55 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 17:34:24
【 8 】
@────────────
明日、葬式があるそうだ
湿っぽいのは葬られる人も嫌なんじゃないかな
────────────@
僕はその記事を見ていろんな意味で腰を抜かした
僕がその記事を見たのはショボンさんと別れて家に帰る途中
もちろん、今日はもう晩いのでそこには行かないつもりだ
葬式に乱入
本当にいいのだろうか
彼のことだ
いい方向になるように気をつけて動いたに違いない
僕は、家についてからもそのことが気になってなかなか眠れなかった
56 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 17:35:22
朝
また雨だ
小雨でよかった、湿度が高いのが気になるが
僕は朝食を普通に摂って、家を出た
傘、僕の黒い傘
喪服みたいだ
今日もどこかで人が死んでいるのだろう
正月、葬式
正確には葬式、正月の順番にモララーさんは乱入している
32年前から29年前にかけて、死がつきまとっている
今でも、彼に何があったかは分からない
よくよく考えてみると、彼は30歳の頃からこの活動を始めている
それがなぜだかも分からない
彼の詳細な人生の足跡は辿れなかった
僕が辿ったのは、彼の何かを残す旅の跡だけ
僕には何も分からなかった
永久にそうだろう
57 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 17:36:12
────────────
( ><)「…………」
着いた
どしゃ降りじゃないか
黒い傘が手を広げ、僕の体を包んだ
そして、僕の黒い傘の色が空間に溶け出したかのように
ただでさえ暗い空間がさらに暗くなったように見えた
僕は、屋根のあるところを見つけ、そこで少し休憩しながらモララーさんの日記を見た
道を確認し、迷わないように進む
昨日は気にならなかったが、葬式というものは人が死んだらすぐに行われるものだ
実際、日記にも「明日、葬式があるそうだ」と書いてある
彼はいつも計画を立て始めてから何ヵ月後かの行事に乱入していた
準備とか、モララーさんにはあったんじゃないのか?
わざわざ慌てて葬式に乱入することもないだろうに
そんなことを考えながら歩いていると、葬式のあった家が目の前にあった
58 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 17:37:16
(;><)「そ……そんな……」
廃屋
もうだめぽ
ここにはもう誰もいない
降りしきる雨の音が、僕を更に一人にする
僕は仕方なく、隣の家に話を聞くことにした
チャイムに手を叩きつけ、中の人を呼びつける
玄関のベルを鳴らすのって、意外と失礼なことなんじゃないのか? とそんな変な感情が生まれた
理由はよく分からない
感じ方の問題だし、考えるだけ無駄だろう
(,,^Д^)「はいはーい」
家から住民が出てきた
( ><)「あ、どうもなんです!」
僕はいつものように、モララーと言う男が32年ほど前の葬式に乱入しなかったかどうかということを聞いた
すると僕の目の前にいる彼の表情は少し暗くなった
(,,^Д^)「……………………」
それでも十分明るいが
59 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 17:38:00
(,,^Д^)「あれは僕の幼馴染みの葬式でした……今日と同じ様に豪雨だったかな……」
@────────────
(,,;д;)「……………………」
子供──タカラという名前だが──が幼馴染みの遺体──でぃという名前だが──を前にして泣いている
(# ;;- )「……………………」
喋るはずのないでぃが、いつも普段から無口なでぃが、わざとだんまりを決め込んでいたかのようだった
降りしきる涙、零れ落ちる雨
雨の騒音だけの静寂を、やはりこの男は打ち破った
( ・∀・)「だめじゃないか! 泣いていちゃ!」
(,,;Д;)「!」
何を言っているんだこの人は、と
場の空気は凍りついた
( ・∀・)「そんなことして死んだ人が喜ぶと思っているのかい? もっと楽しく送り出してあげようよ!!」
とびっきりの笑顔
どうしたのだろうか
空気の流れが止まった
しばらく沈黙が続いた、乱入した男は少し不安そうな顔になっていた
そして、参列者の一人が口を開いた
参列者「……そうだな……あんたの言うとおりだ……でぃちゃんは……明るい子だったしな……」
それから、葬式はいつしか宴会に変わっていた
タカラの顔も、いつしか笑顔に変わっていた
60 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 17:38:57
男はいつの間にか消えていた
タカラがそのことに気づいたときにはもう男は白い紙になっていた
「僕の名前は、モララーです」
紙には、そう書いてあった
────────────@
(,,^Д^)「僕……好きだったんですよ、でぃちゃんのこと」
僕は突然の告白に戸惑った
(;><)「……そんなこと僕に言ってどうするんですか……」
(;^Д^)「いや、すみません……だから……あの人には感謝してるってことです……」
モララーさん…………
( ><)「…………わかるんです」
( ><)「ありがとうございましたなんです」
(,,^Д^)「どういたしまして」
気づいたときには、雨があがっていた
僕は、喪服のような傘を閉じて帰路についた
モララーさん、やりましたね、今回も
全ては思惑通りですか?
モララーさん、あなたはここに『笑顔』を残していきました
【関連】
一気読み
第1話
-
第2話
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第3話
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第4話
-
第5話
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第6話
-
第7話
-
第8話
-
第9話