109 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:43:23.99 ID:ghwjIQ4L0
僕と主人公
「んん…ん…ん…」
起きるとそこは白の中。
そして僕は俗に言う王様のような格好をしていた。
しばらくこの状況を把握できないでいると手下であろうか、必死な形相で部屋に入ってくる。
「王様!!奴らがここにきました!!早く逃げてくだ…」
瞬間、手下から吹き出る血飛沫。
高級そうなカーペットにべっとりと血が染込む。
「な…なんだぁ…?」
手下を刺した張本人が威風堂々と剣を掲げ、喋る。
「今、ここに我が多大な重税で市民を混乱に貶めた王を滅ぼす!!」
111 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:44:25.16 ID:ghwjIQ4L0
重税…?
なにそれ……?
「国王よ!!心の準備はいいかッ!?」
準備…?
なんだよこれ…?
「さらばッ!!!」
身体に喰いこむ剣。
流れる血。暗くなる視界。
止まる思考。
………
……
…
114 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:47:37.17 ID:ghwjIQ4L0
蝋燭だけが灯された暗い室内。
老人は新しい物語がページに刻み込まれるのを見届けると本を閉じる。
パタン、と。
閉じた本の表紙に書かれている題名。
『愚かな主人公』
老人はその本を棚に戻す。
( ^ω^)「人は誰しも物語を創る側…主人公になりたいものだお」
椅子に座る。
( ^ω^)「しかし…主人公になれる者はほんの一握り。自分を主人公だと自覚している者は極めて少ない」
足を組む。
手の平を晒すと、ポンッという音と共に現れるコーヒーカップ。
ほどよい熱さなのを確かめ、口に啜りいれる。
115 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:49:43.64 ID:ghwjIQ4L0
( ^ω^)「だけど、主人公といってもたくさんあるお。魔王を倒す者だったり悲劇のヒーローであったり…」
指を鳴らす。
カップが忽然と消えた。
( ^ω^)「今回はたまたま愚かな者が主人公だっただけだお。本人は惨劇を起こしている自覚がない愚かな者」
椅子から立つ。
( ^ω^)「次に連れてこられるのは君かもしれない」
老人は部屋から出て行く。
コツン、コツン、という音が鳴るたびに姿が闇に染まっていく。
老人は気づいていなかった。
自分も物語の主人公であることを。
117 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:50:59.34 ID:ghwjIQ4L0
これで終わりです。読んでくださりありがとうございました。
疲れたよぱぱん
【関連】
一気読み
第一話
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第二話
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第三話
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第四話
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第五話
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最終話
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