145 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 16:43:47.49 ID:W8fZlT2d0
(,,゚Д゚)「お邪魔になるかと思い、立ち去ろうか思案していたところでした
お声をかけていただき恐れいります」
ξ゚听)ξ「悪いわね。すこし休ませてもらうわ」
(,,゚Д゚)「これ、口のきき方に気をつけなさい。こちらはお武家様だぞ」
ξ゚听)ξ「あらごめんなさい。でもこれ以外の喋り方をしらなくて」
( ´∀`)「構わぬよ。まあ火に当たりなされ」
148 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 16:48:21.76 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「上りかお?くだりかお?」
(,,゚Д゚)「くだりでございます。京まで酒の買い付けに行く途中でございます」
( ^ω^)「じゃあ酒屋さんかお」
(,,゚Д゚)「左様で」
( ^ω^)「いまは持ってないかお?」
(,,゚Д゚)「あいにく道中は・・・」
150 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 16:52:45.51 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「いまちょうど酒が欲しくなる様な話を聞いたところだったんだお
なければしょうがないお。粥くうかお?」
(,,゚Д゚)「恐れ入ります。頂戴いたします」
粥からは湯気がほのかにのぼり、旅人の体を芯から癒す
ξ゚听)ξ「あらおいしい!・・・この味噌、岡崎の?」
( ^ω^)「八丁みそだお」
151 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 16:57:03.04 ID:W8fZlT2d0
(,,゚Д゚)「岡崎・・・お武家様方はあちらからお越しで?」
( ^ω^)「そうだお。VIP藩から・・」
( ´∀`)「・・ほど近いところからな。剣の師匠が江戸で道場を開いたとかで
祝いに参るところなのじゃ」
( ^ω^)「?」
( ´∀`)「わしらは劣等生じゃが、師匠は腕利きであるぞ」
(,,゚Д゚)「はあ、そのお師匠様のお名前は?」
( ´∀`)「新城八女奈斎」
153 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 16:58:49.36 ID:W8fZlT2d0
ξ゚听)ξ「しんしろ、やめなさい?知らないわねえ」
( ´∀`)「・・・口を慎め女」
(,,゚Д゚)「こ、これは失礼を!ツン、詫びぬか!」
( ´∀`)「不愉快じゃ。我らはもう発つ。あとはお前等が休め
行くぞ内藤!」
( ^ω^)「え、え?は、はいですお」
154 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:00:50.74 ID:W8fZlT2d0
てく・・・てく・・・
下り坂とはいえ、疲れた脚には優しくない
風も出てきた 先ほどのことが悔やまれる
( ^ω^)「なにかありましたかお?」
( ´∀`)「やつら、岡崎が目的地じゃ」
( ^ω^)「は?」
( ´∀`)「この時期に酒の買い付けに出る酒屋はおらぬ」
155 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:04:50.46 ID:W8fZlT2d0
確かに買い付けに出るには二月ほど早い
( ^ω^)「でも岡崎というのは?」
( ´∀`)「新城八女奈斎は京の剣術家じゃ。それを知らぬ」
( ^ω^)「はあ」
( ´∀`)「味噌に食いついた」
( ^ω^)「はあ」
( ´∀`)「だからじゃ」
156 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:06:09.09 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「ああ、そうですか・・・」
それで、なぜ寺を出てきたんですか?
それを聞くのがためらわれるブーンであった。
夜明けも近い
てく・・・てく・・・
158 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:09:11.87 ID:W8fZlT2d0
ξ゚听)ξ「・・・なによあれ」
(,,゚Д゚)「ふむ・・・腹に二物はお互い様か」
ξ゚听)ξ「え?」
(,,゚Д゚)「名乗ったとおりの者ではあるまいよ」
この廃寺は彼らの旅の定宿である
表の宿には泊まれぬ事情が、彼らにはあった
囲炉裏の薪が、ぱちりとはじけた
(,,゚Д゚)「あのデブ・・・怖いな」
159 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:14:49.59 ID:W8fZlT2d0
江戸
世界最大の都市
神君家康によってこの都市は渦巻状に面積を広げる運命を課せられていた
人口増加を見越し、それに対応する土地開発も予定に組み込まれた都市である
( ´∀`)「話には聞いていたが・・・でかいのう」
( ^ω^)「向こう側が見えませぬお」
160 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:16:48.23 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「まずは腹ごしらえかの」
( ^ω^)「名物ですな!おまかせくだされ!」
( ´∀`)「いや、あれ、あれ見ろ」
( ^ω^)「は?」
そこには一軒の飯屋 何人もの男が出入りしている
( ´∀`)「繁盛しているようではないか。うまいに違いない」
161 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:19:03.11 ID:W8fZlT2d0
('A`)「えらっしぇー」
( ^ω^)「・・・」
開けっ放しの戸をくぐると、中は光も十分にささぬ、昼なお薄暗い
しかし何人もの女中が忙しく働き、活気はあった
( ´∀`)「おいブーン、あれを頼め。あの品書きの右から二番目」
( ^ω^)「・・・え?あ、はい。えーと、とせうけください」
162 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:21:16.81 ID:W8fZlT2d0
('A`)「へい!とせうけ二つね!」
( ´∀`)「あれ!?」
('A`)「うちは他所からの客も多いもんでね、いちいち訂正してらんねえんだ」
( ^ω^)「なんなんですかお」
( ´∀`)「いや、なんでもない」
どじょう汁がふたつ 二人の前に置かれた
164 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:27:50.31 ID:W8fZlT2d0
平らげて外に出る
ブーンは「とりあえずVIP藩の江戸屋敷があったところへ行こう」とのモナーの案を留め置き
店の近くで時間を潰した
午後の日差しは二人の脚に降り注ぎ、まるで力を分け与えてくれるようだった
飯屋の出入りが少なくなり、のれんが片付けられるとブーンは店へ入った
( ^ω^)「店主。なぜまたここに?」
165 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:29:33.73 ID:W8fZlT2d0
('A`)「へえ、土いじりにも飽きましたんで、ちょっくら江戸で一旗あげようかと」
( ^ω^)「・・・深くは聞かないお。なんか情報ないかお」
('A`)「情報、といいますと?」
忙しく手を動かしながら、貧相な顔('A`)の男はブーンの相手をする
166 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:32:05.82 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「流れ者は何でも知ってるって言ったお」
('A`)「いいましたかね」
( ^ω^)「我らが何者か知っているかお?」
('A`)「知りやせんやそんなこと」
( ^ω^)「じゃあお前は何者だお」
('A`)「深くは聞かないんじゃなかったんですかい?」
167 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:34:43.62 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「・・・」
ともかくこれまで、助けられてはいても、この貧相な男('A`)に
迷惑はかけられていない。
意を決して聞いてみた
( ^ω^)「元VIP藩の江戸詰めの人間を探しているお」
表ではモナーが脚を温めている
168 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:38:10.39 ID:W8fZlT2d0
('A`)「VIP藩・・・お取り潰しになったVIP藩ですか?」
( ^ω^)「そうだお」
('A`)「・・・無用心ですよ内藤様」
忙しく動いていた('A`)の手が止まっている
170 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:43:36.88 ID:W8fZlT2d0
駿府
(,,゚Д゚)「ふむ・・・それでその男は?」
「取り逃がしましてございます」
ξ゚听)ξ「なにをやっていたの・・・まったく」
「それが・・・情報が錯綜しておりまして・・・
人相の暗い男だったとの証言がある一方、
太った稲妻のような男であったとの証言もあり・・・」
(,,゚Д゚)「二班に分けたか」
「は・・・」
(,,゚Д゚)「(うつけが・・)」
172 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 17:58:42.18 ID:W8fZlT2d0
( ^ω^)「やはり知っているのかお」
('A`)「無用心だと言っているんですよ。VIP藩の名など出せば
お上が警戒します」
( ^ω^)「・・・」
('A`)「理由のわからぬ藩取り潰し・・・
そしてその藩士が江戸へ・・・跡継ぎを連れて」
( ^ω^)「・・・」
('A`)「いいですか。談判など お や め な さ い」
173 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 18:01:01.95 ID:W8fZlT2d0
岡崎
(,,゚Д゚)「それで、邪魔した男と言うのは?」
「あたかも疾風、あたかも雷迅、人とは思えぬ迅さでありました」
ξ゚听)ξ「またあんたは、めんどくさい物言いをするわね」
「さりとてぶよぶよ、ぶよぶよでございました」
(,,゚Д゚)「ぶよぶよ・・・?」
174 名前:靴下右[] 投稿日:2006/12/09(土) 18:03:35.94 ID:W8fZlT2d0
( ´∀`)「不愉快じゃ。我らはもう発つ。あとはお前等が休め
行くぞ内藤!」
(,,゚Д゚)「・・・!内藤!内藤蔵ノ介!あのデブだ!」
二人は江戸へ駆けた
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