1 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:17:24.49 ID:krtyDMp00
大気が流れる。
風が引き裂かれる。
(`・ω・´)「…………」
音は無い。
装着した通信機のせいもあるが、もはや彼の心に音は響かない。
狭い空間だ。
シートに座り、足を伸ばし、手は軽く広げ
身体はベルト、足はペダル、手はスロットルレバーにしっかりと固定されている。
そこは飛行戦闘機のコックピットだった。
鋭利な風防の下にテーブルのようなモノ。
その全面にはコンソールウインドウがあり、側面も同様。
正面には操縦桿のようモノは無く、左右から一対のスロットルレバーがあるだけだ。
風防越しに見る空は、青い空などではなかった。
灰色の、所々に黄や赤の光が輝く景色。
それは『機械の天井』だった。
6 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:18:46.28 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「……ふぅ」
溜息。
まるでその天井が邪魔だと言わんばかりの表情。
高速で背後へと飛ぶ景色を見ながら、彼は陰鬱な表情で上を見上げる。
と、そこで新たな声。
『――シャキンさん、調子はどう?』
(`・ω・´)「何とも曖昧な質問だな」
『あ、ごめんなさい……こういうの慣れてないの』
(`・ω・´)「……いや、俺が意地悪だった。
全て良好で文句のつけようがない」
10 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:20:25.97 ID:krtyDMp00
報告を聞いた女性の声が明るくなる。
『ありがとう。
シャキンさんの御墨付きなら、きっと上層部も認めてくれるわ』
(`・ω・´)「俺にそんな影響力は無い」
『そんなことないわよ。
だってあのラミュタスの弟さんなんだから』
その声に、シャキンは重い声で応えた。
(`・ω・´)「……その話題はやめてくれ」
『あ……ごめんなさい』
会話が途切れる。
しばらく空白の時間が続き、先に折れたのはシャキンだった。
(`・ω・´)「いや……やはり俺が悪いな。
どうにも兄の話題になるとこうなってしまう、許してくれ」
『いえ……』
11 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:21:46.40 ID:krtyDMp00
どうにもこうなってしまうと会話が続かない。
とりあえずシャキンは、この機体に対する感想を連ねることにした。
(`・ω・´)「しかし驚くことばかりだな。
体重移動を使った独特な操縦方法、各部小型バーニアでの急転回・急停止。
そして新技術『Gキャンセラー』に関しては
ほとんどGを感じない性能だ……若干のタイムラグがあるのが気になるが」
『えぇ、ここ数年で立証された新理論・新技術をこれでもかと積み込んだから。
もちろん未完成のものだってあるけどね。
それらを交えての率直な感想は?』
(`・ω・´)「数ヶ月前まで乗っていた飛行戦闘機とは、良い意味でまったく違う。
かなり感覚的な操縦が可能――」
と、言いながら体重を前へ。
機首が下方へ降り始めたのを確認し、体重を今度は後ろへ。
思った通りに機体が動く。
それはまるで機体と身体が同化したかのような感覚だ。
13 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:23:06.81 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「ちなみにこの『WSS(Weight Shift System)』理論は君が構築したのか?」
『流石にそんなことは出来ないわ。
WSSと、ルイルを利用した動力システムは異世界から得たものよ』
(`・ω・´)「……この世界に利を与える技術が異世界にあったか」
『とは言っても、向こう側は私達の世界のことを認知してないけどね。
向こう側のある科学者が個人的にアクセスしてきたのよ』
(`・ω・´)「物好きな科学者だな……まぁ、その話は帰ってからゆっくり聞こう」
『解ったわ。
じゃ、そろそろ引き返してもらおうかしら。
いくら新型でも長く飛ぶのは危険だから……それに、その空域は調査が進んでいないわ』
(`・ω・´)「了解し――!?」
言葉が止まると同時に、限界まで左右のスロットルレバーを引く。
背部スラスターが音と光を潜め、機体は自動的に空間静止モードへと移行した。
14 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:24:21.94 ID:krtyDMp00
『どうしたの? 何かあったの?』
(;`・ω・´)「こ、これは……!?」
景色が止まった視界の先。
そこには――
(;`・ω・´)「光……」
機械の天井とも言える灰色と黒の海に、一筋の小さな光が漏れている。
それは『亀裂』によるものだった。
(`・ω・´)「――とんでもないものを見つけた。
位置データを送った後、すぐに帰還する」
『え? どうし――』
回線を閉じる。
そのままシャキンは、天井からの光を見ながら吐息した。
(`・ω・´)「あれが、『空』への道――」
15 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:25:37.54 ID:krtyDMp00
<_プー゚)フ「ガナー、シャキンは一体何を見つけたんだ?」
東領地オーベウス軍基地、ニクルス開発局内の研究用格納庫。
その隅にて、二人の男女がディスプレイを前にして唸り声を上げていた。
(;‘∀‘)「いきなり通信を切られたから解らないわ。
でも、あのシャキンさんが『とんでもないもの』って言うくらいだから――」
<_プー゚)フ「フン、クールぶってるアイツが見つけたものなんて
どうせ下らないものに決まってら」
鼻を鳴らしながら背を向ける。
その後姿を見ながら、ガナーは溜息を吐いた。
( ‘∀‘)「いい加減に仲良くしなさい。
いがみ合ってたって何も良いことないわよ?」
<_プー゚)フ「アイツと仲良く?
ラミュタス隊長の弟だからっていう理由で優遇されてる奴と仲良くなんて出来るかよ」
( ‘∀‘)「もう、エクストはそればっかり……」
<_プー゚)フ「彼は最高の戦闘機乗りだった。
俺だけじゃなく、今でも部隊の皆のほとんどが尊敬している。
その恩威を何もせずに受けているシャキンを好む奴なんていないだろ」
16 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:27:14.07 ID:krtyDMp00
( ‘∀‘)「でも、もう二年も前からラミュタスはいないわ」
柔和な彼女から鋭い言葉が放たれた。
それを耳に入れたエクストは少し眉を下げ
<_;プー゚)フ「……すまねぇ、隊長とアンタは――」
( ‘∀‘)「いいの、もう終わったことだから」
二人にとって居心地の悪い空気が流れ始める。
それが吹き飛ばされたのは少し経ってからだった。
甲高い音が鳴り響き、そして風。
上を見上げれば、一部が開いた天井から黒い戦闘機がゆっくりと垂直降下してきている。
それはシャキンが乗っているはずの機体。
<_プー゚)フ「底部の引力制御システムによって滑走路いらず、ね。
新技術搭載型試作戦闘機『レイドール』……アイツには過ぎた玩具だ」
( ‘∀‘)「そんなことないわ。
彼の空戦に対する嗅覚とセンスは――」
<_プー゚)フ「ラミュタス隊長には及ばないが素質は充分にある、だろう?
隊長の話題を出して欲しくないようなことを言っておきながら
自分で言うなんて、マゾと間違えられるぞ?」
(;‘∀‘)「……うるさいわね」
顔を少々赤くしながら、彼女は降り立った機体の方へと歩いていった。
17 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:28:38.26 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「ふぅ……」
やはり操縦が快適といえど、慣れないものは身体や精神に負担が掛かる。
地に足をつけた途端、フラリと身体がよろけ掛けるのを無理矢理に踏ん張った。
顔を覆っていたメットを外して新鮮な空気を吸う。
( ‘∀‘)「お疲れ様」
データを書き込むための端末を手に、ガナーが近寄ってきた。
(`・ω・´)「機体報告は後にしてくれ。
俺は上と少し話すことがある」
( ‘∀‘)「それって『とんでもないもの』?
良かったら聞かせてくれないかしら?」
(`・ω・´)「あぁ、構わない……どうせすぐに基地内に広まるだろうしな」
そして彼は言った。
(`・ω・´)「『空への道』を見つけたんだ」
19 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:30:02.24 ID:krtyDMp00
シャキンの報告は、上から下へ流れるように伝達された。
彼が帰ってきたのが夜。
その翌日には、オーベウス軍内の全ての人間が『空への道』という情報を耳にしていた。
『空への道』
それはシャキンの兄であるラミュタスが残した言葉。
この世界には『空』というものが存在しない。
否、存在しないと思われていた。
原因は『機械天井壁』。
アレがあるおかげで、下で暮らす者達はその先を見たことがない。
それは世界の果てまでにも影響していた。
果てまで行けば、今度は天井が壁として人間を拒んだのだ。
この情報から『世界は「箱」によって閉じ込められているのではないか』という意見がある。
というか、実際そうだった。
21 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:31:39.71 ID:krtyDMp00
天井と壁を取り除こうという計画は過去に幾つもあった。
しかし、近付いた途端に触手のようなモノが伸び出し
付近のものを絡め取って吸収するという信じられない機能が発覚してからは、手を出そうとする意見は極端に減る。
ならばミサイルで破壊しようという乱暴な計画も浮上したが
着弾する前に絡め取られて吸収される結果に終わった。
以後、『機械の天井』には関わるなという暗黙の了解じみたものが軍内で流れる。
しかし、結果を知りながらも空を諦めない男がいた。
それがシャキンの兄であるラミュタス。
オーベウス軍空戦第十三部隊隊長にして軍最高の戦闘機乗り。
『風鷲』という異名まで付けられているほどの腕を誇っていた。
その彼が、二年前に突如として姿を消す。
恋人であった開発主任のガナーを残して。
『空への道を見つけた』と言い残して。
24 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:33:18.53 ID:krtyDMp00
ラミュタスが目指した『空への道』。
発見者であるシャキンが彼の弟だということもあってか、その情報はすぐさま軍内全てに行き渡った。
(`・ω・´)「…………」
オーベウス軍基地内にあるニクルス開発局。
その簡素な食堂で遅い朝食を摂っている彼は少しの溜息を吐く。
彼はオーベウス軍の正規士ではなく、ただの民間人だ。
ラミュタスに憧れ、民間テストパイロットとして一年前から開発局へ通い始める。
少し前から乗っている戦闘機は、取り入れられた新技術・新理論をこれでもかと詰め込んだ機体。
GIF『レイドール』という名らしいがどうでもよかった。
兄のことも、ガナーのことも、戦闘機のことも大して興味はなかった。
それよりも、ここへ来てしまったことへの後悔が大きい。
確かに兄のような活躍を目指していた子供らしい時期もあった。
しかしテストパイロットとして招かれた彼を迎えたのは、辛辣な視線と雰囲気だった。
軍の辛い訓練を受けることもなく最新型戦闘機に乗れる。
それは他の空戦部隊の者にとっては妬ましいこと。
仲良くしてくれる人間などいない。
話しかけてくれる人間などいない。
まだ二十歳にも満たない精神的に未熟だった彼の心に、それが突き刺さる。
当然だが、辞めたいとガナーに相談した。
しかし彼女は既にシャキンの才能に気付いており、様々な条件を提示して残らせた。
25 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:34:45.07 ID:krtyDMp00
そのままズルズルとテストパイロットを続け、そして今のような状況。
少年のような明るい心は消え失せ、何処か達観したような性格が植えつけられている。
(`・ω・´)「……ふぅ」
再度の溜息。
昨夜、報告した『空への道』。
すぐさま亀裂を切り開くための計画が進められるらしい。
兄が目指し、兄が望んだ場所。
亀裂が完全に開いていなかったことを考えると、おそらくラミュタスは――
<_プー゚)フ「おい、相変わらず辛気臭い顔してんなぁ」
(`・ω・´)「……エクストか」
<_プー゚)フ「隣、座るぜ」
返事も待たずに着席する。
<_プー゚)フ「聞いた話なんだが、数日後に亀裂を突破する計画が決定するらしい。
これは異例の早さ……それだけ重要な任務になる」
26 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:36:04.89 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「……それが?」
<_プー゚)フ「『機械天井壁』は触れることはおろか、近付くことさえ出来ない。
これは俺の予想だがもう一機の最新型戦闘機が使われるだろう」
シャキンが乗っていたレイドールの他に、もう一つ存在する戦闘機。
名は何というか忘れてしまったが、レイドールと同レベルの技術を使用した機体らしい。
<_プー゚)フ「言わばお前が乗ってる機体データを使用した完成作ってわけだ」
(`・ω・´)「…………」
<_プー゚)フ「従来の戦闘機は、速くてもS3.7程度。
しかしスペック表によれば、その最新型はS5以上を出せるらしい。
レイドールのS4.7よりも更に高速だ」
そこでエクストの言いたいことに気付く。
(`・ω・´)「成程……その速度を以って、機械触手に絡め取られる前に突破を図るわけか」
<_プー゚)フ「そういうこったな」
急転回も可能な最新型戦闘機ならば、ほぼ直角に方向修正することも難しくない。
地面スレスレで移動し、そのまま天井向けて一気に突撃するわけだ。
28 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:37:26.64 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「で? それがどうした?」
<_プー゚)フ「鈍いのか鋭いのかわかんねぇな。
その最新型に乗るのは俺だって言ってんだよ」
エクストはオーベウス軍空戦部隊の一員だ。
シャキンという存在を除けば、おそらくトップクラスの腕を誇る。
実際、エースを自ら名乗っていた。
そしてラミュタスを崇拝している。
故に、彼はオーベウス兵の中で唯一シャキンによく絡んでくるのだ。
<_プー゚)フ「ま、空は見てきてやるから……お前は俺の報告をのんびりと待ってな」
シャキンが空を目指しているのを知りながら言う。
それは半ば挑戦的な態度。
対してシャキンは
(`・ω・´)「……あぁ、楽しみにしている」
そう言い残すと席を立ち、食器を運んでいった。
彼には既に過去の心にはあったはずの炎は消え失せている。
自分が民間テストパイロット故に、亀裂突入のメンバーには選ばれないことを知っていた。
もはや何が生き甲斐で何を目標に生きていけば良いのか、彼自身解っていなかった。
そのまま食堂を出て行くシャキンの後姿を見ながら、エクストは溜息。
<_プー゚)フ「何だよ……張り合いねぇの」
29 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:38:56.64 ID:krtyDMp00
ニクルス開発局の研究用格納庫。
あまり広くはないその空間内に、シャキンは入っていく。
目指すは整備中であるはずの『レイドール』だ。
(`・ω・´)「…………」
改めて客観的に眺めてみる。
黒をベースとし、翼の縁だけが青に染まった漆黒の機体。
何処かの文献によれば、レイドールとは雷の剣を指すらしい。
(`・ω・´)「しかし黒色に染められた、か……」
少しだけ親近感を覚える。
まるで本当の色を封じ込められた自分のようだ、と。
( ‘∀‘)「あら、シャキンさん」
レイドールの影からガナーが出てくる。
どうやら記録された機体データを回収していたようだ。
よくよく見てみれば、彼女の部下達も周囲で何か作業をしている。
( ‘∀‘)「良かったわね、空への道を見つけられて」
(`・ω・´)「俺には関係のないことさ。
どうせエクスト辺りが計画の主翼を担うはずだしな」
( ‘∀‘)「もう、そういうすぐに拗ねるところがラミュタスそっくりね」
(`・ω・´)「――拗ねてなどいない」
30 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:40:45.95 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「GIF、か……重力解放とはよく言ったものだ」
( ‘∀‘)「『重力からの解放』をコンセプトとした戦闘機。
通称『Gravity Liberating Fighter』――つまり重力解放戦闘機。
機体の各部に小型バーニアが在り、操作によっては急停止・急転回などの
従来の戦闘機には不可能な挙動を可能と――」
ガナーが半ば嬉しそうに説明を始めるが、それを止めるように
(`・ω・´)「とりあえずとんでもない化け物だということは解っている。
そしてそのアイデアは異世界から得たということもな」
( ‘∀‘)「もちろんタダで教わったわけじゃないわよ?
戦闘機用WSSを組み上げて返してあげたら喜んでたわ」
そして、そのシステムがレイドールにも採用されたというわけだ。
高スピードで展開される空戦において感覚的に操縦出来るという点はプラスになる。
シャキンがWSSを気に入ったのも、そんな理由からだった。
( ‘∀‘)「あ、そういえば今から正式な兵装の検討をしようと思ってるだけど、参加する?」
(`・ω・´)「いや、機体のことに関しては全てアンタに任せるよ」
背を向けながら歩き出す。
( ‘∀‘)「え? じゃあ何でここに?」
(`・ω・´)「ちょっとな」
頭に『?』を乗せたガナーを残し、彼はそのまま格納庫を出て行った。
32 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:42:21.85 ID:krtyDMp00
二日後。
この日は、シャキンにとっての休日。
オーベウス基地を出る。
背後に灯りや訓練の喧騒を浴びながら、シャキンは真っ直ぐと居住区へ向かった。
周囲は闇。
見上げても、微かな光の点滅しか見えない。
基本的に、この世界には空の明かりが無いのだ。
二十四時間、延々と暗闇が続く。
理由は言うまでもないが『機械の天井』のせいであった。
誰がいつ何のために作ったのか。
はたまた最初から存在していたのか。
この都市に残る、どの文献や資料を漁っても答えは出ない。
『不自由な景色ではあるが、近付かない限りは安全なので
時を重ねるにつれ、人々は『機械天井壁』に対する興味を失っていった』
最古の歴史資料にはそう記述されていた。
それ以前のモノは何処を探しても見付からないことから、どうやら意図的に廃棄か隠蔽されたらしい。
34 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:43:44.05 ID:krtyDMp00
しかし、兄であるラミュタスは諦めなかった。
その心境は解らない。
何か確信めいたもの、もしくはその先にあるものを知っていたのか。
はたまたタダの馬鹿だったのか。
解らないが、彼は空を目指して消えた。
(`・ω・´)「……空、か」
概念的な名称なのでよく解らないが、どうやら見ていて気持ちの良いものらしい。
その時によって色や名称が変わるとも聞いている。
ちなみに異世界にアクセスして教えてもらう、という方法もあるのだが
異世界とこの世界の空が同一とは限らないので、積極的に教えてもらおうという気は起きない。
と、色々考えている内に目的地に到着した。
東領地の隅。
まるで厄介モノの烙印を押されたかのように、周囲と距離を置かれている古い家。
機械で囲まれた通常の家屋とは似ても似つかない光景だ。
35 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:44:55.63 ID:krtyDMp00
(´レヽ`)「おぉ、来たか」
(`・ω・´)「久しぶりだな、Gチャン」
庭と思われる場所に座っていた彼の名は『Gチャン』。
ニックネームなどではなく、本名である。
若い頃にオーベウス軍で活躍していたと豪語しており
シャキンとラミュタスが子供の頃から『変態ジジイ』と呼ばれていた。
何故に変態なのかはシャキンも知らない。
(`・ω・´)「そろそろ腰も上がらなくなってきたのか?」
シャキンの正直な言葉に対して、腰を深く曲げた老人は
(´レヽ`)「馬鹿言え。 ワシはまだまだ現役よ」
と、持っている杖を振るう。
(`・ω・´)「なら、良いんだ」
(´レヽ`)「それを言いに来ただけとは言わんだろう?」
(`・ω・´)「当然」
36 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:46:18.55 ID:krtyDMp00
(´レヽ`)「お前が進んで訪ねてくるとは珍しいのぅ。
どれ、ちょっと茶でも準備するから……あー、散らかってるが適当に座っててくれ」
(`・ω・´)「いや、そんな構わなくても――」
(´レヽ`)「昔、お前とラミュタスは随分とワシに構ってくれたからの。
その恩返しと思ってくれて構わんよ」
事実だけにシャキンは何も言い返せなかった。
変態ジジイと呼ばれ続けた男は、子供どころか周囲の大人達からも疎まれる。
急速に発達する機械科学を積極的に取り入れ、次々と住み良く変わっていく家屋。
それを見て『機械の支配に取り込まれおってからに』という迷言を残し
いつまでも反対意見を出し続けたGチャン。
無論、時代の流れに逆らえるはずも無く――今の状況にある。
未だに木材を使用した前々世代型の家屋に住み、時折フラリと何処かへ出かけていく生活。
そんなGチャンに対して、好意的に接し続けたのが二人の兄弟だった。
元々空や軍に対して興味を持っていた二人は、老兵の語るとんでも話を喜んで聞いた。
救われたのは互いだった。
孤独という心への負担を除かれたGチャン。
武勇伝という心躍る、そして空への興味を抱かされた兄弟。
ラミュタスがいない今、たまに通っているのはシャキンのみ。
口には出さないものの、Gチャンは多大な感謝を心に宿していた。
38 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:47:31.42 ID:krtyDMp00
その彼が湯気を立てる湯飲みを二つ、そして茶菓子を持ってシャキンの元へと歩み寄る。
(´レヽ`)「で? お前がわざわざここへ来たということは、何かあったのかの?」
(`・ω・´)「Gチャン相手に勿体ぶっても仕方ないか」
少しの沈黙後。
(`・ω・´)「――『空』への道、つまり亀裂を見つけた」
(´レヽ`)「……ほぅ」
シャキンの正面に座りながら相槌を打つ。
その口元に、微かに笑みが浮かんでいるのをシャキンは見逃さなかった。
(`・ω・´)「やはり、何か知ってるのか」
(´レヽ`)「まぁなぁ。
ぶっちゃけ、お前が見付けるのは時間の問題だと思っておったよ。
ラミュタスもそうだった」
(`・ω・´)「兄……ラミュタスも同じことを?」
(´レヽ`)「そう、お前と同じことを言った。
そして彼は帰らぬ人となった」
39 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:48:56.67 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「やはり、亀裂といえど機械天井の突破は不可能だと?」
(´レヽ`)「そんなことを気にしている内は、絶対に突破出来んよ」
くっくっ、と喉を震わせながら笑う。
その表情は、いつもの温厚なものと正反対に獰猛だった。
(´レヽ`)「理論上は可能じゃ。
機械天井まで地面から距離約二千。
触手の反応・展開速度、そして強度を兼ねて考えた場合、速度さえあれば突破可能――そうワシは見ておる」
(`・ω・´)「それを聞いてラミュタスは挑んだのか……?」
(´レヽ`)「ワシの説明があろうと無かろうと結果は同じであったと思っとるがね。
どちらにせよ、ラミュタスは挑んで……帰らなかった」
(`・ω・´)「アンタは――!」
(´レヽ`)「待て待て、シャキン」
今にも飛び掛りそうな様子のシャキンを宥めるように片手で制す。
そのまま立ち上がり、古いタンスへと向かった。
40 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:50:20.57 ID:krtyDMp00
(´レヽ`)「まぁ、これもラミュタスとの約束でなぁ」
振り返った時には、既に元の柔和な表情が張り付いている。
それを怪訝に思うシャキンをよそに、Gチャンは一つの封筒を手にする。
(´レヽ`)「ちと試させてもらった。
やっぱりお前は兄と『空』のことを諦めてはいない」
(`・ω・´)「……なっ」
(´レヽ`)「怒るのは後にして、これを読め」
言いつつ差し出すのは、少し薄汚れた封筒だ。
疑問を浮かべつつも取り出して内容を読む。
一枚の紙に大きな文字で
『ここまで来てみろ』
(;`・ω・´)「これは……!?」
(´レヽ`)「間違いなくラミュタスから受け取った手紙じゃ……お前宛のな」
43 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:51:49.11 ID:krtyDMp00
(;`・ω・´)「待て……文から判断するに、兄は――」
(´レヽ`)「そう、一度だけ帰ってきておる」
(;`・ω・´)「さっき『帰らぬ』とか言っていたじゃないか!」
(´レヽ`)「あぁ、そうじゃよ。
もう彼は二度とこちらには帰ってこないつもりだろうなぁ」
(`・ω・´)「む……そういう意味だったのか」
拗ねるシャキンを見ながら、Gチャンは湯飲みを手に取る。
(´レヽ`)「お前は昔からラミュタスを勝手にライバル視しておったなぁ。
兄弟仲良くしろと言っても、お前だけは絶対に諦めんかった」
(`・ω・´)「昔の話さ……負けず嫌いのガキだったんだよ」
(´レヽ`)「果たしてそうか?
ワシには、その負けず嫌いの心が残っておるようにも見えるがのぅ」
(`・ω・´)「…………」
44 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:53:00.27 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「…………」
(´レヽ`)「空を飛ぶ者として向上心が無いのは『ただの飛行士』じゃ。
さて、お前は何処を目指して飛ぶのかの?」
(`・ω・´)「俺は――」
(´レヽ`)「これが最後のチャンスじゃよ。
兄を超えられる……いや、それ以前に追いつける、な」
言葉に、シャキンは弾けるように立ち上がる。
そのまま出口まで黙って歩いた。
(`・ω・´)「……Gチャン」
(´レヽ`)「ん?」
(`・ω・´)「納得するまで、やってみるよ」
返事も聞かずに外へ飛び出す。
一歩目からの全力疾走を耳に入れながら、Gチャンは満面の笑みを浮かべた。
(´レヽ`)「そう、お前はそれでいい。 それでいいんじゃ」
45 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:54:14.54 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「エクスト!!」
<_プー゚)フ「あぁ?」
オーベウス軍格納庫。
シャキンが自ら足を踏み入れようとはしなかった場所にて、彼は叫んだ。
(`・ω・´)「亀裂突入の担い手は決まったのか!?」
<_プー゚)フ「あ、あぁ……決まったぜ。 残念ながら俺だけどな」
(`・ω・´)「代われ」
<_プー゚)フ「は?」
(`・ω・´)「俺と代われ!」
<_;プー゚)フ「お前、何言ってんだ!?
どうでもいいみたいなこと言ってたじゃねぇか!」
(`・ω・´)「過去は捨てろ! 俺は上しか見ない!」
<_;プー゚)フ「意味わかんねぇよ! 馬鹿か!?」
47 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:55:22.84 ID:krtyDMp00
今にも掴みかかってきそうなシャキンに対して
エクストは、資料を用いて宥めるように説明を始める。
<_プー゚)フ「いいか? お前は所詮は民間テストパイロットだ。
こんな軍事に関われる身分じゃねぇんだよ」
(`・ω・´)「解ってる!」
<_;プー゚)フ「絶対に解ってねぇ!
大体、俺が『代わる』とか言っても上が許すわけねぇだろ!
お前はラミュタス隊長の弟なんだろ?
隊長の顔に泥を塗るようなことはすんなよ!」
(;`・ω・´)「う……」
<_プー゚)フ「何があったのかは知らねぇが、俺が真実を見てきてやる。
それは絶対に約束するから、な?」
(;`・ω・´)(くそっ!)
子供だな、と我ながらに思う。
しかし引けぬ時もあるのだ。
今がまさにそうであるように。
どうする。
考えるも、答えは出ない。
結局自分は社会の歯車の一部分なのだと痛感した。
48 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:56:30.83 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「……すまなかった」
<_プー゚)フ「解りゃいいんだ」
(`・ω・´)「だが、俺は絶対に諦めない!」
捨て台詞を残し、シャキンは格納庫を出て行った。
その怒りを残した背中を見送りながら
<_;プー゚)フ「……何かスゲェ嫌な予感がすんだけど」
50 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:57:37.02 ID:krtyDMp00
トボトボと、暗い明かりがつく廊下を歩くシャキン。
このままでは自分は一生、兄に追いつくことすら出来ない。
せっかくの決意が無駄になってしまう。
それよりも、後で襲い来るであろう後悔の方が怖いのだが。
さて、どうするかと考えた時。
「あら、何を考えてるのかしら?」
前方から女性の声。
ふと俯かせていた顔を上げれば
(`・ω・´)「ガナー、か」
( ‘∀‘)「何か様子が変ね……良かったら、聞かせてくれない?」
52 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 14:58:59.15 ID:krtyDMp00
翌日。
エクストがGIF『ツァンゼルト』を用いて『亀裂』の突破を試みる日だ。
朝からオーベウス軍の格納庫は騒がしく
ガナーを中心とした調整班が、完璧な整備とチェックをこなしていく。
そんな様子から少し離れた場所で座り込み、任務内容を見ているのはエクストだ。
<_プー゚)フ(とは言っても簡単な任務だわな。
高速で突っ込んで離脱するだけだ)
視線を上げれば、整備士達がGIF『ツァンゼルト』の周囲で忙しそうに作業をしている。
と、そこでふと思う。
<_プー゚)フ(シャキンの野郎、一体何であんなに代わりたがったんだ?
あれ以来一度も会ってねぇし……気になるぜ)
話だけでも合わせておいて事情を聞けばよかった。
と、軽く後悔する。
53 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:00:15.09 ID:krtyDMp00
その後悔は次の瞬間に肥大化した。
突如、格納庫内に警報が鳴り響く。
『ニクルス開発局にて緊急事態発生!
GIF『レイドール』が何者かに強奪! 周囲の兵は至急取り押さえよ!』
エクストは弾かれるように立ち上がり
<_;プー゚)フ「――あの野郎!!」
そこで共犯者がいることに気付く。
GIF『レイドール』はニクルス開発局の試作機だ。
開発主任の許可が無ければ、動かすことすら出来ないはず――
すぐさまガナーの方へ向かい、その肩を掴んだ。
<_;プー゚)フ「おい、ガナー! アンタまさか――」
( ‘∀‘)「あらあら……私としたことが、うっかり許可ロックしておくの忘れてたわ」
54 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:01:35.58 ID:krtyDMp00
ニクルス開発局格納庫から脱出したシャキンは久々の空を満喫していた。
とはいえ、その空は闇に閉ざされているのだが。
(`・ω・´)「やはり良いな」
スロットルレバーを握り直す。
右ペダルに置いてある足の力を徐々に抜かし、今度は左ペダルに置く。
(`・ω・´)「さぁ、追っ手が来る前に終わらせるか」
左右のレバーを目一杯前へ。
同時に左ペダルを一気に押し込んだ。
ガクン、と軽い衝撃がシャキンを襲う。
それと時を同じくして、流れる景色の速度が一気に加速した。
(`・ω・´)(この速度で行けば十五分くらいか)
整備はガナーが徹夜でやってくれた。
各部のマジックカートリッジも交換済みで、動力であるルイルも魔力を完全充填している。
後は己の度胸と速度と運がモノを言うだろう。
57 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:03:05.29 ID:krtyDMp00
と、そこで通信が入る。
無視をしようかとも思ったが、ガナーからだったら何か情報が得られるかもしれない。
しかし聞こえてきた声は、最も聞きたくない声であった。
『おいテメェ! 勝手に暴走してんじゃねぇよ!』
(`・ω・´)「エクストか……切るぞ」
『待てよ馬鹿野郎! 言いたいことがあんだ!
俺に新たな任務が追加されたから、それを教えといてやる!』
(`・ω・´)「とりあえず良かったな……で、内容は?」
『テメェの撃墜だ! 首洗って待っとけ!』
一方的に通信に切られる。
それを確認したシャキンは、やれやれと肩を竦めて
(`・ω・´)「まぁ、準備運動には丁度良いか」
と、呟きながら速度を軽く落とすのだった。
58 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:04:16.18 ID:krtyDMp00
約五分。
背後からESSの反応があったのは、それだけの時間が経った後だった。
段々と近付いてくるエクスト機の反応を見ていると
『――よぉ』
やけに落ち着いた声が聞こえた。
(`・ω・´)「何をしに来た?」
『天然かそうじゃねぇのか判断しかねるが……とりあえずお前を墜としに来た』
(`・ω・´)「そうか」
『あぁ、始める前に一つだけ聞いておく。
お前の機体はまだ試作段階だったな? まぁ、俺のも同じなんだが』
(`・ω・´)「そうだが」
61 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:05:25.63 ID:krtyDMp00
『んじゃ、問いかけるぜ。
お前の武装……まさか実弾積んでるわけねぇよな?』
彼の声には、己の中で確定している色が聞き取れた。
試作機に実弾が積まれているわけがない、と。
コンソールを軽く叩き、機体情報を見る。
(`・ω・´)「……お前と同じだ」
『積んでるのかよ!?』
(`・ω・´)「これで対等だな」
『あぁくそっ! こっちだけ実弾積んでると思ったのによ!』
悔しそうな声に、シャキンは苦笑した。
きっとガナーだろう。
武装の検討をしているのは知っていたが、まさか既に積んでいたとは。
63 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:06:40.76 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「まぁ、お前の方だけ実弾を積んでいたとしても俺が勝つのだがな」
『言ってくれるじゃねぇか……始めようぜ。
合図は、そうだな――』
言葉が終わる前に行動。
右手レバーを前へ突き出し、体重を左方へ傾ける。
視界が百八十度転回。
目の前にエクスト機が、無防備に浮いていた。
『え――』
両翼の機銃をセットアップ。
すぐさま射撃を開始。
赤の発光後、音速超過で弾丸が発射された。
対してエクストの反応は早かった。
ギリギリというタイミングで機体を傾け、射線から退避する。
『ふざけんじゃねぇぞテメェ! 殺す気かぁ!?』
(`・ω・´)「そっちもそのつもりだと思っていたが……それにこれは演習ではなく戦闘だろう」
64 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:07:59.99 ID:krtyDMp00
『……よぉし殺す! テメェは殺すぜ!』
(`・ω・´)「やってみろ」
体重を前へと移す。
そのまま左ペダルを押し込み、下方へ向けて加速を始めた。
『おおっしゃ、やるぜ!』
(`・ω・´)「喋る前に動けよ」
『はン――』
エクスト機が動く。
まるで獣を狩る鷹のように、鋭い加速を開始。
そして二人同時に叫んだ。
――勝負だ、と。
67 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:09:15.97 ID:krtyDMp00
シャキン達の住む東領地。
その逆方向にあるのは西領地だ。
さて、この東西の領地は仲が非常に悪い。
理由は定かではないが、昔から縄張りに関しては不可侵とされてきていた。
その西領地の軍部。
格納庫では慌しい空気が充満していた。
「ヘルイト隊長、準備完了です!」
部下の報告を聞き、男は立ち上がる。
その顔は『鉄仮面』が装着されていた。
〈 ┼〉「……数は?」
「確認出来たのは二機……現在、西領地上空にて戦闘を開始しております」
〈 ┼〉「東領地からは何か知らせはあったか?」
「先ほどありました。
が、それも戦闘開始後になります」
〈 ┼〉「ならば問答無用だな……その二機とも墜とすぞ」
「了解!」
69 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:10:32.95 ID:krtyDMp00
さて、突然だがGIFは『暴力的な戦闘機』という表現をされることがある。
その飛翔システムに理由があった。
まず引力制御により、その機体とパイロットは重力から解放される。
そして備え付けられたメイン&サブブースターとWSSで、強制的に軌道を操作して飛ぶわけだが
この品の欠片も無い、火力と魔力にモノを言わせた機動方法から『暴力的な戦闘機』ときている。
品は確かに無い。
そこは開発主任であるガナーも認めている。
が、例えそう言われようとも
その理に適った飛翔は、時として常識外の戦闘を彩ることがあった。
『おぉぉぉぉ!!』
通信機から、エクストの咆哮が響く。
その五月蝿さに顔をしかめながらも、シャキンは機体を巧みに操る。
(`・ω・´)「叫ぶだけで――機体性能は上がらない!」
『気分だっ――つの!』
71 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:11:56.78 ID:krtyDMp00
上空から来る。
こちらに向かって高速で弾丸を吐き出しながらだ。
(`・ω・´)「ッ!」
左レバーを引きながら右を出す。
体重を後ろに流せば、機体は空中で跳ねることとなる。
鋭く銃弾が掠めていった。
『おい! ラングレル角は幾つに設定してやがる!?』
(`・ω・´)「13だ」
『俺は12! 臆病だなシャキンさんよ!』
(`・ω・´)「……エミリングゲージは?」
『3200! ギリギリまで出してんぞ!』
(`・ω・´)「今、3300まで上げた」
『馬鹿か!?』
エミリングゲージとは、動力であるルイルの出力量を意味する。
この数値が高ければ高いほど瞬発速度が上がるのだが、もちろんルイル内の魔力の枯渇も早くなる。
74 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:13:12.55 ID:krtyDMp00
つまり飛翔時間が短くなるのだが
(`・ω・´)「……エクスト」
『あ!?』
(`・ω・´)「戦闘機から速度を取ったら、何が残るか知ってるか?」
彼は言い切る。
(`・ω・´)「ただの『的』だ――!!」
加速。
今度は真上へ飛び出すような軌道。
そのまま上昇し、機体を真後ろへ転回させる。
視界の先に入るのは、下方を飛ぶエクスト機。
GIF『レイドール』の両翼下部が展開。
内部からミサイルが顔を出し、下降加速度を以って発射された。
白煙が尾を引き、高速でエクスト機を狙う。
75 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:14:35.79 ID:krtyDMp00
『この――ッ程度で!』
バスン、という音と共に何かが空中に撒かれる。
それはミサイルの軌道を惑わせると同時に、壁となる――
(`・ω・´)「ジャスクか」
『割と高価な装備だ!
だが、テメェ相手には勿体無いとか言ってる場合じゃねぇからな!』
言葉が終わる前に爆音が被さる。
二対のミサイルが、撒かれたジャスクによって強制的に爆発させられたのだ。
『今度は――こっちの、ッ番だ!』
濛々と発生した爆煙から一機の戦闘機が突き出る。
そのまま半円を描くような軌道で上昇し
『喰らえよ!』
機銃を無闇に撃ちまくりながらの突撃。
しかしこれが意外と厄介だ。
(`・ω・´)「っ!」
機首を逃亡先に放り出すように向け、そのまま全速力で加速した。
背後から小さな弾丸が襲い掛かる。
77 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:15:57.98 ID:krtyDMp00
GIFを語る場合に外せない点は、その自由な機動だ。
急な転回や停止、更には急下降・急上昇なども可能という点。
そんな相手に背後を取られた場合、どうしても引き剥がすのが難しくなる。
(`・ω・´)(逆を言えば、腕の見せ所でもある――!)
軌道をランダムに変更。
もはや自分でも何処へ飛ぶか解らぬほど、だ。
しかし奴は追従してくる。
機体の性能は互角。
ここではパイロットの腕がモノを言うわけなのだが
(`・ω・´)(伊達に軍部でエースを名乗っているわけではない、か)
いつの間にか射撃が止んでいる。
どうやら彼も操縦に集中しているらしい。
それは、攻撃よりもプライドを取っている証拠に繋がる。
78 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:17:06.90 ID:krtyDMp00
『おい!』
(`・ω・´)「今、忙しいのだが」
『この勝負に勝った方が『風鷲』の後継者ってことでどうよ!? 燃えるだろ?』
(`・ω・´)「……何だ、そんなことか」
溜息を吐き
(`・ω・´)「そんな称号ならくれてやる。
俺は風鷲を超えるために、レイドールに乗った」
『なっ――』
エクストが絶句する。
次に聞こえたのは
『は、はは……ははははは!』
(`・ω・´)「何が可笑しい?」
『最高だ! お前最高だよ!』
80 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:18:18.14 ID:krtyDMp00
そして言う。
『だがテメェに超えることは出来ねぇ! 後継者である俺がいるからなぁ!!』
来る。
殺気が、勢いが、風が、弾丸が。
(`・ω・´)(だが、その時こそが隙に繋がる――!)
体重を後ろへ。
そのままスロットルレバーを引き、右ペダルを軽く踏む。
結果、機体はエクスト機の真下に滑り込むように滑空した。
しかし彼がそのまま見失うわけが無い。
だからこそ、シャキンは一つのフェイントを仕掛けた。
84 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:20:09.90 ID:krtyDMp00
<_プー゚)フ「そこか!」
エクストは読んでいた。
あれは『ロイング・エッセ』という『拍子抜け』を意味する機体動作だ。
急停止に加え、僅かに上を向いてのバックを交えた高等技術。
背後の敵機の真下に滑り込むこの技は
<_プー゚)フ(ラミュタスさんが得意としていた――)
だからこそ読めた。
そして、シャキンがこの技を使おうとしたのも理解出来た。
――兄の得意技を使いこなし、自分を撃破することで
<_プー゚)フ(俺には無理だと言いたいわけか――!)
ふざけるな。
勝手に無理だと言われて、はいそうですかと諦める馬鹿はいない。
少なくともエクストはそうだった。
だからこそシャキンの機体動作を見た途端、彼の視野は大幅に狭まる。
<_プー゚)フ(俺はこの技に対抗するための術を練習してきた!
背後下部角度28度! そこにテメェのスカした顔がある!)
85 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:21:22.22 ID:krtyDMp00
その場で逆転回。
ロイング・エッセの強みは、その自由落下と勢いを利用しての瞬間的な回り込みにある。
つまり旋回するよりも圧倒的に早く相手の背後が取れるのだ。
対抗するには
相手機が視界から消えた瞬間に逆転回し、回り込んだ相手の出鼻を挫くこと。
それは予知というレベルでしか出来ない対抗手段。
だからこそ効果的であり、ラミュタスも得意とした。
それを最も知るエクストは、予知レベルまでに相対出来るほどの反応速度で捉えようとする。
が、しかし。
<_;プー゚)フ「なっ――」
絶句。
何故なら
<_;プー゚)フ「いねぇだとぉ!?」
視界が展開した先、そこには鉄の翼さえも見えなかった。
見えなかったというよりも最初から存在していない。
87 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:22:38.23 ID:krtyDMp00
何処へ。
『昔から、お前は良くも悪くも正直だったよな』
声。
シャキンのそれが聞こえてくるものの、何処にいるのか解らない。
そして、ようやく気付いた。
<_プー゚)フ「……テメェ」
『空間静止モードへ移行しろ。 出来れば撃ちたくはない』
シャキン機は背後にいた。
しかもこちらに機銃の銃口を向けてだ。
つまり、シャキンは回り込まずに元の位置に戻っただけであった……が。
<_;プー゚)フ「一体どういう仕掛けだ……?
元の位置に戻る時には、どうしてもブースターか引力制御を使う必要があるだろう?」
そうなれば必ずESSに反応があるはずだ。
しかし先ほどの一瞬において、反応した様子は無い。
シャキンの声が聞こえる。
『遅れ風って知ってるか?』
<_;プー゚)フ「……まさか」
88 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:24:04.93 ID:krtyDMp00
<_;プー゚)フ「……まさか」
『そう、お前が高速移動して引っ張ってきた風。
お前の真後ろを追うように走ってきた風。
それに乗っただけだ』
簡単な理屈だ。
シャキンとエクスト機は高速で空を駆け回った。
それによって風が乱され、しかし追従するように追って来ていたはず。
真下に潜り込んだ瞬間、シャキン機は機首を上げていた。
つまり遅れてきた風をまともに受ける形だ。
そのまま押し返されるように元の位置に戻り、WSSを利用して機銃を向ける。
こうすれば、まったくルイル魔力を使用せずに――
<_プー゚)フ「くそっ……」
それが理解出来たエクストは舌打ちする。
もはや抵抗の意思は残っていない。
最も尊敬していた人物の技を超えた技術。
偶然や確率などというモノに身を任せずに発せられた、卓越した機体操作。
それを目の当たりにし、エクストは敗北を認める。
89 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:25:21.49 ID:krtyDMp00
<_プー゚)フ「んだよ、チクショーが……結局テメェが上だったか。
これが才能って奴の差かよ」
『違うな』
シャキンの声は、終始抑揚の無いものだった。
『お前は兄を目標としていた。
俺は兄を超えることを目標とした……どちらが上に行けるかなんて、その時に決まってたんだ』
<_プー゚)フ「ちっ、スカしてんねぇ」
『これが俺の――』
声が途切れる。
次にエクストが感じたのは、衝撃と赤光。
真後ろからそれが襲ってきたときに、エクストは何が起こったのかすぐに理解した。
しかし信じられずに叫ぶ。
<_;プー゚)フ「お、おい!?」
92 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:26:40.27 ID:krtyDMp00
慌てて急反転。
見れば、爆炎を上げながらシャキンの機体が落下している。
コックピットには直撃を受けていないようだが、後部から煙が出ていることを考えると
『――動力がやられたか……後は、任せる』
<_;プー゚)フ「死ぬなよ!」
『死なんさ』
その声を最後に、シャキンからの通信が途切れる。
ノイズを耳に入れながらエクストは周囲を見渡した。
<_プー゚)フ「……アレか」
そして見つける。
西領地側から、数十もの戦闘機が列を成して飛行してくるのを。
その先頭を飛ぶリーダーらしき機から通信が入った。
『こちら西領地空軍……端的に言えば、撃墜しに来た』
<_プー゚)フ「あぁ、解ってる……今しがた友人が撃墜されたんでね」
93 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:27:53.99 ID:krtyDMp00
『不幸なことだな』
<_プー゚)フ「その台詞、テメェらに丸々返してやんよ」
『威勢の良いことだ。
しかし、こちらには撃墜する正当な理由がある』
<_プー゚)フ「んだと?
確かに領空内に入ったが、東領地から連絡が行ってるはずだろ」
『お前達が入ってから後に、な。
そんな言い訳は我々に通用しない……無断で入ったのは事実だ』
<_プー゚)フ「テメェら……」
『通信を切る。
これから地獄へ逝く奴といつまでも話していたら、私まで引きずり込まれそうだからな』
軽い笑いと共に通信が終わる。
一方的に切られたエクストは、その表情を『怒』に変えた。
<_#プー゚)フ「後悔させてやる……!」
94 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:29:16.79 ID:krtyDMp00
シャキンは落下していた。
いや、墜落する瞬間だった。
引力制御システムは生きていたため、それほどの強い衝撃は襲っては来ない。
ただ、もう戦えるような状態ではなかった。
メイン動力の小型ルイルが破壊されているのだ。
サブブースターとは連結していないので飛翔は可能である。
が、これでは飛ぶことは出来ても敵からしてみれば『ただの的』だ。
(`・ω・´)「試合に勝って、勝負には負けたか……」
空を見上げる。
数十機もの戦闘機がGIF一機を追っているが、あの程度ならばエクストだけでも問題はないだろう。
きっとアッサリと全機撃墜して、さっさと亀裂突入を仕掛けるはずだ。
周囲を見れば、東領地と西領地の境目付近だということが解る。
ここから歩いて帰るにしても、かなりの距離があった。
(`・ω・´)(というか、今更帰れるわけがないな……)
自分は犯罪者だ。
試作型の戦闘機を強奪し、勝手に行動した大馬鹿者。
きっと、兄と同じだと言われている頃だろう。
苦笑する。
結局のところ、自分は兄と同じ地点にまで辿り着こうとし、しかし失敗に終わっている。
超えられもしない。
96 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:30:36.10 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)(さて、どうするか……)
ふと上空を見上げる。
未だにエクストが戦っている空であったが
(`・ω・´)「?」
押されている。
数では劣っているが、彼の操縦技術なら勝っているはず。
そんな彼が劣勢に追い詰められているのには理由があった。
(`・ω・´)「あれは……」
数十機の中に、一機だけ色違いを見つける。
それは東領地で一時期有名になっていた敵機だった。
(`・ω・´)「まずいかもしれんな」
少なくともエクストレベルの力量を持っているだろう。
操縦技術で勝っていた彼の優位性は無きに等しくなった。
このままでは危険だ。
出来れば手助けしてやりたいのだが――
99 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:32:06.72 ID:krtyDMp00
煙を上げる機体を見て、シャキンは諦めたように首を振る。
聞き覚えのある声が聞こえたのはその直後だった。
「諦めが早いのぉ」
(`・ω・´)「え?」
そこにいたのは
(´レヽ`)「もうちっと気張ってみる気はあるか?
あるというのならば、ワシが力を貸そう」
今まで見た中で、最も凛々しいGチャンの姿だった。
100 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:33:19.45 ID:krtyDMp00
〈 ┼〉「……やるな」
風を切り裂きながら飛翔する中でヘルイトは呟く。
数十もの敵に囲まれながら、しかし撃墜されないエクスト機。
その無茶苦茶な操縦は目に余るものがあるが、未だ逃げ続ける気概は認められる。
〈 ┼〉「思い出すよ、あの男との戦いを」
かつて、東西の領地が激しく争っていた時。
西領地軍で最も有能なパイロットとして崇められた自分を、いとも容易く撃墜したのはラミュタスだった。
彼は敵であるはずのヘルイトへ向けて、少しだけ通信で言葉を掛けたことがある。
『正直過ぎる』
つまり有能過ぎて教科書通りだ、と。
言葉を聞いたヘルイトは、馬鹿にされているのと同時に期待されていることを悟った。
その日から彼は裏をかく奇術を学び、本心を隠すように鉄仮面を装着した。
二度目の再戦は二年半前。
まったくの偶然によって発生した戦闘だったが、ヘルイトは居もしない神に感謝する。
102 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:34:33.00 ID:krtyDMp00
結果は惨敗。
裏をかき、隙を突き、言葉で惑わそうとしても
ラミュタスの心は一度も揺さぶられることがなかった。
そこにあったのは確固たる自己精神。
二年前、ラミュタスが姿を消したという報告を聞いた時、ヘルイトは半ば納得してしまった。
もうあの頃には既に自分など眼中に無かったのだろうな、と。
今、目の前で飛んでいる機体。
動きこそは荒々しいが、その癖やタイミングはラミュタスに酷似していた。
〈 ┼〉(……劣化版だな)
思い、レバーを握る手に力を籠める。
――嘗められたものだ。
――三年越しの鬱憤、貴様の命で晴らさせてもらおう。
103 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:36:03.45 ID:krtyDMp00
空中戦が展開される、その真下。
小さな草原に落ちたGIF『レイドール』は、老人の手によって修理が為されようとしていた。
(´レヽ`)「やられたのは動力部だけじゃな」
(`・ω・´)「……それが問題だろう? 代用出来るモノなんて無い」
(´レヽ`)「確かに無いのぅ」
しかし、彼は歯を見せながら笑った。
(´レヽ`)「だから、本物と取り替えることにするぞ」
(`・ω・´)「は?」
ルイルとは基本的に希少だ。
充填出来るとはいえ、劣化もするし壊れもする。
もちろん、領地内という空間内に存在する数にも限りがある。
まさか、この老人が持っているわけが――
(´レヽ`)「ほれ」
ドスン、と重々しい音がする。
それを包んでいた布を丁寧に剥がしていけば
(;`・ω・´)「……おいおい」
綺麗な岩石が顔を出した。
それはまさしく『ルイル』と呼ばれる希少石。
104 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:37:18.33 ID:krtyDMp00
何だこれは、と言いたげな表情を向けたシャキンの口が止まる。
そこに立つ老人は、もはやタダの老人ではなかった。
シャキンはその目の輝きに覚えがある。
それは『老兵』と呼ばれる、経験豊かな者が発する特有の眼光。
しばらくの間、シャキンは何も言えずに突っ立っていた。
動力の取り替え作業を行いながら、Gチャンは静かに口を開く。
(´レヽ`)「……なぁ、シャキン」
(`・ω・´)「……何だ?」
(´レヽ`)「お前は飛べるか?」
(`・ω・´)「翼が、あれば」
(´レヽ`)「翼があれば、何処を目指して飛ぶつもりだ?」
それは先日に問われたことだった。
シャキンは口を閉ざす。
目を瞑り、何かを吟味するような沈黙を発した後に答えた。
(`・ω・´)「何処へなんて解らない。
自分が望むモノが手に入る場所なら、何処へでも」
(´レヽ`)「そうか」
106 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:38:34.92 ID:krtyDMp00
金属音が鳴る。
それは動力部のハッチをしっかりと閉じた音だ。
Gチャンはスパナを手の中で回転させ、更に満面の笑みで
(´レヽ`)「では行って来い、シャキン……ワシの望みまで背負ってな」
(`・ω・´)「……事情は聞かないし、言わなくて良い。
だから――ありがとう」
声と共に震動。
それはGIF『レイドール』が息を吹き返した証拠。
メインコンソールウインドウに、再起動時の処理情報文字列が流れていく。
それは不意に止まった。
(`・ω・´)「これは……」
【Force Attack】
見慣れない文字を視界に入れ、シャキンは戸惑う。
その背を押す声が聞こえた。
(´レヽ`)「組み込んだルイルに、ちょっとした仕掛けを施しておっての。
飛翔時間は多少短くなるが……面白い攻撃が出来るようになっておるぞ」
107 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:39:55.53 ID:krtyDMp00
詳細を聞かされ、シャキンの表情が青ざめた。
(;`・ω・´)「……正気か?」
(´レヽ`)「元々は理論上で可能とされておったからなぁ。
まぁ、ワシからのプレゼントと思っておけ」
(;`・ω・´)「理論上って……」
前々から感じていた疑問の欠片をぶつける。
Gチャンは快活に笑い
(´レヽ`)「ま、気にするな。
元はお前と同じ目的を持っていた馬鹿の一人でなぁ」
(`・ω・´)「目的……」
言い掛けた言葉を打ち消すようにGチャンが叫ぶ。
(´レヽ`)「さぁ、行け!
お前が背には、お前が思うよりも多くの願いが載っておるぞ!」
108 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:41:00.63 ID:krtyDMp00
まったく意識せずに右ペダルを押し込んだ。
呼応するように機体が吠え、視界が上がり始める。
引力制御による垂直上昇だ。
(`・ω・´)「一つだけ聞いていいか!?」
(´レヽ`)「何じゃ!?」
轟音と轟音の中、シャキンは問いかけた。
(`・ω・´)「アンタ一体、何者だ!?」
(´レヽ`)「――ただの老いぼれじゃよ!」
キィン、という甲高い音が響き、一気に景色が背後へと流れたのは直後だった。
109 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:42:11.70 ID:krtyDMp00
<_;プー゚)フ「くはぁぁ……こ、の――雑魚がぁぁ!」
体重を前へ。
スロットルレバーを限界まで突き出して加速。
Gキャンセラーでさえ処理し切れないGを感じつつ、そのまま急上昇。
反転する視界で見えたのは、掻き乱されて一箇所に固まった複数の敵機。
叫ぶ。
<_;プー゚)フ「獲っ――たぁぁぁ!!」
機体腹部が開く。
展開された内部にマイクロミサイルが積まれている。
それは雨霰のように落下し
「――!」
急激な加速を持って標的破壊に掛かる。
白い尾が幾重にも重なり、しかし規則的に並びながら宙を走り
爆発。
連続で起きたそれは、周囲の空間ごと食い荒らした。
110 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:43:34.09 ID:krtyDMp00
<_プー゚)フ「よし、残りは――」
ゾクリ、と何かが背中を撫でた。
それは俗に言う殺気であり、悪寒であり、そして死神の視線。
感じるや否や機体を強引に傾ける。
衝撃。
震動がエクストの身体を震わせる。
<_;プー゚)フ「ちっ……!」
損傷箇所を確認。
まだ飛べる。
まだ戦える。
どす黒い煙の尾を引きながらも、エクストは抵抗を選んだ。
しかし
『その程度か!』
通信機から、強制的に声が送られてくる。
112 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:44:44.36 ID:krtyDMp00
<_#プー゚)フ「うるせぇんだよ! 黙ってやられろ!」
『ラミュタスが悲しむぞ! 後継者がその程度の実力なのかとな!』
知っている。
奴はラミュタスを知っている。
事実が胸に刺さり、吐き気がこみ上げる。
それは憎しみであり、恐怖であり、そして歓喜の表れであった。
<_;プー゚)フ「――言ってやるさ!」
もはや敵機はこちらを捉えている。
逃げ道は無い。
周囲にも部下と思われる数機が飛び回り、退路を削っていく。
絶望的とも思える状態にて、エクストは力の限り叫んだ。
<_#プー゚)フ「俺は、俺は情けねぇ後継者だがなぁ!!」
『――!?』
<_#プー゚)フ「ラミュタス隊長を超えるって馬鹿が、こっちにはいるんだよ!!」
爆音。
突如として閃光が視界を塞いた。
113 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:46:11.36 ID:krtyDMp00
――あぁ、終わった。
エクストは敗北――いや、死を悟る。
力が抜け、頭が空となり
そして、声が聞こえた。
『――まだだ』
<_;プー゚)フ「……え?」
やられてはいない。
生きている。
両手はスロットルレバーを握り、足はペダルへ。
身体はしっかりとシートに固定されている。
では、誰がやられた。
確認しようとコンソールに視線を向けた時、風防の先を高速で何かが通過していった。
天を目指す鳥の如く。
それは『天飛鳥』と呼ばれる希少種のような神々しさがあった。
<_;プー゚)フ「……戻ってきやがったか馬鹿野郎!」
視線の先。
そこには、復活したGIF『レイドール』の姿。
115 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:47:25.68 ID:krtyDMp00
『遅くなった』
<_;プー゚)フ「遅ぇよ! 死ぬかと思ったじゃねぇか!
親友のピンチの時くらいは颯爽と現われやがれ!」
『……いつ、俺達はそのような仲になった?』
<_プー゚)フ「馬鹿野郎が……同じ目標を目指してたんじゃねぇのかよ?」
『……言ったろう、俺はその更に上を目指すと』
<_プー゚)フ「同じようなモンじゃね? 上を目指すという点においては」
『…………』
ノイズの混じった沈黙。
そして
『そうだな』
116 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:48:34.87 ID:krtyDMp00
シャキンは飛んでいた。
高速で、風を切り裂きながら。
視線の先には、先ほど撃墜した敵機の爆炎。
その数は三。
『馬鹿な――』
敵側のリーダーの声。
明らかに焦りが混じっていた。
『たった一瞬でに三機だと……?』
(`・ω・´)「悪かったか?」
『貴様は何者だ』
(`・ω・´)「……シャキン」
『面白い……面白くなってきたぞ』
(`・ω・´)「正論だな。 戦いは楽しんでからこそ真価が見える」
『貴様、何故その言葉を――』
(`・ω・´)「兄譲りだ」
117 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:49:52.11 ID:krtyDMp00
その言葉を発した途端、リーダー機の動きに異変が起きる。
揺れ始めたのだ。
ガクガクと、機体が上下左右に揺れているのだ。
『何だぁ? ぶっ壊れたか?』
エクストの声が聞こえ、更に
『は、はははは! はははははははは!』
笑い声。
篭っていることから、どうやら口部に何かを被せているらしい。
その笑いから起きる身体痙攣を、機体は忠実に表現した。
『お前がラミュタスの弟か! 』
(`・ω・´)「そう言うお前は?」
『ラミュタスを崇拝している、ただの馬鹿さ!』
(;`・ω・´)「あの兄は……どこまで人の人生を狂わせれば気が済むんだ……」
小さな呟きは聞こえなかったらしい。
というよりも、相手は歓喜でそれどころではないのだろう。
120 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:51:00.55 ID:krtyDMp00
『その動き! 技術! 速度! 全て見覚えがあるぞ!』
(`・ω・´)「だからどうした」
『勝つんだよ、私がな!』
(`・ω・´)「残念だが……お前は負けるよ」
ペダルを踏み込む。
機体が加速し、旋回軌道から外れた。
戦闘開始だ。
スロットルレバーを微妙に操作しながら体重を僅かに傾ける。
機首が微調整され、その先端が敵機へと向けられた。
3400を表示していたエミリングゲージを、3000までに引き下げる。
レバーを軽く引きつつ、ペダルを踏み込めば
『来るか!』
先ほどよりも少しだけの加速。
メインブースターの光が大きくなるが故に、敵は攻撃挙動の始まりに見えるだろう。
121 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:52:14.00 ID:krtyDMp00
ギュン、という音が聞こえてきそうな錯覚。
共に敵機の機首が上がり、そのままロケットのように上空へ飛翔。
追う。
しかし、追いつけない。
『先ほどのダメージが効いているようだな!』
(`・ω・´)「お陰様でな」
『では死ね!』
上空。
真上から雨のようにミサイルが降ってくる。
放射線状に広がったかと思えば、すぐさまGIF『レイドール』という目標を見つけ
その存在を無にするために直進してくる。
(`・ω・´)(誘導性の高いタイプ……まいったな)
『ジャスク』のような対ミサイル装備は無い。
レイドールは、基本的に速度で翻弄する戦術に向いている。
だからこそ速度を落としていたのだが
(`・ω・´)(仕切り直しか)
123 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:53:27.52 ID:krtyDMp00
設定を戻すためにメインコンソールへと手が伸び掛けた時。
『諦めるのは早いんじゃねぇかぁ!?』
自機の真上――つまり、シャキンとミサイル群にエクスト機が割り込む。
そのまま天を向き
『とっつげきぃぃぃ!!』
全開で加速しながらミサイル群へと突っ込んでいった。
(;`・ω・´)「馬鹿か!?」
『馬鹿さ!』
だがなぁ、と続け
『お前の方がもっと馬鹿だろうが!!』
直後、連続した爆発音が響く。
天から降るミサイルを、エクストが片っ端から撃ち落としているのだ。
機首を上下左右に振り回して小威力の弾丸をバラ撒く。
124 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:54:47.22 ID:krtyDMp00
(`・ω・´)「――すまない!」
礼を言い、ミサイル軌道から逃れるように加速。
そのまま半円を描くように上昇し、視界に収めたのは
『ここがお前の墓場だ!』
(`・ω・´)「その台詞、そのまま返す!」
右手がレバーから外れ、正面コンソールを叩く。
メインウインドウに現われた文字は『Force Attack』。
直後、機首に変化があった。
厳密に言えば機首の目の前。
そこに薄紫の透明な膜のような、カーテンのような何かが張られる。
『何だそれは!?』
(`・ω・´)「……老兵の古ぼけた魂だ」
『シールドバリアか!? だが、その程度の膜で砲弾を抜けられると思うな!』
126 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:56:01.89 ID:krtyDMp00
敵機の両翼が開く。
内部から、砲撃用の口が迫り出した。
瞬間的に白い煙が散り、音速超過で一回り大きな弾が来る。
(`・ω・´)「ッ!!」
体重を思い切り左へ。
機体がその場でロールし、砲弾が右翼を掠めていった。
更に前へ。
回避
更に前へ。
回避
更に前へ。
回避
更に――
(`・ω・´)「前へ!」
エミリングゲージ設定を『6000』にまで引き上げ
(`・ω・´)「言おうか」
『何をだ? 命乞いか?』
127 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:57:24.48 ID:krtyDMp00
敵も馬鹿ではない。
流石にこの距離まで近付かれれば、警戒の念も増すだろう。
直進してくるシャキン機に対して、その軌道をズラし始めた。
その姿を目に焼き付けながら
(`・ω・´)「――戦闘機から『速度』をとったら、ただの的だと!!」
咆哮と共にスロットルレバーを全力で前に出す。
それは爆発的な加速だった。
Gキャンセラーの処理がまったく追いつかず、身体に異常な重圧が掛かる。
それでも、シャキンはレバーを前へ突き出し続けた。
右足の感覚が無くなれど精一杯踏み込んだ。
思い切り歯を噛み締めた結果、一筋の血が口端から流れ出た。
『なっ――』
声さえ間に合わない。
(`・ω・´)「おぉぉぉぉ!!」
劇的な加速力で直進したシャキン機は、そのまま敵機を貫いた。
まずコックピットが砕け散り、そのまま機体が真っ二つに折れる。
爆炎が噴き出したのは直後だ。
熱を、衝撃を、震動を纏いながらGIF『レイドール』は尚も直進した。
何処へ行くでもなく。
しかし、確実に何処かを目指しながら。
129 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:58:36.90 ID:krtyDMp00
『……で、どうすんだよ?』
エクストの声が聞こえてきたのは、それから数分後だった。
『もう東領地には帰れねぇしなぁ……。
任務失敗したし、何か東西戦争の引き金引いたっぽいし』
(`・ω・´)「やるじゃないか」
『お前ひどくね?』
戦闘を終えた二人は、そのまま逃げるように『亀裂』へと向かっていた。
あのまま残っていても、東領地と西領地の板挟みになるのが目に見えていたからだ。
ならば
『行くかぁ、もう戻れそうにねぇし』
(`・ω・´)「あぁ、そうだな」
『……連れ添う相棒が最悪で悪かったな』
(`・ω・´)「自虐か」
『はン』
130 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 15:59:48.25 ID:krtyDMp00
拗ねたような声。
しかし、シャキンは笑みを浮かべ
(`・ω・´)「案外、悪くない気がするが」
『あ?』
(`・ω・´)「別に何も」
二機は地上スレスレを直進する。
『亀裂』があるポイントが近付き、そろそろ上昇の準備に入るという時。
溜息と共にエクストが言う。
『さぁて……外の世界はどうなんでしょうねぇ、シャキンさん?』
(`・ω・´)「賭けるか?」
『よし、『この世の楽園ともいえる世界』だ』
(`・ω・´)「じゃあ、俺は『この世の地獄ともいえる世界』にする」
『勝ったな』
(`・ω・´)「俺がか」
『……まぁ、結果は見てのお楽しみってことで』
言葉を合図としたかのように、機首を真上へと向ける。
その先には『亀裂』。
132 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 16:01:18.54 ID:krtyDMp00
スロットルレバーを全開まで突き出し、左ペダルを限界まで踏みつける。
加速。
加速。
加速。
見る見るうちに亀裂が近付き――
「――――!!?」
大きな衝撃が二人を襲った。
機械触手が機体を引き裂こうとうねる。
ガクガクと揺れに揺れ、あまりの恐怖にシャキンは硬く目を瞑った。
いつの間にか、音が聞こえなくなっていることにも気付かずに。
134 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 16:02:31.02 ID:krtyDMp00
どれほどの時間が経っただろうか。
耳元で誰かの叫ぶ声が聞こえる。
『――ン!』
それは相棒の声。
『――おい、シャキン!』
(`-ω・´)「……どう、なった?」
『自分の目で見ろよ……こりゃとんでもねぇぞ……!』
霞む視界が徐々にハッキリとしてくる。
頭を軽く振り、目を擦って、完全な状態で周囲の風景に目を移す。
(;`・ω・´)「え……?」
――そこにはある種、予想し得ない光景が広がっていた。
―終―
141 名前:(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです[] 投稿日:2007/03/23(金) 16:07:30.38 ID:krtyDMp00
終わりというか続くというか
劣化版『空を行く』というか『クーダンス』というか
とりあえず以上です
ブーンが戦い、クーが護るようですの外伝その2でした
魔法世界編は、ちょっと重大なミスを発見したので本編補完すると思います
さて、徹夜で仕上げた故にあまり見直していないので妙な部分がチラホラオワタ
とりあえず、次回の抗護に繋がります
ギリギリ間に合ってよかった
戦闘機って難しいね
マクロスプラスくらいしか知らないのに、よくもまぁ無謀なことを
最後に
某スレありがとう 本当にありがとう
ではでは
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1174627044/