( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜('A`)は小さな幸せを見つけたようです。〜

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693 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:27:18.45 ID:dlUUFvsg0
俺は花が嫌いだ。
周りに愛嬌を振り撒く様に美しく咲き誇る花。

それなら雑草の方がいい。
誰にも見られる事無く、存在に気付かれずに踏みつけられていく雑草。
最高じゃないか。まるで俺みたいで。


('A`)は小さな幸せを見つけたようです。


695 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:28:08.75 ID:dlUUFvsg0
冬が終わり、桜の花が色付き始めた頃。
新しい季節が始まりを告げると共に、俺にとっての地獄の日々が始まりを告げる。

('A`)「うぃー、やっと終わった。さっさと帰るべ」

楽しくもない学校から出ると共に安堵の溜息を吐く。
元々面白くもない所だが、最近は更に面白くない。

というのも……

('A`)「お、やべ………フェ……フェ……」

(;'A`)、;'.・ ハークション

花粉症である。
小さい頃からの持病なので最近は慣れたものだが辛いものは辛い。
この学校に入った当時、裏山に杉の木があったのに気付いた時は思わず泣きそうになったものだ。

(;'A`)「チクショー鼻水が止まらねー」

ちり紙で鼻をかみながら校門をくぐった。
鼻の下がヒリヒリするが耐えるしかない


696 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:29:30.69 ID:dlUUFvsg0
('A`)「花粉のヤロー調子に乗りすぎだろ………常識的に考えて」

こうなったら家に逃げ込むしかない。
自然と歩を進める速度が速まっていく。

('A`)「ぬぉ……まただ…………ファア……ファア…………ハークション!!」

(;'A`)、;'.・(゚- ゚ 川

Σ(;'A`) (゚- ゚ 川

('A`)「クー!わりぃわりぃ……思いっきしぶっかけちまったな」

川 ゚ -゚)「まさか他の物をかける前に唾をぶっかけてくるとは思わなかったぞ」

(#'A`)「謝って損したぜ」

憤慨しながらも幼馴染の顔にかかった唾をちり紙で拭き取る。

他人の唾が顔にかかってもクーは嫌悪感を顔に出そうともしない。
いや、そもそも感情を顔に出した事を俺は見た事がない気がする。

川 ゚ -゚)「さてと、ドクオさっさと帰るぞ」

('A`)「ん」

俺が先に帰路に着き、クーが後を追い合流する。
これは最早習慣となっていて、どちらかが学校を休んだ時以外欠かした事がない。


697 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:31:01.43 ID:dlUUFvsg0
(;'A`)、;'.・ ハークションチクショウメーイ

川 ゚ -゚)「辛そうだな」

('A`)「ウィー、まぁな……クーは平気なのか?」

川 ゚ -゚)「私は生まれてこの方病気という物を罹った事がないからな。そういう兆しもなかった」

('A`)「どう見てもサイボーグです」

川 ゚ -゚)「…………」

(;'A`)「正直すまんかった」

クーは無表情かつ無言で俺に怒りを示す。
そのまるで人形の様な顔から明らかに怒りのオーラが出てるのが俺はたまらなく怖い。


698 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:31:41.69 ID:dlUUFvsg0
川 ゚ -゚)「お」

('A`)「んあー?」

クーは突然公園に入っていった。

('A`)「お、おいクー!…………ったく」

クーは普段は理知的な癖に時々こういう行動に走る。
普段学校では理知的な姿しか見せないので、このクーを知ってるのは俺だけだった。

そんなクーの後姿を見て少し優越感に浸る。

クーは公園の隅で座り込んで地面を凝視していた。
俺は溜息をつきながらクーの背後に陣取り声をかける。

('A`)「何、どうしたん」

川 ゚ -゚)「見ろ、スミレだ。」

('A`)「何それ食えるの?」

川 ゚ -゚)「いいから見ろ」

('A`)「へいへい」


699 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:32:36.84 ID:dlUUFvsg0
俺は後ろから覗き込むようにしそれを見る。
冬の枯れ草から突き出るようにしてその花は立っていた。

毒々しさがまるでない鮮やかな紫色。
重い枯れ草にも負けずに生えているその様子に少し感動を覚えた。

川 ゚ -゚)「こんな所に珍しいな」

('A`)「誰かが埋めたんじゃね?」

川 ゚ -゚)「そうかもしれないな」

('A`)「………………」

川 ゚ -゚)「…………何かコメントはないのか?」

('A`)「花は嫌いなもんでね」

川 ゚ -゚)「………………」

クーは無言で振り返る。

まただ、あの無表情の怒り。
いつもそうだ。黙って諭す様なまるで母親の様な瞳。
俺はクーのその表情がたまらなく苦手だ。


700 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:33:38.89 ID:dlUUFvsg0
'A`)「…………何か?」

川 ゚ -゚)「いや、何でもない」

クーは顔を戻し、繰り返しスミレを見る。

俺はその時に軽く絶望感を覚えた。
呆れられた気がして、何より見捨てられた気がしたのだ。

('A`)「けっ」

俺はクーの横の地べたに乱暴に腰を下ろす。

川 ゚ -゚)「花は嫌いなんじゃなかったのか?」

('A`)「うるせー」

クーはそう言った俺を見て少し笑みを浮かべる。
まるで子供を許す母親の様な優しい笑みだ。

('A`)「俺はよ」

川 ゚ -゚)「ん?」

('A`)「花が嫌いだ」


702 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:34:32.64 ID:dlUUFvsg0
川 ゚ -゚)「それは今聞いたぞ」

('A`)「黙って聞きんしゃい。そんでな、花粉症だから花が嫌いってーのもある」

川 ゚ -゚)「君は杉花粉症じゃないのか」

('A`)「お前だよ。花が嫌いな原因」

川 ゚ -゚)「………………」

クーは押し黙る。
怒っているのか、それとも泣いているのか。
それを確かめる勇気がない俺はスミレを見続けながら話を続ける。

('A`)「俺前にいじめられてただろ?長岡とかショボンとかにさ。覚えてるか?」

川 ゚ -゚)「あぁ、私がそいつらを半殺しにて君を助けた覚えがある」

('A`)「感謝してる。でもさ、俺はそこで悟っちまったわけよ」

思い出すだけで心の傷が開いて痛みを発する。

('A`)「あぁ俺は雑草なんだな。踏んで踏みつけられてそれでも耐えるしかない雑草なんだな。」

ただ、枯れた水道の様に涙は出なかった。


703 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:35:10.12 ID:dlUUFvsg0
('A`)「いつもクーみたいな花に隠れているしかない存在なんだな……ってよ」

川 ゚ -゚)「………………」

クーはただ黙って俺の話を聞いていた。

どれだけの時間が過ぎただろうか。クーはゆっくりと口を開く。
実は十秒にも満たない時間だったかもしれないが、俺には無限にも感じられた。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

('A`)「………………」

川 ゚ -゚)「そうかもしれないな」

('A`)「っ!!」

クーのあまりにも無神経な発言に頭に血が登った。
思わず声を荒立てようとするが───────


704 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:36:08.00 ID:dlUUFvsg0
川 ゚ -゚)「ただ!!」

その前にクーが声を荒立てた。
クーの声のボリュームがここまで上がったのを俺は始めて聴いた。

川 ゚ -゚)「君は雑草かもしれない。ただ、誇り高き雑草だ」

('A`)「誇り高きィ?」

川 ゚ -゚)「君は他人を引き立てる為なら自分の事を顧みない人だという事を私は知っている」

('A`)「………………」

川 ゚ -゚)「君は雑草でも花を守る様に生えている様な誇り高き騎士の様な雑草なんだ」

('A`)「……………チィ、青くせー事言いやがって」

川 *゚ -゚)「まぁ、それに何だ。私はドク(ry………雑草好きだぞ。うん。」

('A`)「そうかよありがとさん。」

ドクオはクーの言葉に秘められた意味を感じ取れなかった。
クーが珍しく頬を赤らめてる事も気付かない。


705 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:36:54.27 ID:dlUUFvsg0
('A`)「さてそろそろ帰ろうぜ。いい加減寒ィ」

俺は制服についた土をはたきながら立ち上がる。

川 ゚ -゚)「あぁ、そうだな」

だが、クーは立ち上がる様子がない。
今までドクオに向いていた視線をスミレに戻していた。

('A`)「………………」

俺はというと急かすわけではなく、ただスミレを見つめるクーを見ていた。

クーは俺の事を真剣に考えてくれていた。
不貞腐れてる俺の言う事を受け止めてくれた。
そう思うと今まで以上にクーの事を大切に思えた。

俺はまたクーの横に腰を下ろす。
恋人に寄り添うように。限りなく近い位置で。

川 ゚ -゚)「ドクオ………?」

('A`)「なぁクー。俺、花好きになったわ」

俺は雑草でいい。
クーと言う名の花を守る雑草と言う名の騎士でありたいのだ。


706 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:37:32.71 ID:dlUUFvsg0
───十年後。

VIP市の商店街にある小さな花屋。
そこには小さな花畑が広がっていた。

「おっおーこれくださいおー」

「む。バラの花束とは……さては君これからプロポーズか?」

「お!当りだお!お姉さん鋭いおね!」

「フフ…頑張りたまえよ。サービスに多めに入れておいたからな」

「おっお!感謝感激だお!」

「その代わり報告頼むぞ青年」

「勿論だお!お姉さんありがとうだおー!!」

無表情な店員はバラの花束を抱えた青年を手を振って見送る。
やはりその顔は無表情だが、どことなく嬉しそうな表情にも見えた。


707 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:38:02.32 ID:dlUUFvsg0
「おーいそろそろ店閉めるぞー」

「わかった。すぐ行くぞ」

「ん……いやに笑顔だな。何かいい事でもあったのか?」

「色々とな……例えば君と今こうしている事とか」

「な!…………こっ恥ずかしい事言いやがって」

「ンフフ。本当だぞ」

「はいはいワロスワロス…………ハークション!」

「花粉症か?」

「いや、風邪」

「………フフフ、そうか。」

この花屋のレジの横にはいつもスミレの植木鉢が置いてある。
その前には説明書きが置いてあり、そこにはこう書いてある。


708 名前: 洋菓子のプロ(神奈川県)[] 投稿日:2007/03/19(月) 14:38:41.34 ID:dlUUFvsg0
【スミレ】

スミレ科の多年草。原産地は全国にあり、花期は四月から五月。

花言葉は『温順』『謙虚』『慎み深さ』『愛』『純潔』『誠実』


そして、『小さな幸せ』



 ('A`)は小さな幸せを見つけたようです。終






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