31 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:53:04.23 ID:DOr29HKu0
そして午前七時。
ブーンとクーは死亡した少女、高岡の家に車で乗りつけた。
渡辺室長は分室に留まり、事実上独立部隊である分室の指揮を振るう事になった。
高岡の家は母子家庭で、母親は悲嘆にくれていた。
どうやら昨晩は一睡もせずに、遺体を見守っていたらしい。
顔色は異常に悪い。何か病気でも患っているようだ。
しかし、それでいて不思議な色気を醸し出しているのは気のせいだろうかとブーンは思った。
( ^ω^)(こんな人から事情聴取するなんて、僕らは因果な商売だお。できれば避けたいお)
ブーンにはその考えが甘えである事に気付いていない。
否、気付いていないからこそ、ブーンがブーンであり続けるのかもしれない。
刑事をやるには純粋すぎた。
32 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:53:48.30 ID:DOr29HKu0
川 ゚ -゚)「――――――以上が娘さんの死因です」
川 ゚ -゚)「お母さん、この度は誠にご愁傷様です。娘さんのご無念は、
薬を娘さんに与えた者は我々が必ず確保します。その為にご協力ください。
J( '-`)し「・・・・・・はい」
( ^ω^)「ちょ、クーさん?いきなり過ぎますお。もうちょっと・・・」
J( '-`)し「いいんですよ刑事さん。あの子の事、お尋ねになりたいんでしょう?
私にできる事があったら・・・・お手伝いしますわ」
川 ゚ -゚)「ありがとうございます。では早速ですが、娘さんがドラッグを常習的に使用していたという事など、
何か目立った行動は無かったでしょうか?」
( ^ω^)(直球過ぎるお・・・ありえないお)
J( '-`)し「・・・あの子が・・・ドラッグまで?」
33 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:54:38.84 ID:DOr29HKu0
( ^ω^)(まで・・・?)
高岡の母親は混乱しているように見受けられる。
我が子が薬物中毒で死に、さらに薬の常習犯として調べられているとは夢にも思わなかっただろうとブーンは考えた。
しかし、高岡の母の表情にはどこか諦観があった。
クーは駄目を押すように続ける。
川 ゚ -゚)「娘さんが何処から今回のドラッグ<キャンディ>を入手したのか――これは大きな問題です――
心当たりは無いでしょうか?」
( ^ω^)「ちょっとクーさん?それはあまりにも無いですお。
もう少し親御さんの気持ちを考えて発言した方がいいですお」
川 ゚ -゚)「私は刑事として聞きたい事を聞いているだけだぞ?何か問題でもあるのか?」
( ^ω^)「それにしたって、もうちょっと聞き方って物があるんじゃ無いですかお」
二人が口論に入る寸前、この場で一番苦しい立場にある高岡の母が割って入った。
J( '-`)し「娘の霊前です。もう少し弁えていただけないものでしょうか・・・」
川 ゚ -゚)「も、申し訳ありません、配慮に欠けました。謝罪します。」
( ^ω^)「すみませんでしたお・・・」
34 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:55:19.28 ID:DOr29HKu0
毅然とした母の態度の前には、二人の確執など取るに足らないものでしかない。
そして、高岡の母はポツリポツリと話し始めた。
家庭での生活態度、学校での評判、塾での成績、その他運動会や参観日の思い出などを、
自分に言い聞かせるように、一言一言思いを込めて語った。
その話を聞く限り、高岡という少女はおおよそドラッグなどとは無縁だと思うブーン。
文武両道というに相応しい少女のようだ。
一通りの事情聴取が済むと、高岡の部屋を捜索した。
高岡の部屋は少女らしいレースなどの装飾が目立ち、藍色系で統一されていた。
ベッドには少女漫画雑誌とファッション誌にオカルト雑誌などが無造作に置かれている。
しかし、手がかりになるようなものは何も出なかった。
ブーンとクーはもう一度不敬を謝罪し、高岡宅を後にした。
35 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:56:52.72 ID:DOr29HKu0
川 ゚ -゚)「母親の証言を全面的に受け入れると、高岡少女はシロか・・・
しかし、一体何処でキャンディを手に入れた・・・」
クーがポツリと独り言をもらした。
( ^ω^)「やはりここは小学校でも関係者や友達に当たるほか無いお」
川 ゚ -゚)「・・・そうだな。しかしブーンにしてはまともな結論だな」
( ^ω^)「あんま馬鹿にしないでほしいお」
川 ゚ -゚)「馬鹿になどしていない。正論を述べたまでだよ」
( ^ω^)(この女とは完全に合わないお・・・)
確執を残しつつ、ブーンとクーはニューソク小学校に向かった。
36 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:57:16.83 ID:DOr29HKu0
午前八時半。
ニューソク小学校は閑散としていた。
昨日児童が変死したため、今日は休校のうえ、父兄説明会を開くのだそうだ。
ブーンとクーが学校に到着した時、校庭や体育館周辺には誰もいなかった。
説明会にはまだ時間があるのだろう。
クーの話によると教員は全員出勤しているそうだ
二人は通用門に常駐している用務員に用件を伝えると、職員室へ連絡をまわしてくれた。
用務員の案内により、二人は応接室へとやってきた。
37 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:57:56.22 ID:DOr29HKu0
川 ゚ -゚)「聴取は私がやるからブーンは何も喋るんじゃないぞ。先刻みたいな事になる」
( ^ω^)「ちょ、それは酷い。僕にも発言権くらいあるお」
川 ゚ -゚)「しょうがないな。あまり私の邪魔をするんじゃないぞ」
( ^ω^)「ぬぅ、このビッチめ・・・」
川 ゚ -゚)「何か言ったか?」
( ^ω^)「な、なんでもないですお」
川 ゚ -゚)「そうか、だが次に私のことをビッチ呼ばわりしたら尻の穴が二つになるぞ」
( ^ω^)「は、把握した(洒落も糞もあったもんじゃないお)」
38 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:58:26.83 ID:DOr29HKu0
しばらくすると、校長と高岡の担任教師が現れた。
校長はずいぶんと枯れた男であった。
ミ,,゚Д゚彡「ニューソク小学校校長のフサギコです。このたびはお世話をおかけします」
川 ゚ -゚)「こちらこそ協力いただいて感謝しています。少年課のクーと申します」
( ^ω^)「僕はブーンですお」
(*'ω' *)「高岡さんの担任のちんぽっぽですっぽ」
担任教師は少し風変わりというか、特殊な人物のようだ。
そんな印象を受けつつ、クーは質問を始めた。
川 ゚ -゚)「まずは高岡さんの学校での生活態度についてお伺いしたいのですが」
クーの聴取が始まった。
相変わらず必要な事のみ端的に話し、不要な感情などは捨て去る問答である。
42 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:59:00.85 ID:DOr29HKu0
しかし、その結果は芳しくなかった。
高岡の学校での評価は所謂「優等生」であった。
成績は上位に入り、生活態度も良好。友達付き合いも多く、学級委員長を任されていた。
教師陣とも折り合いがついていたらしく、悪い評判は皆無だった。
無論、キャンディとの関わりなど一切見えてこない。
何故キャンディを服用したのか。それを何処で手に入れたのか。
全て闇の中である。
44 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 15:59:32.12 ID:DOr29HKu0
川 ゚ -゚)「ふむ、今までの話しの内容では、高岡さんとキャンディとのの関連性はきわめて
低いですね」
( ^ω^)「全く無いって言っていいと思うお」
(*'ω' *)「そうっぽ。高岡さんに限ってそんな薬物とは縁が無いっぽ」
ミ,,゚Д゚彡「我々学校側としましても、今回の件には当惑しています。
刑事さん。一刻も早い真相究明をお願いします」
川 ゚ -゚)「承知しています。なんとか早期解決を・・・」
携帯「そーらーに青い流星・・・」
( ^ω^)「あ、ちょっと失礼だお」
川 ゚ -゚)「携帯は切っておけよ・・・」
45 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 16:00:02.44 ID:DOr29HKu0
いそいそと応接室から退出したブーンは、ドクオからの電話に出た。
( ^ω^)「もしもし、こちら色男のブーンですお」
('A`) 『モテモテのドクオ様だ。ブローカーが吐いた。が、真偽を問われる証言だ』
( ^ω^)「一体何を吐いたんだお?」
('A`) 『ブローカーは「キャンディは高岡という小学生の少女から受け取った」
と供述している』
( ^ω^)「・・・・・・・ハァ?」
('A`) 『俺だってハァ?っと思ったさ。だから真偽を問うと言っただろう。
だが、高岡という個人名がはっきり出たんだ。
何も関連が無いと考える方が不自然だろう?』
47 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 16:00:35.75 ID:DOr29HKu0
( ^ω^)「確かにドクオの言う通りだお。でまかせじゃない事は確かだお。
今丁度ニューソク小学校にいるから、もう少し聴取してみるお」
('A`) 『それは無理だな。もう対策本部本隊の連中がそっちに向かってる。
奴らが来たらお前はお払い箱だぜ?』
( ^ω^)「仰る通りだお・・・。納得いかないけどここは撤退だお」
('A`) 『あぁ、それがいいさ。俺も今から捜査に加わる。
何か当たりがあればお互い連絡し合おう』
( ^ω^)「把握した。健闘を祈るお」
('A`) 『そりゃこっちの台詞だバーロー』
('A`) 『それとな、これは俺の私見なんだが、分室が認められるためには実績が必要だ。
今回の件はお前達にとっちゃ正規軍を見返すチャンスだ。
なるべく俺達の裏をかくような捜査をするんだ。いいな。』
( ^ω^)「ドクオ・・・わかったお。僕らは僕らのやり方ですすめるお」
48 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 16:01:08.02 ID:DOr29HKu0
携帯電話を切った後、ブーンは少し考えをめぐらした。
( ^ω^)(やっぱり高岡がキャンディを入手した経緯を知るべきだお
ブローカーに流したのが高岡なら・・・一体どういうことだお?)
思い悩んでいると目の前の扉が開かれ、中にいた三人がぞろぞろと退室してきた。
校長と担任はやや緊張が残る面持ちでだったが、クーの表情は相変わらず読めない。
( ^ω^)「何食ったらそんなに不景気な顔になるんですかお」
川 ゚ -゚)「何か言ったか?」
( ^ω^)「いえなにも」
ミ,,゚Д゚彡「それでは刑事さん。捜査の方はよろしくお頼みしましたよ」
川 ゚ -゚)「心得ました。必ず真相を究明します」
49 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 16:01:37.30 ID:DOr29HKu0
( ^ω^)「ひょっとして聴取は終ったっぽいですかお?」
川 ゚ -゚)「長電話しすぎだ」
( ^ω^)(アンタが簡潔すぎるんだお)
川 ゚ -゚)「それではフサギコ校長、ちんぽっぽ先生、
我々は他の先生方ともお話しがしたいのですが・・・
( ^ω^)「もしもしクーさんや、ちょっと話しがありますお」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
ブーンはクーを廊下の端に引っ張っていき、ドクオとの電話内容を話した。
川 ゚ -゚)「どういうことだそれは。その話しは信じてもいいのか?」
( ^ω^)「ドクオが言うのだから、十中八苦間違いないですお」
50 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 16:02:03.13 ID:DOr29HKu0
川 ゚ -゚)「・・・・よし、これからは本隊の連中が来る前に動こう」
( ^ω^)「具体的にどうすれば良いんですお?」
川 ゚ -゚)「今の事情聴取で、高岡と親しい友人三人をリストアップしたんだ。
今からすぐに当たっていこう。本隊が行動する前に」
( ^ω^)「把握した。まずは何処へ向かうんですかお?」
川 ゚ -゚)「高岡の一番の親友に、しぃという子がいる。その子に直接会ってみよう。
家の場所は私がナビするから、ブーンは運転に専念してくれ」
( ^ω^)「了解ですお。じゃぁ急いで出発だお」
51 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/04(日) 16:02:29.45 ID:DOr29HKu0
二人は急いで校舎を後にし、車に乗り込んだ。
高岡がキャンディを所持していた事には間違いはないようだが、
その入手経路、更にその流出経路がまるで見えない。
ブーンは言い知れぬ不安感に苛まれている気がした。
何かどこかがおかしい。
何がおかしいのかは、いくら考えてもわからなかった。
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