( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜('A`)は疲れてるようです〜

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691 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 14:48:17.74 ID:lYABz52NO
 その電車の中の光景は、恐ろしい程にいつもと同じだった。

 時間は夜の八時頃である。都心から郊外へと向かう私鉄の急行は、

身動きとれない程ではないが、しかして新聞を広げる程の余裕もない混み様であった。

平日であり、乗客は当然ながらサラリーマンが多かった。

 ドクオは、たまたま前に座ってた客が降りたので、その空いた席に腰を下ろす事ができた。幸運であった。

彼は郊外にある某研究所に向かっていて、最寄駅に着くには、

まだしばらくこの電車に乗っていなければならなかった。


693 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 14:50:56.08 ID:lYABz52NO
('A`)(ふぅ、助かったな。こんな荷物持って立ちつづけるのは辛いからな)

 ドクオは膝の上に乗せた鞄を、軽く叩いた。

そこには今日研究所に届けるべきサンプル品が入っていた。

これを完成させるために、彼は連日徹夜を強いられていた。

昨夜も二時間あまり仮眠をとっただけだった。

疲労している体に電車の振動は心地よかった。

やがてドクオはうとうとと眠り始めた。

(´・ω・`)(ちっ、取られちまったか)

すぐ前の席が空いたにも関わらず、それを隣の独身風の男に取られたので、ショボンは面白くなかった。


694 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 14:53:19.28 ID:lYABz52NO
(´・ω・`)(一瞬ぼんやりしてしまったのが失敗だったな。まさかこんな近い席が空くとは思わなかった)

(´・ω・`)(それにしてもこの若造、あんなにムキになって座ることもないだろう。少しは遠慮しろ)

(´・ω・`)(大体若いんだから立ってればいいんだ。くそ…どこか空いていないか)

(´・ω・`)(ビールを飲み過ぎたせいか、フラつくな…。焼肉食い放題ってのも、

結局はビールを飲んでしまうから、あまり得でもないな)

(´・ω・`)(ふぅー、それにしてもどこか開いてる席はないのか…)

ショボンはキョロキョロし、ついでに派手なげっぷをした。


695 名前:('A`)は疲れてるようです[sage] 投稿日:2007/03/08(木) 14:54:52.50 ID:lYABz52NO
クーは吊り革の輪を握りしめたまま、車内の中吊り広告を見上げていた。

それは昨日発売になった女性週間誌の広告だったが、実は彼女はそんなものに興味はなかった。

クーの右側に立っている初老の男のはく息が、どうやら焼肉でも食べてきたらしく、

鼻が曲がるかと思う位ニンニク臭いのだった。

それで反対側に顔を捻っていなければ、到底耐えられなかった。

おまけに男は先程から、大きなげっぷを繰り返している。

今度電車が停まったら場所を移動しようと決意していた。

川 ゚ -゚)(全く、この悪臭親父め)


697 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 14:58:20.03 ID:lYABz52NO
クーは、[あなたも納豆で痩せられる]という見出しを眺めながら、反対側にいる男を罵った。

川 ゚ -゚)(お前には常識がないのか。それとも自分がどれだけの悪臭を放ってるかわかってないのか)

川 ゚ -゚)(どちらにしろ、とんでもない大馬鹿だ、氏んでしまえ)

電車がブレーキをかけた。その拍子にクーは、ハイヒールの踵でショボンの足を踏んだ。

わざとではなかった。

川 ゚ -゚)「あっ、すまない」
彼女は反射的に謝っていた。

川 ゚ -゚)「大丈夫か?」

(´・ω・`)「えぇ、大丈夫です」

ニンニク男はにこやかに応じた。


699 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:00:53.10 ID:lYABz52NO
その瞬間、ニンニクとアルコールの混ざった臭いがクーの顔面を直撃した。

川 ゚ -゚)(地獄に堕ちろ)

彼女は心で叫んだ。

(´・ω・`)「相変わらず、この電車は揺れますな」 ニンニク男が言った

川 ゚ -゚)「本当にそうですね」

クーは愛想笑いをし、何事もなかったかのように女性週間誌の広告に目を戻した。
胸の中では呪いの言葉が渦巻いていた。

電車が停まり、また何人かが乗って来た。

乗ってきた者の中には、婆さんが一人混じっていた。
婆さんが乗って来たのを見て、ピエールは舌打ちしたい気分になった。


700 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:02:49.64 ID:lYABz52NO
彼はシルバーシートに座っていた。各列車の端にあり、普通に座れば六人が腰掛けられるものだ。

彼は素早く、自分の両側にいる人間たちの様子を窺った。

彼の左は、彼と同じくサラリーマンらしき中年男だった。

そのさらに左は買い物帰りらしい中年女と子供だ。彼の右は学生で、もう一つ横は老人だった。

ヽ(・π・)ノ(よし)

ピエールは安心した。

ヽ(・π・)ノ(この中で最初に席を譲らねばならないとしたら、この学生だろう。俺は免れる)


701 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:05:44.33 ID:lYABz52NO
しかし学生は漫画雑誌に夢中のようだ。この学生が婆さんに席を譲らなかった場合、

婆さんな矛先がよそに向けられる恐れがあった。その時にそなえ、彼は居眠りを始めた。

 バーチャンは電車に乗ると、人を掻き分けながら進行方向に向かって歩き出した。

彼女はこの時間帯の電車に乗った場合、空いている席を探すよりも、

迷わずシルバーシートの前まで行った方が結果的にはやく座れるということを知っていた。

彼女は周りの人間が欝陶しそうに眉をひそめるのも無視して、ずんずん進んで行った。

やがてシルバーシートの前に出た。


702 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:08:08.05 ID:lYABz52NO
そこには六人の乗客が座っていた。もう一人も座れる余裕はない。

ノ('*`)し(なんて非常識な連中だろう。皆知らん顔してる。シルバーシートは年寄りの席なのに)

ノ('*`)し(若い者は座ってはいけないんだよ。どうして、国はこういう法律を作らんのだろう)

ノ('*`)し(おかげでいつも苦労させられる。日本を造ったのは、私達なのにコンチクショウ)

バーチャンはさっと見渡すと、学生の前に立った。本来は、一番奥の子供の前に行くハズだった。


704 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:09:49.22 ID:lYABz52NO
子供は日頃学校で、「年寄りに席を譲りましょう」と教育されており、

そういう機会があれば是非実践しようと思っている場合が多いからだ。

ただ、面倒だったし、男の子は気が利かない事が多く、親の顔も頭悪そうだったのでやめた。

ところがこの学生が案外しぶとかった。漫画雑誌に目を落としたまま、全く顔をあげないのだ。

顔を上げなければ、老婆の存在にも気付かず、席を譲るという考えにも到らない。

 バーチャンは少しよろけたふりをして、自分の足を学生の膝に当てた。


706 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:11:21.88 ID:lYABz52NO
ノ('*`)し(さぁ、顔を上げろクソガキ)

と彼女は念波を送った。

ノ('*`)し(そうしたら、「あっ、ごめんねえ。年寄りなもので」といってやろう)

 だが学生はびくともしなかった。バーチャンは口を歪めた。

ノ('*`)し(…わざとだな。くそっ、恥知らずめ。仕方ない、くら替えだ)

 老婆の狙いが自分に移ったことを、ピエールは老婆のわずかな身体の動きから察知した。

ヽ(・π・)ノ(俺だって譲らんぞ)

ピエールは心で呟いた。


708 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:13:49.02 ID:lYABz52NO
ヽ(・π・)ノ(こっちは仕事で疲れてるんだ。朝早くに起きて、

これとは比較にならんほどの満員電車に揺られて、

会社についた頃にはもうくたくただってのに、

報告書をまとめて、頭の固い重役連中に説明して、

頭の悪い部下どもに指示を与えて、

顧客の機嫌をとって、おまけに社長杯ゴルフコンペの手配までやらされたんだぞ)

ヽ(・π・)ノ(それであの安月給だ。しかもその安月給から、なんだかんだと天引きされる)

ヽ(・π・)ノ(だから大した家も買えない。田舎の家位だ。で、田舎だから通勤も疲れるの悪循環だ)


711 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:17:00.75 ID:lYABz52NO
ヽ(・π・)ノ(大体天引き額が多すぎる。中でも年金だ。あんなに払って、

果たして俺達が年寄りになったときにちゃんともらえるかどうか怪しいもんだ)

ヽ(・π・)ノ(俺の払った年金はどこへ行くんだ?こういう婆さんの所じゃないのか)

ヽ(・π・)ノ(そういう点で俺は充分老人に貢献しているはい論破)

ピエールは小さく鼾をかくふりを始めた。

 ブーンは、バーチャンに見抜かれているように、膝の上で漫画雑誌を広げてはいるが、

少しもそれを読んではいなかった。といっても、老婆は眼中になかった。


713 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:19:08.58 ID:lYABz52NO
彼は俯きながら、その目を通路を隔てた斜め前方に向けていた。

そこには若い女が座っていた。OLではなく、女子大生か専門学校生だろう。

しかし彼にはそんなことどうでもよかった。彼が見てるのは女の下半身だけだった。

女は黒のぴっちりしたミニスカを穿いていた。しかも足を組んでいて、

その三角コーナーの暗黒がブーンの目をくぎづけにしていたのだ。

( ^ω^)(ktkr!!!良い席に座ったお)

と彼はほくそ笑んでいた。

( ^ω^)(足を組み替えないかな。組み替えたら、見えるおっおっお)

( ^ω^)(フヒヒwww)


714 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:21:11.85 ID:lYABz52NO
しかし彼の幸福も長くは続かなかった。乗り込んで来た客が、

彼と女の間に立ったのだ。女の下半身は、客の鞄で隠れた。

(;゚ω゚)(アッー!!馬鹿コラタココラァ!早くどくお!)

彼の心の叫びが聞こえたわけではないが、その客が移動した。彼は喜んだ。

しかしそれも束の間だった。鞄に遮られていた僅かの間に、

女は組んだ足をおろしていた。しかも膝の上にバッグを置き、ガード は バッチリ だ!!

ブーンは舌打ちした。


720 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:36:12.35 ID:lYABz52NO
 ツンは膝の上に置いたバッグをにぎりしめ、前方の学生をにらんだ。

ξ゚听)ξ(クソガキが)

先程から、学生が漫画雑誌を読むふりをしながら、

ちらちらと自分のふとももに目を向けていたことに気付いていた。

ξ゚听)ξ(そんなにみたいなら頼めばいいのに。見せて下さいお願いします、ってな)

ξ゚听)ξ(あー情けない市ねばいいのに)


721 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:37:37.73 ID:lYABz52NO
ショボンは思った。

(´・ω・`)(ええい、席が空かないじゃないか、どうなってんゲプ)

クーは思った。

川 ゚ -゚)(あーもう耐えられない、消えろニンニクカスが)
バーチャンは思った。

ノ('*`)し(コイツら皆人間のクズだ。席譲るまで帰らんぞコラァ)

ピエールは思った。

ヽ(・π・)ノ(いい加減このババアどっかいけよ。いっそ死んでくれウゼー)

ブーンは思った。

( ^ω^)(ほんの少し!!少しでもいいから見たいおおおおおフヒヒヒヒww)

ツンは思った。

ξ゚听)ξ(まだみてる。そんなにみたいのかしら…///)


722 名前:('A`)は疲れてるようです[] 投稿日:2007/03/08(木) 15:39:28.14 ID:lYABz52NO
電車がまた停まった。駅名がアナウンスされた。

居眠りしていたドクオは、ドアが閉まる直前に気付いて、

電車から飛び降りた。危ないところだった。

('A`)「ふうー、間一髪セーフか」

彼は歩きだそうとした。その時、鞄の中からシューシューという音が聞こえた。

彼はびっくりして鞄を開けた。その中にはガスボンベが二本入っていた。

そのうちの一本のバルブが緩んでいて、中のガスが漏れていたのだ。

まずいな、と彼は思った。


723 名前:('A`)は疲れてるようです[ラスト] 投稿日:2007/03/08(木) 15:40:29.09 ID:lYABz52NO
そのガスは警察庁の依頼を受けて作った自白ガスだった。このガスを吸った人間は、

言いたい事を我慢することが出来なくなるのだ。

彼は時計を見た。効果が出るまでには一定時間必要だが、そろそろだろう。

('A`)(ま、いっか。知らない者同士、今すぐ言いたい事なんかないよな)

彼は線路の先を見た。


電車は、もう見えなくなっていた。



                        ('A`)は疲れてるようです 終






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