10 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/17(土) 16:17:02
【 2 】
( ><)「…………この日記帳……とにかくわかんないことだらけなんです!」
たくさんある不思議な点、その中でも一番不思議なのは
全ての行事において、それを潰そうとしていること
( ><)「……………………」
行事を潰す…………何の為に?……
僕も行事はあまり好きじゃない
彼もそうなんだろう、と勝手な想像だが……
どちらにせよ、行事を潰すなんてこと、僕はしない
人が楽しんでいるのに、わざわざそれを邪魔するのは酷いだろう
でも、僕はモララーさんに憤りを覚えはしなかった
それは、この日記に対する興味の所為だったろうか
また、1年前のあの時、モララーさんがそんなに悪い人には見えなかったからだろうか
どちらも、その理由かもしれない
僕はもうこの部屋から出ることにした
もう夕方6時、自分の家に戻ろうと思ったから
僕の家は、このアパート、VIP荘から電車で10分ぐらいのところにある
随分遠くにアパートなんか買ったもんだな……と、思った人もいるかもしれない
これはちょっと家の事情で、僕の親がアパートを買って、それで、家賃収入を始めたことによる
これ以上は僕の歴史で長くなるので説明はしない
つまるところは、僕は親の七光り的なもので裕福に暮らしていた、ということだ
僕は部屋を出た
日記を勝手に持って
寂しい、部屋から
僕は、この日は眠れなかった
気になることだらけで、眠れなかった
だから明日から僕はモララーさんの足跡を辿ろう
今日はもう、遅いんだ
そう決めて、なんとか寝た
11 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/17(土) 16:17:57
朝
お世辞にもすがすがしいとは言えない朝
僕は朝食もそこそこに、モララーさんの日記を開いた
昔のことから調べてもあまりモララーさんの素性が分からないかもしれない
だから、僕は一番新しい記事から攻めることにした
最初の記事は運動会についてだ
@────────────
今度、運動会があるそうだ
乱入して沸かしてやる
────────────@
随分建設的な記事にも思えた
この人は、本当に行事を潰そうとしているのか?
でも、乱入っていうのは見ようによっては行事を潰す行為だ
そんな疑問は後で晴れるだろう
そんな期待を胸に、僕はその現場へと向かうことにした
( ><)「……ってこの住所めちゃくちゃ遠いんです!!」
もうどうにでもなれ、いきなりの長距離移動
僕は運動会のあった場所に直行した
12 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/17(土) 16:19:12
────────────
( ><)「着いたんです!」
本当にめちゃくちゃ遠い、電車で何時間か浪費した
日記を見、その運動会のあった小学校に行った
僕は校門のチャイムを押し、事務室の人に学校に入れてもらった
校長「どうされましたか?」
( ><)「あ、どうもなんです、僕はこういう者でして……」
僕は名刺を出し、ここに来た理由を説明した
( ><)「モララーという人を知らないですか? 10年ほど前に運動会に乱入した人なんですけど」
すると校長は少し唸って、記憶を辿っているようだった
校長「……10年前の運動会に乱入した人ですか……いましたね、確かに」
( ><)「え? 本当ですか!」
ハッキリ言って僕はまだ半信半疑だった
大のおとながわざわざそんなくだらないことするもんだろうかと
でも、モララーさんはそんなことをやってのけていた
校長「……あれは確か……兄者君と弟者君とその人の三人が壮絶なバトルを繰り広げた年のことでしたかな……」
( ><)「ちょwwwwバトルってwwww」
僕は出されたお茶を吹きかけた
13 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/17(土) 16:20:01
校長「弟者君と兄者君というのは学校でとてつもない人気を誇っていた双子で……」
校長先生は、ことのあらましを語ってくれた
@────────────
(;´_ゝ`)「ときに弟者よ」
(´<_` )「何だ兄者」
リレーのアンカー対決の時だった
白組赤組ともに全てが互角になっていて、優勝の運命は彼ら二人にかかっていた
その緊迫した状況の中
(;´_ゝ`)「あれを見ろ」
Σ(´<_`;)「はっ!!」
彼らにバトンが同時に渡る五秒前
( ・∀・)「やっほーー!! 乱入させてもらったんだからな」
トラックの中に不審人物が
四秒前
その男は、その場を、一瞬で凍りつかせた
三秒前
( ・∀・)「みんなー!! ぼーっとしてないで走りまくろうぜー!!!」
二秒前
そう言ってその男は兄者達近くまで来て、
一秒前
( ・∀・)「一位はもらっていくんだからな!!」
二人がスタートすると同時に
そこにいた男もスタートした
超絶な速さ
あっと言う間に、二人はゴールした
老体に鞭打った男性一人を残して
────────────@
僕は完全に吹いた
お茶を口に含んでなかったのが幸いだった
14 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/17(土) 16:21:03
( ><)「ちょwwwwwwwwwwwやっぱりかwwww」
確かそれはこの時の10年前の話
じゃあ、モララーさんは55歳ぐらいのはず
……なんという無謀行為
このおじさんは間違いなく逃げることも出来ずに捕まる……
僕はそう確信していたが現実はそうではなかったようだ
校長「それでね、会場は大騒ぎになりまして」
@────────────
観客「イヤッホウウウゥゥゥゥゥゥゥッゥゥゥゥウウウウウ!!!!!」
観客「すげー!! あんたマジですげーよ!!!」
スタンディングオベーション
( ´_ゝ`)「…………えらいことになってるな……弟者……」
(´<_` )「…………もうどうでもいいではないか……兄者……」
兄弟は何を血迷ったのか
(#´_ゝ`)「俺達も騒いでやるーーー!!!!」
(´<_`#)「おりゃーーーーー!!!!!」
騒ぎ出した
男は集まってきた観客に胴上げされて
( ・∀・)「やっほーーーーー!!! 僕の名前はモララーだからな!! よろしくだからな!!」
そう叫んでいた
その後、運動会はろくに続行はされず
異常な興奮だけを残してモララーと名乗る男は帰っていった
────────────@
( ><)「そんなことがあったんですか……」
ハッキリ言うと、なんのこっちゃさっぱり分からん
僕はモララーさんにまつわる謎を増やしただけだったのだろうか
校長「彼は凄い人だ…………本当に……」
そう言った校長は満足そうな顔をしていたのだけれども
15 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/17(土) 16:22:13
( ><)「今日はありがとうございました」
校長「いや、楽しい思い出を思い出させてもらいましたよ、こちらこそありがとうございした」
僕はモララーさんの足跡を一つ辿った
モララーさん、あなたは何の為にこんなことをしたんですか?
わかんないんです
どうやら楽しかったみたいですね
話を聞く限り、あなたの計画は成功したように思います
勝手な想像ですが
あなたのことを語る校長も楽しそうな顔をしていました
良かったですね
ただ、一つ言えるのは
モララーさん、あなたはここに『興奮』を残していきました
【関連】
一気読み
第1話
-
第2話
-
第3話