( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ・∀・)は残そうとしたようです 最終話〜

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70 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:00:00



【 10 】


モララーさんの日記

もう終わってしまった

35年前まで遡って彼の残したものを辿る旅は終わった


興奮、不安、困惑、喜び、悲しみ、笑顔、怒り

職場での業績

そして自分

モララーさんが残したもの

彼は本当に満足していただろうか


僕は家に帰る前に、VIP荘に寄っていた

日記を元の場所に戻すため

101号室の鍵を、開ける

室内から、冷たい空気が僕の体を刺してきた


71 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:01:00


何も無い部屋


孤独


モララーさんは、どうしてずっとこんな空間で生きていたんだろう

モララーさんに、友人はいなかったのだろうか


彼は、孤独の中で

苦しみながら生きてきたのだろうか


僕は今、孤独は苦しいものだと言った

モララーさんにとって、苦しかったかどうかはわからないじゃないかって言う人がいるかもしれない


苦しいに決まってるだろ?

じゃなきゃ他人の記憶に残ろうなんてしないよ

彼には、甘えられる他人はいなかったのだろうか?



もう夕方だった

帰ってくる頃には深夜だろう

僕はモララーさんの部屋に日記を置いて、彼の元職場に向かった


72 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:02:00

────────────

( ><)「…………着いた……」

これで最後だ

僕がここで話を聞いたら、この旅は完結する

僕は数日前と同じ様にその企業を訪問した


モララーさんのいた部署

( ><)「失礼しますなんです」

扉を開けると、ガナーさんがやってきた

( ‘∀‘)「あ、あなたはこの前の……」

( ><)「あ、先日はどうも……すみません……いきなり帰っちゃって……」

( ‘∀‘)「本当ですよ、呼び止めましたのに」

呼び止めた? ……まずかったな……僕、失礼すぎたな……

( ><)「え? すみません……聞こえていませんでして……」

( ‘∀‘)「そうだったの……今日はどういった御用件で?」


僕は一番聞きたいことを聞いた、嘘偽り無く


( ><)「モララーさんには友人はいなかったんですか?」


73 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:03:00

僕の問いに、ガナーさんは答え辛そうだった

( ‘―‘)「…………ええ……彼は人付き合いも悪くって……いい人だったのに……」

人付き合いが悪い……あんなにエンターテインメントの塊のような人が……

( ‘―‘)「…………もっと…………甘えてくれてもよかったのに…………」

……意味深な発言、僕はすかさず聞いた

( ><)「ど、どういうことなんですか?」


ガナーさんが、すっかり暗くなった外を見ながら答えた




( ‘―)「…………私……彼のこと好きだったんです」




僕は、どうするべきなんだろう

誰も、答えてはくれない


( ‘―‘)「……あの人……私がいくら声を掛けても……振り向いてくれなかった……」


74 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:04:00

僕の方を振り向いたときのガナーさんの顔は明るくなっていた

不自然に

( ‘∀‘)「多分、不器用だったのよ……彼、……皆に対して……自分をさらけ出せなかったのよ……」


( ‘∀‘)「だってあの人、優しいんだもん」


モララーさん、あんた酷いよ


ガナーさんは、僕に、今一番答えにくい質問をした

( ‘∀‘)「彼は今、どうしています?」


どうしよう、声が出そうにないよ


どうしてくれるんですかモララーさん


なんで死んだんですか


( ><)「……………………モ、……モララーさんは……お亡くなりになりました…………」


ガナーさんの顔が、一瞬曇ったように見えた

気のせいじゃ、なかったはずだ


75 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:05:00

( ‘―‘)「……………………そうですか……人間は必ずいつかは死んでしまうものね……」


皮肉だな


モララーさん、あなたを一番嫌っている人のセリフと一緒ですよ


( ‘―‘)「もう、……いいですか?」

もういい? そうガナーさんは訊いた

十分です

十分すぎます

( ><)「…………ありがとうございました……満足しました……」


僕は、その部屋から出た

後から、ガナーさんのすすり泣く声が響き渡ってきた


僕の目からも、涙が落ちていたはずだ

そのときは気づかなかったけど


76 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:06:00



モララーさん、あなたは何をやっていたんですか


あなたがやってきたことがいくら大事かは知りませんよ


でもね、あなたの側にいたじゃないですか

何かを残していくなら、その相手が


わざわざ遠くに行って、何かを残して

自分の側には、それこそ『自分の記憶』しか残していかなかった


よくよく考えてみれば、あなたの現在の状況を聞いてくれたのも

あなたを一番愛していた人と、あなたを一番嫌っていた人だけでしたよ


『自分』だって大して残せていないじゃないですか


本当は、どこにも、誰にも、何も、残せていなかったのかもしれませんね


本当に酷いですよ


ガナーさんに、『自分の記憶』だけ、淡い恋心だけを抱かせて

死んでしまうなんて








終電の中

僕は、大号泣した




77 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/25(日) 16:07:00



【 あとがき 】



これが、モララーさんです

懸命に、誰かの記憶に残ろうとした男

だけど、一番大事なものを残せなかった不器用な男


僕は彼のため、筆を執りました(恩着せがましいですが)

このままだと、彼があまりにもかわいそうだから


僕だって、思いたくありません

彼が何も残せなかっただなんて


だから、僕が残したんです

彼の生き様を



モララーさんのことが、この小説で皆さんの記憶に残ってくれれば幸いです

多分、モララーさんも喜んでいることでしょう


読んでくださって、本当にありがとうございました





       ( ・∀・)は残そうとしたようです    終わり




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