1 名前: 海賊(岩手県)[sage] 投稿日:2007/03/25(日) 22:21:13.41 ID:mX0W+3KF0
暗い空間。
僕はポケットに入っていたライターを取り出し、着火する。
その明かりで全貌を現す。
僕はどうやら建物の中の通路にいるようだ。
人の気配は全くと言っていいほどない。
僕は静かに足を進めた。
音は僕の足音だけ。
僕が止まると自然に音が消える。
音のない世界は怖い。
これほど音というものが日常に侵略していたのか。
2 名前: 海賊(岩手県)[sage] 投稿日:2007/03/25(日) 22:22:50.42 ID:mX0W+3KF0
くだらないことを考えるのをやめ、再び足を進める。
しばらく歩いていると一つの大きな扉が視界に入ってきた。
静かに、その扉を押す。
キィ―――――――
扉が開く。
そこは多目的ホールのような広さの部屋。
椅子がたくさん並べてあり、多くの人が座っていた。
3 名前: 海賊(岩手県)[sage] 投稿日:2007/03/25(日) 22:24:14.86 ID:mX0W+3KF0
( ^ω^)「ようこそだお」
「ッ!?」
突然現れた老人。
その老人の姿が僕を二度驚かせた。
黒いフード。右手に杖。左手にこの部屋唯一の灯りの燭台。
その姿は魔女を彷彿させていた。
( ^ω^)「君が最後の客人だお。そこの椅子に座るといいお」
老人の指先にある椅子。
僕はおとなしくその椅子に座った。
老人はその姿を認めると前にある大きな椅子に座り、本を広げる。
( ^ω^)「皆よく来たお。今日は童話を読むお」
そういうと老人はパラパラとページをめくる。
( ^ω^)「今から読む六つの童話。楽しんでくれお」
老人は静かに、口を開く。
4 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:26:18.92 ID:mX0W+3KF0
( ・∀・)と薬草
周りは瓦礫の山になりかけている民家。
その姿は滑稽でもはや家として機能しているとは思えない。
いや、実際にしていないのだろう。人が住んでいないのだから。
その瓦礫の民家の中心に、一つの大きい城が構えてあった。
その古城の中に人の気配はない。
いや、まだ城門を抜けたところにいるのだから断言するべきじゃないかもしれない。
城の中は荒れに荒れていた。
テーブル、イス、壁に掛けられている絵、グラス・・・全てが壊れ、朽ちており地に落ちていた。
この城で何があったのか。常識的に考えて戦争と認識するのが普通であろう。
それくらい酷い惨状であった。
5 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:28:23.19 ID:mX0W+3KF0
一通り探索した後、二階へ上がる。
二階も同じように物という物が破壊しつくされていた。
しかし、一つだけ違う点があった。
何もされていない・・・綺麗な部屋があったのだ。
今までは部屋の扉も無残に壊されていたのにその部屋だけ。
その部屋だけ何事も無かったように存在していた。
――――――扉を開ける。
頭で理解した時には既に開けていた。無意識のうちに。
この部屋にはなにか魅せられるものがあるのだろうか。
そこには、老人がいた。
7 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:30:36.26 ID:mX0W+3KF0
/ ,' 3「ほっほっほ、珍しいコトもあるもんじゃ」
老人は椅子に座っており、静かにこちらを向いていた。
/ ,' 3「客人なんて何年ぶりかのぅ…」
『あなたは――――――』
/ ,' 3「わしは・・・わしはこの城の主じゃ」
老人は続ける。
8 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:32:20.13 ID:mX0W+3KF0
/ ,' 3「さて、君は何者なんじゃ?この城に踏み込むのだから相当な物好きなんじゃろう」
『私は、しがない探検家です』
/ ,' 3「しがない探検家か。まぁいいや。久しぶりに人が来てくれたのだから」
老人は椅子に座ったまま背伸びをすると大きな声で叫んだ。
/ ,' 3「お〜〜〜い!客人に茶を出せ〜〜〜〜!」
扉が開く。
そこには美しい女性がいた。
髪は黒いことから東洋の女性なのだろうか。
その女性に私は目を奪われていた。
9 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:34:54.21 ID:mX0W+3KF0
川 ゚ -゚)「………」
手にはコップが握られており、湯気がたっている。
『ご老人、この女性は――――?』
/ ,' 3「こいつか?こいつはクーといってな、わしの妻なんじゃ」
美しい。
私は初めて一目惚れというものをしていた。
10 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:37:01.53 ID:mX0W+3KF0
『失礼ですが、ご老人の名前は?』
/ ,' 3「わしか?わしの名前は・・・なんじゃったかなぁ。しばらく名を呼んでもらってないからなぁ」
老人は頭を抱え、悩んでいる。
/ ,' 3「あぁそうじゃ。モララー。モララー・カシャールじゃ」
その名前を聞いて驚いた。
たしかその人物は、その主の城は・・・
『何十年前かにVIP軍に滅ぼされていたはず』
11 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:39:50.97 ID:mX0W+3KF0
そうだ。たしかにそうだ。
あのVIP軍が全勢力をもって滅ぼし、地図から消された小さな国だ。
あのVIPがそこまでして滅ぼしたのだから世界中は驚き、その国に同情した。
しかし、なぜそこまでして滅ぼしたのか世界は知らなかった。VIP以外。
私はそんなところに来てしまったのか。
/ ,' 3「そうじゃ。あっというまの出来事じゃった」
老人は小さな、掻き消されるような声で喋る。
その眼は彼方をみているようであった。
/ ,' 3「この国には、不老不死になれるという魔法の薬草があった」
そこからの老人の話はこうであった。
12 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:42:45.02 ID:mX0W+3KF0
不老不死になれるという魔法の薬草。
この滅ぼされた国の最重要機密であったその薬草。
当然民はその薬草の存在を知らなく、城にいる一握りの王族しか知り得ないことであった。
しかしある日、その情報が漏れる。よりによってあのVIP国に。
VIP国とはこの世界において最強であり、事実上全ての国を統括していた。
そのVIP国が全勢力を持ってこの国に攻めてきたのだ。魔法の薬草のために。
日が落ちるまでには制圧され、残るは城のみとなった。
VIP軍は城に潜入する。そこで彼等が眼をしたのは魔法の薬草を持ったこの国の王であった。
王は出せる声を全て出し、こう叫んだ。
『この薬草は何千年に一つしか咲かない薬草だ。今この国にある薬草はこれ一つ。私の言いたいことがわかるか?』
兵士はその薬草の前に進むことができなかった。
魔法の薬草は輝きを放ち、来る者を拒んでいた。
14 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:44:35.05 ID:mX0W+3KF0
『貴様らが手に入れる前に…私が…』
王が口にしようとしたとき、妻…女王が草を奪い、それを食べた。
『お…お前…!!!』
『あなたが…永遠にこの世を生きる屍になるなんて…私には耐えられません…』
『だがそれだとお前が……!!』
『私のことはどうでもいいのです。あなたさえ無事なら』
15 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:46:35.69 ID:mX0W+3KF0
その女王は不老不死になった。
そこからは鬼神の如く活躍し、VIP軍を壊滅寸前に持ち込んだ。
何をしても死なない。剣で切り裂いても、矢で打ち抜いても。
たちまち回復し、肌も元に戻り、内蔵の損傷も全てがもとにもどった。
その姿を見たVIP軍は大層驚き、自国へ逃げ帰っていった。
それからしばらくして、女王はたちまち感情を失くしていった。
不老不死と引き換える代償が感情であったのだ。
/ ,' 3「その女王というのが・・・こいつじゃ」
川 ゚ -゚)「………」
美しい。
この美貌を何十年何百年、いや何千年保てるというのか。
なんて素晴らしいのだ。
16 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:48:58.58 ID:mX0W+3KF0
/ ,' 3「あともう少しで・・・不老不死の薬草が咲く。わしも不老不死になってこいつと永遠を供にするつもりじゃ」
『なぜ、そのことを私に?』
/ ,' 3「お前が・・・若い頃の私に似ているからかもしれない」
『……』
私は、落ちている錆びた剣を手にした。
19 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:51:18.91 ID:mX0W+3KF0
/ ,' 3「…どうした?」
『私が、私がこの女性と永遠を過ごします』
/ ,' 3「なにを…言っておる?」
『そのまんまです』
剣を掲げ、そのまま振り下ろす。
老人は頭から裂かれ、いや、砕かれ死んだ。
21 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:54:16.31 ID:mX0W+3KF0
『・・・・・・・・・』
その部屋にある苗木をみる。
その苗木は老人の血が染込み、咲いた。
血のように綺麗な赤い花であった。
『――――――――これが…』
その花を切り、口にする。
『――――――――ッ!!??』
身体が熱い。
蒸発してしまいそうなくらい熱かった。
しかし、確信した。
私は不老不死になれたことを。
22 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:56:51.95 ID:mX0W+3KF0
部屋の隅にいる女性、クーに対し喋る。
( ・∀・)「さぁ、永遠を供にしようじゃないか」
クーは一筋の涙を流していた。無表情で。
大丈夫、そのうちこの感情も無くなる。
それまでの我慢だ。
クーの手をとり、大広間へ行く。
踊るために。
( ・∀・)「なんて…なんて美しいのだあなたは」
川 ゚ -゚)「………」
二人は今日も踊っている。
明日も、明後日も、一週間後も、一ヵ月後も、一年後も、数十年後も。
永遠に。
24 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 22:59:21.91 ID:mX0W+3KF0
_
( ゚∀゚)と不思議なペンダント
賑やかな城下町。
物の値下げの交渉している人もいれば昼から酒を飲んでいる人もいる。
その光景はまさに平和そのもの。人々の顔は笑顔で溢れている。
その城下町を見渡すように聳え立つ大きなお城。
これはそのお城に住んでいる王様のお話。
_
( ゚∀゚)「今日もこの国は平和だぜ」
長身で顔が整っている、いわゆるイケ面に所属する男。
この男こそこのVIP国の王様、ジョルジュであった。
その王様がいる王室の扉がノックとともに開かれる。
(`・ω・´)「見回り終わりました。王様」
_
( ゚∀゚)「ご苦労だ。シャキン」
シャキンは敬礼をしたあと、静かに王室を出て扉を閉める。
その姿を見届けた後、ジョルジュはまた窓から城下町をみた。
27 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:02:12.79 ID:mX0W+3KF0
ジョルジュが治めるVIP国。
まさに平和象徴で民衆もジョルジュもこの国を愛し、互いを愛していた。
民衆に好かれるにはまずは王がそれ相応の行動をすること。
ジョルジュは貧しい人をみては服をあげたり、食料をあげたりした。
もちろん民衆の話も尊重し、それを叶えた。
そうしているうちに平和な国になったのだ。
_
( ゚∀゚)「さぁ〜て、今日も行くか」
ジョルジュは宝物庫に行き、宝物を持ち城下町に行った。
( ´∀`)「王様、お散歩ですかモナー」
ξ゚听)ξ「今日もいい天気ですね」
( ・∀・)「王様、お酒一緒に飲みましょう!」
ジョルジュは話しかけてくる民衆を無視せず、一緒に談笑した。
昼から体格の良い豪快な男と酒の飲み比べもした。
29 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:05:01.04 ID:mX0W+3KF0
_
( ゚∀゚)「んじゃみんな、今日も元気にな」
それを告げ、この場を後にする。
次に行くのは裏路地。
('A`)「ジョ…ジョルジュ王様…」
今にも倒れそうで、顔が青白い少年。
その少年に宝物庫からとってきた宝物をあげる。
_
( ゚∀゚)「これを売ればお金になる。そのお金で食べ物を買いな」
少年は泣きながらありがとうございます…と呟く。
ジョルジュは頭をなで、微笑んだ。
31 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:07:22.35 ID:mX0W+3KF0
_
( ゚∀゚)(そろそろ宝物が無くなってきたぜ)
それを至極当たり前なことであった。
前々から宝物を分け与えればいくら山ほどあった宝物も消える。
自然とジョルジュの足は宝物庫へと向っていた。
_
( ゚∀゚)「全然ないな…」
棚を開け、宝物を確認する。
一番下の棚を漁っていると、そこには一つの小さな箱があった。
_
( ゚∀゚)「なんだこれ」
みすぼらしい箱をを開ける。
そこにあったのは紙切れと緑色に輝くペンダント。
_
( ゚∀゚)「綺麗だなー」
ペンダントの美しさを堪能したあと、紙に目を移す。
この紙はいったい何年前のなのか。ところどころかすれていて文字が滲んでいた。
32 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:09:47.49 ID:mX0W+3KF0
_
( ゚∀゚)「なんて書いてるんだこれ」
目を凝らす。
文字は滲んでいるがなんとか読める文字もある。
その文字を必死に解読する。
_
( ゚∀゚)「願い事が…叶う、、、壊れる、、、、…つかう…な、、、、、、か」
しかしジョルジュの今の頭の中にある文字は『願い事が叶う』であった。
壊れる、使うなという文字は脳から消え去っていた。
_
( ゚∀゚)「ほんとに叶うのかぁ〜?」
ジョルジュはペンダントを持つ手を掲げ、叫んだ。
_
( ゚∀゚)「この宝物庫を宝物でいっぱいにしてくれ!!!」
鈍い音とともに宝物が天井から降ってきた。
キラキラと美しく輝く宝石、金色のネックレス、王冠…。
それらが宝物庫をたちまちいっぱいにした。
_
(;゚∀゚)「ま…まじかよ…」
まさか本当に願いが叶うとは…。
語らなくてもそう顔に出ていたジョルジュは必死に宝を掻き分け部屋を出た。
_
( ゚∀゚)「こいつぁすげぇwwwwうはwwwwww」
33 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:13:31.45 ID:mX0W+3KF0
これがあればなんでもできる。
ジョルジュはペンダントを持ち再び城下町へと行った。
( ><)「あ、王様!!!」
_
( ゚∀゚)「なにか欲しいものはあるかい?」
( ><)「…?僕は念願のマイホームが欲しいんです!!」
_
( ゚∀゚)「家よ出ろ!!」
途端レンガ造りの家が出る。
それをみていた民衆は驚き、そして歓喜した。
_
( ゚∀゚)「皆俺について来い!!!されば必ず幸せになる!!!」
民衆の前に立ち、ペンダントを掲げた。
オーッ!!という声とともにジョルジュは再びこの国の王と認められ、歓迎された。
35 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:15:57.29 ID:mX0W+3KF0
数日後。
ジョルジュはウィザードキングと呼ばれるようになっていた。
( ´_ゝ`)「ウィザードキング。最新型のパソコンをくれないか」
_
( ゚∀゚)「あいよ」
(,,゚Д゚)「ウィザードキング、自分を守る剣をくれないか」
_
( ゚∀゚)「あいよ」
(*゚ー゚)「ウィザードキング、子供達をお腹いっぱいにできる食べ物をください」
_
( ゚∀゚)「あいよ」
次々に来る民衆にジョルジュは次々に望みをかなえていった。
中二病全快のジョルジュはその呼び名は嬉しかった。
疲れていてもウィザードキングと呼ばれるだけで元気が出て、がんばった。
38 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:18:56.23 ID:mX0W+3KF0
そのジョルジュも、しばらくして気づく。
_
( ゚∀゚)「俺利用されてね?」
今日も城門の前には朝だというのに人による行列ができていた。
その人の数だけ願いを叶わせると思うとうんざりした。
_
( ゚∀゚)「なんであいつらに利用されなきゃいけねーんだバーロー」
その表情は怒りで満ちていた。
城門を開け、ジョルジュは皆の前に現れる。
「ウィザードキング!!!!俺に金を!!!」
「ありったけの酒をくれウィザードキング!!!」
「一生困らないほどの食料をウィザードキング!!!」
「ウィザードキング!!!ウィザードキング!!!」
その呼び名に顔がにやけているのに気づいたジョルジュは顔を叩き、叫んだ。
_
( ゚∀゚)「てめーらうるせーんだよ!!欲があるからだめなんだな!?ならばとってやる!!」
ペンダントを天に掲げる。
日の光を浴び、ペンダントは眩しいくらい輝きを放っていた。
41 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:21:37.61 ID:mX0W+3KF0
_
( ゚∀゚)「こいつらの欲をなくせ!!!!!!!!!!」
瞬間、ペンダントは輝く。
目も開けれないほど眩い輝きを放った。
その数秒後、ペンダントは輝きを放つのをやめ、砕けた。
砂状に砕けたペンダントは風に吹かれ、彼方へ飛んでいった。
_
( ゚∀゚)「………」
目の前にいる民衆。
全てが無表情になり、だらしがなく手を垂らしていた。
_
( ゚∀゚)「お〜い」
呼びかけにも応えない。
民衆は動くのをやめ、考えることをやめていた。
_
(;゚∀゚)「ペ…ペンダント!!!!」
手をみる。
なにもない掌をみて、砕けたのを思いだした。
_
(;゚∀゚)「ど…どうしよう…」
応える者はいない。
皆ただただその場に座っていて、生気を感じさせない顔であった。
43 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:24:35.69 ID:mX0W+3KF0
ジョルジュはまだ気づいていない。
虫、動物、魚でさえも欲をなくしているのを。
そしてこの国だけではなく、全世界の生物が欲をなくしているのを。
ジョルジュはまだ気づいていない。
自分がいかにとんでもないことをしたことに。
ペンダントがなぜ目立たないところにひっそりと置いてあったことに。
その数十年後。
この世界から生物が消えた。
最後の生物の生き残り、ジョルジュ。
彼はこの世界を混沌の世界へと誘いだ。
もうこの世界に命が生まれることはないだろう。
46 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:27:40.84 ID:mX0W+3KF0
(´・ω・`)と魔法の絵の具
一人の男が草原にたっている。
風が吹き、飛ばされそうになる帽子を手で抑える。
(´・ω・`)「いい風景だ」
静かにそう口ずさむ。
まさにここは絶景であった。
一面に広がる草原。絵に塗ったような蒼い空。その他もろもろ。
みる人がいればため息がつくだろう。しかし、この場に人はいなかった。
いや、この場だけではない。この世界に。
この男はショボンといった。
彼は人がいれば俗にいう神という存在だろう。
鞄から何かを取り出す。
それは絵の具。様々な色が箱に収まっていた。
47 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:30:57.10 ID:mX0W+3KF0
その箱からオレンジ色のチューブを取り出し、パレットに出す。
蛇のようにニョロニョロと出てくる絵の具。
筆にそのオレンジ色をつける。
しかし紙はない。一体何に塗るつもりなのだろうか。
(´・ω・`)「とりゃっ」
筆を空に向け振る。
するとどうでしょう。夕焼けになったではありませんか。
(´・ω・`)「美しい」
白のチューブを筆につけ、ちょんちょんと振る。
するとどうでしょう。雲になったではありませんか。
(´・ω・`)「綺麗だ」
一寸の曇りもない空。
美しく、綺麗であった。
49 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:34:32.92 ID:mX0W+3KF0
(´・ω・`)「お腹減った」
筆を振る。
そこに出てきたのはご飯、サラダ、肉。
ガツガツと頬張る。
(´・ω・`)「おいしい」
これでわかっただろうか。
彼の絵の具から塗られるものは実現することを。
ショボンは道具を片付け、家へ帰った。
この世界にも数年前は人間がいた。
しかし今やこの世界にはショボンしかいない。
その理由は数年前に遡る。
51 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:37:45.26 ID:mX0W+3KF0
※
今日もショボンは絵を描くのに夢中になっていた。
ショボンが描く絵はうまく、たちまち人々に認められた。
('、`*川「ショボン君は絵を描くのうまいねー」
(´・ω・`)「…えへへ」
今日も学校の先生に誉められた。
学校の作品コンクールでも金賞以外とったことがないショボン。
しかし彼は決してそのことで鼻にかけなく、精進していった。
暇さえあれば絵を描くショボンは必然的に向上していく。
高校生になった頃にはもう世界の芸術化がショボンの才能を認めていた。
今日も部屋で絵を描いている。
すると扉が開き、母が現れた。
53 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:40:35.38 ID:mX0W+3KF0
从'ー'从「ショボンちゃん、絵描いてる?」
(´・ω・`)「うんママ。描いてるよ」
从'ー'从「ショボンちゃんの絵は高く売れるからね。いっぱい描いてママを幸せにしてちょーだい」
(´・ω・`)「わかったよママ」
ショボンの家族は変わっていた。
数年前までは優しい家族だったのに、ショボンの絵の才能がわかると豹変した。
はやくかけ、なにしてる、いつできあがるんだ、まだか。
毎日毎日それを言われ続けたショボンは次第に絵を描くのが嫌いになった。
当然変わったのは家族だけではない。
友人達も友達として接してくれなく、金づるとして接してきた。
教師もショボンに対しご機嫌伺いをした。
そんな人間がショボンは嫌いだった。
55 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:43:49.59 ID:mX0W+3KF0
(´・ω・`)(いっそいなくなってしまえばいいのに)
そんなことを考えていたある日。
骨董品店で絵の具をみつける。
(´・ω・`)「そういえば絵の具がなくなっていたなぁ…。買おっかな」
みたところ少し汚れているが別に支障はない。
ショボンはその絵の具を手に持ち、購入した。
从'ー'从「おかえりショボンちゃん。シャキンの叫びはまだなの?明日までに完成しないと…」
(´・ω・`)「わかってるよママ。今日完成する」
从'ー'从「そう。よかったわ」
母はそれを告げると居間へと戻った。
ショボンは手を洗い絵画室へといった。
58 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:46:27.69 ID:mX0W+3KF0
鞄から絵の具を取り出し、パレットに出す。
赤を紙に塗ろうと一振りひたとき、炎が出現した。
(´・ω・`;)「わわわわっ!!」
あわてて水で火を消す。
肝心のシャキンの叫びは灰へと変わった。
(´・ω・`)「あ〜あ…」
しばらくその灰と睨めっこする。
しかしなぜ火が出たのだろうか。この部屋に着火装置はない。
そのうちショボンは一つの答えにたどりつく。
(´・ω・`)「まさかこの絵の具が…」
そうとしか考えられない。
この絵の具を振るったら炎が出てきた。
もう一回試して見る価値はある。
60 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:48:33.17 ID:mX0W+3KF0
青色の絵の具を出す。
筆に塗り、振るう。
(´・ω・`)「おぉ〜!!」
水が出てきた。
ショボンは楽しくて色々な色で試してみた。
(´・ω・`)「これがあれば…」
ショボンは絵の具を持ち、外に出る。
そして赤の絵の具で家に向け振るってみた。
家は燃えた。
業火の如く。おそらく家族も燃えているだろう。
しかしショボンは胸を傷まなかった。
その調子で町を燃やし続けた。
(´・ω・`)「お前らの歪んだ心がいけないんだ!!」
町は灰になった。
しかしすぐに元に戻った。
ショボンの絵の具で。
その町はショボンの望む形へと変わっていた。
※
61 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:50:22.01 ID:mX0W+3KF0
今日もショボンは絵を描いている。
この世界に。その世界には人間は彼しかいない。
彼はいつ気づくのだろうか。
一番歪んでいるのは自分だということに。
64 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:52:58.39 ID:mX0W+3KF0
ξ゚听)ξと優しい母親
深い森の中にある小屋。
そこに二人の女性が住んでいた。
ペニサスという綺麗な母親。ツンという可愛い子供。
二人は今日も仲良く暮らしている。
ξ゚听)ξ「ママー!!ただいまぁ!!」
元気な声とともに扉が開かれる。
('、`*川「おかえりなさいツンちゃん」
ξ゚听)ξ「ママ、今日のご飯は?」
('、`*川「木の実のクリームシチューよ」
ξ゚听)ξ「その木の実って見晴らしの樹の木の実?」
('、`*川「そうよ。さぁ、手を洗ってきなさい」
ξ゚听)ξ「やったー!」
67 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:55:14.18 ID:mX0W+3KF0
喜びの声。
母、ペニサスはその声を聞き微笑む。
顔に広がるいっぱいの笑顔をふりまき走り回るツン。
幸せの絶頂であった。
('、`*川「ほら、はやく手を洗わないと冷めちゃわよ」
ξ゚听)ξ「わかった!」
やっと落ち着きを取り戻したのかいそいそと蛇口へ向うツン。
石鹸を手の平にまんべんなく塗り、泡でいっぱいになる。
ξ゚凵])ξ「わぁー!目に泡が入っちゃった!」
('、`*川「そんなに慌てるからよ。ほら、爪の間もちゃんと洗うのよ」
ξ゚听)ξ「うん!」
ようやく手洗いを終了したツンは手も拭かずに食卓に着く。
ツンが歩いた軌跡には水が滴り落ちていた。
69 名前: 海賊(岩手県)[] 投稿日:2007/03/25(日) 23:58:56.50 ID:mX0W+3KF0
('、`*川「まったくツンちゃんったら。手はちゃんと拭きなさい」
ξ゚听)ξ「わかった!」
何度その言葉を聞いたのか。
しかしペニサスは可愛いツンをみるとついつい許してしまうのだった。
ξ゚听)ξ「このシチュー美味しいよママ!!」
ボタボタとシチューをこぼしながら喋るツンに呆れながらペニサスは応える。
('、`*川「当たり前よ。ママ特性のシチューなんだから!」
ξ゚听)ξ「おかわり!!」
('、`*川「もうおかわりはないからママのを食べなさい」
ξ゚听)ξ「いいのー?」
('、`*川「もちろんよ。ツンちゃんに食べられるのならママは嬉しいわ」
ξ゚听)ξ「じゃあもらうねー!」
喋りながら食べるツン。
いつもツンが食べ終わった後は戦争状態だ。
あちらこちらに食べ物のカスが散乱しているし服にもべっとりついている。
ため息をつきながら後片付けをするペニサスであった。
73 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:02:12.14 ID:ghwjIQ4L0
それから数年後。
幸せはいつまでも続かなかった。
永遠に続く幸せなどない。幸せとは不幸になって初めて気づくもの。
この家族も例外ではなかった。
('、`*川「ごほっごほっ」
今日も病で布団の中に入っているペニサス。
少ないお金も薬代で底に尽いていた。
ξ゚听)ξ「ママ、お医者様からお薬もらってきたよ」
いつになく暗い表情のツン。
ペニサスはその理由がわかっていた。
ξ゚听)ξ「この薬が…最後のお薬…」
('、`*川「そう…」
ξ;凵G)ξ「ママ…死なないで…」
ペニサスは窓から外を見る。
75 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:04:31.49 ID:ghwjIQ4L0
('、`*川「いいのよツンちゃん。いずれ人間は死ぬわ。私はちょっと他の人より早く死ぬだけ」
ξ;凵G)ξ「そんなこと言わないでよ…!!」
('、`*川「私も、ツンちゃんともうちょっと生きたかったわ」
ツンはその言葉を聞いたあと家から飛び出した。
あんなに優しい母が死ぬのが信じられなくて。
一種の現実逃避であった。
ξ;凵G)ξ(うそよ…ママが死ぬなんて…)
人通りの多い道で両足を抱え泣いているツン。
そんな彼女を見かねたのか一人の男性が話しかけてきた。
( ・∀・)「どうしたんだい?お譲ちゃん」
立派な服を着ていてたくましい髭が生えている。
ツンはその男性を人目でお金持ちだと思い、誘った。
人通りの少ない裏路地。
ツンは男性の手を自分の胸におき、喋った。
ξ゚听)ξ「私と…いいことしない?」
( ・∀・)「…………」
二人はホテルへと消えていった。
77 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:07:38.18 ID:ghwjIQ4L0
ξ゚听)ξ「ママ!!お薬買ってきたわよ!!」
相変わらず病で臥せている母にツンは嬉しそうな声で喋る。
('、`*川「そんなお金…どこで?」
ξ゚听)ξ「いいのよそんなことは!!ささ、飲んで飲んで!!」
ツンはその日から一生懸命稼いだ。身体をつかって。
身体を使えば少ない時間でお金はたくさん入る。
そのお金でツンは薬を買うことができた。
しかし、その薬はもはや焼け石に水であった。
末期であった母の病は身体全体を既に蝕んでおり、助かる見込みはなかった。
('、`*川「………」
このごろ喋ることもできなく、ずっと外をみている。
外…、空をみている母の想いはツンはわかっていた。
喋れない母の最期のメッセージを。
78 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:09:59.99 ID:ghwjIQ4L0
ξ゚听)ξ(死にたい…のね)
しかしツンは母を死なせなかった。
毎晩のように男と夜を供にし、お金を稼いだ。
ツンはそれほどまでに母を愛していたのだ。
ξ゚听)ξ「死なないで…お母さん…」
('、`*川「………」
今日も窓から空をみている。
あんなに哀しい眼をしている母をみるのは初めてであった。
それから数日後。
母はついに死んでしまった。
81 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:12:27.43 ID:ghwjIQ4L0
ξ;凵G)ξ「……ママァ…」
その死体はあまりにも美しかった。
綺麗な顔立ち。腰まで伸びた長い黒髪。きめ細かな肌。
彼女は死んだのが信じられなかった。
ξ゚听)ξ「………」
彼女はじっと母を見ていた。
朝も、昼も、夕も、晩も。
しかし母は動かなかった。
ξ゚听)ξ「お腹減ったわ…」
今日は何にしようか。
久しぶりにシチューでも食べようかしら。
そんなことを考えていたら彼女は思い出した。
あの幸せな日々に食べたシチューのことを。
82 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:14:10.84 ID:ghwjIQ4L0
『もちろんよ。ツンちゃんに食べられるのならママは嬉しいわ』
83 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:14:55.41 ID:ghwjIQ4L0
そうだ。
母は確かに言った。
そうだ。
そうすれば母と一緒にいられる。私の身体の中で。
そうだ。
そうしよう。
ξ^ー^)ξ「〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪」
彼女は笑顔でシチューを作っている。
そのシチューには木の実じゃなく、肉が入っていた。
88 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:19:41.54 ID:ghwjIQ4L0
川 ゚ -゚)は神様
人間界の遥か上に存在する天界。
そこに天使を従う神様がいました。クーという名前です。
川 ゚ -゚)「………」
神様は用があるとき以外は極力喋りませんでした。
その上無口無表情。
天使はなぜ神様が感情を表さないのかわかりませんでした。
89 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:21:19.35 ID:ghwjIQ4L0
_
( ゚∀゚)「今日も神様下界を見下ろしてるぜ」
( ´∀`)「それが神様の仕事なんだから当たり前だモナー」
('A`)「しかし毎日毎日下界を見下ろしているだけでつまらないのかねぇ」
(´・ω・`)「そもそも神様につまらないという感情があるかどうか危ういよね」
('、`*川「神様って笑うことあるのかしら」
( ・∀・)「さあね。でも少なくとも僕たちはみたことがないよね」
(,,゚Д゚)「みてみたい気がするぞゴルァ!!」
( ^Д^)「神様の笑顔ねぇ…」
一同「う〜ん……」
天使は神様が好きでした。
神様とはいわば自分達の母。母の笑う顔をみたいというのは当たり前のことでした。
91 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:23:54.28 ID:ghwjIQ4L0
( ・∀・)「じゃあさ、笑わしてみようよ」
(´・ω・`)「神様をかい?」
( ・∀・)「それ以外誰を笑わすのさ」
('A`)「おもしろそうだな」
('、`*川「わたしは賛成するわ」
( ´∀`)「じゃあ僕も」
( ^Д^)「俺も!」
(,,゚Д゚)「俺もだゴルァ!!」
一同「どうぞどうぞ」
天使は話し合い、笑わせる順番を決めました。
ギコが少し涙目だったのはどうでもいい話です。
94 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:26:20.29 ID:ghwjIQ4L0
_
( ゚∀゚)「じゃあ俺からいくぜ!!」
( ´∀`)「がんばれモナー」
(´・ω・`)「応援してるよ」
ジョルジュは神様のもとに行き、自慢のおっぱいダンスをしました。
_
( ゚∀゚)「神様!!みてくれ俺の魂のダンスを!!」
川 ゚ -゚)「………」
神様はジョルジュに答えませんでしたがそれはいつものこと。
ジョルジュは踊り始めました。
96 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:28:42.18 ID:ghwjIQ4L0
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
、 ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
⊂l⌒⊂彡
(_) ) ☆
(((_)☆
|⌒|
_ |⌒|
( ゚∀゚)o | | ミ おっぱい!
/ ̄二\¶_/ ̄ ̄\| |
// (,) (,) ヽ_ノ________ おっぱい!
/0) ̄ ̄) ヽ―‐ノ )_______)_)彡
/ / ̄\ ̄ヽ \/ /ヽ彡
(0 ( \_ヽ_______/\ \
\ \__ _)_ )
\_)__) (_)_/ 彡
99 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:31:06.10 ID:ghwjIQ4L0
ダンスを踊り終わったあと、ジョルジュは神様の顔をみました。
しかし神様はいつも通りの無表情でした。
このダンスを魅せて笑わなかった者がいないと自負していたジョルジュは悲しみました。
_
( ;∀;)「ダメだ俺…俺ダメだ…」
(;^Д^)「泣くなよジョルジュ…」
(,,゚Д゚)「俺は笑わせてもらったぞゴルァ」
('、`*川「あんたが笑ってもダメでしょ」
( ・∀・)「さて、次は僕が行くかな」
モララーは神様のところに行き、ギャグを言いました。
しかし、神様はそんなモララーのギャグに笑わず、ポツリと呟きました。
川 ゚ -゚)「君たちは先程からなにをやってるのだ?仕事をしないか」
モララーは笑顔でみんなのところに戻りました。
101 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:33:19.83 ID:ghwjIQ4L0
( ・∀・)「神様と喋っちゃったぜ」
(´・ω・`)「それは珍しいことだね」
_
( ;∀;)「俺なんて話しかけられてもないぜ」
(;^Д^)「いいかげん泣き止めよジョルジュ…」
('、`*川「じゃあ次は私が」
次々と天使たちは神様のもとへ行き、笑わせようとしました。
でも神様はクスリともしません。そして二言目には『仕事をしろ』。
天使たちは半ば諦めモードで最後の一人、モナーを向わせました。
103 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:36:56.32 ID:ghwjIQ4L0
(,,゚Д゚)「がんばれよモナー」
(´・ω・`)「君が最後なんだからね」
_
( ;∀;)「俺だけ話しかけられてない…」
(#^Д^)「しつけぇよジョルジュ…」
( ´∀`)「ほどほどに頑張るモナー」
モナーは神様のもとにいき、おちんちんびろろ〜んといいました。
瞬間、モナーに轟音とともに閃光が落ちました。
なんとモナーは黒焦げになって息絶えているではありませんか。
105 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:38:11.62 ID:ghwjIQ4L0
(;・∀・)「な、なんだぁッ!?」
('、`*川「今の光はなんなのッ!?」
(,,゚Д゚)「知るかッ!!逃げるぞ」
逃げようとするギコに閃光が落ち、モナーと同じく息絶えていました。
次はモララー、次はジョルジュ、次はショボンといった感じに次々と閃光が落ちました。
それから数分後。黒焦げになっている天使たちがそこらじゅうに転がっていました。
川 ゚ -゚)「バカモノ…」
次に落ちてきたのは大量の雫の粒。
神様が初めて覚えた感情は怒りと哀しみでした。
108 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:40:39.93 ID:ghwjIQ4L0
( ^ω^)「これでお話はお終いだお」
老人は静かに本を閉じる。
しかし、まだ五話しか読んでいないはずだ。
あと一話残ってる。
そんな僕達の心情を読み取ってか老人は口をあける。
( ^ω^)「君達の言いたいことはわかるお」
椅子から立ち上がる。
( ^ω^)「でも残念ながらこの本には五つしか話が載ってないお」
本をペラペラとめくる。
老人がめくるのをやめ、僕たちに見せたページは真っ白であった。
( ^ω^)「僕が君たちを集めたのは他でもない。物語を創ってもらうためだお」
本が輝く。
その輝きが部屋全体を覆い、支配する。
( ^ω^)「これは、お前の物語だお(きまった)」
その輝きに僕たちは…呑みこまれていった。
109 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:43:23.99 ID:ghwjIQ4L0
僕と主人公
「んん…ん…ん…」
起きるとそこは白の中。
そして僕は俗に言う王様のような格好をしていた。
しばらくこの状況を把握できないでいると手下であろうか、必死な形相で部屋に入ってくる。
「王様!!奴らがここにきました!!早く逃げてくだ…」
瞬間、手下から吹き出る血飛沫。
高級そうなカーペットにべっとりと血が染込む。
「な…なんだぁ…?」
手下を刺した張本人が威風堂々と剣を掲げ、喋る。
「今、ここに我が多大な重税で市民を混乱に貶めた王を滅ぼす!!」
111 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:44:25.16 ID:ghwjIQ4L0
重税…?
なにそれ……?
「国王よ!!心の準備はいいかッ!?」
準備…?
なんだよこれ…?
「さらばッ!!!」
身体に喰いこむ剣。
流れる血。暗くなる視界。
止まる思考。
………
……
…
114 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:47:37.17 ID:ghwjIQ4L0
蝋燭だけが灯された暗い室内。
老人は新しい物語がページに刻み込まれるのを見届けると本を閉じる。
パタン、と。
閉じた本の表紙に書かれている題名。
『愚かな主人公』
老人はその本を棚に戻す。
( ^ω^)「人は誰しも物語を創る側…主人公になりたいものだお」
椅子に座る。
( ^ω^)「しかし…主人公になれる者はほんの一握り。自分を主人公だと自覚している者は極めて少ない」
足を組む。
手の平を晒すと、ポンッという音と共に現れるコーヒーカップ。
ほどよい熱さなのを確かめ、口に啜りいれる。
115 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:49:43.64 ID:ghwjIQ4L0
( ^ω^)「だけど、主人公といってもたくさんあるお。魔王を倒す者だったり悲劇のヒーローであったり…」
指を鳴らす。
カップが忽然と消えた。
( ^ω^)「今回はたまたま愚かな者が主人公だっただけだお。本人は惨劇を起こしている自覚がない愚かな者」
椅子から立つ。
( ^ω^)「次に連れてこられるのは君かもしれない」
老人は部屋から出て行く。
コツン、コツン、という音が鳴るたびに姿が闇に染まっていく。
老人は気づいていなかった。
自分も物語の主人公であることを。
117 名前: ペテン師(岩手県)[] 投稿日:2007/03/26(月) 00:50:59.34 ID:ghwjIQ4L0
これで終わりです。読んでくださりありがとうございました。
疲れたよぱぱん
【関連】
一気読み
第一話
-
第二話
-
第三話
-
第四話
-
第五話
-
最終話
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1174828873/