49 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 12:43:31.90 ID:W8fZlT2d0
そしてブーン散らばった荷を船に積めなおした
重い荷も多い
力仕事であった
いつのまにかモナーが近くに来ていた
( ´∀`)「・・・大儀であった。誉めてとらす」
50 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 12:44:51.18 ID:W8fZlT2d0
もったいのうござりまする
いや、みごとな働きであったぞ
いえ、腕も鈍りました
稲妻のようであったぞ
おそれいります
…まこと、稲妻のようであったぞ
51 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 12:46:12.19 ID:W8fZlT2d0
若様・・・何卒、なにとぞ江戸までの道に、それがしを同道させ・・
ブーン、ついてこい
・・え?
江戸まで行く。ついてこい
御意に
53 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 12:48:54.94 ID:W8fZlT2d0
忠義とは・・・忠義とはなんであったか・・・
モナの輔さまに抱いていた思いは、あれはなんであったか・・・
いま思えば、あれは立派な叔父を誇るがごとき心持であったか・・・
モナの輔さま・・・
それがしは、モナーさまに忠義をつくしまする
最期まで、モナーさまの味方でい尽くしまする!
54 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 12:50:03.79 ID:W8fZlT2d0
岡崎の飯屋にはどこでも味噌が香る
旅人はだれでもそれを食らう
ほら、今日もふたり、侍が飯屋に入る・・・
56 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 12:57:08.35 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「それで、なぜ船にのっていたんですお?」
( ´∀`)「江戸に行く金がなかったのじゃ」
ああ、それで金を稼いで江戸に行こうと・・・
( ´∀`)「船なら海路で江戸へ行けよう?」
( ^ω^)「え。」
57 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 12:59:28.84 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「隙を見て船頭から船を奪って江戸へ向かおうと思っていたのじゃが
なかなか隙のない船頭でのう。というか、働いたあとのメシがうまくてのう。
つい奪う気になれなんだ」
( ^ω^)「・・あの小船では江戸にはいけませぬお」
( ´∀`)「不可能か?」
( ^ω^)「確率の低い運任せにございますお」
( ´∀`)「そうか、では陸路を行こう」
( ^ω^)「それが理性的かとおもいますお」
58 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:02:00.84 ID:W8fZlT2d0
とことこと歩く二人をの手にはダンゴ
食べたくなったらその場にしゃがむ
だって立ち食いは作法違いだから
( ^ω^)「めんどくさいお」
( ´∀`)「黙れよ」
59 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:04:53.61 ID:W8fZlT2d0
歩いて休み 休んで歩く
そうやって次の宿場へ、次の宿場へ
夜は宿でぐっすり 宿がなければ野宿
慣れない旅も、二人なら楽し
( ´∀`)「そういえばの、あの岡崎の船じゃが」
60 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:06:27.67 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「なんか、見たことないものをたくさん積んでおったぞ」
( ^ω^)「見たことないものってなんですお?」
( ´∀`)「見たことないんじゃ。説明もできぬ」
( ^ω^)「はぁ・・・」
( ´∀`)「そうよのう・・・。なんか変な剣があった。細身の」
61 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:08:00.67 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「細身の剣ですかお?」
( ´∀`)「そうじゃ。とてもじゃないが、あれでは斬れぬだろうのう」
( ^ω^)「斬れぬ剣、ですかお?確かに変なものですお」
( ´∀`)「そうじゃろう。わは、わはは」
( ^ω^)「そういえば、こんな話を聞いたことがありますお」
62 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:10:12.28 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「イスパニヤという国の剣は細いんだそうですお
細い剣で、斬るのではなく突くのだそうでござりまする」
( ´∀`)「突いたら抜けぬのではないか?」
( ^ω^)「そこは修練によって、引き抜く技術を身に付けるのだそうですお」
( ´∀`)「斬る突くよりも引き抜くことが大変そうじゃの」
( ^ω^)「は、まことおかしな剣と剣術でございますお」
待てよ・・?
63 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:12:09.80 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「あの・・・ひょっとしてそれ、イスパニヤの剣だったのではないですかお?」
( ´∀`)「ばかものー。そんなもの、禁輸品じゃろうが」
( ^ω^)「そ、そりゃそうですお」
( ´∀`)「ブーンはばかじゃのう」
( ^ω^)「いじめないでくださいお」
64 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:14:54.37 ID:W8fZlT2d0
夜、床についてもブーンは目が冴えていた
( ^ω^)「(でもそういえば、あの荷は不自然だったお。
中身はカチャカチャチャリンと聞いたことのない音がしてたお)」
不審といえば賊もであった。
妙に文学がかった口調、まっすぐな太刀筋、気がつけば倒れたものまで
きれいにいなくなっていた。
( ^ω^)「なんか・・・気になるお・・・」
65 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:18:41.98 ID:W8fZlT2d0
某所
「なに?間違いないという話ではなかったのか?」
「は、内偵には間違いはございませんでしたが、邪魔が入った様子で」
「それで証拠は」
「ございません」
「・・・岡崎にそんな剛の者がおったか?」
「こころあたりもございませぬ」
「ふむ・・・まあよい、よくねぎらえよ。手を抜いた上での失敗でもあるまい」
「は」
・・・・・・・・・・・
67 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:23:15.09 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「さ、今日も歩くぞ」
( ^ω^)「はいですお」
てくてく
( ´∀`)「疲れたぞ」
( ^ω^)「はいですお」
68 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:24:50.50 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「なんかこう・・・疲れが溜まってきたのう・・・」
( ^ω^)「歩き詰めですから」
( ´∀`)「なんかほれ、ないのか、名物」
( ^ω^)「は、ちょっと聞いてきますお」
( ^ω^)「あ、おーい、そこの農業従事者」
('A`)「なんですかお侍さん変な呼び方して」
70 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:26:45.56 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「すまんこ。それでお百姓、尋ねたき儀あり。ていうか、お前飲み屋の・・・」
('A`)「はぁ・・あれから店が潰れましたんで、こっちで土をいじっております」
( ^ω^)「えらく移動がはやいのう・・・ブーンたちよりはやいではないか・・・」
('A`)「それで、なにを聞きたいんで?」
( ^ω^)「名物」
72 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:28:17.98 ID:W8fZlT2d0
('A`)「ここらですとアレですな。とろろ汁」
( ^ω^)「とろろ汁!疲れた体に最適ではないか!」
('A`)「へえ、みんな好んで食べますよ」
( ^ω^)「・・・お前、ずいぶんくわしいお。なんか他にも教えてくれお」
('A`)「そうですねえ・・・」
74 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:32:45.49 ID:W8fZlT2d0
ここは鞠子(まりこ)の宿。
もう少しで駿府。
駿府には神君の植えたみかんの木がある
75 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:33:53.34 ID:W8fZlT2d0
そのみかんの木には言い伝えがある・・・
なんと、バレンシアオレンジであるという・・・
まことしやかに囁かれる噂
76 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:35:44.11 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「バレンシアとはなんだお?バテレンと関係あるのかお?」
('A`)「あるっちゃああるし、ないっちゃあないですな」
( ^ω^)「はっきりいえお」
('A`)「名前は似ているだけですよ。関係はありません。
ただ、バレンシアというのはイスパニヤの地方の名だそうです」
( ^ω^)「イスパニヤ・・・」
77 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:37:19.84 ID:W8fZlT2d0
('A`)「で、イスパニヤのバテレンがいま、世界を荒らしまくっております」
( ^ω^)「そうなのかお?」
('A`)「へえ。」
( ^ω^)「なんでそんなこと知ってるお?」
('A`)「へえ、流れ者ですから」
( ^ω^)「・・・そういうもんかお」
('A`)「そんなもんです」
78 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:38:56.40 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「おおブーン!名物はあったか!?」
( ^ω^)「この先の丁字屋という店で出すとろろ汁が名物だそうですお!」
( ´∀`)「でかした!ゆくぞ!」
( ^ω^)「は」
てくてく・・・
【関連】
一気読み
その壱 -
その弐 -
その参
-
その四