( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです 第十二話『裏面史』〜

( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`)

( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`)更新情報


TOP ( ^ω^) ('A`) ( ´_ゝ`) (´・ω・`) 川 ゚ -゚) (*゚ー゚) ξ゚听)ξ




当サイトはブーン系小説の完結作品集 です。 読み物系は嫌いって方はご退場ください


下記からブーン系小説のジャンルを選択してください
ギャグ系:
戦闘系:
五十音別:
感動系:
カオス系:
作品一覧:
下ネタ系:
未分類:
その他:
78 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 21:56:53.59 ID:0/B2jX8b0
第十二話『裏面史』


ツンとの戦いから一日あけた朝、改めて討伐隊の本部に招集がかかった。
ツン、ブーン、ドクオ、ジョルジュ、クーの5人。
ショボンはその場にいなかった。

ツンは信用されているのか、その身は自由にされていた。
本人も特に改めて討伐隊と戦う気は起きず、言われるがままに集まった。


( ゚∀゚)「さて……それでツン、悪いが教えてもらえるだろうか?
   ……ツンが我々を狙う理由、そして魔女達が我々人間を狙う理由」

ξ゚听)ξ「……」

その場で全員が押し黙る中、ツンはゆっくりと言葉を紡いだ。

ξ゚听)ξ「私たち魔女は……あなた達に純粋な恨みを持っているの」

慎重に一言一言、彼女は言葉をつなげた。

ξ゚听)ξ「あなた達は……私たち魔女にひどい事をしたのよ、過去に。
   今のあなた達は昔の話だと思うでしょう、それでも……私たちには許せない過去なの!」


79 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 21:58:46.42 ID:0/B2jX8b0
魔女とは人間と何も見た目は変わらない、ただ先天的に力を持っていた。
ある時を境に生まれる強大な『魔女』の力。

普段は
ただの人間と相違ない、それでも人間は魔女を隔離した。
弱き者だからこそ、強き者を乖離するんだ。
弱き者が自分のプライドを示す方法、それは強き者を押しのけることだ。

そして弱き者は自分たちの強さを勘違いして優越に浸る。
魔女を下劣な存在として扱いだすんだ。
魔女と人間を確実に線引きしたんだ。



それでも私たち家族は楽しく暮らしていた。
安い賃金で働かせられていたが、楽しく暮らせていた。



それでも……幸せだった。


80 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:02:07.91 ID:0/B2jX8b0
数年前、地方で大きな戦争が連鎖的に起こったわ。
そしてそれにより、私達の国は様々な資源の経路を失った。
経済が一気に変化して、もう私達の国はダメだと思われたの。

そんな時……人間はどうしたと思う?


私たち魔女を捕まえ、一斉に虐殺したのよ。


彼らは私たちの中で強大な魔女の力を持つ者全てを集め、毒殺した。
経済が思うようにままならない幾つもの板挟みの中、
魔女という一つの心配の種を確実に消去したの。


そして……とうとう強制的な行動に入ったわ。


「ぱぱ、皆どこに行ったの?」


「どこだろうね、きっと戦争で自分たちの力になっているんだよ」


「ふーん」


ささやかな食卓が一瞬で戦場に、血の海に化けたわ。


81 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:03:52.83 ID:0/B2jX8b0
突然壊される家の壁。

押し入る幾人もの人。

突きつけられる銃。

体に与えられる衝撃。

理解できぬ状況で唖然とする中、私たちは打ちのめされ意識が朦朧としたわ。
母親はその場で体を何発も撃ち抜かれ、父親はスタンされて意識無いまま体を束縛されていた。
私は魔女の力も芽生えてない、だからそのまま力で押さえつけられた。


穴だらけで原形をとどめていないような無残な私の家、そしてそれに纏い上がる炎。

容赦なく打たれる拳、遠のく意識、意識の片隅で……炎の中から叫ぶ母親の声。

あまりの理不尽さに「何故?」と思う余裕もなかった。
「どうして私たちが?」、不思議とそういうことは考えられなかった。
ただ、何が起きているのかと理解しようとするだけで……命が助かるのかと心配するばかりで。


83 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:05:32.26 ID:0/B2jX8b0

それから暗い独房に入れられた。
両手足を縛られ、出される食事はスープ一杯だけ。
それを動物のように地にはいつくばって食べされられた。


一眠りした次の日、私は独房に来た数人の男に連れられてある部屋に運ばれたわ。

なんてことない、そこで私は裸にされて数人の男達に弄ばれた。

そしてその隣では人間の解剖を始めたの。
それがいつもの光景であるかのように。

「ラッキー、今日は赤ん坊が切れるぜ」

「オマエ運良すぎるよ……俺中年男性以外最近切った記憶ないな」

「この前のあのデブ、中々切り甲斐あって良かったがな、はは!」

そう言いながら自分を見る卑しい目。
羞恥だとか憤恨だとか、そんなものではない……単純な恐怖。

そしてそんな自分に投げつけられる腸。

私は一瞬で気絶した。


84 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:07:09.65 ID:0/B2jX8b0
目が覚めると再びそこは独房だった。
意識が覚める事で体がひどく傷している事に気付く。

あまりの痛さに、突然狂ったように悶絶し絶叫した。

狭い独房の中に声は大きく反響した。


しばらくすると一人の男の人が入ってきて、うるさいと私を蹴りつけた。

「淫事の最中に気絶した礼儀のない雌が……だから魔女は下等なんだ」

そう言って裸の私につばを吐き捨てた。

「少々、お仕置きが必要だなぁ……」

そう言って出て行った。



次の日、再び男に回される自分の隣で……父親が解剖された。


86 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:08:53.75 ID:0/B2jX8b0
隣で娘が裸で男達に弄ばれている。
それを最期の光景とし、私の父親はその腹を切り込まれた。

耳が弾ける様な音。
未だ聞いた事のない父の叫び声。
部屋に鳴り響く声、それを快感の様に聞く人々。

この人達は麻酔なんて使わない、生きた人間の自由を拘束し、そのまま切り刻んでいく。
断末魔の叫びは父も、その他の人も変わらないまったく同じ金切り声だ。

空気が抜けるように瞬間に小さくなる父の声。
いや、もうそれは父のものか誰のものか分からない。
皮肉な事に、その叫び声を聞いたことで私は少し冷静になれていた。

「オマエの父親、中々良い……サンプルだぜ?」

そう言ってメスをちらつかせる相手に、私はただ怖くて……
父親とか、そんな事を考える暇なんてなくて……

「私は、助けて……下さい……」

その言葉に男はこう答えたんだ。

「オマエ、若い女でよかったな」


その日の夕食には初めて焼かれた肉が出た。
それが何か分かると同時、私は吐き気を催したが無理矢理口に詰められた。
私は自分の父親を食べたのだ。


87 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:11:01.60 ID:0/B2jX8b0
初めは恥辱的で自分には生きる価値が無いのかなんて思い、何度も死のうと考えた。
しかし慣れとは怖いもので、数日後には逆の恐怖があった。


私は飽きられればきっと殺されるのだろう。
今私が女性であり、そして若いから生かされているだけなんだ。

いつこの人達は私に飽きるんだろう?

死にたくない、死にたくない、死にたくないのに……。



常に性道具として玩ばれ、隣では見知らぬ男の断末魔。
彼らの好みに合わなかっただろう殺された女性も何人も見てきた。

時には「五月蝿いから黙れ」と咽喉仏を執刀されている人もいた。

いつか私もあの断末魔を上げる側につく日が来るのだろう……とても他人事ではなかった。


89 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:12:37.22 ID:0/B2jX8bO
「まだまだ実験台なら腐るほどいるぜ?」


「いい加減にしてくれ、一日に何人切ればいいんだよ。
 半分くらいは病原菌を注射して放置しといてくれ。
 ああ、何日で死んだかのメモは忘れないようにな」


「どうせだったら病原菌にかかっている人間も切ってみたいから赤ん坊以外には全部注射しとけばいいんじゃないか?」


「それよりもオレは、動物類の毒を試したいな」



人の命は……一体どれだけの価値があるのだろう?


92 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:14:30.43 ID:0/B2jX8b0


ξ゚听)ξ「アナタは、人間の目玉を……見た事がある? 本当の断末魔を聞いた事がある?
   何度死にたいと本気で思ったか……想像できる!?」


ツンの鋭い言葉を、そこにいる人間は固唾を呑んで聞いた。
魔女と普通の人間との関係、そんな背景も知らずに知らずに討伐隊とは人間勝手もいいところだ。

ツンの過去。
勝手に殺された両親、そして自分はただの性欲処理の道具とされたんだ。
それで……ずっと人間を恨んできたのだろう。


魔女と人間にはそんな関係があったのだ。


('A`)「ツンっていったか?」

ドクオが声をかけた。
ツンはどこか悲しげに、それでも意志の強い目を向けた。

ξ゚听)ξ「何よ!」

('A`)「辛かったんだろ、だったら死ねよ、なんで死ななかったんだ?」

ξ゚听)ξ「!!」


98 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:16:17.60 ID:0/B2jX8b0
周囲の人間は慌てふためいた。
何を言い出すんだドクオは。
どうしてここで相手に追い討ちをかけるような言葉を放つんだ。

あまりに無慈悲なドクオの言葉に憤慨するあまり、ツンはわなわなと震え上がった。
そして出せる限りめいっぱいに声を張り上げる。

ξ#゚听)ξ「死ねって言いたいの!? 死にたいワケないじゃん、あんた何考えてるの?
   バカにしてるの、私の過去を……辛かった私の過去を馬鹿にして楽しい!?」

(;^ω^)「止めるおツン!」

今にも襲い掛かりそうなツンをブーンは押さえつける。
それでもツンの勢いは止まらない。

ξ;凵G)ξ「どいてよブーン、私はそいつを……だったら殺してやるんだから!
   死ぬってどういう事か分かるの!?」

('A`)「それはこっちの台詞だ、自分は経験してないくせに何分かった気になってんだテメーこそ」

(;^ω^)「ドクオ!」


101 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:18:01.20 ID:0/B2jX8b0
ツンを押さえたまま、ブーンはドクオに顔を向けて叫ぶ。
ブーンは知っている、ドクオがどうしてこんな言葉を掛けるのか。
ドクオが今どんな考えをしているのか。

だけどいけないんだ、ドクオの考えは一般的に受け入れられないんだ。
彼はまたい天才だから。

ξ;凵G)ξ「何よアンタ、死ねッ、だから人間なんて勝手なのよッ!
   アンタこそ死ね、バカにして生きる価値も無い……殺してやるんだからッ!!」

細く掠れた声を張り上げるツンをブーンは抑制して、ドクオに声をかける。

(;^ω^)「ドクオ、言いたいことは分かるお。
   だけど……止めてあげて欲しいお」

('A`)「……」

ブーンがそう言うと、ドクオは不満そうにゆっくりと歩いて自分たちの部屋へと戻っていった。
ジョルジュが慌ててその後を追った。


103 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:20:02.73 ID:0/B2jX8b0


討伐隊の基地は地下にあり、部屋数はゆうに十部屋を越える。
調理場、射撃訓練場、そしてシアタールームもあり、町の雑踏は一切聞こえない。


その頃地上では太陽が照りつける真昼、十数階はあるだろうビルを思うが侭にジャンプで移動する影があった。


(*゚ー゚)(さて、ツンちゃんはどこに行っちゃったのか……)


魔女の一人だ、名前はしぃといったか。
同じ魔女である弟者に言われた「相手に魔女がいるかもしれない」という言葉。
その場では否定したが、ずっとそれが引っ掛かっているのだ。

ツンを探すついでに、何とかその魔女の手がかりがつかめれば……と思い今こうやって町に出向いた。
騒ぎを起こすつもりはない、ただの様子見だ。

ビルの屋上に静かに着地すると、次はそれよりも5階以上高いビルの屋上へと大跳躍した。
町を往来する僅かな人々を一瞥するが、そこに魔女の姿はない。

魔女は魔女を見分ける事ができる。
うまく言えないが、魔女を見ると体から薄く光を放つオーラのようなものが見えるんだ。

(*゚ー゚)(さて、しかしツンちゃんも出てこないなぁ……)


106 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/21(火) 22:22:38.37 ID:0/B2jX8b0
ビルとビルを縦横無尽に飛び回って地の人々を見てみるが、そこに魔女の姿は一向に現れない。
元々魔女が多く姿を見せるこの街に、さほど多くの人影など無い。
魔女がいるか簡単に地上に目を通しながら、衝撃を高めて建物間を飛び上がる。

(*゚ー゚)「!!」
   『バランスの増強、摩擦力の増強、筋力の増強』

大跳躍をしてビルからビルへ跳ぶと、そこで急ブレーキをかけて止まる。

目の前には体から薄い光を放つ男が立っていた。


(´・ω・`)「やあ、ようこそ」


普通の人間には渾然としか見えないのだろうが、しっかりとその目には映った。
魔女特有の体から発せられる紫煙が、互いに目視できた。

(;*゚ー゚)「……」

これがきっとプギャーやモナーを、そしてツンをも殺した魔女なんだろう。
そう考えると背中を汗が伝った。

構えるしぃの前で、ショボンは片手に持つビンを差し出した。

(´・ω・`)「このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい」




【関連】
一気読み
第一話 - 第二話 - 第三話 - 第四話 - 第五話 - 第六話 - 第七話 - 第八話 - 第九話 - 第十話
第十一話 - 第十二話 - 第十三話


ブログパーツ ブログパーツ
inserted by FC2 system