( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです 第六話『相前後』〜

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245 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:22:11.39 ID:Tyw9yLgi0
第六話『相前後』


ブーンは静かで暗い地下通路を一人で歩いていた。

静寂では歩く音が不思議と大きく聞こえてしまうものだ。
そして自分の心臓の音すら大きく聞こえる。

自分の心臓の脈動で体がビクビクと動き、体裁が不審な自分ばかりを想像してしまっていた。
ショボンが『消えた』ことが、彼の心配に拍車をかけていたのは言うまでも無いだろう。

(;^ω^)「……」

『本当に誰もいないのか?』

同じ自問を幾度と繰り返しながらも一歩一歩進み、ようやく地下基地の出口が露になった。
階段をコツコツと音を立てて上がると、夜の町が顔を出す。
往来する人影は見当たらない。


246 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:23:36.68 ID:Tyw9yLgi0
外に出てもまだ安心できずに、彼はそのまま闇に紛れた。
魔女騒ぎで慌しい世の中だ、あえて夜に外に出る物好きもいないのだろう、誰にも会わずに路地を進んでいく。


そこは彼の知らない町だった。
魔女との戦場に位置された町、厳かなビルが立ち並びながらも人の気配は皆無だった。
ニュースで何度と聞いた事がある、戦場『ニューソク町』。

その初めての町をひたすらに駆け抜けた。



そしてしばらく走ったか、公園を見つけるとベンチで一息つく。
緊迫と運動で汗まみれになっていた。
外灯が明るく、地下からの脱出成功を祝うスポットライトのように目に映った。


ようやく逃げ切れたという気持ちになった。


(;^ω^)「……」

しかし冷静になると逃げ切れた所でどうだと言うのだ。
家に帰れない、むしろカーチャンは大丈夫なのか。

仮にも自分は魔女の対策本部の場所を知ってしまっているのだ、逃げるなんて……。


250 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:31:47.27 ID:Tyw9yLgi0
寒気がした。

もしかして自分……とんでもない事をしてしまったのではないのか?

(;^ω^)「……戻るかお?」

当然その選択肢はなかった。
一度逃げた身、今更戻れるわけなんてないのだ。 大きくため息をついた。 逃げ切れたのにどうして思い悩まなくちゃいけないのだ。

時間感覚が無かった、今更だが外は既に真っ暗になっている。
携帯で時間を確認するとなるほど、すでに22時を回っていた。


そんな彼に、声をかける者がいた。


   「すみません……」

(;^ω^)「おっ?」


251 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:32:55.31 ID:Tyw9yLgi0
ξ゚听)ξ「少し……いいですか?」

女の子だった。
クルクルと巻いた黄色い髪が印象的な可愛らしい少女だった。

だが侮るなかれ、彼は二次元にしか興味の無い人間だ。
身分相応弁えている。

( ^ω^)「なんですかお?」

ξ゚听)ξ「おとーさんとはぐれちゃったんだけど……」

( ^ω^)「そうなのかお? いいお、探すの手伝ってあげるお」

ブーンはこの時助かったと思った。
逃げ出した自分、人助けする事でその罪が許されるんじゃないかなどと考えてしまったのだ。
ただの自己満足でもいい、むしろ自己満足でいいんだ。

( ^ω^)「とりあえず交番に行くお?」

ξ゚听)ξ「うん」



254 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:41:07.66 ID:Tyw9yLgi0
相手が魔女だと知る術は無い。
もう少し彼が頭を回転させ、この時間にどうして子供が……と考えられれば良かったことだろう。
ただ残念ながら、彼は贖罪行為に奔命する事にいっぱいいっぱいで、そんな頭は残っていない。

広い公園、大きな池もあれば、林歩道もある。

ブーンは少女とはぐれない様に手を繋ぐと……柄にもなく緊張した。

(;^ω^)(やばいお、手が汗ばんできたお……息切れが激しいお……はふぅはふぅ!)

ξ゚听)ξ(汗ばんでいてマジキメェ)

そして二人は外灯だけが照らす静かな公園を、ゆっくりと歩いた。

ξ゚听)ξ(ピザ、キモメン、オタク、色白、短足、荒い鼻息……間違いない、こいつがプギャーを怒らせた討伐隊の一員だわ!)




255 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:42:44.71 ID:Tyw9yLgi0


(´・ω・`)「さて、それじゃぁ始めようか?」
   『反射神経の増強』

( ^Д^)「借りは返させて貰うぜ?」
   『反射神経の増強』

二人の魔女は構えをとると、どちらから出るか……睨み合う。
互いに相手を誘っていた。

(´・ω・`)「……」
   『集中力の増強』

( ^Д^)「……」
   『集中力の増強』

しばらくが経過したか、とうとう痺れを切らしたのはプギャーだった。

地面を力強く蹴る。
音が速いか相手が速いか、ショボンとプギャーは一瞬にして目前で対立した。

( ^Д^)『回転力の増強』

直前でストップすると、そのままくるりと回転してプギャーは裏拳を相手に放つ。



257 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:44:23.58 ID:Tyw9yLgi0
( ^Д^)『衝撃の増幅、硬化の増幅』

(´・ω・`)『硬化の増幅』

プギャーの攻撃をしっかりと防御するショボン。

空気が振動するかのような衝撃。
攻撃が当たった瞬間、二人とも一瞬だけ時間が止まったかのように制止した。

( ^Д^)

(´・ω・`)

互いに牽制し合っている、そしてこの一撃で相手の強さを確認したのだろう。

(( ^Д^))「がぅっ……!」

直後、プギャーの腹部への鈍痛。
ショボンの蹴り上げが見事に決まっていたのだ。

(´・ω・`)「遅いよ」
   『バランスの増強、回転力の増強、硬化の増強、衝撃の増強』

相手を蹴り上げえたアンバランスな状態から更に、体制を崩す事無く回し蹴りをプギャーの顔面に当てる。
地面に顔面をぶつけ、そのまま頭で数メートル跳ねた。



260 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:46:07.93 ID:Tyw9yLgi0
直後、プギャーは空中で体制を取り直して無理矢理着地する。
が、着地直後にグラッと一瞬揺れた。
相当なダメージがあったようだ。

(;^Д^)「く……ッ!」

(´・ω・`)「どうだい、魔女としての格の違いを感じてくれたかな……?」

蹴られた顔面と首を手で押さえながら、プギャーは舌打ちをした。
対してショボンは余裕の表情で相手を見据える。

(#^Д^)「てめ……絶対に殺すッ!」



そんな二人を傍から見ながら、ジョルジュはドクオに聞く。

( ゚∀゚)「どうだ、魔女対魔女を見た感想は?」

('A`)「オレら普通の人間がどうこう出来る次元じゃないっすね」

( ゚∀゚)「だろう?」

ドクオは以外にもサッパリとしていた。
驚いてはいるのだろうが、それすら怪しくなるほど落ち着いていた。



264 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:47:36.98 ID:Tyw9yLgi0
('A`)「でもショボンさんの方が断然有利ですね」

( ゚∀゚)「そう思うだろう、しかしそうじゃないんだ」

ジョルジュはその言葉を待っていたとばかりに得意気に言った。
それにドクオも興味を引かれる。

('A`)「どういう事ですか?」

( ゚∀゚)「そのままだよ、魔女同士の戦いっていうのは単純に強い方が勝つんじゃないから奥深いんだ」

現在の状況では、明らかにショボンの方が強く有利だ。
だがジョルジュの話によると強い方が勝つとは限らないらしい。

どういう事だろうか?

そんな事を考えるドクオを他所に、再びプギャーとショボンは戦いを始めた。



265 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:49:13.80 ID:Tyw9yLgi0


( ^ω^)「それで、お父さんとはどこではぐれたんだお?」

ξ゚听)ξ「……覚えてない」

(;^ω^)(またかお……)

さっきからブーンが何を聞いてもこの少女は分からないの一点張りだった。
いい加減にイライラしてくる。

……この繋いだ手がなければ。

(;^ω^)(違うお、僕は三次元なんかに興味のある犯罪者予備軍じゃないお、純然たる二次元愛好者だお!
   ここで心を揺らす事は乙女先輩への侮辱冒涜以外のなんでもないお!!)

そんな自分の葛藤を他所に、少女は顔を覗き込んで言った。

ξ゚听)ξ「どうかしたの?」

( ^ω^)「……」


   この場で犯す
 > 様子を見る
   脱ぐ


266 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:50:49.34 ID:Tyw9yLgi0
(;^ω^)(選択肢がおかしいお……エロゲならここで幼女フラグが立っているはずなのに……)

現実は違う、迷子の世話をしたらそれまでの関係だ。
それだけの繋がりだ。
意味の無い親切、自分に何も帰ってこないし見返りを求めてはいけない。

苦悩しているブーンをよそに、少女は暗みを帯びた世界で青い池を見ていた。
青く大きな池には月が反射して、キラキラと水面が輝いている。

ξ゚听)ξ「ねえ、名前は……何て言うの?」

( ^ω^)「おっ、僕はブーンだお。君は?」

ξ゚听)ξ「私はね、ツンっていうの」

どこか挑発的にも見えるその顔を、正直に綺麗だと思った。

( ^ω^)(まったく最近の子供は大人びているものだお)

そんな親父臭い事をブーンは考えた。


269 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:52:22.42 ID:Tyw9yLgi0
( ^ω^)「とりあえず交番に行くお、そんな池の端にいたら危ないお」

ξ゚听)ξ「何か怖いよー!」

ブーンが近寄ろうとすると、そんな事を笑って言う。
少なからず心が傷付いた、お返しとばかりに相手にノッてやる。

( ^ω^)「ほらほらー、大丈夫だよー? おじちゃん何もしないよー?」

ξ゚听)ξ「あははー、きゃあー助けてー」

傍から見た自分の姿を想像して含羞を覚えたが、いまさら引けやしない。
自我を省みずに、大げさな身振り手振りをあわせて襲う真似する。

ξ゚听)ξ「あははー……っと、キャッ!」

そんな矢先……どぽんと大きな音を立てて彼女が池に落ちた。
それ見た事かと思いながらも、正直自分が原因な気がしてならない。
何だこの罪悪感は、だから三次元の女は嫌なんだ。

しかも少女は泳げないようだった。

ξ;゚听)ξ「きゃ、っぷ、……ぷはっ!」

そんなさまを冷静に見ているブーンがいた。



271 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:54:18.00 ID:Tyw9yLgi0
助けなくてはいけないだろう、しかしどうして自分が?
勝手に親探しに付き合わされてそんな義理はないだろう?
そもそも自分は注意したのだ、その上での不注意なのだから世話無い。

なによりわざわざ濡れたくない。

この少女のお陰で逃げてきた罪悪感を忘れられた自分など、彼はすっかり忘れていた。

ξ;゚听)ξ「助け……ッ!」

少女の声が耳に届き、ブーンはようやくハッとした。
そうだ、一応助けた方がいいだろう常識的に考えて。

しぶしぶといった感じで飛び込もうとするも、その前にと携帯を取り出してその場に置いておいた。
上着も脱ごうかと考えたが、そこまで余裕を見せるのは彼とて憚られた。

さて、それでは助けようか。
ブーンは意を決して飛び込んだ。



272 名前: ( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです [] 投稿日:2006/11/16(木) 22:55:53.33 ID:Tyw9yLgi0
すぐにも少女を抱き抱えるとそのまま岸へ泳ごうとするが……どうした事か、思うように泳げない。
水がまるで体に纏わりつくかのように自由を束縛する。


そして……体が段々と沈んでいる。
まるで下から何かに引っ張られているように、底無し沼のように。
体を動かせばそれだけ深みにはまっていった。


(;^ω^)「ちょ、おま……!!」

ξ゚听)ξ『質量の増加、粘着性の増加、重力の増幅』



   とぷん


一気に重くなった彼女に引き摺られると、抗いも虚しく、少女に抱きつかれたまま彼は沈んだ。

水面はただ静かに揺れていた。




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