146 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:02:43.54 ID:gMLBDrAM0
午後二時四十五分。
取調室。
伊藤の正面にクーが座り、ブーンは机の横に立っている。
ブーンにはクーの事情聴取は幾分穏やかになってきたような気がする。
相手の心を刺すような発言が抑えられえていた。
伊藤の証言は通り一辺倒で特に手懸りとなるような発言は無かった。
ブーンがイラつき出した頃、クーはおもむろに問い掛けた。
川 ゚ -゚)「伊藤さん、貴方は任意同行の直前に、しぃさんからの電話を受けましたね?
よろしければ電話の内容を教えてもらえないだろうか」
一瞬の動揺の後、伊藤は答えた。
('、`*川「電話って、それは・・・覚えていないです」
茶色に染められた髪の毛を無意識の内にいじっている。
川 ゚ -゚)「今朝の事なんだ。覚えていないわけは無いはずだよ」
('、`*川「覚えていない物は覚えていません」
147 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:04:52.39 ID:gMLBDrAM0
ブーンとクーは顔を見合わせ、軽くため息をついた。
そこで一旦伊藤への聴取を中止し、ヒートを呼び出した。
予想通りヒートも判で押したような解答しかしない。
供述はしぃと伊藤のそれとほとんど同じであった。
しかし、クーが電話の件に触れたとき、ヒートは明らかに動揺した。
ノパ听)「で、電話はありましたけど、世間話でした!」
川 ゚ -゚)「世間話か。どんな内容だったか覚えているかい」
ノパ听)「はい・・・高岡さんのこととか荒巻の・・・あ!」
川 ゚ -゚)「荒巻?」
ノパ听)「いえ、違います。なんでもないのです!」
( ^ω^)(荒巻・・・・まさか・・・)
( ^ω^)「荒巻ってのは荒巻スカルチノフのことかお?」
ノパ听)「ち・・・ちがう!・・・私は何も関係ありません!・・・」
148 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:06:40.70 ID:gMLBDrAM0
それきりヒートは貝になった。もはや何を語りかけても答えようとはしない。
荒巻という名を出してから以降の動揺は明らかだ。
荒巻スカルチノフは去年、軍によって殺害された科学者である。
キャンディ一斉取り締まり作戦の際だった。
入局したてのブーンは、その殺害作戦の一端を担っていた。
担っていたと言っても、やはり使い走りだったのだが。
ともかくその作戦で荒巻は死亡したはずである。
荒巻はキャンディを最初に精製した人物と言われている。
厄種であった死者の復活。
ブーンはそんな言葉を思い浮かべていた。
なんとかして情報を引き出そうとしたクーは一計を案じ、もう一度伊藤を呼んだ。
150 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:08:42.60 ID:gMLBDrAM0
川 ゚ -゚)「伊藤さん。荒巻スカルチノフとあなた達の関係を話してください」
一瞬の間があり、伊藤は答えた。
('、`*川「荒巻?知りませんそんな人」
そのポーカーフェイスからブーンはなにも読み取れなかったが、クーの眼差しが鋭くなった。
川 ゚ -゚)「ヒートさんが『概ね話してくれました』よ」
( ^ω^)「ちょ、クーさん!?」
クーがブーンを目で制する。
クーの言葉に伊藤は明らかに動揺した。目が泳ぎ始める。黙秘が崩れ始めた。
('、`*川「喋ったのか・・・あの子」
川 ゚ -゚)「最初から順を追って話してはくれないだろうか」
ため息を一つつく伊藤。
そして、秘密の暴露は始まった。
153 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:10:45.20 ID:gMLBDrAM0
('、`*川「高岡さんは、ヒートさんから聞いているなら知っての通り・・・
『売り』をしていました」
( ^ω^)「!?」
('、`*川「高岡さんのお母さんも、売っていました」
伊藤の告白は続く。
高岡の母は末期のガンを患っていた上に、亡き夫が残した多額の借金があった。
生活費とはともかく、治療費などを払う経済的余裕は無かった。
さらに娘が属する有名私立の高額な学費を捻出する事など不可能である。
ついには高岡の母は夜な夜な街路に立つ事になった。
それを知った高岡は、母を助けたいが為の一心で自らも売春行為に及んだらしい。
何時の世も倒錯した性癖の持ち主というのはなくならないものである。
高岡が夜の街に立つと、客は面白いほど寄り付いた。
そうして高岡は自らの身体と心を汚し、母と自らの生活を助けたのであった。
156 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:12:40.18 ID:gMLBDrAM0
('、`*川「高岡さんが売りのお金をお母さんに渡した時、お母さんは泣いてわびたそうです。
お金の額と高岡さんの態度ですぐにわかったんでしょうね」
――落ちてしまうと元に戻るのは難しいんです。
伊藤はそう言った。
その後も高岡親子は夜の街に立ちつづけた。幾度かは共に買われる事もあった。
親子が笑顔でいる時間は無くなった。
('、`*川「そんな時、高岡さんの客についたのが荒巻って訳です。
高岡さんは偶々荒巻に身の上話をしたそうです」
高岡の身の上話を聞いた荒巻は、高岡親子に援助を持ち掛けた。条件付で。
高岡はそれを呑み、荒巻の援助を受け入れた。
以後、高岡親子が夜の街に立つ事は無くなった。
158 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:14:43.41 ID:gMLBDrAM0
( ^ω^)「その条件というのがキャンディ・・・かお?」
('、`*川「その通りです。ヒートさんはどこまで喋りましたか?
まぁ、ばれるのも時間の問題ですから、私が全部喋りましょうか?」
川 ゚ -゚)「聞かせてもらうよ」
高岡に提示された条件は、荒巻が用意したキャンディをばら撒く事だった。
主に子供達の間に。
高岡はまず信用のおける数人に事情を話し、キャンディを手渡した。
それが、しぃとヒートと伊藤である。
また、荒巻は刑事局を撹乱する為に高岡を通して、
暴力組織ラウンジのブローカーにキャンディを数個流したらしい。
そして高岡はと言うと、良心の呵責と母親の治療費とを天秤にかけていた。
だから、三人以外にキャンディをばら撒く事が出来なかったようだ。
一方キャンディを渡された三人は、伊藤の知る限りでは服用はしていなかったらしい。
さらに、ブーン達がしぃの家を訪問した際、しぃはヒートと伊藤に連絡をとり、
高岡とキャンディ関連の事は黙秘する様指示を出していた。
159 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:16:46.76 ID:gMLBDrAM0
('、`*川「私が高岡さんとキャンディに関して知っているのはこれだけです。
何故高岡さんが中毒死したのかは知りませんし、
しぃさんが自殺した理由も知りません」
川 ゚ -゚)「正直に話してくれてありがとう。しかし、すまないが私達は嘘をついていた。
実のところ、ヒートさんは何も喋ってはいないんだ。
私達のブラフだったんだ。すまない」
('、`*川「な・・・汚い。騙した」
( ^ω^)「騙すつもりは無かったお。申し訳ないお。だけど・・・・」
ブーンの言葉を遮るように、ため息をつきながら伊藤が言った。
('、`*川「わかってますよ。なんせ悪いのは私達の方なんですからね。
それに、ヒートの性格上ずっと黙っているなんて出来ないでしょうから。
いずれにせよ、事実はすぐに明るみに出るわけですね」
160 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:18:40.75 ID:gMLBDrAM0
妙に達観した物の言い方にブーンは罪悪感を持ったが、落ち込んでいても仕方が無い。
クーの騙まし討ちは必要悪だと考え、次の一手を考えた。
川 ゚ -゚)「ありがとう伊藤さん。最後に一つ。
貴方は渡されたキャンディをどうしたのですか?」
('、`*川「あー、それならトイレに流しちゃいました。
ヒートも燃えるゴミに出したそうです。
しぃさんは・・・使っちゃってたんですね」
川 ゚ -゚)「そうか。本当の事を話してくれてありがとう。
これ以上手を煩わす事は無いと思います」
('、`*川「そう願いたいです。あ、私からも一つ。
荒巻って人は必ず捕まえてください。
荒巻さえいなければ高岡さんとしぃさんは死ななかったかもしれないから」
161 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 17:20:42.47 ID:gMLBDrAM0
ブーンとクーは深くうなずいた。
こうして至急の取調べは終った。
その後、渡辺を交えて三人で話し合った結果、手柄より事件解決が先決と決まり、
ブーン達は対策本部に事のあらましを伝えた。
対策本部は急遽捜査会議を開き――会議室は使えないので麻薬班の詰め所で――
早速荒巻の安否確認を急がせた。
190 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:31:09.04 ID:iyOe289Y0
捜査会議の間、ブーンとクーは詰め所の隅で静かに座っていた。
伊藤の話のやり切れなさの後遺症だろうか。
今回の会議も短時間で終了し、麻薬班は荒巻の捜索に重点を置く事になった。
追加情報として、しぃの部屋から大量のアルバムが発見されたらしい。
その中は全て高岡の写真で埋め尽くされていたそうだ。
しぃは余程高岡を慕っていた様である。
そして分室は、相変わらずの遊軍扱いになった。
会議終了後、ドクオがブーンのもとに寄って来た。
192 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:34:52.54 ID:iyOe289Y0
('A`)「よう、ガキに自白させたって聞いたぞ。やるじゃないか」
麻薬班の若きエースは見栄えの悪い顔を持っている。
顔だけで気持ち悪がられる傾向があり、本人も気にはしているようだ。どうしようもないが。
ブーンは見慣れた異相の男に言った。
( ^ω^)「自白と言うよりはただ告白を聞いただけだお。
それに取り調べはクーさんがやったんだお」
要領を得ないブーンの解答に首を捻るドクオ。
('A`)「なんだそりゃぁ、まぁ、いいや。とにかく分室の得点になったみたいだぜ。
捜査も進展したんだ。もっと堂々としてろよ」
( ^ω^)「僕はそれほど肝の太い人間じゃないお」
('A`)「まぁそうだな。あんまり堂々としたブーンは見たくないかもな。
しかし、荒巻の名前が出てくるとは驚きだ」
194 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:38:15.29 ID:iyOe289Y0
( ^ω^)「僕も信じられない気持ちだお。マッドサイエンティスト再びだお」
('A`)「荒巻は俺が挙げるぜ。今度くらい目立たないと俺の株も落ちちまうからな」
( ^ω^)「荒巻、本当に生きてるのかお」
('A`)「だが実際にキャンディが存在しているんだ。去年の狩り残しかも知れないがな」
( ^ω^)「その方が精神衛生上ありがたいお」
('A`)「しっかりしろよブーン。ま、俺はお前と違って折れない心をもってるからな。
さてと、邪魔したな。俺も捜査に加わってくるわ」
196 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:42:40.41 ID:iyOe289Y0
そう言って自信満々のドクオは詰め所を後にした。
ブーンは未だにドクオの自信の根拠がわからないが、
彼なら何があっても大丈夫と言う確信めいたものを持っていた。
その後、分室の三人組は自らの島へ戻り、会議めいたモノを始めた。
今後の動きをどうするか。麻薬班と同じく荒巻を捜索するのか。
それとも、全く違う切り口を発見するまで動かないか。
三人は思案をめぐらせた。
そして、分室は独自の判断で動こうと結論が出た時、クーがぽつりと言った。
199 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:46:33.57 ID:iyOe289Y0
川 ゚ -゚)「もう一度、高岡の母親に当たってみるのはどうでしょうか」
( ^ω^)「高岡のお母さん・・・これ以上傷を抉るのは気が進まないですお」
川 ゚ -゚)「それは私も同じだ。だが、あの人は私達に本当の事を言わなかった。
私はあの人の心が知りたい。それが捜査の進展に関るかはわからないが」
しぃの死という体験をして、少し感傷的になっているのかもしれない。
ブーンはなんとなくそんな気がわかるような気がした。
本当の事。
それを知りたいのはブーンも同じであるはず。
( ^ω^)「そう言われるとつらいですお」
从'―'从「うちは分室です。私達は私達のやり方でいきましょう。
荒巻の捜索は麻薬班本隊に任せましょう。
さぁ、お二人とも、頑張ってくださいね」
そう言って渡辺は二人の肩を叩いた。
201 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:50:39.54 ID:iyOe289Y0
午後四時半。
再び高岡の家に向かう車中。
クーがステアリングを握っている。
自ら率先して運転を買って出たのだ。
川 ゚ -゚)「そろそろ電話してみたらどうだ?」
( ^ω^)「電話?どこにかけるんですかお?」
川 ゚ -゚)「今朝の痴話喧嘩の相手。ツンとか言ったな」
( ^ω^)「あー・・・いやいや今かける勇気は無いですお」
川 ゚ -゚)「仲直りしなくていいのか?ブーンの特別なのだろう?」
( ^ω^)「今は事件に集中した方が良いですお。もう失敗はできませんお」
川 ゚ -゚)「そうか。それならいいんだ。だったら運転を任せればよかった」
( ^ω^)「もしかしてその為に運転を代わってくれたんですかお?」
川 ゚ -゚)「ああ。その方が時間の都合がいいかと思ってな・・・」
203 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:54:37.64 ID:iyOe289Y0
最後までよく聞き取れない発声だった。
クーにしては珍しく言葉に感情がこもる。
照れていた。
( ^ω^)「クーさんが照れるとは・・・記念になりますお」
川 ゚ -゚)「別に照れてなどはいないぞ」
クーの口調は既にいつも通りに戻っている。
たった一言だけだったが、その言葉でブーンは心のわだかまりが少し消えていく気がした。
一方クーは照れ隠しに無理やり話題を変えようと、あらぬ方向に話を振った。
川 ゚ -゚)「と、ところで、ブーンは何故分室に所属しているんだ?」
( ^ω^)「それを話すと長くなりますお・・・」
川 ゚ -゚)「よければ聞かせて欲しいものだな」
( ^ω^)「・・・あれは一年程前のことですお」
205 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 22:58:49.75 ID:iyOe289Y0
―――【一年前】
ブーンは麻薬班の新入りとして活動していた。
任務内容はやはりただの使い走りだったが。
そんなブーンに初めて麻薬取引の現場を押さえる任務が与えられた。
ニダーという男を中心にした、麻薬密売組織の摘発という任務内容だった。
その日、ブーンは高揚し、通常の状態ではなかった。
現場に踏み込むといってもブーンは後衛要員であり、
突入部隊が取りこぼした犯人を押さえればいいという、比較的気が楽な役割である。
突入開始直前、ブーンは取引が行われる建物の裏口に配備された。
( ^ω^)「緊張するお・・・。何がなんだかわからなくなってきたお」
やがて、突入開始の無線が入ってきた。
数秒後、建物内から怒号が響き渡った。
何かがぶつかり合う音、何かが割れる音、
そんな中、裏口から突然何者かが飛び出してきた。
206 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:02:41.28 ID:iyOe289Y0
( ^ω^)「チェストーッ」
ブーンは飛び出してきた陰に思いきり体当たりを喰らわせた。
もつれ合うブーンと影。
影の持っていたバッグからビニール袋に入った白い粉が散乱する。
( ^ω^)「こ、これは!?」
<ヽ`∀´>「こ、これは小麦粉か何かニダ!」
頬骨が張り、吊り上がった目が特徴的な男だった。
( ^ω^)「なんだ、小麦粉でしたかお」
<ヽ`∀´>「ウリは小麦粉の行商でこのビルに来たニダ。麻薬取引とは関係ないニダ」
( ^ω^)「そうでしたかお。それじゃお気をつけてですお」
<ヽ`∀´>「お役目ご苦労様ニダ。(刑事が馬鹿で助かったニダ)」
209 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:06:36.08 ID:iyOe289Y0
男はそう言って、散らばった袋をかき集めて鞄に詰め、逃げるように去って行った。
――五分後。
( ><)「馬鹿もーんなんです!!そいつがニダーなんです!!」
( ^ω^)「な、なんだってー!?」
( ><)「お前みたいな馬鹿は見たことが無いんです!二度と使ってやらないんです!」
それがブーンの最初で最後の麻薬捜査だった。
次の日、麻薬班の掲示板には異動の知らせが張り付いていた。
「組織犯罪対策課麻薬班ブーン、この者、組織犯罪対策課特別分室に異動とする」
211 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:11:17.53 ID:iyOe289Y0
( ゚ω゚)「・・・島ながしだお・・・」
('A`)「おい、ブーン。これは洒落にならないぞ」
( ´ω`)「これはもうだめかもしれんね」
ブーンは少ない机の中身を整理し、特別分室に向かった。
その扉には「国家刑事局組織犯罪対応課特別分室」と、
ホワイトボードにサインペンで書かれている表札が貼り付けてあった。
ブーンが扉を開けると、満面の笑顔で分室の主が出迎えた。
从'―'从「ようこそ分室へ、いらっしゃい〜」
特大の笑顔だったことは覚えている。
213 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:15:38.99 ID:iyOe289Y0
( ^ω^)「と、言う訳で、僕は分室に配属になったんですお」
川 ゚ -゚)「お前は・・・・(馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが・・・)」
( ^ω^)「馬鹿と言っても構いませんお。
この話を聞いて笑わなかったのは渡辺室長くらいですお」
川 ゚ -゚)「いや、まぁ・・・」
ブーンの回想はクーの予想の遥か斜め上を飛んでいた。
だからこそ分室に送られるというものである。
原因があるからこそ結果があるのだ。
クーは聞かなかった事にして、更に話題を振った
215 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:19:15.54 ID:iyOe289Y0
川 ゚ -゚)「渡辺室長はどうして分室にいるんだろう。ブーンは知っているか?」
( ^ω^)「室長は昔の事は一切話しませんお。
詮索するのも気が引けるので、昔の事は聞いてませんお」
川 ゚ -゚)「そうか。ま、人それぞれだな・・・」
それきり車内は沈黙した。
不思議な事にこの沈黙は苦痛ではない。どこか自然な沈黙だった。
その沈黙を保ったまま、車は高岡の家に到着した。
【関連】
一気読み
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第三話
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第四話
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第五話
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第六話
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