( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)は委員長が好きなようです〜

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当サイトはブーン系小説の完結作品集 です。 読み物系は嫌いって方はご退場ください


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1 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:29:36.09 ID:/LEseWb/0
お昼時間になるとブーンは決まって図書室へ向かう。
別に読書が趣味なわけではない。むしろ活字嫌いなくらいだ。
それでも足を運ぶのには、やはり、それなりの理由がある。
ガラガラ。
古くなって独特の音を出す引き戸を開けてブーンは図書室に入った。

( ^ω^)「(あ、もういいんちょいるお)」

そう、本が特に好きなわけではない彼の目当ては月並みなことこ
の上なしだが読書好きでよくここに訪れる異性―委員長だった。


2 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:32:34.32 ID:/LEseWb/0
もちろん話したことなどない。
ブーンのような劣等性が彼女のような絵に描いたような優等生、ましてや委
員長という存在に口などきける機会は皆無だった。
彼には個人的に近づく接点なんてないのだから。
違う次元にいるようなものなのだから。
でもここにくると彼女と二人きりになれた。自然に、ごく当たり前のように。
昼休みになると時々どこかにいなくなるのを不思議に思ってつけていきこの
図書室に行き当たったのがつい一週間前のことである。


3 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:33:51.41 ID:/LEseWb/0
これまで戦績、目が合った回数ゼロ回、話をした回数同じくゼロ。
見るも無残な惨敗だった。
今日もきっと変わらない、昨日や一昨日と。
そんな予感にかられた。
だが今日は違った。

( ´ω`)「(進展がないのは残念だけど…一緒にいられるだけでもしあわせ
と思わなきゃだお)」

手近な本棚から一冊適当なものを抜き取って開くブーン。
そんな彼にふと声がかかった。
一瞬、疑心から神からかなと思ったが、少し考えればわかるようにそれは
委員長からだった。

ξ゚听)ξ「あなた最近よくここにくるわね」

今日はいつもと違った。
何かがはじまりそうな予感がした。


5 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:36:05.08 ID:/LEseWb/0
ξ゚听)ξ「あなた最近よくここにくるわね」

( ^ω^)「お、お、お、お…」

予期せぬ事態に返す言葉がなかなか見つからない。

( ^ω^)「そ、そうだお。読みたい本があって最近よくくるんだお。
ほらこれだお」

ブーンは必死に返答しながら適当に選んで読んでいるふりをしていた本を
少しかかげてみせる。

ξ゚听)ξ「へーあなたみたいなのも本を読むのね」

( ^ω^)「本、活字、文、大好きだお」

嘘八百、でたらめもいいところだが、せっかくめぐってきた千載一遇のチャ
ンスだ、手段なんて選んでられない。


7 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:37:39.20 ID:/LEseWb/0
ξ゚听)ξ「好きなのは結構だけれど、本、逆さまよ」

(;^ω^)「あははまさかそんな少年ジャンプですらでてこないベタな失敗
があるわけ…あばばばば…」

ショックあまり台詞の途中で口から泡がでてくる。
かっこ悪かった。というか激しく汚かった。

ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと大丈夫!? 傍目からみて壊れたロボットみたいに
なってるわよ」

思いっきりひかれてる。
このままロボットみたいな足取りでどっかいってしまいたかったブーンだった
がなんとか思いとどまった。


8 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:41:35.14 ID:/LEseWb/0
(;^ω^)「ああ…平気だお。本は…本は…えっと…」

言い訳を考えるブーン。
ここで委員長に会いにきてるなんて言えるわけがない。言うとしてももっと
タイミングのいいときだ。
ブーンはこのピンチを打開する術を考える。
やればできる子、そう言われ続けてきた。
それを証明するときが以外にもいまなのかも知れない。
ブーンは意を決する。

( ^ω^)「僕は本を逆さで読めるんだお」

やっぱり馬鹿は馬鹿だった。
幼児レベルの虚勢である。
恐る恐るブーンは委員長の反応をうかがうと。

ξ゚听)ξ「へーすごいわね」

感心していた。
こっちも少しぬけているようだ。
否、頭が固くただ素直なだけかも知れなかった。


9 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:46:41.67 ID:/LEseWb/0
ξ゚听)ξ「それでなんて本なの」

( ^ω^)「え、えっと」

委員長の興味の対象は本にむいたらしい。
ブーンは急いで持っていた本の表紙のタイトルを見る。
運が悪いことに英語だった。
なぜ運が悪いかといえばブーンは英語が読めないのである。
彼はまた思考する。
やればできる子、頭の中で反芻させた。
いまこそその証明を。

( ^ω^)「バルキスの定理って本だお」

クラスに頭のいい同級生がいて、その彼がよく決め台詞のように使っていた
言葉を引用してその危機を脱しようとするブーン。彼は天才か。


10 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:48:48.63 ID:/LEseWb/0
ξ゚听)ξ「聞いたことない本ね」

意外なリアクションだった。
彼女ほど頭脳明晰ならば、『ああバルキスの定理ね、知ってるわ。あれは
すごいわよね、なんでも解き明かせるもの』
とかウケがいいとてっきり思っていたのに。
頭よさそうにふるまったブーンは首を傾げる。
と、それきり会話はなかった。
弾むことも続くことも。
それでもブーンには飛び上がるほどうれしいことだった。
少し距離が縮まった気がしたからだ。
教室へ戻る足どりはとても軽やかになる。
やがてブーンは両手を広げて走る姿勢をとる。
ハッピーエンドに向う勢いで。
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ブーン」


12 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:51:38.20 ID:/LEseWb/0
あれから会うたびに二人はよく話すようになった。
冗談もいえるくらいに、すぐに打ち解けていた。

( ^ω^)「同じクラスだから知ってると思うんだおけど、一応自己紹介。
僕は内藤ホライゾン、略してブーンだお」

ξ゚听)ξ「どこをどう略せばそうなるわけよっ」

( ^ω^)「突っ込みありがとうだお。さあいいんちょもどうぞだお」

ξ///)ξ「い、いやよ恥ずかしいっ」

( ^ω^)「ほらほら」

まるで夢みたいだ、とブーンは思う。
自分とは違う種類だと思っていた委員長とまるで友達みたいに話せている。
もう、友達なのだろうか。
そう呼んでもいいのだろうか。


13 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:54:04.00 ID:/LEseWb/0
ξ///)ξ「私はツンデレ子。略してつんこよ」

(;^ω^)「僕が求めていたのは普通の自己紹介でボケのほうじゃなーい、お」

しかもなんか卑猥になってるし。

ξ゚听)ξ「なによあんたがやれっていったんじゃないの」

まあ、そんなこんなで、一日二日三日と過ぎていく。
楽しい日々だった。
満たされた日々だった。
もしブーンに不満があるとすればつんこが、否、委員長が教室では図書室のよ
うに話してくれないという点だ。
優等生というキャラクターを崩さないためなのか、劣等生と話しているのを見
られると彼女の品格が落ちるからなのか、それはわからなかったが、そういう
理由なのだろうとむしろブーンから話さないことにした。
考えると何か寂しかったけれど。
寂しいけれど。
教室ではツンツンしていて、図書室ではデレデレしてくるのは決して悪いこと
ではない。
そう言い聞かせて我慢した。
ツンデレっていいじゃんと!


14 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:56:27.58 ID:/LEseWb/0
ある日ブーンは委員長に図書室に呼び出されることになる。

( ^ω^)「いいんちょいつも熱心に本よんでるけど何よんでるか見せてお」

ξ゚听)ξ「だめよ馬鹿か読む本じゃないのよ。それより今日の放課後−」

読んでいる本を見せてくれないことにちょっとすねたブーンだったが、少し
不思議に思う。
いつもならばお昼にあって話すだけだったのが指定された時間は放課後だった。
そしてブーンは先にきて多忙な委員長を待つことにした。

( ^ω^)「ひょっとして告白フラグたってるのかおこれ」

キタコレキタコレ、と一人はしゃいでいるブーンだったが、ふと考え込む。

( ^ω^)「もしそうなら女の子に告白させるのは男の恥だお。もっとだい
ぶ先になると思ってたおが、僕が先に告白してしまうお」

そんな決断をブーンがくだしたとき、委員長がタイミングよく現れた。


16 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:58:21.79 ID:/LEseWb/0
ξ゚听)ξ「またせて悪かったわね」

( ^ω^)「いいおいいお」

ξ゚听)ξ「ブーンに言いたいことがあるの」

( ^ω^)「(どのタイミングでいおうかお…)」

ξ゚听)ξ「わたしあなたとの関係…」

( ^ω^)「(まだだもう少しだお)」

ξ゚听)ξ「いい加減これきりにしたいの」

ブーンは言葉を呑み込んだ。
そうせざるをえなかった。
ハッピーエンドへ向かっていた足が、ブーンは止まった気がした。


18 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:02:59.76 ID:/LEseWb/0
(;^ω^)「え、え、なんで…だお」

ξ゚听)ξ「もう消えてよお願いだから」

( ;ω;)「なんでそんなひどいこというお」

ξ゚听)ξ「あなたはここにいてはいけないの、もうとっくに死んでるんだから」

考えてみれば。
いろいろ思い浮かぶ。
断片的な言葉が弾ける。

『口などきける機会は皆無だった
個人的に近づく接点なんてないのだから
違う次元にいるようなものなのだから』
『予期せぬ事態に返す言葉がなかなか見つからない』
『「へーあなたみたいなのも本を読むのね」』
『まるで夢みたいだ、とブーンは思う 自分とは違う種類だと思っていた委
員長とまるで友達みたいに話せている』
『委員長が教室では図書室のように話してくれない−』

人前で目に見えない何者かむかって話しかけている姿なんてみせられないに
決まっている。
だから。


19 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:05:08.25 ID:/LEseWb/0
( ;ω;)「あぁぁ…」

ξ゚听)ξ「わたしには霊感があって、いまのクラスにきたときすぐあなたのこと
がわかったわ。成仏できずにさまよっているって。しばらくは害はなさそうだ
からほうっておいた。でもやっぱりほうっておけなくて、図書室にあなたを除
去する方法を探しにいった。ここは歴史ある学校だから何かあると思ってね。
図書室にあなたがついてきたときは恐怖したけどその甲斐はあったわ。ブーン
あなたをこれで消し去れる」

まるで委員長はこれまでと別人だった。
冷淡で冷徹で冷厳で。


20 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:07:34.26 ID:/LEseWb/0
ξ゚听)ξ「仲良くしていたのは油断させるため、私のやろうとしていることを
気づかせないためよ。本当は鬱陶しかった」

友達と思えたあの時間は嘘だったのか。
楽しそうに笑ったり怒ったりしてくれた委員長は偽りだったのか。

ξ゚听)ξ「あなたとも図書室とも今日でお別れよ。せいせいする。ブーン
方法がわかったからいまから消してあげる」
否。
ブーンは小さく首を振った。
そんなことないのは彼がよく知っていた。
一瞬でも彼女を悪く思った自分が恥かしい。殺したくなるくらいに。
わかってる。
だっていつも見てたじゃないか。
そうだろ。
誰よりも見てたじゃないか彼女のことを。
ブーン泣き笑いのような顔で委員長を見据える。

( ^ω^)「ありがとだお、いいんちょ」


21 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:10:39.61 ID:/LEseWb/0
ξ゚听)ξ「ど、どうしてありがとうなのよ 私はあなたを排除するのよ」

( ^ω^)「いいんちょツンデレだから、でもだからこそわかるお。
無理してきつくいってること。仲のいいままだと僕がここに未練を残し
てしまって成仏できないから冷たく突き放していること。きっときっと
迷ったお。このまま少しの時間だけでも楽しくいくのかそれともこうす
るのかをお」

ξ゚听)ξ「そ、そんなことないわ。何を勘違いしてるのよっ馬鹿じゃないの」

( ^ω^)「ありがとう。想いは叶わなかったけど僕はしあわせだお
好きな人に救ってもらえるんだお」

ξ;;)ξ「な、なによ、なんなのよ、さっきから見透かしたこといって…」

( ^ω^)「大丈夫。何をされても僕はいいんちょが好きだから」

ξ゚听)ξ「…」

( ^ω^)「さあはやくいかせてくれお。もう用意はできているお」

ξ;;)ξ「ブーン…」

( ^ω^)「さあはやく…そうでなきゃ未練のこるお…涙がとめきれないお」

ξ;;)ξ「さようなら。短い間だったけれど、たの…たのしかったっ」

血を吐くように委員長が叫んだ次の瞬間、彼女の手が高速で虚空に不
可思議な模様を描いた。


22 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:11:11.63 ID:/LEseWb/0
あれから委員長はブーンと会うことは二度となかった。
けれど図書室へいく行為が変わる様子はなかった。
クラスメイトが不思議そうに何しにいくのと訊いてくることがあったが、彼女は笑って誤魔化すだけだ
だがこんなつぶやきを図書室から聞いた人がいるそうだ
ξ゚听)ξ「べ、べつにあんたのためにきてるんじゃないんだからね」
と。


( ^ω^)は委員長が好きなようです おしまい






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