( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´・ω・`)しょぼんたちは世界の果てに現れたようです 第1話 世界の果てにある世界〜

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10 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:35:09.05 ID:GFhh7KW30
第1話 世界の果てにある世界

きっかけは、些末すぎたからかよく覚えていない。
何せ、意識を失ったあたりの記憶がまるっきり欠落してしまってるのだ。
ただ一つ言えるのはここが見たこともない場所だということ。

どこかの田舎町だろう。
最近舗装されたらしいアスファルトの上に、僕としぃは立っていた。

(´・ω・`)「……ここ、どこ?」
(*゚ー゚)「さあね」

しぃの返事はなんとも頼りなかった。
とりあえず見回してみる。

木造が家がちらほら見えて、あとは山林ばかりが限りなく広がっていた。
山々に囲まれた辺境……か。

(*゚ー゚)「綺麗な場所だよね。なんというか、ナチュラル?」
(´・ω・`)「……」

しぃの環境適応能力は尊敬に値すると思う。
普通、こんな場所に放り出されたら誰だって混乱してしまうだろうに。
とはいえ、僕の心もなぜか平静だ。


11 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:35:52.81 ID:GFhh7KW30
そこに、二人の男が向こうから歩いてくるのが見えた。
一人は百姓姿で、クワを肩に担いでいる。もう一人は両手に稲穂らしきものを抱えていた。

(*゚ー゚)「あの!」
( ´_ゝ`)「なんだ?」
(*゚ー゚)「ここ、どこですか?」
( ´_ゝ`)「ここか。ここは……」
(´< _` )「世界の果てだよ」

稲穂の男が妙なことを言い出した。
しぃの目が点になる。

( ´_ゝ`)「違う。ここは世界の縮図だ」
(´< _` )「兄者、世界の果てだと何度言ったら……」
( ´_ゝ`)「お前こそ、ここは世界の縮図だと何度言ったら!」
(´< _` )「おk、兄者、時に落ち着け」
(*゚ー゚)「あ、も、もういいです。ええと……ありがとうございました!」

勝手に喧嘩を始めた二人に、しぃは慌てて礼を言った。
二人は互いににらみ合いながら、彼方へと歩き去っていく。
それを見届けたあと、しぃは僕に告げた。

(*゚ー゚)「世界の果てだって」
(´・ω・`)「世界の縮図とも言ってたね」

とても百姓に似合わない言葉だ……といえば、ちょっと失礼かな。
それにしても聞き慣れない単語だ。


12 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:36:39.71 ID:GFhh7KW30

(*゚ー゚)「……どうしよっか」
(´・ω・`)「うーん。とにかく警察にでも行こうよ」
(*゚ー゚)「どうして?」
(´・ω・`)「え。だって僕たち、迷子みたいなのになってるじゃないか」

迷子っていうほど、単純なものでもないような気がする……なんとなく。
そのとき。
静かなエンジン音と共に、一台の車が近づいてきた。

(*゚ー゚)「あ、タクシーだ」

オレンジ色の車体。
てっぺんには菱形の小さなオブジェクトが取り付けられていて……まさにタクシーである。
それはゆるゆると減速を始めて……やがて、僕らの前に停車した。
一陣の風が吹いて、しぃのセーラー服のスカートがなびく。

(*゚ー゚)「乗ればいいのかな?」

そんなことをいうしぃの目は好奇心で輝いている。
と、音もなく車窓が開き、中から男が顔を出した。


13 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:37:14.89 ID:GFhh7KW30

/ ,' 3「しぃさんと、しょぼん君だね?」
(*゚ー゚)「はい!」
(´・ω・`)「は、はい」
/ ,' 3「あなたたちをお連れするよう頼まれている。さあ、乗ってください」

声と共に、後部ドアが開いた。

/ ,' 3「さあ、どうぞ」
(*゚ー゚)「じゃ、お先にしつれ……」
(´・ω・`)「ちょ、ちょっとちょっと!」
(*゚ー゚)「どしたの?」
(´・ω・`)「いや、ええと。展開が早すぎない?」

正直、全然話について行けないし。
なんでしぃが平然と乗り込もうとしているのかわからないし。

(´・ω・`)「そんなに簡単に信用してもいいの?」
(*゚ー゚)「……ははは、しょぼんくんは疑い深いなあ」

いやいや、普通普通。多分普通。

(*゚ー゚)「大丈夫だよ。ほら、行こう!」

そんな感じで。
僕は半強制的に車に乗り込ませられた。
ドアが閉まり、タクシーは走り出す。


14 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:38:07.81 ID:GFhh7KW30

(*゚ー゚)「運転手さん」
/ ,' 3「はい?」
(*゚ー゚)「ここ、どこ?」
/ ,' 3「……世界の果て、という人もいれば世界の縮図という人もいますね」
(*゚ー゚)「うん、さっき聞いた」
/ ,' 3「私のような一介の運転手にわかるはずもありません。
    これから行くところにいる人がもしや知っているかもしれませんが」

一連の会話を聞いて僕は考える。
ここの人たちは、自分たちがどこに住んでいるかも知らずに暮らしているというのか。
じゃあ、そんなところにひょっこり現れた僕らは何者なんだろう。

(*゚ー゚)「なんか難しいこと考えてるでしょ」
(´・ω・`)「しぃは不思議じゃないの? ここのこととか、自分のこと」
(*゚ー゚)「んー。不思議だよ。楽しいよね」
(´・ω・`)「……」

車は一時間ほど山道を走り、やがて市街地に出た。
驚いたのは、その規模が半端でなかったこと。
超高層ビルが建ち並び、たくさんの人が道を行き交っている。
まるで首都のように。先ほどの田舎町からはとても考えられない風景だ。

あまりにも差のある二つの町が隣接してるとは。
不思議なもんだ。タイムスリップでもした気分。


16 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:38:39.91 ID:GFhh7KW30
タクシーは建ち並ぶビルの中でも一際大きな「V.I.P.D.C」と記された
オブジェクトのあるビルの中に入った。
地下駐車場の一画に停車すると運転手は車を降り、丁寧にもドアを開けてくれた。

/ ,' 3「あちらのエレベーターから一階に上がり、ロビーにある受付に行ってください」
(*゚ー゚)「はーい。あ、あなたの名前は?」

聞かれた運転手は少し意外そうな顔をした。

/ ,' 3「私の、ですか?」
(*゚ー゚)「うん!」
/ ,' 3「……私は、荒巻といいます」
(*゚ー゚)「ん、荒巻さんね。覚えとくよー」
/ ,' 3「ありがとうございます」
(*゚ー゚)「それじゃあ、荒巻さん。またねー!」

運転手……じゃなくて、荒巻さんはホテルマンみたいに優雅なお辞儀をしてみせた。
困ったな。僕が口を挟むスキはないようだ。
ま、その方が楽で良いけど。


17 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:39:16.49 ID:GFhh7KW30
やたらと豪華なエレベーターに乗り込み一階へ向かう。

(´・ω・`)「ここ、東京かな?」
(*゚ー゚)「どうして?」
(´・ω・`)「東京だったら、どうにかすれば帰れるかもしれない」
(*゚ー゚)「……もー、そーいう小難しい話はしちゃだめだって! 楽しまないと」

いやいや。別に難しくもないし。あまり楽しめないし。
大体、しぃは帰りたくないのかな? 家に。
彼女の場合、楽しければ何でも良いのかな。

受付のお姉さんは僕らを笑顔で迎えてくれ、そして十二階に向かうよう教えてくれた。
さっきの駐車場でも感じたことだけれど、ここには人がほとんどいない。
このエレベーターにも僕としぃしか乗ってないし。
ここはどこかの企業かな。それとも、公的機関?

そんなことを考えているうち、エレベーターは静かに十二階に滑り込んだ。

川 ゚ -゚)「お待ちしていました」

開かれたドアの向こうに、一人の女性が立っていた。
いかにも秘書っぽい風貌。めがねとか似合いそう。

川 ゚ -゚)「どうぞこちらへ」

そういって、高い靴音をたてながら秘書さんは僕らを先導する。
黙ったままついて行くと、そこに大きな扉があった。

秘書さんが扉を開くその先に。
電脳世界が広がっていた。


18 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:40:04.73 ID:GFhh7KW30
まず目についたのが巨大なスクリーン。
それはいくつにも分割され、監視カメラらしきものを通した様々な場所の映像が映し出されていた。
しぃが「おー」とか妙な声をあげている。
その他にもコンピュターとか、飛行機のコックピットにありそうな装置とか。

そしてその中に一つの回転式のイスがあり。
そこに、一人の男が座っていた。

( ・∀・)「お待ちしていましたよ」

若年……とはいえ、高校生である僕らよりは年上だろう。
でもそれなりに若い。多分。二十代前半じゃないだろうか。

( ・∀・)「私はモララーといいます」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「いきなりのことで、さぞ驚かれていることでしょうね」

楽しげに笑うモララーとかいう男。気味悪いな。

(*゚ー゚)「驚いてるっていうより、楽しいですけどねー」

こっちも相当気味が悪い。

( ・∀・)「楽しんでいただければ何より……さて、少し説明しましょうか」


20 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:40:48.14 ID:GFhh7KW30

( ・∀・)「まぁ大抵のことはそこのスクリーンを見ていただければ
      理解していただけると思うのですがね」

言われたとおり、僕らはスクリーンを凝視する。
道路を人が行き交う映像……これはまぁ、普通か。
畑を耕す人の映像……あれ、これってさっき会ったクワと稲穂の人じゃないか?
あ、こっちの映像では誰かと誰かが喧嘩してる……場所は路地裏っぽいな。

(´・ω・`)「いろんな所にカメラしかけてるんですね」
(*゚ー゚)「お、牛だ……ふむふむ、ホルスタインかな?」
( ・∀・)「わかりますかね?」

( ・∀・)「ここには地球にあるあらゆる景色が映し出されています……
     しかし、この映像自体は地球のものではない」
(*゚ー゚)「へ?」
( ・∀・)「この世界にはあなた方が住んでいた地球のありとあらゆる環境が
     地区ごとに再現されています。たとえばここは都市地区。
      あなたがたが出現したのは田舎地区……というようにね。まぁ全て俗称ですが」

(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「ここが世界の縮図といわれる由縁でもありますね」
(´・ω・`)「なぜこんな世界が存在してるんですか?」
( ・∀・)「さて、なんででしょうね」

ひょうきんな素振りをするモララー……さん。
僕は改めてモニターを眺めた。
さっきの喧嘩に軍配が上がったようだ。一人が、もう一人に唾を吐いて立ち去っていく。


21 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:41:51.59 ID:GFhh7KW30

( ・∀・)「存在の理由など知りません。それは地球も同じでしょう? 
      大切なのは私たちがそこに住んでいるということです」
(´・ω・`)「じゃ、じゃあ僕らはなぜここに……!」
( ・∀・)「さあ、そこです。基本的にこの世界では人口は増減しないはずなのですが」
(*゚ー゚)「え、子供が産まれたりとかしないの?」

( ・∀・)「そのあたりのことは、おいおい知ることとなるでしょう。
     ともかくあなたがたがイレギュラーな存在であることは確かです」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「一つ考えられるのは時空移動ですね……
      何らかの原因により、あなた方はこちらの世界に迷い込んできてしまった。
      違いますか?」
(´・ω・`)「……そういわれても、ここに来たあたりの記憶はさっぱり消えてるから……」
( ・∀・)「それは残念」

(*゚ー゚)「ん? ちょっと待ってよ」

どこか名探偵風なしぃ。
顎に手をあてて、何かを考え込んでいる。

(*゚ー゚)「なんであなたは私たちの世界のことを知ってるの? 
     私たちはこっちの世界のことを知らなかったのに」
( ・∀・)「……ふむ」

モララーさんがまた笑顔を浮かべた。
たださっきとはちょっと違い、人を嘲る卑屈な笑顔だ。見てて、ちょっと気持ち悪い。


22 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:42:27.49 ID:GFhh7KW30

( ・∀・)「……この世界を、誰かが世界の果てと表現していませんでしたか?」
(*゚ー゚)「ああ。そういえば」
( ・∀・)「つまりそういうことです。中心をいるものは果てを知らない。
     しかし果てにいるものは中心を知っているのですよ……嫉妬の念を覚えつつ、ね」
(´・ω・`)「嫉妬って……」
( ・∀・)「話は終わりです。クー」
川 ゚ -゚)「はい」

後ろからの声に僕は身震いした。
この人、さっきからずっと背後にいたのか。

( ・∀・)「この人を件の場所に」


川 ゚ -゚)「了解しました……さあ、こちらへ」


(´・ω・`)「ま、待ってください! 僕らは元の世界に帰れるんですか?」


( ・∀・)「……さっきも言いましたが、あなたたちはイレギュラーな存在だ。
      善処しますが、帰れる可能性は僅少と考えて貰って間違いないでしょう」

(´・ω・`)「そんな……」


23 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:43:26.07 ID:GFhh7KW30
とりあえず、絶望を再確認することが出来た。
なんというか、今まで帰るとか口には出しても本気で考えてなかったんだろう。
でも、ああもはっきりと「帰れない」と告げられてしまえば、逆にホームシックになってしまった。
……さて、どうしたらいいんだろう。どうしようもないのかな。

川 ゚ -゚)「こちらにお乗りください」
(*゚ー゚)「あ、荒巻さん!」
/ ,' 3「……どうも」

連れてこられたのは地下駐車場。
そこにはさっきと同じタクシーと、さっきと同じ荒巻さんが待機していた。

(´・ω・`)「これからどこに向かうんですか?」
川 ゚ -゚)「……あなたたちのための住居です」
(*゚ー゚)「うーん、手回しいいねー」

そんなしぃの、感嘆のつぶやきを皮肉と受け取ったのか。
クーさんは顔を背けて冷たく言った。

川 ゚ -゚)「お乗りください」


24 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:44:37.11 ID:GFhh7KW30

川 ゚ -゚)「ここの708号室です」

タクシーに揺られ30分。
着いた場所には高層マンションがそびえていた。
ちょっと豪華っぽいな、外見的に。
タクシーから降りてマンションに歩いて入るとき、しぃは何度も荒巻に手を振っていた。
……そういえばタクシーの中でも結構しゃべっていたなあ。
もしかして懐いた……いや、猫じゃあるまいし。

部屋の前で、クーさんから鍵が手渡された。

川 ゚ -゚)「……あまり外を出歩かないようにしてください。
      必要なものは全て部屋に用意してあります。食料は毎日配給しますので」 (´・ω・`)「はあ」
川 ゚ -゚)「行動が全てカメラによって監視されていることをお忘れなく。
      あなたたちの帰る方法が見つかれば、こちらから連絡しますので」 (*゚ー゚)「あの!」
川 ゚ -゚)「……はい?」
(*゚ー゚)「鉛筆とスケッチブックはありますか?」
川 ゚ -゚)「と、いいますと?」
(*゚ー゚)「絵本描きたいんですけど!」
川 ゚ -゚)「……早急に手配します」


25 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:45:31.93 ID:GFhh7KW30
刺々しい声でクーさんはそう告げると、くるりと踵を返した。
僕らは二人して立ちつくす。
そこで、重大な問題に気づいたのだ。

(´・ω・`)「えーっと、これはつまり同居しろってこと……なのかな?」
(*゚ー゚)「おお。男と女、同じ屋根の下に二人きりってやつだね」
(´・ω・`)「……」

なんで平然、というかちょっと張り切っちゃってるのかな。
僕らの関係は所詮幼馴染み以上友達未満だったはずだけど。

室内は結構広かった。具体的に言えば3LDK。
都心だし、家賃も高いんだろうなあ……とか心配してみる。
そういえばお金の心配はしなくていいのかな。自慢じゃないけど、無一文だ。

(´・ω・`)「……どうする?」

一通り見物し終えてから、僕はしぃに尋ねてみる。

(*゚ー゚)「うーん。とりあえずスケッチブックと鉛筆が届くまで待っとく」
(´・ω・`)「何かいいアイデアでも?」
(*゚ー゚)「まーねー」


26 名前:友達と初詣[] 投稿日:2006/12/27(水) 23:46:28.79 ID:GFhh7KW30
そういうしぃの顔は信じたくないぐらい晴れやかだ。
多分僕が何を進言しても、意向を変えようとはしないだろうな。
しぃにしてみれば、こういう異世界の体験は貴重で、手放したくないものなのかも知れない。
僕は一刻も早く帰りたいのだけれど。
とりあえず外には監視カメラが設置されているから、無闇に外へ行く気にもなれない。
それに出て行ったところで脱出の策があるわけでもないし。

やがてスケッチブックと食料が届いた。
クーさんが直接持ってきてくれたみたい。部下とか使わないのかな。
しぃが熱心に絵を描き始めたもんだから。
僕はその完成を、テレビを見ながら待ちつつ、やたら疲労した精神を休息させることにした。




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