川「そういえば、さっき言いかけた用事なんだけどね」

(´< _` )「そんなことはどうでもいい」

('、`*川「そう?」


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:54:37.11 ID:NBVACXnA0
(´< _` )「とりあえず、裏組織の知り合いとかいます?」

('、`*川「そんなもん、とりあえずのレベルで存在するもんじゃないよ」

(´< _` )「まずはギコさんとか……とりあえず全勢力を結集させるべきですね」

('、`*川「そういえば、RPGって時々戦わない仲間がいるけどなんで?」

(´< _` )「処理能力及び戦闘におけるバランス調整のため」

('、`*川「そんなインテリな答えはきいてないー」

(´< _` )「……ううん、あとは対戦者用ミサイルと、ポップコーン」

('、`*川「ポップコーン?」

(´< _` )「罠用です。対象の生命体はポップコーンが大好物である」

('、`*川「……」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:55:18.59 ID:NBVACXnA0
(´< _` )「とにかく、四六時中に準備を整えなければならない……!」

('、`*川「っていうか、ブーンってのを探せば良いだけじゃないの?」

(´< _` )「そりゃそうなんですけど、さっき手放したばっかりなんだよね。
       わかる? 例えれば死んだはずの仲間が実は生きてたーみたいな。
       『ヘイジョニー、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ?』って感じで」

('、`*川「もちろんだぜマドモワゼル、僕がキミを忘れるはずないだろう? って感じか」

(´< _` )「それは違う」

('、`*川「えー」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:55:58.11 ID:NBVACXnA0
(´< _` )「そもそも、ハインとか言う輩が勝手なことしなければよかったわけで」

('、`*川「あの、そのことなんだけどね」

(´< _` )「あーあ、つーかまず兄者を冷蔵庫で見つけるからこんなことに.
       あそこで放置していればここまで悩まずに済んだんだ」

('、`*川「でも、いなくなったと知ったらハハージャが余計に怒るんじゃない?」

(´< _` )「中途半端に居るほうがよっぽど厳しい」

('、`*川「そんなもん?」

(´< _` )「例えるなら、マナだけみたいな」

('、`*川「でさあ、そろそろ喋ってもいいかな?」

(´< _` )「何を」

('、`*川「さっきから人、待たせてるのね、玄関先に」

(´< _` )「フーン」

('、`*川「ハインって名乗ってた」

(´< _` )「……うん」

('、`*川「停止してるでしょ、思考」


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:56:35.95 ID:NBVACXnA0
(´< _` )「なんでもっと早く言わないの?
      もう死ねよお前。精神的に向上とかどうでもいいから死ねよ」

('、`*川「ワタシ、ワルクアリマセン」

(´< _` )「……ブーンの話によると、奴は外見幼女、中身還暦らしい」

('、`*川「漫画とかに出てきそうだね」

(´< _` )「つまり、捕獲は容易だということだ」

('、`*川「何を考えているかな?」

(´< _` )「SMの経験は?」

('、`*川「二十二回ぐらいかな」

(´< _` )「亀甲縛りは?」

('、`*川「準二級」

(´< _` )「よし……クロロホルムはあるか?」

('、`*川「家にはある」

(´< _` )「常備しとけよ」

('、`*川「っていうか、さっきから会話全体がおかしくない?」

(´< _` )「おかしくない」


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:57:23.50 ID:NBVACXnA0
プレイルームとでも呼ぶべき部屋から縄を数種持ってくる。
それをペニサスに持たせ、弟者は玄関へ。

('、`*川「マジメで、どちらかというと静かな人でした……いや、
     怒ると手が付けられなくなる、のほうがいいかな?」

(´< _` )「『もしも弟者が逮捕され、インタビューを受ける立場となった場合のシュミレーションその1』
       みたいなことはしなくていい」

('、`*川「えへっ」

(´< _` )「黙れ三十路」

('、`*川「まだ五年以上も猶予があるわい」

(´< _` )「さて、行こうか」

扉の前。
緊張の糸が張り詰めて。

一気に押し開く。

そこにいた誰かの口をふさいで、家の中へ押し込む。
拉致。比喩的な意味ではなく。

(´< _` )「縛れ!」

('、`*川「ラジャ!」


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:58:03.19 ID:NBVACXnA0
ξ゚听)ξ「……」

ツンがひいている。
兄者は、禍々しい雰囲気に飲まれて泣いている。

(´< _` )「……よし」

('、`*川「ところで、この子であってるの?」

川д川「ンーーーーーーーー!!!」

口を塞がれた女がうめきを漏らす。

(´< _` )「違う気がするな、どうにも」

('、`*川「なんか、どっちかっていうとロッキーっぽいよね」

(´< _` )「とりあえず、テープを剥がしましょうか」

川д川「……ぷはっ……し、死ぬかと思いましたよぉ」

('、`*川「設定上死んでるんじゃないの?」

(´< _` )「……」

弟者、無言でロッキーの頭に平手を落とす。

川д川「いだ! な、なんでなんで!?」


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:58:47.70 ID:NBVACXnA0
川д川「……はぁ、そんな事情ですか」

経過を聞いたロッキーは一瞬納得。
しかし、直後反転。

川д川「って、私は元に戻してもらいたいですよう!」

('、`*川「テレビに入れるんだからいいじゃない」

川д川「思い出の価値はプライスレス!」

(´< _` )「それはもしかしたら、とんでもなく劣悪な記憶かも知れない。
       例えば、休み無しで働かされる土木作業員……
       例えば、全英オープンに全裸で突入するナウなイタリア人……」

川д川「そんなに年老いてないです!」

ξ゚听)ξ「……今は、そんなこと話してる場合じゃないでしょ」

(´< _` )「そうだぞロッキー」

('、`*川「幼女にたしなめられるなんて」

川д川「どうでもいいですから、さっさと縄をほどいてください……」


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 21:59:19.74 ID:NBVACXnA0
川д川「そういえば、見ましたよ」

('、`*川「誰を?」

川д川「それっぽい人です。 ここに来る途中で」

(´< _` )「……追うか」

('、`*川「じゃあ、いったん家に帰ってクロロホルム持ってくる」

(´< _` )「はーい、役割分担しまーす。
       アホサスは家に帰ってクロロホルムの準備。ツンと兄者は俺についてくる」

ξ゚听)ξ「私も?」

(´< _` )「興味は?」

ξ゚听)ξ「あるけど」

(´< _` )「あと、ロッキーは留守番」

川д川「え……」

(´< _` )「留守中にプーチン大統領みたいな暗殺者が訪れるかも知れない」

川д川「そ、そういうときは……?」

(´< _` )「いち早く殺されるべき」

川д川「ふえ……」


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:00:08.71 ID:NBVACXnA0
(´< _` )「それじゃあ行こうか」

('、`*川「いざ鎌倉」

川д川「あの、ちょっ(´< _` )「節電のため、消灯しまーす」

川д川「いや、あの、すみません、私暗いところなかなか苦手なんで……」

パチッ

川д川「いやああああ! く、暗い! 暗いぞ!
    少佐、何をやっているぅ!?
    マズい、さあ、そこにあるAK74を拾え! 敵歩兵はすぐそこまで来ているぞ!」

パチッ

川д川「あ、ついた」

('、`*川「なんなの、今の人格」

川д川「え、なんのことですか?」

(´< _` )「まぁどうでもいい。行こう」

パチッ

川д川「メディイイイイイイイイイイイイイイイック!!」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:00:50.50 ID:NBVACXnA0
そんな感じで。
弟者を先頭に四名。
ネオンの光溢れる宵闇の街へ繰り出す。
途中アホサスと別れて、一行は三人に。

(´< _` )「やはり手分けして探すべきか」

ξ゚听)ξ「いや、大丈夫。全知全能を舐めちゃダメよ」

(´< _` )「ああ、そういえば」

ξ゚听)ξ「……うん、(12,38,7x)にいる」

(´< _` )「座標でいわれても」

ξ゚听)ξ「すぐそこのゲイバーね」

(´< _` )「ゲイバーとな。つーか、もっと早い段階で言えよ」

ξ゚听)ξ「ペニサス姉ちゃんに知られたら災難じゃない」

(´< _` )「ふん……」

ツンの案内でゲイバーへ。

(´< _` )「お、あれか」

やがてそれらしい看板を発見する。


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:01:28.25 ID:NBVACXnA0
( ,,゚Д゚)「いらっしゃいまら〜ん?」

(´< _` )「やあ、マスター。久しぶり。
       とりあえず、水割りをもらえるかな」

(-_-)「ちょっとギーたん、その子は?」

同僚らしき男が数人、わらわら近寄ってくる。

<ヽ`∀´>「あらん、けっこうイケメンニダよん」

J( 'ー`)し「早々に目を付けたの? 相変わらず早いわね」

( <●><●>)「将来性が高いのはわかってるわ」

( ,,゚Д゚)「違うわよ……で、なんでここに?
      しかも、アニージャたちまで……」

(´< _` )「いろいろ理由がありまして」

意外と清潔そうな内装。
規模は……ゲイバーとしてはそれなり、といったところか。
古びた照明が眼に突き刺さる。
客が四人程度……その中に。

「チョト、ミーのカーチャンを奪わないでくれRU!?」

奴がいた。


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:02:28.47 ID:NBVACXnA0
ξ゚听)ξ「カーチャン?」

J( 'ー`)し「あちきのことよん♪」

( <●><●>)「カレ、お客からカーチャン、なんて慕われてるのはわかってるわ」

从 ゚∀从「ガッデムだYO! ミーのカーチャ……あ」

(´< _` )「お前……ハインだな!」

弟者が内藤剛志みたいなアクションで飛びかかる。

从 ゚∀从「NO! NO! ジャポニカ人乱暴NE!」

ゲイバーはたちまち阿鼻叫喚の境地。

( ,,゚Д゚)「やめてオトージャ! 常連なのよ!」

(´< _` )「そんな呑気なことを言っててどうするんだ!
       こいつを放置しておけば、いつしか地球は滅ぶぞ!」

( ,,゚Д゚)「ダメダメなの!」

从 ゚∀从「ちょ、わかったYO! ユーたちの言いたいことはわかってる! YO!」

いつのまにか他のお客がいなくなっていた。
逃げたらしい。


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:02:59.59 ID:NBVACXnA0
場を整理。
弟者はとりあえず落ち着いて……しかしハインを逃がさないよう監視しながら……椅子に座る。

周りには五人のゲイ。
そしてツンと兄者。

从 ゚∀从「……つまり、兄者クンのことNE!?」

( ,,゚Д゚)「トイレ行ってくるわ」

J( 'ー`)し「生きて帰ってくるのよん」

(´< _` )「御託はいいから、とりあえず兄者を元に戻してください」

从 ゚∀从「ホワイ?」

(´< _` )「事情が変わったんです」

从 ゚∀从「ふん……ま、元に戻すの、そこそこ簡単ですよ?」

懐から錠剤を一つ、取り出す。
そして、置いてある、酒の入ったグラスに投入。
泡を出して溶ける錠剤。

从 ゚∀从「これ飲めば元に戻るネ」


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:03:30.26 ID:NBVACXnA0
( ,,゚Д゚)「ぶるわああああああああああああああああああ」

从 ゚∀从「OH?」

( ,,゚Д゚)「オトージャ! つまりハイリンが黒幕なの!?」

(´< _` )「ああ、はい」

( ,,゚Д゚)「ぶるわ、ぶるわ、ぶるわああああああああああああああああああああ」

ξ゚听)ξ「エンジンみたい」

从 ゚∀从「ハハ、ジャポニカ人おもろいね」

(´< _` )「そういえば、さっきアホサスと一緒に家に来たらしいが」

从 ゚∀从「オウオウオウオウ、 ソレハネ、謝罪とばいしょーしよーかと。
     でもなんか放置PLAYされたから絶頂しつつここに来たのYO!」

ξ゚听)ξ「……」

耳をふさぐツン。

( ,,゚Д゚)「冗談じゃない……ああ、まったく冗談じゃない」

从 ゚∀从「謝るYO! でも、こうやれば全部丸くおさまるよNE?」

ロッキーのこと。ブーンのこと。懸案事項はいくつもある。

(´< _` )(ま、いいか)


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:04:07.78 ID:NBVACXnA0
( ,,゚Д゚)「ああ、もう、やんなっちゃう!
      そもそもアニージャは冷蔵庫に放置されてたのよ!?」

从 ゚∀从「ああすれば誰かが拾ってくれるオモタ。
     案の定弟が拾ったワロタ」

(´< _` )「もういいよ、何もかも」

( ,,゚Д゚)「よくないわYO!」

口調が感染したギコ。
グラスを取り上げる。

从 ゚∀从「あ、それ」

( ,,゚Д゚)「酒と泪と男と男ぉぉぉぉぉあぁあああああ!!」

飲み干した。

(´< _` )「……」

从 ゚∀从「……あれ、最後の一錠YO?」

直後、ギコの身体に変化が。


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:04:51.20 ID:NBVACXnA0
( ,,゚Д゚)「おおう!?」

(-_-)「どうしたの!? ギーたん!?」

( ,,゚Д゚)「か、身体が燃えるようだわ……!」

似つかわしい効果音。
それはドクンドクン。

从 ゚∀从「あーあ、知らないYO?」

(´< _` )「……これ、どうなるんだ?」

从 ゚∀从「言うのフォゲットしてたNE!
     元に戻るっていうより、兄者になるっていうのが正しいWA!」

( ,,゚Д゚)「うああああああああああああああああああああああああああ」

それは。
まるでコナンのように。


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/01(木) 22:05:25.10 ID:NBVACXnA0
( ,,゚Д゚)→( ,, Д )→(  _ゝ )→( ´_ゝ`)

( ´_ゝ`)「……ん?」

( ´_ゝ`)「だー?」

( ´_ゝ`)「こ、この身体は……! 俺は再生したのか! この装備は……まさに神の証!」

( ´_ゝ`)「おにーちゃんかっこいいね!」

( ´_ゝ`)「それはそうだろう……!」

ξ゚听)ξ「ややこしいわね」

(´< _` )「つーか装備じゃなく、ただのチャイナドレス……」

・・・

・・



第十三話 おしまい

次回 怒濤の最終話。


2 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:22:24.94 ID:XAMO4Drr0
登場人物紹介圧縮版

(´< _` ) 弟者 15

( ´_ゝ`) 兄者 2

( ,,゚Д゚) ギコ 49→( ´_ゝ`)

(*゚ー゚) しぃ 25

(*゚∀゚) つー 25

('、`*川 アホサス 24

川 ゚ -゚) クー 24

(*‘ω‘ *)→/ ・ω・ヽ ぽ ??

( ><)→(Д゚) ベンツ ??

川д川 ロッキー 15

ξ゚听)ξ ツン 7 

( ^ω^) ブーン 17

从 ゚∀从 ハインリッヒ ??

ゲイバーの皆様


3 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:22:59.89 ID:XAMO4Drr0
(´< _` )「ややこしいので差別化を図りたい」

ξ゚听)ξ「どうやって?」

(´< _` )「まず、ギコさんが変化してできあがった兄者を兄者Aとする」

(A´_ゝ`)

(´< _` )「次、二歳児兄者を兄者2ndエボリューションとする」

(2nd´_ゝ`)

ξ゚听)ξ「どっちかっていうと、二歳児兄者がファーストなんじゃないの?」

(´< _` )「ファーストのくせに生意気なのよ!」

ξ゚听)ξ「あ……」

(´< _` )「って罵られる可能性があるからきゃっξ;;)ξ「ぐす……」

(´< _` )「え」

ξ;;)ξ「ご、ごめんなさ……」

(´< _`;)「え、ええ? 今の俺そんなに怖かった!?」

( < ●>< ●>)「序数かアルファベット。どちらかに統一した方がいいのはわかってるわ」

最終話 はじまり


4 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:23:30.43 ID:XAMO4Drr0
(´< _` )「そんなわけで統一」

(A´_ゝ`)「俺は兄者。ガダルカナル星からやってきた、王子なり」

(B´_ゝ`)「へんなひとだー!」

(´< _` )「……この場合、ギコの人格はどこに消えたんだ?」

(A´_ゝ`)「いや、あたしがギコよん?」

从 ゚∀从「人格までは変わらないんだNE!」

(A´_ゝ`)「なんかぁ、ノリ的にぃ? アニージャっぽく振舞えばいいのかしらん、って」

(´< _` )「六本木ヒルズの上から逆さ吊りにしてやろうか」

ξ゚听)ξ「それで、どうするの? なんにも進展してないわよ。
      むしろ後退」

(´< _` )「いや、これはこれでアリかもしれない。
       ……ええと」

(A´_ゝ`)「あたしのことはビルゲイツって呼んでいいわよん?」

(´< _` )「うわぁ、外見が実の兄だから易々と殴れる気がしてきたぞー」

< ヽ`∀´>「ケンカなら外でやってほしいニダよん」


5 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:24:10.68 ID:XAMO4Drr0
(´< _` )「ギコさん改め兄者にはしばらく兄者の役をやってもらいます」

(A´_ゝ`)「どういうこと?」

(´< _` )「つまりかくじか」

(A´_ゝ`)「あはん、つまりぃ、私が? あなたのマミーの前で、兄者らしく?」

(´< _` )「なんで変身前よりも喋りがキモくなってるんですか?」

(A´_ゝ`)「仕様」

(´< _` )「……ま、とにかくこれで万事解決か」

ξ゚听)ξ「え」

(-_-)「ギーたんの扱いはどうするのん?」

从 ゚∀从「JO−RENのミーに言わせてもらうと、この店には若さのエキスが足りなかったから、
     ちょうどいいと思うNE!」

J( 'ー`)し「それはぐっどあいであ! あちし、歓迎するわよ?」

( < ●>< ●>)「客数増加が見込めるのはわかってるわ」

ξ゚听)ξ「そ、そんなに簡単な問題なの?」

从 ゚∀从「だってもう薬がないから、治療のしようがないNE! HA−HA−HA」

そんな感じで。


6 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:24:54.46 ID:XAMO4Drr0
早々に店を出たツンと弟者。そして兄者が二人。

(A´_ゝ`)「久々の若い身体はいいわねん」

(´< _` )「まさかこれほど丸く収まるとは思ってなかった」

ξ゚听)ξ「ぜんぜん丸くない気がするんだけど」

(´< _` )「何を言ってるんだウォシュレット。
       僕らの未来は、まるであの月のようにまんまるじゃないか!」

ξ゚听)ξ「三日月だけど。
      っていうか、ハインを放置してきたよね?」

(´< _` )「うん」

ξ゚听)ξ「……もういいよ」

眠らぬ街を歩く。そのうち、誰かの影が接近。

('、`*川「おいおいおい、キミたち!」

(´< _` )「げぇっ、夜回り先生!」

('、`*川「よくもまぁ置いてけぼりにしたな?
     先生、軽く泣いたよ?」

(´< _` )「ああもう、大丈夫。解決したから」


7 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:25:44.68 ID:XAMO4Drr0
(A´_ゝ`) (B´_ゝ`)

('、`*川「……何これ」

(A´_ゝ`)「すなわちぃ、かくかくぅ、しかじかぁ?」

(´< _` )「ぴかぴかぁ?」

('、`*川「……」

事情を聞いた途端。
前のめりに倒れこむアホサス。
当然、誰も助けない。

(´< _` )「あれぇ、こんなところにアホが落ちている」

('、`*川「お、おいおい、ボーイ……冗談だろ?」

(´< _` )「ウソをウソと見抜けない人がなんちゃらかんちゃら。
       でもこの話はマジ」

('、`*川「遊戯ボーイ!」

(´< _` )「まぁそういうわけで、アホサスの恋路は途絶えたわけです」

(A´_ゝ`)「なんのこと?」


8 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:26:35.42 ID:XAMO4Drr0
(´< _` )「近頃、何か近所で嫌がらせとか発生してませんでした?」

(A´_ゝ`)「ううん……ああ、昨日ぐらいに、ポストにまとまるくんが五十個ぐらい入ってた」

(´< _` )「また懐かしいものをぶち込みましたねえ、アホサス?」

('、`*川「だって、ギコさんっていったらまとまるくんじゃん」

(´< _` )「その思考回路が理解できない」

('、`*川「ギコさんがいなくなったから、四月某日は失恋記念日……
     だ、大体その姿を見た娘さんたちがなんていうか!」

(A´_ゝ`)「それを忘れてたわ」

('、`*川「一番忘れちゃだめでしょ?」

(´< _` )「確かめに行けばいいんじゃね?」

('、`*川「へ?」

(´< _` )「いざ、TWO−SEEへ」


9 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:27:07.47 ID:XAMO4Drr0
ξ゚听)ξ「ねえ、私六歳」

(´< _` )「大丈夫、兄者Bは二歳」

(B´_ゝ`)「んー?」

ξ゚听)ξ「そーゆー問題じゃない」

アダルトショップ「TWO−SEE」の前にて。

ξ゚听)ξ「じゃあ私ここで待ってる」

(´< _` )「いいのかなあ? 手持ち無沙汰にアダルトショップ前で待っている六歳幼女になっていいのかなあ?」

(A´_ゝ`)「ビデオのタイトルは「ツン 六歳。恥ずかしいけど・・・・・・」。
       三点リーダにしないのがミソ」

ξ゚听)ξ「ば、バカ言ってんじゃないわよ!」

('、`*川「少し見ないうちに饒舌になったねえ、ツンちゃん」

ξ゚听)ξ「……そ、そんなことないよー?」

(´< _` )「最早見苦しい」

(A´_ゝ`)「お客五名、入りまーす」

ξ゚听)ξ「あ、ちょ」


10 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:27:58.90 ID:XAMO4Drr0
(*゚ー゚)「!」

('、`*川「ありゃ、しぃさん。仕事、もう終わったの」

(*゚ー゚)「一応……公務員だから」

(´< _` )「そりゃあいいご身分だな!」

(*゚∀゚)「いらっシャイニングフィンガー。お金を払えばポロリもあるよ☆
     おお、これはこれはおそろいで」

ξ////)ξ「……」

(´< _` )「真っ赤なおっかっおっのー」

ξ////)ξ「うるさいうるさいうるさい」

(*゚ー゚)「……」

(´< _` )「蝋燭をご所望ですか?」

(*゚ー゚)「はい……きらしちゃって」

(*゚∀゚)「まったく。言ってくれれば持ち帰ってあげたのに。
     それで、今日は何が必要かな?」

(´< _` )「実はね」

今日何度目かのかくかくしかじか。


11 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:28:35.59 ID:XAMO4Drr0
(A´_ゝ`)「まぁそんなわけで、今日から私があなたたちの父です」

(*゚∀゚)「逆算すると……どうなるの?」

(´< _` )「多分0歳の父ぐらいになるかと」

(*゚∀゚)「ふむ、そうかそうか」

('、`*川「ええ、それだけ!?」

(*゚∀゚)「それだけじゃないよ。
     今からしぃがとっても面白いことを言うから」

(´< _` )「えー、マジー? チョーウケる予定なんだけどぉ?」

(*゚ー゚)「なんなの? この流れ」

(B´_ゝ`)「おねーちゃんおもしろいのー?」

(*゚ー゚)「……え、ええと」

(*゚ー゚)「お、お父さん! 前から好きでした! 結婚してく(*゚∀゚)(A´_ゝ`)(´< _` )「死ね」

('、`*川「っていうか、こんなに和やかでいいの?
     本気で悩んでいるのは私だけなの?」


12 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:29:10.51 ID:XAMO4Drr0
扉が開く。現れる一人の女性。

ξ゚听)ξ「あ」

川 ゚ -゚)「ああ、ツンか」

ξ゚听)ξ「……そんな反応だけでいいの?」

(´< _` )「どうしたんです?」

川 ゚ -゚)「ああ。テレフォンセックスの派遣をしていたんだ。
     そうしたら、相手が道具を使ってほしいとか言ってきたもんでな。買いに来た」

(´< _` )「バカ?」

('、`*川「ねえ、ここにいるメンバーさあ」

(A´_ゝ`) (B´_ゝ`) (´< _` ) ξ゚听)ξ
川 ゚ -゚) ('、`*川 (*゚∀゚) (*゚ー゚)

('、`*川「……全員、身内みたいなもんだよね」

川 ゚ -゚)「ま、全人類兄弟だからな」

('、`*川「なんでこんな場所で、大団円みたいな状況になってるの?」

(´< _` )「仕様」

('、`*川「マジで!?」


13 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:30:03.50 ID:XAMO4Drr0
川 ゚ -゚)「うん、なんかその、あれだな。めでたいな」

('、`*川「めでたくないよ!? 根本的な解決になってないよ!」

(*゚ー゚)「でもいいことばっかりだよね」

('、`*川「狂ってる、あんたたち狂ってるよ!」

(´< _` )「何を今更」

('、`*川「ふええ……」

(A´_ゝ`)「ううん、とりあえず、飲みに行く?」

(*゚∀゚)「いいね!」

(*゚ー゚)「アホサスさんもどうですか?」

('、`*川「自棄酒になってもいいなら」

(*゚∀゚)「よし、じゃあアホサスの奢りで」

('、`*川「それはおかしいんじゃないかなー」

(A´_ゝ`)「ほら、子供は早く帰りな!」

(´< _` )「把握」


14 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:30:56.83 ID:XAMO4Drr0
居酒屋の前で二手に分かれる。
帰り道。
弟者とツンと兄者B。

ξ゚听)ξ「……本当に、根本的解決になってないわ」

(´< _` )「ん?」

ξ゚听)ξ「じゃあ何? 私はこのまま全知全能でいればいいの?
      ……ま、別に困りはしないけどさ」

(´< _` )「なんこつ」

ξ゚听)ξ「……」

ξ゚听)ξ→ξ////)ξ

(´< _` )「なんこつってワードだけで顔を赤らめるのはあれだよな。
       あれじゃね? 全知全能っていうかムッツリスケベになっただけじゃね?」

ξ゚听)ξ「そ、それ以上言ったら去勢させてやる!」

(´< _` )「ほら、脅し文句までアダルティーになってきた」

ξ゚听)ξ「というか、は、話そらしてない!?

そんな感じで。
一行はマンションに戻る。


15 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:31:29.51 ID:XAMO4Drr0
部屋に入ると、なぜかロッキーが震えていた。

川д川「あうあう……」

(´< _` )「どうした、初潮?」

ξ゚听)ξ「つくづく思うけど、アンタ最低よね」

川д川「さ、っさっきあっちの部屋っから、へ、へんなのが、で、でてきて……」

ξ゚听)ξ「ぽのことじゃない?」

言われて、弟者は兄者の部屋へと視察に。
確かに、そこにぽはいなかった。

川д川「ななななんか、そそそこに、て、手紙をおいてけぼりに……」

(´< _` )「手紙……? ベンツが書いたのか」

テーブルに一枚のチラシ。

(´< _` )「どれどれ」


16 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:32:08.91 ID:XAMO4Drr0
『ジブンサガシノタビニデタッテイウナカタヒデトシヲツイセキスルタビニデルセイヤー
 イママデゴハントカイバショトカヨウイシテクレテアリガトウセイヤー
 ナンデコノヘヤヲデヨウトオモッタカトイウトセイヤー
 ジブンガウチュウジンデ、イツモトノスガタニナッテマタチキュウヲセイフクシヨウトカカンガエチャウカモシレナイカラセイヤー
 モウニドトゴメイワクハカケタクナイシ、ポモタブンオナジコトカンガエテルセイヤー
 コノゴオンハキットワスレナイセイヤーサヨナラセイヤー』

(´< _` )「……」

とりあえずそのチラシを丸めて、ダストシュート。

ξ゚听)ξ「なんて書いてあったの?」

(´< _` )「全部カタカナだから読む気が失せた」

ξ゚听)ξ「ひどい人」

川д川「あうう……そ、そういえば結局、どうなったんですか?」

(´< _` )「ああ、そうだった。
       かくかく」

川д川「……あれ? 私は結局どうなるんですか?」

(´< _` )「どうなるんですかって、元に戻れるとでも思ってたの?」

川д川「……」

ξ゚听)ξ「サディストや! ほんまもんのサディストや!」


17 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:32:49.60 ID:XAMO4Drr0




( ゚∀゚)「それからぁ、一週間ほどのぉ、月日がぁ、流れたぁ……」


18 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:33:20.00 ID:XAMO4Drr0
(´< _` )「じゃあ、行ってくるよ、兄者B」

(B´_ゝ`)「いってらったい!」

(A´_ゝ`)「道中お気をつけてん」

二人の兄者の見送りを受けて、弟者は制服姿で家を出る。

今日は入学式。
その後には新入生歓迎会が控えている。
まぁどうでもいい。

街並みを歩いて抜けて、高校まで。

(´< _` )「ここから、俺の学校生活が始まるわけだな」

高校は、国道から少し離れた場所にあった。

(´< _` )「しかしここしばらく、色々なことがあったなあ」

回想シーン。

結局、母者の襲来という難関はギコ=兄者Aの演技力によって乗り越えることができた。
しばし、兄者Aはゲイバーを休んで子育てに専念するという。

(´< _` )「肩の荷がおりた気分でゲス」


19 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:33:53.86 ID:XAMO4Drr0
校門をくぐって校舎へ。
なかなか綺麗だな、とか思いながら指定された教室へ。

そこから、新しいクラスのメンバー全員で体育館に行き、入学式に参加するという手はずらしい。
まぁどうでもいい。

(´< _` )「一年一組の教室は……こっちか」

教室に入る。
さすがに、静かなものだ。

ごく一部を除いて。

「いYA−! イズ、ジス、ア、グッチ?」

「あ、あの、ええと」

(´< _` )「む、邪気……」

从 ゚∀从「そこにー、存在を露にしているのはオトージャかっNA−!?」

とりあえず接近して、殴る。


20 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:34:25.49 ID:XAMO4Drr0
从 ゚∀从「もう、ベッドの上だと優しいのにNE!」

(´< _` )「お前、還暦直前と聞いたが」

从 ゚∀从「あるときは還暦、あるときは幼女、しかしてその実体は! 十五歳ヨ?」

(´< _` )「ああもう、退学してもいいからコイツを窓から投げたい。
       まるでデスクトップのように」

从 ゚∀从「まー、SO−熱くなっちゃだめっちんぐ。
     それより、ドゥー? アニージャたちは」

(´< _` )「元気っちゃ元気」

从 ゚∀从「副作用が出る可能性は高いからアテンションプリーズYO?」

(´< _` )「うん、死ね」

「はいはいはい、みんな、席につきなさーい」

やたらと元気な女の声。
どうやら、彼女がこのクラスの担任らしい。

(*゚ー゚)「今日からこのクラスの担任をさせてもらいまあああああああ!?」


21 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:35:07.68 ID:XAMO4Drr0
(´< _` )「……」

(*゚ー゚)「……」

从 ゚∀从「見つめあうと素直におしゃべりできないのけ?」

(*゚ー゚)「……そ、それじゃあみなさん、体育館に参加するために上履きへ移動しましょう。
    ちゃんと入学式に履き替えてくださいね」

(´< _` )「挙動不審にもほどがある」

(*゚ー゚)「っていうか、なんで?」

(´< _` )「高校入学するためにこっち来たって言いませんでした?」

(*゚ー゚)「聞いてない……」

(´< _` )「まぁ俺もあなたが高校教師だったとは聞いてませんが」

(*゚ー゚)「……」

(´< _` )「……」

(*゚ー゚)「……」

(´< _` )「……そういえば蝋燭を安く買える通販サイトが(*゚ー゚)「はい、じゃあ移動しましょーねー」

从 ゚∀从「ワケあり?」


22 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:35:39.06 ID:XAMO4Drr0
そして入学式は、危うくも終了。
続いて、新入生歓迎会へと続く。
まぁどうでもいい。

从 ゚∀从「こんなのドーでもEからはやく帰らせてケロロン」

(´< _` )「うるせえな、黙って聞いてろボケ」

「続いて、生徒会長による、新入生への言葉です」

壇上にあがる一人の少年。

( ^ω^)「みんな、ようこそだお。僕が、この高校の生徒会長なんだお!」

(´< _` )「……」

从 ゚∀从「お、彼をルッキングしたことサムタイムあるNE!」

(´< _` )「てめえが薬物実験したモルモットだろうが」

( ^ω^)「……まぁそんなわけで、みんな楽しんでほしいお!」

(´< _` )「おかしいな……新生活が始まった気分じゃないぞ……」

そんな感じで。
その日は、帰路につく。


23 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:36:29.48 ID:XAMO4Drr0
(´< _` )「残酷な言葉のうらがーわーにー」

从 ゚∀从「潜む森羅万象のいましめーもー」

(´< _` )「ああ、俺の高校生活は楽しいものではないようだ」

从 ゚∀从「高校デビューとか考えてるパーソンって大体失敗するんだYO!」

(´< _` )「……もういいや、死のう」

从 ゚∀从「OH! それは困るYO!」

(´< _` )「なぜ」

从 ゚∀从「だってあちき……YOUにゾッコンだ・か・ら・★」

(´< _` )「ああもう、絶対死んでやる」

从 ゚∀从「やーYO-!」

(´< _` )「つーかなんで俺の隣にいるんだ死ね死ね死ね死ね黄色い豚めをやっつけろ」

ハインを追いやって。
弟者はやっと一人に。

(´< _` )「……いろいろしんどい」

マンションに帰って、扉を開ける。


24 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:37:13.29 ID:XAMO4Drr0
(A´_ゝ`)「大変よ、オトージャ!」

(´< _` )「ああ、うん」

(A´_ゝ`)「アニージャが、アニージャが元に戻ったの!」

(´< _` )「うん」

リビングに二人の若い男。
どうみても兄者。どっちも兄者。
副作用のせいだろうなーとか、弟者はぼんやり考える。

(B´_ゝ`)「おお、我が弟よ、久しいな」

(´< _` )「うるせえ、俺は寝る」

(B´_ゝ`)「何を言う! 再会の喜びを分かち合おうではないか!
       そう、お前にもわずかながら闇と光の力が備わっているんだぞ!」

(´< _` )「ああもう、何もかもがどうでもいい」

(A´_ゝ`)「レッツ双子プレイ!」

(B´_ゝ`)「フン、これでお前は俺の影武者の役を担うことができたな。
       光栄だろう?」

(A´_ゝ`)「ええ、光栄よん、勃起しちゃうほ・ど・に・♪」


25 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:38:09.71 ID:XAMO4Drr0
元ベビールーム(仮)に倒れこむ弟者。

(´< _` )(今家には兄者が二人いて、
       一人は兄者で一人は兄者じゃなくてギコさんで。
       でもまぁ、それ以外は片付いたからいいか。
       ロッキーも、記憶を取り戻してしまったらしいし)

(´< _` )(もう何がなんだか、ねえ?)

(´< _` )(……寝よう)

(A´_ゝ`)「いやん、アニージャ。いきなりクタラギプレイは激しすぎるわ!」

(B´_ゝ`)「フハハハハハハ、跪け、愚民どもぉ!」

(´< _` )「俺のぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

(A´_ゝ`)(B´_ゝ`)「!!」

(´< _` )「俺のぉ! 学校生活はぁ! これからだぁ!!!……Zzz」

・・・

・・



最終話 おしまい


26 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:38:40.81 ID:XAMO4Drr0
前略

まだまだ暑い日は続いていませんねごめんなさい。
えっと、ロッキーです。違います。さだこです。
多分、中学三年生だと思います。

あのあと、私は記憶を取り戻すことができました。
おかげで家に帰ることもできたのでとてもよかったです。前髪は切りました。

でも、アホサスさんたちと過ごした日もたのしかった……です。
ほんとですよ、ええ……うん、嘘なんてついてないです。

未だにテレビから出入りはできちゃいます。どうすればいいんでしょう?
まぁでも、これはこれでアリかなあ、とか最近思っちゃってます。

……ここまで書いて気づいたのですが、この手紙、誰に出せばいいんでしょう?
アホサスさんの住所とか覚えてないんですよね。

っていうか、彼らに手紙を出すのは……そのう、本能的に拒絶してしまいます。
この際、はっきり言いますね。

もう二度と、あいつらと関わりたくねーよバーロー。

・・・

・・






27 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:2007/03/04(日) 19:39:33.93 ID:XAMO4Drr0
以上でした。

「兄者が冷蔵庫の中に入ってたらおもしろいんじゃね?」みたいな発想で始めたお話。
最後まで付き合ってくれた人、いましたらどうもありがとうございました。

あずまんが大王のような、なにげに面白いなーってノリを書きたかったです。
見事失敗しました。
今は首を吊りたい気分で一杯です。
つーか登場人物多すぎワロタ。伏線回収雑杉オワタ。

えー、そんな感じです。
閑古鳥が鳴くー♪
質問されても多分答えられないと思います。
そこまで深いこと考えて書いてないので。

合作とか頑張りますー。

最後にもう一度。
ありがとうございました。
それでは。




【関連】
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