( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)が空を行くようです 第六話 「Boys on the run」〜

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193 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:06:14.29 ID:/PPBPy9R0
第六話 「Boys on the run」

食材を抱えた毒男の後に続いて、
ブーンとツンの二人も、台所と作業場のある地下への階段を下る。
階段を下り終えるとブーンは作業場の方へと向かい、
ツンは毒男に調理具置き場の説明を簡単にすると、幼馴染の背中を追って作業場へと消えた。
それから一時間ほどの間、
ブーンとツンは作業場にてエンジンやブースターのスペックを確認したり、
実際にそれらを起動させて、動作の特徴や癖などのチェックを行ったりした。
しかし、台所のほうから香ばしいにおいが漂ってくる頃になると、
集中力が切れたのか、二人の作業はまったくと言っていいほどに進まなくなる。
やがてツンの腹の虫が豪快な音を鳴らしたのを契機に二人は作業を止め、
作業場に散らばった工具やパーツなどを片付けると、台所へと向かった。

195 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:10:36.56 ID:/PPBPy9R0

( ^ω^)「うはwwwwテラウマソスwwwwwww」
ξ゚听)ξ「……」

台所の食卓には、香ばしい香りを放つ具沢山のビーフシチュー、
きれいに盛り付けられた山盛りのサラダ、そして数々の副菜が所狭しと並べられていた。

('∀`)「ぶほほほほwwwwww
    あたしの愛情たっぷりの料理、腹いっぱい食べんさい!お残しは許しまへんでー!!」

食卓に座った二人は、毒男のその言葉をきっかけに食事を開始する。
ブーンはものの数分でシチューを平らげると、
毒男に向かい空になった皿を差し出して「おかわり!」と叫んだ。
その皿をうれしそうに受け取って二杯目のシチューを注ぐオカマ。
彼から手渡された追加のシチューをむさぼりはじめるブーンの隣では、
複雑な顔をしたツンがシチューをそそりながら

ξ゚听)ξ「悔しいけど……おいしいわ」

とつぶやいていた。
やがて食卓に置かれた皿の上に何も無くなり、
ブーンとツンがパンパンに膨れたお腹をさすりだした頃になって、やっと会話が始まった。

197 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:13:44.49 ID:/PPBPy9R0

('∀`)「どうだった?あたしの手料理は?」
( ^ω^)「最高だお!こんなおいしい料理はじめて食べたお!!」
ξ゚−゚)ξ「ごめんなさいねぇ……あたしの料理、おいしく無くて……」

ブーンの隣では、そっぽを向いて拗ねるツンの姿があった。

(;^ω^)「あうあう……ツンの料理はもちろんおいしいお!
      毒男さんの料理が異常にうますぎるだけなんだお!!」
ξ゚听)ξ「あははー……あたしの料理はオカマに負けてしまったのね……」

遠い目をして呟く彼女に向かい、少年は慌てて弁解を繰り広げる。
しばらくの間、そんな二人の様子を微笑みながら眺めていた毒男。
やがて彼は食卓の上の皿を片付け始める。
それに気づいた二人が慌てて手伝おうとするのだが、
毒男はそれを制止すると、台所で一人、皿を洗い始めた。

199 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:17:33.54 ID:/PPBPy9R0

ξ゚听)ξ「悪いわよ、料理作ってもらったうえに洗い物までさせちゃうなんて……」
('A`)「いいのよいいのよ。
   あんたたち、親のいない二人暮しで大変なんでしょ?
   たまには食事の後くらいゆっくりなさいよ」
( ^ω^)ξ゚−゚)ξ 「「……」」

その言葉に二人は黙ってうつむき、毒男は手を休ませずに話を続ける。

('A`)「朝早くから起きて、自分達で食事を作って空へ飛び立つ。
   一日中あちこちを飛び回って、帰ってくるのは日が沈み始めた頃。
   それから飛行機械の整備をしたり、家事をしたりしているうちにもう眠る時間。
   あんた達二人にそういうことさせて、ホント、神様ってのは不公平なもんよね。
   あんた達くらいの年頃じゃ、遊ぶことが仕事だっていうのにね」
ξ゚−゚)ξ「……あたしたちはもう……子供じゃないわ」

ツンは真剣な顔をして洗い物をする毒男の背中に向かって言う。
オカマはその言葉を聞いて振り返ると、ニヤニヤした顔でツンを指差し、言った。

('∀`)9m「ぶほほほほほwwwwwwwww
     あそこの毛も生えそろっていない小娘がよく言うわwwwwww」

201 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:20:02.07 ID:/PPBPy9R0

  /'           !   ━━┓┃┃
-‐'―ニ二二二二ニ>ヽ、    ┃   ━━━━━━━━
ァ   /,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 )    ┃               ┃┃┃
'   Y  ー==j 〈,,二,゙ !  )    。                  ┛
ゝ.  {、  - ,. ヾ "^ }  } ゚ 。
   )  ,. ‘-,,'   ≦ 三
ゞ, ∧ヾ  ゝ'゚       ≦ 三 ゚。 ゚
'=-/ ヽ゚ 。≧         三 ==-
/ |ヽ  \-ァ,          ≧=- 。
  ! \  イレ,、         >三  。゚ ・ ゚
  |   >≦`Vヾ        ヾ ≧
  〉 ,く 。゚ /。・イハ 、、     `ミ 。 ゚ 。 ・

毒男のその言葉に、ツンは飲んでいたココアを勢いよく噴出した。

ξ;゚听)ξ「なななな!なんですって―――――!?」
('∀`)「あらあら、慌てちゃってぇ。ツンもまだまだ子供よねぇ?」
ξ#゚听)ξ「失礼ね!あそこの毛くらい、もう生えているわよ!!」

202 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:21:48.95 ID:/PPBPy9R0

そう言って立ち上がる彼女を、
キョトンとした顔をして見上げるブーン。

(;゚ω゚)「ツン、すごいお……もうあそこに毛が生えちゃったのかお!?」
ξ゚听)ξ「………」
ξ///)ξ「………」

ブーンの言葉を聞いたツンの顔が、見る見る内に真っ赤に染まる。
そんな彼女をニヤニヤといやらしい顔で見つめる毒男が、トドメの一言を放った。

('∀`)「ぶほほほほほほほwwwwwwww
    生理が始まったならあたしに言いなさいよ!いろいろ教えてあげるわ!」

204 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:23:37.63 ID:/PPBPy9R0

ξ;凵G)ξ「イヤ――――!!
     あたしもうお嫁に行けない――――――――――!!」

そう叫ぶやいなや、ツンは台所のドアをぶち破ってどこかへ消えた。
そんな幼馴染の後姿を不思議そうな表情で見送ったブーンは、毒男に尋ねる。

( ^ω^)「……生理ってなんだお?」
('A`)「大人の女に起こる現象よ。
   すっごくつらいらしいわ。
   あたしにはまだ来ていないけど……」
( ^ω^)「おっおっお。なら、毒男さんもまだ子供だお!!」
('∀`)「ぶほほほほほほwwww
    そうよ!あたしはまだ子供、永遠の少女なーのよぅ!!
    ところでブーンちゃん、あそこに毛は生えた?」

その言葉を聞いた少年は、ズボンのチャックを下げて確認する。
しばらくチャックの中身とにらめっこした彼は、残念そうな顔をして言った。

( ´ω`)「まだうぶ毛しか生えてないお……」

206 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:26:12.78 ID:/PPBPy9R0

('∀`)「ぶほほほほほwwwwwブーンちゃん最高よ!!」

地下の台所には、毒男の笑い声だけが響いた。
自分の毛の無さに少し落ち込んでいたブーンだが、
チャックを閉めると、満面の笑みで毒男の顔を見上げて言う。

( ^ω^)「だけど気にしないお!毛なんかもうすぐ生えてくるお!
     そしたら僕は、ツンと一緒に『エデン』を目指すんだお!」

『エデン』

その単語に、笑顔を崩さない毒男の太く濃い眉がピクリと動いた。

207 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:27:12.95 ID:/PPBPy9R0

('A`)「……なんでブーンちゃんは『エデン』を目指すの?」
( ^ω^)「そこに父ちゃんがいるからだお!
     僕の父ちゃんとツンの父ちゃんは、四年前に『エデン』を目指して飛んでいったお!
     だから僕は、ツンと『エデン』を目指すんだお!」
('A`)「ふーん……」

洗い物を終えたらしい毒男は、
ブーンの正面に腰掛けると、頬杖をついてブーンの顔を見つめた。

('A`)「それだけ、なの?」
( ^ω^)「お?」
('A`)「ブーンちゃんが『エデン』を目指すのは、あなたのお父様に会いたいからだけなの?」

208 名前:VIP足軽y[] 投稿日:2006/11/28(火) 21:29:55.38 ID:/PPBPy9R0

毒男の問いかけに、ブーンは迷いのない笑顔で答えた。

( ^ω^)「そうだお!
     『エデン』で父ちゃんに会って、一人前の飛行機械乗りになった僕を見せてやるんだお!
     そして、父ちゃんと一緒に『エデン』の空を飛び回るんだお!!」

楽しそうに、そして少し哀しげに宣言したブーンの瞳の奥を、毒男はジッと見つめた。
そんなオカマの見透かしてくるような目に、少年は首をかしげる。

(;^ω^)「お?僕の顔になんか付いているのかお?」

いつものようなふざけた様子のないオカマの真剣な瞳は、
少年の頭に大人が持つ特有の真面目さを感じさせた。

('A`)「……いいえ」

オカマは食卓に身を乗り出し、少年の瞳を至近距離から見つめて、言った。

('∀`)「ブーンちゃんの瞳って、キラキラ輝いているわね!すっごく素敵よ!!」

218 名前:VIP足軽zip[猿さん極悪非道の巻] 投稿日:2006/11/28(火) 22:09:56.40 ID:/PPBPy9R0

(;^ω^)「お……それは……どうもだお」

オカマのキモい顔と言葉に鳥肌を立てながらも、ブーンは何とかそれに答えた。
毒男はそのまま立ち上がると、ブーンに向かって

('∀`)「チャオ!あそこに毛が生えたら教えてね!
   ぶほほほほほほwwwwwwwwwwww」

と残し、そのまま台所を後にした。

219 名前:VIP足軽zip[] 投稿日:2006/11/28(火) 22:13:57.72 ID:/PPBPy9R0

('A`)「あら小娘。こんなところにいたの?」

ブーン宅から出た毒男は、その玄関の脇でしゃがみこんでいるツンを見つけた。
彼女は体操座りのまま、顔をうつむかせて何も答えない。

('A`)「悪かったわね、恥ずかしいこと言わせて」

彼女の方を見ないでそう言うと、
毒男はポケットからタバコを取り出し、それに火をつける。
彼が吐いた煙は、夜の町へとゆらゆら流れていく。
毒男がその様子を眺めていると、足元の少女が顔をうつむけたまま、小さな声で言う。

ξ゚−゚)ξ「ブーンから聞いたんでしょ?『エデン』のこと」
('A`)「……ええ、聞いたわ。よくわかったわね?」
ξ゚ー゚)ξ「……あんな馬鹿でかい声でしゃべっていれば、イヤでも聞こえるわよ」

そう言って、「ふふふ」と小さな笑い声を上げる少女。
毒男はその言葉を、空に流れていく煙の行方を見つめながら聞いていた。

222 名前:VIP足軽zip[] 投稿日:2006/11/28(火) 22:17:34.35 ID:/PPBPy9R0

ξ゚−゚)ξ「あれ、嘘だから」
('A`)「え?」

予想外のツンの発言に、毒男は思わず足元にしゃがみこむ彼女の姿を見た。

('A`)「何が嘘なのよ?」

オカマは、今まで見せたことの無いような険しい表情で言う。
しばらくの沈黙の後、少女はうつむかせた顔を上げて、悲しそうな表情を見せた。

ξ゚−゚)ξ「パパに会いたいからっていうの、嘘なの。
    あいつね、まだ毛も生え揃っていないようなガキだけど……わかっているはずだわ。
    私たちのパパが……もう生きていないってこと……」
('A`)「……」

毒男は再び顔を上げると、短くなったタバコの煙を一気に肺の中に入れた。
ツンはしゃがみこんだまま、前を見つめたままで言葉をつむぐ。

ξ゚−゚)ξ「だってそうでしょう?『エデン』に飛び立ってもう四年よ?
      その間、パパ達は一度も帰ってきていない。
      ……それなら、答えは決まっているも同然よ」

224 名前:VIP足軽zip[] 投稿日:2006/11/28(火) 22:21:25.88 ID:/PPBPy9R0

ξ゚−゚)ξ「……ただ認めたくないだけなのよ、きっと。
    それを口に出したら、自分がそれを認めたことになっちゃう。
    解き放たれた思いは、空気を伝って耳に入って、自分の心に重くのしかかる。
    ………だからね、あいつは絶対にそれを口にしないの」

吸い込んだ煙を、毒男は一気に吐き出した。
大量の煙は空へと昇って、そのまま漆黒の闇へと溶けていく。

ξ;ー;)ξ「……笑っちゃうでしょ?
     認めたほうが楽なのに、絶対に認めないのよ、あいつ。
     あたしが何度そう言っても、『父ちゃんは生きているお!』って繰り返すだけ。
     本当に……バカなのよ」

ツンの言葉が、涙でかすれ始める。
やがて、少女の目からこぼれ落ちた一滴の涙が、彼女の頬に一筋の線を描いた。
こぼれ落ちた雫は、すらりとした顎の先から流れ落ち、
乾いた地面に小さな丸いしみを作る。

226 名前:VIP足軽zip[] 投稿日:2006/11/28(火) 22:25:30.95 ID:/PPBPy9R0

二人は、空を見上げた。
その視線の先では、先ほどまで雲に隠れていた月が顔を出していた。
仰ぐ月明かりが、優しく目に入り込む感覚が気持ちいい。
夜の空は静寂。
そこにあるのは月と星と雲だけ……。
見上げた二人のはるか上空を、低い音を立てて一機の飛行機械が進んでいく。
夜空を駆けていく、銀色の空の舟。
それは、見上げて伸ばしたツンの指先をすり抜けて、小さく消えた。

ξ炎刮)ξ「だからこそ、私たちは『エデン』に行くの!
      行って、パパ達の無念を晴らすのよ!!
      そして私たちは、パパ達を超える飛行機械乗りになるの!!」

消えていく舟を見届けたツンは、涙を拭いながら立ち上がり、
先ほどとは一転して、巨人の星も真っ青なほどに目に炎を浮かべる。
そんな彼女を見て、毒男は大声で笑った。

227 名前:VIP足軽zip[] 投稿日:2006/11/28(火) 22:27:39.26 ID:/PPBPy9R0

('∀`)「ぶほほほほほほwwwwwwwww
   前々からあんた達に目を付けていた私の瞳に狂いは無かったわ!
   いいわ!あんた達、最高よ!!」

毒男はツンの瞳を見つめて言い放った。
そんな毒男に対して、唖然とした表情を浮かべるツン。
オカマは彼女を尻目に、玄関前に停めていた自分のトラックへと向けて歩き出す。
運転席の扉を開けそれに乗ると、窓を開け、そこから顔を出した。

('∀`)b「Hey !! Boys do it !!
    ブーンちゃんのあそこに毛が生えたら、真っ先にあたしに知らせるのよ〜!
    ぶほほほほほほほほほwwwwwwwwwwwwwwww」

エンジンの音よりもでかい笑い声を上げて、毒男はツンのもとから去っていった。
騒がしく過ぎ去っていくオカマのトラックを、少女は訳が分からないという表情で見送った。

第六話 おしまい




【関連】
一気読み - プロローグ
第一話 「スロウライダー」 - 第二話 「晴れの空下」 - 第三話 「STROBOLIGHTS」
第四話 「空中レジスター」 - 第五話 「黄色いバカンス」 - 第六話 「Boys on the run」
第七話 「VISTA」


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