( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)が空を行くようです 第二話 「晴れの空下」〜

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43 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:05:52.77 ID:pZSgmORy0
第二話 「晴れの空下」

燃料も補給し、ブーンとツンの二人は一路、軍事国家メンヘラを目指す。
眼下に広がるのは周囲360度、空の彼方まで続く、厚く真っ白な雲海。
一方、眼上には淡い青空と、そこにポツリポツリと浮かぶ白い雲。
周囲にはブーン達の飛行機械以外に飛行するものはない。

( ^ω^)「ここからメンヘラまではどのくらいだお?」
ξ゚听)ξ「えっと……二千kmってところかしらね」
( ´ω`)「……たまらんお」

ブーンはため息をついて、バックミラー越しにツンを見た。
後部座席では、ツンが地図を眺めながら水筒の水をおいしそうに飲んでいる。

45 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:08:28.87 ID:pZSgmORy0

( ^ω^)「僕にも水、頂戴だお」
ξ゚听)ξ「やーよ。ただでさえ水税が上がったのよ?
    そんな貴重な水、そう易々とあげられるわけないじゃなーい。
    あんたは黙って運転に集中してなさいよー」
(;^ω^)「こんな晴れの空の下なんか、目隠ししていても運転できるお!」


ブーンは後ろを振り返り、身を乗り出して後部座席のツンへと手を伸ばす。
ツンは水筒をブーンに差出し、ブーンがそれをつかもうとすると引っ込めた。
幼馴染の慌てふためく様子を見て彼女はケタケタと笑い、
二人はしばらくの間、同じやり取りを繰り返した。
ブーン達にとって、水とは貴重な存在である。
それは、飛行中は水が手に入らないと言う理由からではなく、
文字通り水が貴重で、高価だからである。
なぜ水が高価なのか?
それは彼らの世界の構造が深くかかわっている。

46 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:11:51.42 ID:pZSgmORy0

彼らの世界。
眼下に広がるのは切れ目なく続く雲海。
その名の通り、雲は海だ。
『世界は空に逃げた……』
昔、小さい頃に聞かされた事がある。
まるで童話のような話。
しかし、、これはまぎれもない事実だ。
空に浮かぶ数々の島々。
果て無く続く雲海。
それが、ブーン達の世界のすべて。
雲の上の世界しか知らないブーンには想像もできない話だが、
広がる雲海の下には、また別の世界が広がっているという。
しかし、人間が住める世界ではなくなっているというのが話のオチだった。
その理由は今となってはハッキリしない。
世界規模の災害とも、古代の戦争の結果だとも言われている。
いずれにしても、雲海の下では強烈な嵐が吹き荒れており、
飛行機械で突入すれば間違いなく帰ってこられないともっぱらのうわさだ。

47 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:15:06.51 ID:pZSgmORy0

水の話に移ろう。
雲の上に世界があるということは、勿論雨が少ないということだ。
よって、天の恵みたる雨による水の確保は望めない。
ではどうやって水を確保しているのかと言うと、
それは世界に五つしか存在しない「水の島」から調達している。
水の島はこの世界のもっとも上空に存在する、莫大な量の水が湧き出る島で、
その島から溢れ落ちてくる水を、その下にある別の島々が受け取る。
そして、受け取った島々の端から流れ落ちる水をそのまた下にある島々が受け取る。
そのため、島々は水の島を頂上にした山のような三角錘の形に配置されており、 何かほかのものにたとえるならば、
太陽の光をどの葉からも受けられるように末広がりになっている植物の構造がそれに近い。
太陽が水の島で、太陽の光が水の島から流れ落ちる水、
そして、植物の葉が残りの島々と言うわけだ。

49 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:19:29.39 ID:pZSgmORy0

さて、先程『莫大な量の水が湧き出る』と表現したが、
勿論湧き出る水は無限ではないし、国家の管理体制も厳重だ。
それにより水に税金が課せられ、その値段たるや、
酷いところではペットボトル一本買うお金で豪華なディナーをいただけるほどになる。
よって、ブーン達にとっては水税の増税は死活問題となってくるのである。
余談だが、その水の島から流れ落ちている水でつながった、
樹木の葉のように幾層にも重なった島の集まりが
ひとつの国家としてのくくりを受けている。
水の島は全部で五つ。
つまり、この世界には五つの国家が存在するということになる。

51 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:22:02.25 ID:pZSgmORy0

さてさて、長々と解説している間にブーン達はとある小さな島に着陸したようだ。
二人は飛行機械の座席から島へと降りる。

( ´ω`)「おー…腰が痛いお…」
ξ゚ー゚)ξ 「お疲れさま!」

そう言ってツンはブーンに水筒を投げてよこす。
飛んできた水筒を受け取るや否や、ブーンはその中身を一気に飲み干した。

( ^ω^)「うまいお!この一杯のために生きているようなもんだお!」
ξ゚听)ξ「親父くさいこと言ってないで、さっさと燃料と水を補給しに行くわよ」

そんな言葉をブーンに投げかけると、ツンは着陸した島にある一軒の建物に向かう。
建物で買い物を終えた二人は、飛行機械に燃料を入れると再び大空へと羽ばたいた。

53 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:24:23.45 ID:pZSgmORy0

ξ゚ー゚)ξ 「コンビニエンス島ってのは便利よね〜。物価高すぎだけど」
( ^ω^)「まあ、それはしょうがないお」

遠路を渡る飛行機械乗り達が重宝するのがこのコンビニエンス島だ。
燃料、水、食料、整備に必要な部品など、
飛行に必要なものが一通りそろった店がある島が、この空には各地に転々としている。
長距離を行く際には、
飛行機械乗り達はこのコンビニエンス島を経由する形で目的地への進路をとる。
もっともその島でのそれらの販売値段たるや、
水の島でつながれた国家に属する島々とは比べ物にならないくらいに高いのだが、
水や燃料の輸送費、そしてコンビニエンス島自体の利便性を考えればそれも仕方がない。
それからもひたすらに飛行を続け、
日も暮れ、夜の帳があたりにすっかり降りて、それから更に時間がたった深夜になって、
ようやく二人はメンヘラ国の軍本部がある島へと到着した。


55 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:26:19.88 ID:pZSgmORy0

( ´ω`)「あうあう〜…僕はもうダメだお……」
ξ;゚听)ξ「飛行時間約二十時間……自己最長連続飛行時間……記録更新ね…」

飛行機械から転げ落ちるように降りて、二人は地面に寝転んだ。

( ´ω`)「お〜……死んだ母ちゃんの姿が見えるお…」

体の節々が悲鳴を上げ、もうこれ以上動くのは無理だと言っている。
しかし、仕事はそれを許してくれない。
ツンは横で寝息を立てだしたブーンを蹴り起こすと、
彼を引きずりながら、すぐ近くにあるメンヘラ軍本部へと向かった。

56 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:29:03.23 ID:pZSgmORy0

ξ;゚听)ξ「え―――!?
     ラウンジ艦隊は軍事演習に行ってるの―――――!?」

ようやく軍本部に着いた二人は、見張りの兵士にとんでもない事実を告げられた。
届け先であるラウンジ艦隊は現在、近郊の空域で軍事演習中のためここにはいないらしい。

兵士「ああ。急ぎの届け物なんだろう?
  演習場所教えるから、そっちに直接届けてくれよ」
( ;ω;)ξ;凵G)ξ「「 勘弁してよ―――――――!!」」

二人は夜空を見上げて叫ぶ。
すると体から一気に力が抜けたのか、地面にへたり込んで仰向けになる。

兵士「……そう言わずにさぁ、頼むよ〜」

そのまま起き上がらない二人を申し訳なさそうなまなざしで見てそう言うと、
兵士は腰にぶら下げた水筒を二人に差し出した。

兵士「軍で支給されている、ここいらじゃ一番上質な水が入った水筒だ。
   これやるからさ、頑張ってくれよ!」


58 名前:VIP奴隷[] 投稿日:2006/11/27(月) 20:30:56.04 ID:pZSgmORy0

二人は上半身を起こし、心優しい兵士から水筒をひったくると一気に飲み干した。
そして空になった水筒を兵士に渡すと、あからさまに不機嫌な表情で言った。

ξ#゚听)ξ「はいはい!これも仕事ですからね!お水、ありがとうございました!」
( ´ω`)「あうあう……」
ξ#゚听)ξ「ほら!シャンとする!さっさと仕事終わらせて寝るわよ!」

もはや猫背と言うには申し訳ないくらいに前かがみでフラフラと立ち上がるブーン。
そんな彼の背中を叩き、ツンは自分達の飛行機械の方へと歩き出した。
その後ろを、まるで廃人のような足取りでブーンが続く。

兵士「 頑張れよ――――!!」

二人の後姿に向かって、兵士は申し訳なさげに手を振った。

第二話 おしまい



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第一話 「スロウライダー」 - 第二話 「晴れの空下」 - 第三話 「STROBOLIGHTS」


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