79 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:42:26.14 ID:W8fZlT2d0
丁字屋
モナーとブーンは困っていた。
出されたとろろ汁をすすり、メシを口に運ぼうとしたところ、
店の者に怒られた。
「そうじゃなくて、メシにとろろをかけて食うんですよ。」
( ´∀`)「・・・」
( ^ω^)「・・・」
( ´∀`)「・・・そんなことしたら、ずるずると音が出るではないか」
( ^ω^)「でますお」
80 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:43:42.44 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「お前など、ずるずるでは済まぬぞ」
( ^ω^)「恥ずかしながら」
( ´∀`)「ズベブランチャ・ズロゾゾローくらいの音は出すじゃろう」
( ^ω^)「だしますお」
( ´∀`)「・・・店、出るか」
( ^ω^)「ええええエエエエエエえええ!!!!!!!!??????」
81 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:45:33.54 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「出しませんお!音だしませんお!だからたべましょうお!!」
( ´∀`)「心意気は買うが、音を出さぬというのも無理じゃろう」
( ^ω^)「でも!でも、これうまそうですお!これ!」
( ´∀`)「むう・・・・・・そうじゃ」
( ^ω^)「なんですかお!」
( ´∀`)「お前は、箸で食え」
82 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 13:47:33.30 ID:W8fZlT2d0
モナーは四半刻ほどでたいらげた。
ず、ず、ず、と音を気にしながらの食事であったが、
その顔は( ´∀`)こんな感じで満足そうだったという
ブーンは平らげるのにゆうに一刻はかけた
箸で、食いきった
( ^ω^)「食った気がしないですお・・・」
91 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:19:28.12 ID:W8fZlT2d0
鞠子でとろろを独特な方法で堪能し、二人は駿府へついた
頃もよし、まずは宿を確保した
( ^ω^)「ふー、一息つけますお」
( ´∀`)「おお、今日はなんか脚も楽じゃ」
( ^ω^)「とろろのせいですかおw」
( ´∀`)「さもありなん。うまいメシじゃったもの」
92 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:20:57.44 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「うまかったですかお・・・」
( ´∀`)「む、まあなんじゃ。どこにでもあるようなうまさじゃった」
( ^ω^)「・・・」
( ´∀`)「・・忘れろ」
( ^ω^)「は・・・」
93 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:22:01.81 ID:W8fZlT2d0
とろろのせいで元気になったのがひとつ
とろろをやはりズルズルと食べたかったのがひとつ
二つの理由で、ブーンはモナーが寝付いた後
町へくりだした
( ^ω^)「鞠子とは近所だから、きっととろろ屋もあるお!」
95 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:23:27.04 ID:W8fZlT2d0
岡場所、飲み屋街、武家屋敷・・・
さまよえどとろろ屋はみつからず
いつの間にか、ブーンは駿府城のあたりへ来ていた
( ^ω^)「そういえば、昼の貧相な百姓が何か言ってたお。みかんの木がなんとか・・・」
96 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:25:35.72 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「・・・ひと目みておくかお」
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン
ダッ!
お堀を飛び越えて城壁へへばりつくブーンであった
打ち首モノである
98 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:27:39.80 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「えいおえいお、よじよじ、えいおえいお・・・」
城壁を登りきったブーンは、そのまま城壁の上を歩いた。
歩きながら、城壁の内側を見ていた。
( ^ω^)「みかん、みかんと・・・」
バカである
99 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:29:03.83 ID:W8fZlT2d0
侍「ねむ・・・・ん・・・ん!?」
マヌケ面が堂々と城壁の上を歩いている
侍「え・・・・・・おいそこの不審者あああ!!!」
( ^ω^)「なにっ!?不審者がいるのかお!?」
バカである
100 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:30:58.03 ID:W8fZlT2d0
周りを探すが不審者は見当たらない
( ^ω^)「恐れ多くも神君が幼少期を過ごされたこの駿府城に不審者など・・・!!」
わらわらと人が集まってくる。
手には武器
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「しまったお」
101 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:33:12.61 ID:W8fZlT2d0
神速をもって聞こえたブーンである。
一歩で犬に追いつき、二歩で馬に・・・とにかく逃げた。
城壁の上をブンブン走り、武士を振り切ったと見るや暗がりに飛び込んだ。
ただ、暗がりは城壁の内にあった
( ^ω^)「また!またもしまったお!ああ、外に出ればよかったお!」
102 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:35:05.55 ID:W8fZlT2d0
すぐに人があつまってくる!
どうする!どうする!?
と焦るも、なぜか人が集まる気配もなし。
遠くにざわざわと聞こえるのみである
( ^ω^)「・・・どうしたんだお」
103 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:36:40.62 ID:W8fZlT2d0
バカなのでざわざわの正体を確かめようと、足音たてずに近づいてみる
城の北、なんの変哲もないところに、武士たちは集まっていた
その武士の輪の中心に、一本の木があった
105 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:39:29.80 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「あれは・・・あれが?」
不審者が現れたときに、追うより先に守るべきものがあるとすれば
城主の身である。
しかし、ここの武士たちは城主の代わりに木を、みかんの木をまもっている。
( ^ω^)「・・・なんだおこの城・・・」
ブーンはひっそりと身を翻した。
106 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:40:29.99 ID:W8fZlT2d0
暗がりを選んで町を走り、宿に戻れば一安心であった
とにかくブーンは寝た。
バカだから。
翌朝、たたき起こされるまで寝た。
108 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:44:03.02 ID:W8fZlT2d0
「御用改めである!」
家屋全体に響くその声は、当然モナーにもきこえた
( ´∀`)「うごっ!? ・・・え、なんじゃ?御用あらため?」
( ^ω^)「おーっ・・・おーっ・・・おーっ・・・」
( ´∀`)「珍妙な寝息を立ててよく寝ておるのう・・・おい、起きろ」
( ^ω^)「おーっ・・・は。おやモナーさま、ずいぶんお早いですな」
( ´∀`)「む、なんか御用改めとか下で叫んでおるでな。目覚めてもうた」
109 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:46:43.29 ID:W8fZlT2d0
( ;^ω^)「ごごごご、御用改めですかお!?」
( ´∀`)「なんじゃ・・・?・・・心当たりがあるのか?」
( ^ω^)「いささか」
( ´∀`)「あほうめ。夕べか。」
( ^ω^)「はいですお」
( ´∀`)「・・・もうよい、寝ておれ」
110 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 14:48:46.75 ID:W8fZlT2d0
一人で階下へ降りるモナー
それを心配そうにみているブーン
顔を出すなと怒られるブーン
すまんこ、と布団の中でつぶやくブーン
モナー、一世一代の大芝居の始まりである
【関連】
一気読み
その壱 -
その弐 -
その参
-
その四 -
その伍