( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´・ω・`)しょぼんたちは世界の果てに現れたようです 第十六話 始まり〜

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2 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:35:26.11 ID:R8XY+XOI0
第十六話 始まり

塔を降りれば柘榴への入り口はすぐそこにある。
時刻は深夜。そろそろ再構成が行われる頃だろうか。
一行は三人。僕としぃとかの女性。

螺旋階段を進んで外に出る。
目の前にそびえる大樹は、現れたときよりも少しへたっているように見えた。

(´・ω・`)「……って、閉まってる」

当然ながら、中と続く廊下への扉は閉まりきっていた。
無駄にガチャガチャやってみるが、開く気配はない。

('、`*川「あのぅ」
(´・ω・`)「はい?」

萎縮した声に振り向くと、おずおずといったかんじで女性が提案してくれる。

('、`*川「神さまなんですから……開け、とか思ったら開くんじゃないでしょうか?」
(´・ω・`)「ああ、うん。そうかもしれないですね」


3 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:35:37.23 ID:R8XY+XOI0

(´・ω・`)「あの」
('、`*川「は、はい?」
(´・ω・`)「いきなり敬語にならなくてもいいですよ」

僕はしぃみたいに言葉責めしませんから。
しかし彼女は低姿勢のままである。
困ったな、こっちも喋りにくいんだけど。
そもそも性格が変わりすぎだ。
しぃなんかを怖がらなくてもいいのに。

ともかく。
僕は扉に向けて念じてみる。
アリババのように。

するとカチン、と鍵の外れる音がした。
おそるおそるノブを回してみると……開いた。


4 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:35:58.85 ID:R8XY+XOI0
(´・ω・`)「……開いた」

思わず口に出してみる。
それはあまりにもあっけない瞬間だった。

(*゚ー゚)「これは、柘榴に呼び寄せられていると考えていいのかな?」
('、`*川「い、いいんじゃな、ないでしう……ないでしょうか」

しぃの刑事っぽいつぶやきに過剰に反応する女性。
……というか、名前も知らないんだっけ。

(´・ω・`)「……ともかく、行こう」

蛍光灯の明かりがどこまで続く長い廊下に、僕らは足を踏み入れた。


5 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:36:31.75 ID:R8XY+XOI0
この電力消費は無駄なんじゃないかと思うぐらい人がいない。
明るいのに、お化け屋敷を歩いているような感覚。
前回は何も思わなかったのだが、今回は足音や終わりの見えない光景が異常に恐ろしく思えた。
そのわりに警戒心がわき出ないのはなぜだろう。

統制に欠ける三人の足音。

(*゚ー゚)「どこに行けばいいのかな」

後続のしぃは女の人の腕にしがみついていた。
やはり、この空間が怖いのだろうか。

(´・ω・`)「多分アンドロイドのところに行けばいいと思う。
       というか、それ以外思いつかない」
(*゚ー゚)「なるほど」

('、`*川「た、多分思いつくところが答えだと思います……」

居心地悪そうな女の人のつぶやき。
そろそろ、この呼び名は変更すべきかもしれない。

よし、ヘタレさんにしよう。


6 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:37:09.53 ID:R8XY+XOI0
ここにはどれぐらいの人がいるんだろう、と考えてみる。

僕らが見たのは
トップの人……( ∵)
銃を持って警護に励む人……( ゚∀゚)
アンドロイド……(`・ω・´) こんな顔だったはず。
処分されるらしいアンドロイド……( ,'3 )
整備員みたいな人……( ´∀`)
それと、ギコさんのところに来てた人……( ><)

計六人か。
これもツンさんを入れても七人だ。

まぁ人智を超えたシステムにさほど人員は必要ないということかな。


7 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:37:38.73 ID:R8XY+XOI0
('、`*川「……柘榴はどのように私たちに接触するのでしょうか」

不意にヘタレさんがぽつり、と呟いた。

(*゚ー゚)「コンピューターに文字が浮かぶんじゃない?」
('、`*川「な、なるほど……」

いや、そうじゃない。
なんとなくだけど、そう思えた。
なぜだろう、わからない。

(´・ω・`)「誰かに乗り移るんじゃないかな」
(*゚ー゚)「乗り移るってつまり、憑依ってこと?」
(´・ω・`)「……多分」

いや、ありえないだろう。
いや、ありえるだろう。
どっちなんだ、僕の思考。

やがていつぞやの分岐点にたどりつく。
無意味に躊躇した後、僕らは左の道へ進んだ。


8 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:38:03.82 ID:R8XY+XOI0
扉を開いたとき、迂闊だったということに初めて気づいた。
そうだ、昨日ここのアンドロイドはエラーを起こしたばかりなのだ。
そこに、先生たちがいるのはある種、至極当然のこと。

部屋にいたのは五人。
ジョルジュさん、ツンさん、先生、元々ここにいた整備員みたいな人。
そしてブーンは昨日同様さまざまな機械を取り付けられて、椅子に座り込んでいた。

入室した途端、ひどく冷たい視線が刺さる。
その意味をわかっていないヘタレさんだけが更におどおどしていた。

先生がコンピュータの前から立ち上がり、ツカツカと近寄ってくる。
そして目の前に立ちふさがると、小さな声で僕に問うた。

(-_-)「何をしに? 神さま」


9 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:38:34.43 ID:R8XY+XOI0
(´・ω・`)「あ、えーっと」

テレビドラマで修羅場シーンになるとどうにも居心地が悪くなり、
つい目を背けてしまうのは僕だけだろうか。
そういう、暗く濁った雰囲気が今、眼前に広がっている。
とりあえず押し黙り先生の次の言葉を待つ。
が、先にしぃが発言した。

(*゚ー゚)「柘榴と話をしにきました」
(-_-)「? ……面白いことを言うね。
    それに、その人は誰?」
(*゚ー゚)「神さまらしいよ。四人目の」
(-_-)「ふうん」

こちらの予想していたほど先生は驚かなかった。
ツンさんたちは少し目を見開いてヘタレさんを眺めている。
ヘタレさんの挙動不審具合が増す。


10 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:38:55.19 ID:R8XY+XOI0
(-_-)「それにしても柘榴と話……ね。どうやって?」
(*゚ー゚)「どうやって?」
(´・ω・`)「いや、わからないよ」

とりあえず検討すべきはその方法か。
ここからは、電子的な接触は可能でも直接対話なんて無理難題だろうし。
でもヘタレさんが言ってたように、柘榴に話をする意志があるなら
僕らの推測が答えのはずなんだけど。

(-_-)「うーん、モナー」
( ´∀`)「は、はいモナ」

呼ばれた整備員は機械を操る手を止め、先生に向かって振り返る。

(-_-)「ビコーズを叩き起こしてきて」
( ´∀`)「え」
(-_-)「ほら、早く」
( ´∀`)「わ、わかりましたモナ!」

雑用扱いされるモナーさん。
僕らの脇から廊下を駆けていく。


11 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:40:04.47 ID:R8XY+XOI0

(´・ω・`)「……協力してくれるんですか」
(-_-)「興味があるよね。非科学的だし、ただそれだけ。
    で、どう? 救済の目処はたったの?」
(´・ω・`)「……それを模索するために来たんです」
(-_-)「なるほど」

我ながら、上手く答えられたと思う。
ありがちだけど。

そのうち、モナーさんが目をこすっているビコーズさんを連れて来た。

( ∵)「なかなか非常識な時間ですね。またアンドロイドに不具合が……っと」

台詞の途中で僕らに気づいたようだ。
言葉を切り、先生の言を待つビコーズさん。

(-_-)「この神さまたち、柘榴と会話したいそうだよ」


12 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:40:19.58 ID:R8XY+XOI0
( ∵)「……はあ」

真意を読み取れないからか、曖昧な返事をする。

(-_-)「多分、柘榴に何らかの生命的な要素を見いだしたんじゃないかな」
( ∵)「よく意味がわかりませんが。
    困りましたね。そのような試みは今までしたことがありません」
(-_-)「だろうね」
( ∵)「……で、どうするんです?」

(-_-)「最も成功する可能性が高く、またありがちな手段は」

先生は歩を進め、ブーンに接近する。
そして彼の肩をぽんぽんと叩いた。

(-_-)「アンドロイドを介することかな」
( ∵)「つまり?」
(-_-)「柘榴に接触の意志があるなら、の話だ。でも」


13 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:40:51.05 ID:R8XY+XOI0

ξ゚听)ξ「そんなのだめ!」
(-_-)「……とまあ、彼女が許さない」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……って、それじゃあ今こうしている間にもブーンを柘榴が乗っ取ろうとしてるかもってわけ?」
(-_-)「神さま的な理論ではね」

にらまれる僕たち。
まぁ当然か。でも、ブーンを介するなんて言い始めたのは先生じゃないか。

( ´∀`)「そろそろ再構成の時間だモナ」

その声を聞いたしぃの顔が曇る。
テキパキと装置を操作して準備を進めるモナーさん。
先生も一度会話を断ち切って再構成に専念する。


14 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:41:23.01 ID:R8XY+XOI0
( ∵)「で、なぜこのようなことを?」

のけ者扱いな僕らにビコーズさんが話しかける。

(´・ω・`)「えーっと」
(*゚ー゚)「世界を救うためですよ」

いや、違う。
しぃはそうかもしれないけど僕は違う。
今となっては、ただ単純にこの世界の真実が知りたい。
それと、僕らの真実も。
好奇心及び探求心ばかりが先行しているのである。
世界を救うということが最早脳内で不可能だと確定してしまっているようだ。

ビコーズさんはしぃの言葉に納得を見せる。

( ∵)「なるほど。神さまらしいといえば神さまらしいですね」


15 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:42:13.38 ID:R8XY+XOI0
(-_-)「それじゃ、始めようか」

いつかの憧憬が繰り返される。

「再構成プログラム開始準備……」

「準備完了……起動開始……」

細かな電子音とともに世界が再構成される。
神さまになっても、その瞬間に何も感じることが出来ない。

なぜかその瞬間、誰もが無言を貫いていた。
その直後である。



僕の視界が、急にぐらり、と揺れたのは。

何日も徹夜してしまったような状態。
生じる嘔吐欲。崩れる膝。
強制的に眠りにつかされるような……。
そして。
僕は声を聞いた。


16 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:42:48.46 ID:R8XY+XOI0
「これ以上は君に見せない」

(´・ω・`)「どういう……こと」

「君は今までに何を見た?」

(´・ω・`)「何をって……」

「この世界を見た。そして動いた」

(´・ω・`)「誰だよ!」

「私は君の思考の中に巧みに侵入した」

(´・ω・`)「……柘榴、なのか?」

「人はそう呼ぶ。ともかく、君にこれ以上世界を見せつけるのは忍びない」

(´・ω・`)「どういうことだよ!」

「まだ間に合う。君だけでも元の世界に帰るんだ」


17 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:43:33.82 ID:R8XY+XOI0
(´・ω・`)「意味が……わからない」

「わからなくてもいい。ともかく、君の意識をこの世界から強制的に切り離す」

(´・ω・`)「ま、待ってよ! まだしぃが……しぃが!」

「……君は何も知らない」

(´・ω・`)「え……?」

「ここから始まる運命は君にとっては過酷すぎるものだ。君程度の精神で耐えられることではない」

(´・ω・`)「……」

「この世界のエンディングを教えてやる。そうすればお前は満足するか?」

(´・ω・`)「納得できないな! 僕はしぃと一緒に帰りたいんだ!」

「……それが君の率直な感情か。だからあの夢も……
 だがそれは拒否する。君は何も知らない。そして知らなくてもいいのだ。
 この世界を夢と捉えろ」

(´・ω・`)「無茶だよ!」


18 名前:女峰[] 投稿日:2007/01/07(日) 11:44:13.22 ID:R8XY+XOI0
「……まぁいい。しばらくこの身体を借りる」

(´・ω・`)「待ってよ!」

「そろそろこの非物理会話は限界だ。
 元の世界で元のような生活をしろ」

(´・ω・`)「待て!」

半狂乱になって叫ぶ僕。
なぜか、久しぶりに直接的な言葉を吐露できたような気がした。
何かから解放されたような感覚。

瞬間、僕は身体から何かが消えていくのを感じた。
そして同時に、意識が閉じる。

まだ叫びたいことはあるのに。
暗闇の世界に、僕はしばらく身をおいた。


22 名前:とよのか[] 投稿日:2007/01/07(日) 12:20:13.94 ID:R8XY+XOI0
エピローグ一 Untitled

目覚めた僕がどこにいたか。
それはあまりにも唐突で驚愕する事実だった。

J( 'ー`)し「しょぼん!」

至近距離から。、久々に聞く母親の声。
視界の先には白い天井。
そんな空間で、僕はベッドに横たわっていた。

ここは、どこだ?
母親がいると言うことは、元の世界なのか?
いやでも、僕はなぜここにいる?

その時、僕は近くで何やら作業をしている白衣の女性を発見した。
ここは、病院?
そういえば、やけに右腕が痛い。
っていうか、動かせない。

何もわからないままだった。
母親は僕の傍で涙を流しているようだ。


23 名前:とよのか[] 投稿日:2007/01/07(日) 12:20:41.91 ID:R8XY+XOI0
しばらくすると、扉の開く音が聞こえた。

ミ,,゚Д゚彡「……気がつきましたか」
J( 'ー`)し「先生!」
ミ,,゚Д゚彡「命に別状はありませんから、すぐに回復すると思いますよ。
      幸い、傷もそれほど深くない」
J( 'ー`)し「……ありがとうございます」

なんだ?
何が起きた?
柘榴は、柘榴はどうなった?

ミ,,゚Д゚彡「警察の方がお見えになっていますが……まだ待ってもらいましょうか」
J( 'ー`)し「そうしてください」

そんな会話は僕の耳に半分ほども入っていなかった。
ただ、警察というワード……


24 名前:とよのか[] 投稿日:2007/01/07(日) 12:21:05.50 ID:R8XY+XOI0
J( 'ー`)し「しょぼん……」
(´・ω・`)「母さん、どういうこと?」
J( 'ー`)し「覚えてないのかい?」

医者みたいな人も看護婦さんも出て行って。
この病室には僕と母親しかいない。
とにかく疑問を解決させたい。
でも、母親が答えてくれるとも思えない。

J( 'ー`)し「……よく聞いてね」
(´・ω・`)「え……」
J( 'ー`)し「しょぼんはね、さっき救急車でここに運ばれたの。
      包丁で腕を刺されてね……」
(´・ω・`)「だ、誰に?」


25 名前:とよのか[] 投稿日:2007/01/07(日) 12:21:17.51 ID:R8XY+XOI0
その質問はしてはいけなかった。
いや、せざるをえなかったのだから仕方がない。
だが、どうしても。
その答えは聞きたくなかった。

J( 'ー`)し「……しぃちゃん」
(´・ω・`)「え……」

聞き間違いなどではない。
今母親は確かに「しぃ」と呟いた。

(´・ω・`)「しぃって……どういうこと」
J( 'ー`)し「さあ……でも」

母親による爆弾の投下は続く。
状況もわからぬまま僕は燃え尽きそうになる。


26 名前:とよのか[] 投稿日:2007/01/07(日) 12:21:53.71 ID:R8XY+XOI0
J( 'ー`)し「しぃちゃん、あんたを刺したあと亡くなったって」

母親の表情は苦渋を前面に押し出していた。
僕はベッドから起き上がることもできずにひたすら母親の言葉に打ち拉がれる。

(´・ω・`)「亡くなったってどういうことだよ! しぃは、しぃは!」
J( 'ー`)し「聞いた話だからわからない。でも、自分で自分を……」
(´・ω・`)「そんなわけないよ!」

僕は絶叫する。
そんな言葉を信じると思っているのか。
最低の冗談だ。

J( 'ー`)し「お願いだから落ち着いて……」
(´・ω・`)「落ち着けるわけ無いだろ!」

まるで駄々っ子だと思った。
でも仕方がないだろう。
信じてなどいない。
そのはずなのに。


27 名前:とよのか[] 投稿日:2007/01/07(日) 12:22:58.33 ID:R8XY+XOI0
柘榴は言った。
「これからの運命は過酷すぎる」と。
でも……何も知らぬまま僕はこっちに戻ってきてしまったというのか。

あっちの世界はどうなった。
結局僕はエンディングを教えてもらっていない。
そして戻ってきたらこの仕打ちか。

ひどいな、ひどすぎる。

なんだろう。この脱力感。
向こうで頑張ってきたことはすべて無駄になってしまったということか。

もういい。
何もわからない。何も知ることができない。
眠ろう。
夢を見たくなってきた。

……しぃに、会いたいな。

・・・

・・






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