( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです 第二十三話『簓先穂』〜

( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`)

( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`)更新情報


TOP ( ^ω^) ('A`) ( ´_ゝ`) (´・ω・`) 川 ゚ -゚) (*゚ー゚) ξ゚听)ξ




当サイトはブーン系小説の完結作品集 です。 読み物系は嫌いって方はご退場ください


下記からブーン系小説のジャンルを選択してください
ギャグ系:
戦闘系:
五十音別:
感動系:
カオス系:
作品一覧:
下ネタ系:
未分類:
その他:
2 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:00:47.24 ID:jmhlAyFy0
第二十三話『簓先穂』


引きも切らない雨は、次第に強さを増していった。
ここ数日の盆を傾けたような豪雨、海原は荒れ、波は夥しくうねる。
どす黒い雲は太陽を垣間見せる事さえ許さなかった。

倉庫の中では、バラバラと雨が波板トタンに当たる音だけが幾多も反響した。
電気も付いていないそこは、小さな窓ガラスから差し込む光だけで
不気味な暗さを醸し出していた。
雨の日は殊更に気味が悪い。

(,,゚Д゚)「いよいよ……決着だな」

以前燃え落ちたVIP倉庫の隣、造りがまったく同じなだだっ広いその倉庫内で、男の声がした。
しかし雨音ですぐにも消される。

(,,゚Д゚)「うるさい雨だ」

男はその場に寝転がった。
その場……自分の何倍とあるだろう、その『巨大な何か』の上で。

(,,゚Д゚)「いいさ……元より、あいつ等なんて信用してねぇぞゴルァ……」

いよいよ孤独になったが、男はやせ我慢をして見せた。
薄暗い空間は、心の寂しさに一層拍車を掛けた。


4 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:02:52.64 ID:jmhlAyFy0
どうして皆、自分を置いていったのだろう?
何がいけなかったのだろう?

自分は一族のために、その一心で只管に頑張ってきた。
自分の事なんて考えた事無い、ただ一族のために。
なのに……どうして。

(,,゚Д゚)「バカどもが……」

頼れない、使えないヤツばかり。
我利我利亡者ばかり、利に敏い奴ばかり。

そんな奴等に自分の意志が通じるわけなかったんだ。
自分と対等に物事が出来るわけがなかったんだ。


(,,゚Д゚)「あー、くだらねぇ」

男は上半身を持ち上げ、倉庫の扉を見下す。
そこには五人の客人が立っていた。

(,,゚Д゚)「……いらっしゃい」


6 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:04:55.73 ID:jmhlAyFy0

川 ゚ -゚)「オマエが、ギコか?」

身体、そして耳に包帯をしながらも気圧される様子無くクーは聞いた。

(,,゚Д゚)「ほぅ、オレのことは既に知っているか……その通りだ」

ギコは返事をすると、相手の集団を一瞥する。
その視線はツンで止まった。

ξ;゚听)ξ「!!」

(,,゚Д゚)「……クク」

そして身振り手振りを加え、大袈裟に笑い出す。

(,,゚Д゚)「ハハハ、ツンがね、だから流石兄弟ですら……そういう事か……ハハハッ!!」

ツンが裏切っている事をギコは知らない。
この場で始めてそれが判明したわけだが、彼女を見て驚くかと思いきや笑い出した。
何がそんなに面白いのだろうというほど大笑いをした。

(#゚Д゚)「ふざけるなッ!!!」

ξ;゚听)ξ「!!」

そして突然吠えた。


7 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:07:01.59 ID:jmhlAyFy0
(#゚Д゚)「使えない、どこまでも使えない……
     死ぬどころか挙句に反旗を翻しやがって……
     親父やお袋の死なんてもうどうでもいいのか!? 
     そうか、所詮オマエも自分を取ったわけだな!?」

ξ;゚听)ξ「えぁ……そんなつもり……」

(#゚Д゚)「どいつもこいつもバカにしやがって、上等だゴルァ!」

ギコは『巨大な何か』から飛び降りると、五人の前に立った。
彼の眼力は今までのどの魔女よりも鋭く、真っ直ぐに尖っていた。

暗味を帯びて音が深く反響するその場では、その男が一層恐怖染みて見える。

ギコはまだまだ、これでもかと怒り奮う。

(#゚Д゚)「もう親の仇だ何だは忘れたんだろ、      自分が幸せでそれでいいなどと思っているんだろう!!
     そうだ、やっぱりオマエもそうだ、人間にすら脅えていたくせに      すぐ心を動かしてすぐ寝返る!」

ξ;゚听)ξ「違う、違う……!」

(#゚Д゚)「もういい、言い訳は聞きたくない」

そう言ってギコは更に目を尖らせる。

(#゚Д゚)「どうせ死ぬんだ、敢えて非難してやる必要もないな」


9 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:09:11.87 ID:jmhlAyFy0
ピンと張り詰める空気、その場は一瞬で戦いの雰囲気へと変わった。
クーとブーンは銃に手を添え、ツンは困惑しながらも形だけの構えをとった。

(,,゚Д゚)「……と、その前に」

しかしギコが自身でその空気を壊す。

(,,゚Д゚)「オマエ達に、悲しいお知らせが二つある」

突然の展開に戸惑うブーン達に意地悪く笑いながら、ギコはその後ろの『巨大な何か』に歩いた。
そして勢いよくかかっていたビニールを剥ぎ取る。


黒光りする、ラグビー型の巨大な鉄装。
禍々しさを醸し出す『それ』は、見る者を恐怖へと一気に陥れた。

一見しただけでそれが何か分かった。



巨大な爆弾。


11 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:11:15.07 ID:jmhlAyFy0
ゾクッと背筋が凍り、クーとブーンはその厳かな姿に圧倒され、へなへなと座り込んだ。
目は既に釘付けとなり、思考は働かない。

まるでその黒に自分の全てが飲み込まれたような錯覚すら覚えた。

(;^ω^)「ば……」

言葉が続かない。
ば『くだん』は絶望を象徴していた。

(´・ω・`)「ほぅ」

(,,゚Д゚)「これがオレの切り札だ。
   威力を高めれば半径2〜30km程度なら軽く無に返すぜ?」

挑発的な笑みは、悪魔という比喩でも生易しいほどだ。

国の機能が集中している首都圏と隣接した地区、こんな所で爆発すれば、犠牲は枚挙に暇がない。


13 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:13:17.90 ID:jmhlAyFy0
(;^ω^)「でも、それを押せばお前も死ぬんじゃないのかお!?」

(,,゚Д゚)「ああ、だからこそこれは最終手段だ。
   万に一つも無い勝機を、ゼロにするための」

ギコは爆弾に近づくと、そこからスイッチを取り出す。
コードで爆弾とは繋がっていた。

(,,゚Д゚)「ちなみに無理にコードを切っても結果は同じだぜ?
   もし俺に負けそうになったら狙ってみるがいい」

再び最悪な笑いを轟かせて、スイッチに指を近づける。

(,,゚Д゚)「いっそのこともう押してしまおうか?
   結構押し込むのに力が必要でな」

言いながら指をスイッチに接触させ、力を込める振りをする。
悲壮な顔を強めるものの、それを止める者はいない。

絶望の支配からは、誰もが逃れる事が出来なかった。


16 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:15:22.66 ID:jmhlAyFy0
(,,゚Д゚)「……つまらんな、誰か一人くらい止めてみてはどうなんだ?」

やれやれとスイッチから指を離す。
そう、あくまでこれは最終手段なのだから。

(,,゚Д゚)「しかしドクオといったか、オマエは本当に我関せずだな」

('A`)「実際関係の無い話だ」

(,,゚Д゚)「オマエが死ぬというのにか?」

('A`)「ああ」

眉を顰め、理解出来ないギコは相手をするだけ無駄だと決めて話を元に戻す。

(,,゚Д゚)「悲しいお知らせは二つと言ったな、もう一つはもっとオマエ達には辛いかもしれないな」

そう言いながらギコは5人へ向かって歩いていく。

銃を構えるクー、抵抗する気さえ見せれないブーン、
自分の考えを見失ってどうする事も出来ないツン、我関せずのドクオ。
そして、表情を寸分も変えないショボン。


ギコはそのショボンの正面で足を止めた。


19 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [ら抜き言葉発見スマソ] 投稿日:2006/12/01(金) 22:17:27.09 ID:jmhlAyFy0
(,,゚Д゚)「ショボン、直に会うのは久しぶりだな」

(´・ω・`)「そうだね、電話ばかりだったからね」

川;゚ -゚)「!!」

クーは目を見開き、信じられないと言わんばかりの顔をした。


(´・ω・`)『もし……もし、僕が実は魔女側の人間だったらどうする?』


川;゚ -゚)「ショボン……さん」

ジョルジュを殺した相手の集団との癒着。
自分たちの使命。

(´・ω・`)「そういう事なんだ、すまない」

ショボンは相変わらず顔色を寸分と変えずに詫びた。
悪びれた様子は感じられない。


21 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:19:30.85 ID:jmhlAyFy0
川;゚ -゚)「どうして……そんな、ずっと血で血を洗う真似を……」

(´・ω・`)「そうだね、色々と理由はあるんだ。
   いずれにしても言えるのが、一面的な視点から見れば双方が被害者だって事くらいかな」

川;゚ -゚)「わかりません」

クーの声は震えていた。
出来る限り平生を保とうとしていたが、既に銃口は下を向き、腕は力無く垂れ下がっていた。

ショボンはやれやれとギコの方を向くと、彼は待ってましたと言わんばかりに口を開く。

(,,゚Д゚)「復讐だよ」

川;゚ -゚)「何を戯言を! これだけ沢山の犠牲を出しておいて、沢山の人を殺しておいて何が復讐だ!!」

(,,゚Д゚)「ツンから聞いただろう、我々魔女が人間を嫌う理由」

川;゚ -゚)「だからって私たちはどうすればいいんだ、どうすれば許してもらえるんだ!?
   何でもしよう、私が出来る事は何でもしよう!」

(,,゚Д゚)「何もするな」

川;゚ -゚)「!!」


25 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:21:37.30 ID:jmhlAyFy0
(,,゚Д゚)「因果応報、先人の罪はおまえ達の罪だ、素直に殺されろ」

つまりは「許さない」と言いたいのだ。
どれだけ頑張ろうとかこの罪は清算できない。

(,,゚Д゚)「優勝劣敗、弱肉強食……弱きはどれだけ罪か。
   そして弱きはどれだけ惨めたる存在か」

ギコは吐き捨てるように言った。



そして手に持つスイッチを見えるように掲げると……押した。


27 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/12/01(金) 22:23:47.40 ID:jmhlAyFy0

(;^ω^)('A`)(´・ω・`)川;゚ -゚)ξ;゚听)ξ「!?」

(,,゚Д゚)「……そういう事だ」

何も起こらない、それでも雨音が聞こえないほど大きな心音が響いた。
生きた心地がしない、心臓が止まった程に驚き、『死』が見えた。

腰が抜け、倒れこむクー、ブーンにツン。
唯一ドクオだけが驚いた様子を見せただけだったが、ギコは無視した。

そして爆弾まで歩くとパチンとスイッチを入れる。

(,,゚Д゚)「強き者に玩ばれる為の命だ」

見る見る間に爆弾周りの光が点灯し、大きく振動すると、ギコの手に持つスイッチが赤く光った。
『今度こそ』、ボタンを押せば爆弾は爆発するのだろう。

(,,゚Д゚)「哀れだな、弱者は」

そしてギコは、冥土の土産とばかりにポツリポツリと話し出した。
彼が背負う、『復讐』を……。




【関連】
一気読み
第一話 - 第二話 - 第三話 - 第四話 - 第五話 - 第六話 - 第七話 - 第八話 - 第九話 - 第十話
第十一話 - 第十二話 - 第十三話 - 第十四話 - 第十五話 - 第十六話 - 第十七話 - 第十八話
第十九話 - 第二十話 - 第二十一話・第二十二話 - 第二十三話 - 第二十四話


ブログパーツ ブログパーツ
inserted by FC2 system