( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)ブーンは聴覚障害者のようです〜

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2 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:23:05.55 ID:VOHrFKPWO
〜プロローグ〜
幼い頃の記憶――
誰もが忘れ去ってしまうほど幼い頃の記憶を僕は覚えている。
その記憶の中で、母親は泣き父親は苦しんでいる。

―――何故?

( ^ω^)は聴覚障害者のようです


3 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:23:59.86 ID:VOHrFKPWO
「聞こえる?ブーン?」いきなり聞こえてきた声に少年は驚き辺りを見回す。
無音に近い世界から「普通」の音の世界へ。
少年、3歳になろうとしていた―――


〜其の壱〜
砂糖がコーヒーに溶けてゆくように、あれだけ積もっていた雪は無くなった。
街中を通り抜ける暖かい風に桃色の花びらが舞う。
そしてその中を息をきらせ走る一人の少年がいた。


4 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:25:18.72 ID:VOHrFKPWO
(;^ω^)「ち、遅刻だお…」

彼は内藤ホライズン。
友人達にはブーンの愛称で親しまれている。
今日で高校三年生の彼の髪は肩に届く長髪。
まるでロックミュージシャンのようだ。
そして彼には誰にも言えない悩みがあった。


( ^ω^)(補聴器をつけてるのが見えないようにしないといけないお)

そう。
彼は生まれつきで耳が悪く、補聴器をつけていたのである。
そしてそれが原因で小学校中学校と、
学校でイジメの対象となっていた。



5 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:27:16.91 ID:VOHrFKPWO
親を恨んだ事もある。
ただ恨んでもどうなるものでは無い。
その思いは既に吹っ切っている。
普通に話す分には影響はないことだけが幸運だった。

彼は高校の門をくぐり、教室に入る。
そして友人達の姿を見つけた。

( ^ω^)「おいすー」
('A`)「よお、ブーン」
(´・ω・`)「遅かったじゃないか」
ξ゜凵K)ξ「もっと早く来なさいよね」

彼らはドクオとショボン、そしてツン。
二年生の時に出来た親友。
ただ親友といっても彼らの知らない事がある。
もちろん障害の事だ。
この三人にだけは知られてはならない。
特にツンには――
密かにブーンはツンに想いをよせていた。

( ^ω^)「スマソコ。寝坊したんだお」

そして今日も変わらぬ日々が始まろうとしていた。


6 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:29:00.95 ID:VOHrFKPWO
「あいつ耳なんかつけてんじゃん?」
「あれショーガイシャってやつらしいぜ?」
「気持ちわりーwww」
子どもは純粋であるがために残酷である。
聞こえない方が良いこともある。
このような声が聴こえる度に母親は少年の耳を塞ぐ。

――その母親自身の泣き声さえも覆い隠すがために


〜其の弐〜
季節は移り木々は新緑の色を纏う。
熱い日差しに照らされた水色のプールの上空には虹色の光。
ブーン達の通う高校もプールの授業が始まる。
誰もが待ち望んだこの夏。


7 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:30:31.48 ID:VOHrFKPWO
('A`)「暑いな…プール入りてえ」
( ´ω`)「プールかお…。はぁ…」
(´・ω・`)「どうしたんだい?ブーン
元気が無いみたいだけど」

しかしこの少年は別。
髪で隠しているとはいえ、水は補聴器には天敵。
耳が殆ど聞こえない状態でプールの授業など彼には苦痛だった。

( ^ω^)「な、なんでもないお!
あまり泳げないから不安なんだお」
;゜凵K)ξ「あ、私もだ…」
(´・ω・`)「まあ多分そんなに泳ぐことはないんじゃない?
あの先生優しいからね」


そして授業が始まる。
着替えたブーン達はプールに向かい先生の指示を受ける。


8 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:32:34.17 ID:VOHrFKPWO
「今から…だか………」
「…………分かったか?」
「マジかよ…や………」
「……wwww」

言っている事が半分も分からない。
何をすればいい?
聞きにいくか?
――でも聞こえない。
周りに合わせるか?
――1番前は自分だ。

始まったらしい。
無情にも笛の音は鳴り響いた。
(※人間は高い音ほど耳に届きやすい
この場合は笛の音がそれ)
ブーンは訳も分からず飛び込んだ。
クロールで泳いでいく。
泳ぎながらふと横を見る。



―――――誰もいない


9 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:33:27.22 ID:VOHrFKPWO
「おい!一回目の笛は中に入るだけっていっただろ!」
「あいつ何やってんだよwwww」

(´・ω・`)「ブーン!まだだよ!」
('A`)「……」

(;^ω^)「ス…スマソコ」

表面上は何事も無かったかの様に振る舞おうとする少年。
しかし水に濡れて分からないが彼の顔、体、全身から焦りの冷や汗が吹き出していた。


10 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:35:58.67 ID:VOHrFKPWO
「彼は耳が聞こえにくいらしいです」
「だから彼はここの席にしてあげて下さいね」
「えーっ」
「何でそいつだけ特別なんだよ」
「卑怯じゃん」


―――特別扱い
彼はこの言葉が嫌いだった。
自分が耳が悪いだけで腫れ物に触れるかのごとく
自分に接する周りが嫌いだった。


それならば――

それならばいっそ蔑まれた方がいい。
自虐的になった彼へイジメという暴力が向けられるのは必然的だった。



〜其の四〜
赤、黄色、色とりどりに着替えた木々は茜色に照らされて
その影を深く公園の地面に落としていた。
その公園に学生服を着た二人がいた。


11 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:37:59.69 ID:VOHrFKPWO
('A`)「ったく…話ってなんだ?」
(´・ω・`)「いや、言いにくいんだけど…ブーンの事なんだ…」
(´・ω・`)「ブーン…髪の毛で隠れているけど…補聴器つけてるみたいなんだよね」
('A`)「ああ…それか。ほっといてやれよ。言いたくねえんだろ?」


ショボンは話し出す。
親友ブーンについて。
何故自分達に隠すのか。
力になれないのか。

( ^ω^)「…?」


運命とは非情なものだ。
ブーンは「たまたま」通りがかり「たまたま」二人の話を聞いてしまう。


14 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:41:47.70 ID:VOHrFKPWO
( ;ω;)「知ってたのかお…?」
(´・ω・`)「あ…ブーン…」


静寂、そして真っ赤な夕焼けが彼らを包む。
その重い空気の中でドクオが口を開いた。

('A`)「お前…なんで隠してた?」


またもや沈黙が彼らを包む。
意を決したかのようにブーンは話し出した。

( ;ω;)「嫌われると思ったんだお
あいつは耳が悪いからなんて言われて特別扱いされるのが嫌だったんだお」
( ;ω;)怖かったんだお
みんなが離れていくのが怖かったんだお」


19 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:46:08.57 ID:VOHrFKPWO

(#'A`)「ふざけるなよ…何で俺達がお前を特別扱いしなくちゃいけないんだ…
お前ごときが耳が悪いからって…なんで俺達が気を遣わねえといけねえんだ?!
友達だと思ってんならそんぐらい言えよ!
お前が思ってるほど周りはお前なんぞ気にかけてねえよ!」
(´・ω・`)「ドクオ!」

ブーンの体中に電気が走った。
怒りの感情ではない。
今までの周りの人間と全然違う。
「障害者」としてではなく「人間」として扱ってくれる。
そんなありふれたことがとてつもなく嬉しかった。
次にブーンの口から出てきた言葉は二人にとって予想外のものだった。


( ;ω;)「ドクオ…ありがとうだお」


自らを覆う殻。
自分の嫌な事を隠す、誰にでもある殻。
ブーンはそれを一つ割る事が出来た。
夕暮れが彼らを包んでいた。


20 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:49:25.59 ID:VOHrFKPWO
「もし…子どもが出来たとして耳が悪いのが遺伝する。
その可能性ってのはあるのかお…?」

「…言いにくいけど確かに普通の人よりは確率は高いね」



その言葉は…まるで喉元に突きつけられたナイフのように…
他のどんな言葉よりも彼を傷つけた。
そして彼は思った。

子どもに辛い思いをさせたくはない。
自分には子どもは作れない。
結婚など出来ない。


――自分には人と愛し合う資格はないのだと

その夜、彼は人知れず涙を流した。



〜其の五〜
コンクリートに覆われた街を冷たい風が吹き抜ける。
裸になった木には色鮮やかなイルミネーション。
そう、今日は恋人達の夜クリスマス。
そしてここは街の光が微かに見える学校の夜のグラウンド。
白い息を吐きながら彼女は彼に思いを伝えた。


23 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:53:42.14 ID:VOHrFKPWO
ξ///)ξ(あ…言っちゃった)
(;^ω^)(…)

そう、彼とはブーン。
ドクオ達とはあれからよりいっそう仲良くなった。
しかしツンには…
ツンには自分の境遇を伝えていなかった。
なにしろ自分の好きな相手である。

想い叶わないまでもずっと一緒にいたい。

そう思っていた彼にとってこの告白はあまりにも意外で



―――辛かった。


24 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:57:49.79 ID:VOHrFKPWO
彼は迷いながらもツンに伝えた。
自分が耳の悪いこと。
決して一緒にはなれないこと。
嫌われても構わない。
その覚悟で彼女に全てを伝えた。

彼女は俯きながらブーンの独白を聴いていた。
そして―――



ブーンの顔を思い切り張った。


ξ#゜凵K)ξ「バッカじゃない?!」
(;^ω^)「ご、ごめんだお…」


25 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 03:59:24.40 ID:VOHrFKPWO
頬の痛みが心にも染みてゆく。
嫌われたと思った。

しかし次に彼女の発した言葉は…

そんなこと関係ないというドクオと似た言葉であった。

別に子どももいらない。
ただ一緒にいれればいい。


―――大好きだから。


29 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 04:04:08.27 ID:VOHrFKPWO
ツンの言葉にブーン、そしてツン自身も知らず知らずのうちに涙で頬を濡らしていた。

( ;ω;)「本当に…いいのかお?」
ξ;凵G)ξ「当たり前じゃない…
ブーンの出来ない事は私がカバーするから
それが付き合うって事じゃないの?
一人でなにもかも抱え込んで…バッカじゃない?!」


街の光に照らされた二人の姿は一つになる。
ブーンはひたすら感謝の言葉を述べる。

――こんな自分も愛してくれる人がいる。
自分も人と愛し合う事が出来る事に喜びを覚えていた。

愛、そして友情…
ドラマに良く出て来る陳腐なもの
しかしそれさえあれば障害さえも乗り越えられる事
その事をやっと彼は知った


〜end〜


32 :( ^ω^)は聴覚障害者のようです:2007/05/13(日) 04:06:32.86 ID:VOHrFKPWO
〜あとがき〜

支援ありがとうごさいました
この話は脚色を交えていますが基本的にはノンフィクションです
稚拙な文章申し訳ありませんでした

自分自身の感情を込めて書きました
ちなみに昔に「聴力障害者だけど何か質問ある?」ってスレ立ててます。

推奨BGMはスピッツのスカーレット
「誰にも言えずに 夢見ていた
崩れ落ちそうな言葉さえ
ありのまますべてぶつけても
君は微笑むかなあ…」

ここが大好きで自分に似ているのでいつ聞いても涙します




http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1178994012/




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