( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´・ω・`)しょぼんたちは世界の果てに現れたようです 最終話 生活〜

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61 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:18:49.26 ID:12qG+Fmf0
第二十一話 生活

電脳空間で私が見たものは、胸を撃ち抜かれて地面に伏している秘書だった。
ペニサスが小さく悲鳴をあげる。
私はしゃがみこんで、彼女を観察した。
血の一滴すらも漏出していない。
胸から、細かな機械部品が飛び出ていた。
やはりアンドロイドだったか。

('、`*川「そ、その人……」

ペニサスの震えた声に、私はゆっくりと首を振って立ち上がる。
そして彼女に「行こう」と促した。
ここから先の空間を彼女は知らない。
そして私は、直感的に最上階に彼女たちがいると感じていた。


62 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:19:04.71 ID:12qG+Fmf0
無闇に面倒な乗り継ぎを経て私たちは最上階へ到達した。
敗北を覚悟してみる都市地区の光景はひと味違う者だった。
下を見下ろすと、前回は蠢く人間ばかりが目に付いた。
しかし今は違う。
ただアスファルトの敷かれた地面と、そこに漂う空気の渦巻きが見て取れた。

やがてたどり着いた鉄扉の前で立ち止まる。
不意に、あの頭痛が蘇った。

('、`*川「こ、ここにしぃさんはいるんですか?」
(´・ω・`)「……ああ」

確信もなく私は頷いた。

('、`*川「……」

私はこの扉を開くことを躊躇っていた。
単純に、再び頭痛に苛まれるのが怖いのだ。
だが、私がそうするまでもなく扉は、内側から開かれた。


63 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:19:53.81 ID:12qG+Fmf0
( ・∀・)「……来ると思ってましたよ」

中から予想通りの二人が現れた。
しぃは、モララーの背中に隠れるようにしている。

( ・∀・)「今、ちょうど二代目柘榴への仕立て上げが終了しましてね」
(´・ω・`)「ああ」
( ・∀・)「その様子だと……いろいろ、諦めましたか?」
(´・ω・`)「そうだな」

私は素っ気なく言った。
今更面と向かって敗北宣言などできようものか。
先ほど、ここを出るときは意気揚々と宣戦布告したというのに。

( ・∀・)「しかし、心変わりの早い人ですね」
(´・ω・`)「……これ以上担わせるつもりもないが、
       彼女のおかげだ」
( ・∀・)「彼女のせい、の間違いではないですか?」
(´・ω・`)「……ああ」


64 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:20:17.82 ID:12qG+Fmf0
しぃは何も口に出さなかった。
それでいい。これ以上、彼女に対する怒りを燃やしたくない。

(´・ω・`)「これからどうする?」
( ・∀・)「あなたの本体の所まで行きましょう」
(´・ω・`)「……そうか」

そこで彼女が柘榴となれば、私は解放されるというわけか。
私自身はどうなるのだろう。
そのまま消失するのか、或いは何らかの形で存在し続けるのか。
まぁ、どちらでもいいか。
私自身が命を投じればいいわけなのだから。

( ・∀・)「それでは行きましょう」
(´・ω・`)「待ってくれ」
( ・∀・)「はい?」
(´・ω・`)「私は、ここからワープすることがおそらくできない」
( ・∀・)「……そうでしたね」


65 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:20:59.61 ID:12qG+Fmf0
思えば、再構成が停止していたときにモララーがV.I.P.D.C.から
柘榴に来れたのも、ここからワープしたためだろう。
その時なぜその事実に気づかなかったのかは、詮索することもバカバカしい。

(´・ω・`)「……一つ、聞こうか」
( ・∀・)「なんでしょうかね?」
(´・ω・`)「なぜ、クーを殺した?」
( ・∀・)「……なんでしょう。私自身の優しさの賜、かもしれませんね」

( ・∀・)「彼女に世界の終わりを見せるのはどうしても憚られた……ただそれだけです。
     だれだって、終わりなど見たくないでしょうからね」
(´・ω・`)「……私の見る限り、彼女はお前に従順だったが」
( ・∀・)「彼女も意思を持っているはずなのですがね。
     誰のせいであんなに機械的になってしまったのやら」

お前のせいだろう、と言うとモララーはただ苦笑した。


66 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:22:26.85 ID:12qG+Fmf0
そのまま私たちは柘榴に飛ぶ。
しかし、私とペニサスは一度V.I.P.D.C.を出なければならなかった。
途中にあるクーの亡骸の前で、ペニサスが静かに手を合わせていた。
しぃは私たちについてこなかった。
彼女はもうすでに、私よりも優位に立ったのだろうか。

一つ、最上階に潜むこの世界の頭脳とやらに聞き忘れていたことがあった。
モララーなどでいいのか。
世界を支配する者が、あれほどのエゴイストでいいのかと。

しかし、考えてみればあれはまだマシなほうなのかもしれない。
そのうえ、私も彼と同等か、それ以上に利己的なことをやってきた。
ゆえにとやかく言う資格がない。
敗北はすなわち、天罰なのかもしれなかった。
とすると、やはり私は神でない。


67 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:23:14.70 ID:12qG+Fmf0
( ∵)「……唐突なことを言いますね」
( ・∀・)「神がこの世界を捨てると決断したんですよ。
     救いようがない、と」
( ∵)「……」

狡猾な嘘だ。
だがしぃは否定しなかった。
モララーにここでのことを言い聞かされていたのだろう。
私にも否定するつもりはない。
ビコーズはしばらく私たちを見つめ、溜息をついた。

( ∵)「神の思し召しならば仕方ありませんね。
    この世界はもうすでに末期でしたか」
( ・∀・)「そのようで」


68 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:23:35.83 ID:12qG+Fmf0
( ∵)「……昔話も、信じない方がよさそうですね」
( ・∀・)「二人の神が必ずしもこの世界を救うとは記されていませんでしたよ。
     なんなら一節書き加えますか?」
( ∵)「いえ、結構」

ビコーズはそのまま、部屋を出ようとした。

( ・∀・)「どこに?」
( ∵)「……いえ、どこに行くというわけでもありませんが、
   最後に地上の光でも浴びておこうかと思いまして」
( ・∀・)「その程度の時間はあると思いますから、ご自由に」

モララーがそういうと、ビコーズは肩をすくめて部屋を出て行った。

( ・∀・)「さて、始めましょうか」
('、`*川「……」
(*゚ー゚)「……」
(´・ω・`)「どこに行くんだ?」
( ・∀・)「あなたの本体に、一番近しい場所ですよ」


69 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:25:12.36 ID:12qG+Fmf0
モララーは長い廊下を進む。
途中、目立たぬ扉を抜けた。
ペニサスは泣きそうになっている。
しぃは無表情。私と同様だ。

(´・ω・`)「……しぃ」
(*゚ー゚)「何?」

無駄だと思いつつ、聞いてみる。

(´・ω・`)「あの男になんと言いくるめられた?」
(*゚ー゚)「……別に、何も」

そう吐き捨ててしぃは私を追い越し、先に行ってしまった。

('、`*川「……」
(´・ω・`)「お前は、ついてくるのか?」

後から来たペニサスに問う。
彼女は、すでに天涯孤独の身だ。
自らの感情が存分に発揮されている今となってはその感情が殊更大きくなっていることだろう。
この場所に心の拠を見いだしたのだろうか。

結局、何も答えてくれなかった。


74 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:32:34.54 ID:12qG+Fmf0
エピローグ二 example...

そこは、ちょうどアンドロイドが座る部屋と同じようなつくりがされていた。
同じように機械が並び、同じように椅子が設置されていた。
そこに座る何かを見て、私は目を見開いてしまった。

それはミイラだった。
すでに朽ち果て、男か女かもわからぬ焦げ茶色の人体だった。

( ・∀・)「これが、誰だかわかりますが?」

その問いが私に向けられていると気づくまで少し時間がかかった。

( ・∀・)「これは、人間時代のあなたですよ」
(´・ω・`)「……」

そうか、これが。
妙な既視感はそのためなのだろう。
自然と、両の目から涙が溢れた。
なぜかはわからない。
機械となって二百年、泣くことなど忘れていたはずなのに。


75 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 23:33:10.40 ID:12qG+Fmf0
( ・∀・)「この身体ももう用済みですね……よし」

そういうと、そのミイラは跡形もなく消失した。
瞬間、私は心に穴が空いたような感触を覚えた。

( ・∀・)「さあ、あそこへ」
(*゚ー゚)「……」

躊躇いもなく彼女はその場へ向かう。
その途中、振り返って私を見上げた。

(*゚ー゚)「一つだけ、お願いしてもいい?」

私の答えを聞かず、彼女は言葉を続ける。

(*゚ー゚)「スケッチブック……しょぼんくんに見せてあげて」

そういえば、塔に置いたままだ。


76 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 23:34:25.70 ID:12qG+Fmf0
私が静かに念じると、スケッチブックは私の手元に落ちてきた。
あえて中は見ない。
続いて、それを向こうの世界へ送るよう念じる。
願わくば、しょぼんの元へ届くように。

(´・ω・`)「……届くかどうか、確証は持たない」
(*゚ー゚)「ありがとう」

そうして彼女は椅子に座る。
ペニサスは手で目を覆っていた。
私はその瞬間を見届けるつもりだった。

( ・∀・)「さあ」

モララーのかけ声と共に、世界が歪んだ気がした。


77 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 23:34:59.22 ID:12qG+Fmf0
瞬間、私は奇妙な解放を感じていた。
身体がなくなり、世界もなくなる。
ペニサスもモララーも、何もかもが彼方へ消えた。

そして私は。
静かに目を閉じることにした。
これからどうなるのか、それはしぃが決めることなのかもしれない。
だとしても、私は無駄な足掻きをしてみよう。

この世界の終焉と共に。
私自身も終わりを迎えますように、と。

初めて、私は神に祈ることとした。

・・・

・・




81 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:41:23.84 ID:12qG+Fmf0
エピローグ三 新世界について(記録者:ツン)

( ^ω^)「都市地区に行くお!」
ξ゚听)ξ「突然何言い出すのよ!」

神さまが代わったことは、私たちにとって正直関係のないことだった。
私はただ平穏を願っていたから。
ブーンと共に幸せな生活を送ることができれば、それだけで満足だった。

でもあの朝、起き上がった私に突然ブーンは叫んだ。

都市地区に行く。
行かなければならない、と。

私は何より、これ以上喧噪に巻き込まれるのがいやだった。
だからブーンを止めた。
ブーンは渋面で、それでも納得してくれた。


82 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:41:39.79 ID:12qG+Fmf0
それから数時間経った頃だと思う。
私は睡眠が足りていなかったから、二度寝に没頭していた。
場所はヒッキー先生の仕事場……第八倉庫。
先生は自宅を持っていてそこを寝床にしているからまだ来てなかった。
私はブーンを隠す意味もあって、倉庫で留守番していたのだ。

唐突に、ブーンが私を起こした。

( ^ω^)「ツン、ツン!」
ξ゚听)ξ「ん……どうしたの」

寝ぼけ眼の私の手をブーンが強く握りしめた。

( ^ω^)「……今まで、ありがとうだお」
ξ゚听)ξ「何よ、いきなり」

寝起きと言うこともあり、私はかなり不機嫌だった。


83 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:42:55.02 ID:12qG+Fmf0
( ^ω^)「この世界は、終わっちゃうお」
ξ゚听)ξ「はぁ?」

突然の申し出に、夢見半分の頭は上手く稼働しなかった。

( ^ω^)「僕にはわかるんだお。
       僕たちアンドロイドには……わかっちゃうんだお」
ξ゚听)ξ「何、バカなこと言ってるのよ。
      いい? 私たちはこれから普通の生活をするの!
      もう、騒ぎになんて巻き込まれたくないし、あんたを巻き込ませたくもない」
( ^ω^)「……ツン」

ブーンはかなしそうな表情をした。
私は何か腹立たしくなって、ブーンの追及を振り払ってもう一度眠ってやろうと思った。
瞬間、世界が轟いた。


84 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:43:47.51 ID:12qG+Fmf0
なぜかその瞬間、私は深い眠りに落ちてしまっていた。
そして起きたとき、
そこにブーンはいなかった。

ξ゚听)ξ「ブーン……?」

よく見ると、散らばっていた様々な機械も無くなっていた。
ただ何もない倉庫に、私は眠っていたことになる。

外に出ると、妙に騒がしい音が聞こえた。
それは、トラックの排気音だった。
その時、誰かが私を呼んだ。

(-_-)「……ツン」

先生だ。


85 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:45:17.44 ID:12qG+Fmf0
ξ゚听)ξ「先生、ブーンが!」

混乱する私を制して、先生はゆっくりと呟いた。

(-_-)「ツン。世界が終わったよ」
ξ゚听)ξ「え……?」
(-_-)「ここは僕らの知るテクノポリスじゃなくなったのさ」

ここをトラックが走るなんてこと、今までに無かった。

ξ゚听)ξ「どういうこと?」
(-_-)「新しく生まれ変わったのさ……アンドロイドのいない世界に」

アンドロイドが、いない。
つまり、ブーンがいない……。

答えを結びつけたと同時に、私は叫んでいた。

ξ゚听)ξ「そんなはずない! だって、神さまは世界を救うはずだったんじゃないの?」


86 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:46:28.31 ID:12qG+Fmf0
(-_-)「それが、これさ」

先生が吐き捨てる。

(-_-)「この世界……果ては、中心と同じ世界になってしまった」
ξ゚听)ξ「え……」
(-_-)「ビコーズに聞いたよ。
    世界は一度終わりを迎え、生まれ変わったんだ。
    誰かさんの思い通りにね」

それが、アンドロイドのいない……普通の世界。

(-_-)「ただし」
ξ゚听)ξ「え」
(-_-)「再構成は続けられるよ。
    深夜零時をもって、ここも再構成される。
    そうすれば僕らの立ち位置も当然変化するだろうね」

なんてことだ、と思った。
提示されたのは絶望だったのだ。
ここはテクノポリスなんかじゃなくなる……。


87 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:47:44.57 ID:12qG+Fmf0
ξ゚听)ξ「ブーンは……」
(-_-)「もう、いない」
ξ゚听)ξ「そんな……」

崩れ落ちる私の肩を先生が優しく叩いてくれた。

(-_-)「明日からは再構成の一部に組み込まれるよ。
    そうすれば絶望も哀しみもしない、ただの人間となれる。
    この世界における、正常な人間に」
ξ゚听)ξ「……」

終わった。
何かが消えてなくなった。

瞬間、先生は私を抱きしめ、そっと呟いたのだった。

(-_-)「これからは共に暮らせるよう祈ろう。
    お前は、私の大事な一人娘だ」

・・・

・・




90 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:54:27.50 ID:12qG+Fmf0
エピローグ四 言い訳(記録者 しぃ)

親が突然引っ越しすると言い出した。
仕事の関係とか、なんだとか。
私はもちろん反対した。
でも、聞き入れてくれなかった。
あの日。
いつものように母親と喧嘩していた。
すると、仕事が早く終わったといって父親が帰ってきた。
母が父に告げ口すると、父は私の頬を二度殴った。

だから殺した。
とくに後悔はしていない。
いや、嘘。
後悔はしている。
しょぼんくんにあえなくなるから。

だからしょぼんくんも殺して……私も死のうと思った。
そうすれば、ずっと一緒にいられる。
でも変な世界に来ちゃって。
私はしょぼんくんに置いていかれてしまった。
でもそれでよかった。

はず。


91 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:55:36.73 ID:12qG+Fmf0
なんだかよくわからない部屋で、あの人は私に言った。

世界を日常的なものにしてください。
アンドロイドを消してください。
再構成を継続させてください。

それだけの願いを叶えてくれれば、あとは好きに創ってくださって結構です。
意味がよくわからなかった。
でも私は頷いてしまった。
なぜだろう。
償いたかったのかもしれない。
でも……それだけじゃないかもしれない。
私がこの世界を救いたいと思ったのも。
そうすることでずっとしょぼんくんと一緒にいられると勘違いしていたからだった。

でも、今。
私は切にこの世界を想っていた。
それこそ、しょぼんくんを想うぐらいに。


92 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:55:49.29 ID:12qG+Fmf0
狂っていたんだろう。
今も狂ってるんだろう。
でもそれでいいと思ったりもする。

私は、その人の要望に沿う世界を知っている。

私は、この世界に地球を創った。
できる限り人々をそのままにして。
全世界を再構成できるようにして。

それらは、イメージするだけでいとも簡単に構成されていた。

だから私は願おうとした。
しょぼんくんのいる世界にしよう……と。


93 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:56:56.74 ID:12qG+Fmf0
でもやめた。
それは私のためにもしょぼんくんのためにもならない。

一つ、私は願った。
しょぼんくんにスケッチブックを届けてください、と。
果たして届いているのだろうか。
確認することはできない。

……それに、眠くなってきた。
これを死というなら、そうかもしれない。
もうしょぼんくんに会うことはかなわないだろう。

でも、それでいいんだ。
記憶には永遠にしょぼんくんがいる。
少し困ったような可愛い顔を私に向けてくれている。

柘榴さんの口ぶりだと、しょぼんくんはまだ生きているらしい。
よかった、本当によかった。

・・・

・・



ごめんね。


94 名前:閉鎖まであと 7日と 21時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 23:59:23.32 ID:12qG+Fmf0
エピローグ五 終わり(記録者 しょぼん)

退院後も、僕は浮遊感溢れる生活を送っていた。
いつの間にかしぃのお葬式は終わっていた。
学校に登校すると、しぃの机は撤去されてしまっていた。
友達が僕を過度に励ます。
でもそれはそれで嬉しい。

あの世界はどうなったのだろう。
考えるだけ無駄だった。
知る手がかりは何もない。
きっかけとなった公園に行ってみた。
声は聞こえなかった。

しぃに会って話を聞きたかった。
でも、彼女はもう亡くなったということになっている。
それも、両親を殺し、僕までもナイフで刺そうとして。 そして、死んだのだ。


95 名前:閉鎖まであと 7日と 20時間[sage] 投稿日:2007/01/16(火) 00:00:10.05 ID:34YV2TWz0
ある日、帰宅すると机の上にあるものが置かれているのに気づいた。

J( 'ー`)し「あんたのでしょ、それ」

言われても僕は何も答えなかった。
オレンジ色の表紙……それは間違いなく、しぃのスケッチブックだった。

慌てて手に取り、ページをめくる。

向こうの世界で見た絵がずらりと並んでいた。
可愛らしく、丸っこい字も書き込まれている。

これは、僕にとって向こうの世界が存在したことの唯一の証明なのだ。

気づくと僕は泣いていた。
ページをめくるたび、今までのことが思い出される。


97 名前:閉鎖まであと 7日と 20時間[sage] 投稿日:2007/01/16(火) 00:01:10.75 ID:34YV2TWz0
最後のページに行き着いた。

そこには描きかけの絵と、少しの言葉が殴り書きされていた。

「さようなら」

と。

……僕は思わずそのスケッチブックを放り投げそうになった。
なんだこれ、結局、僕は真実を知ることができなかったんだ。

これは最後の希望じゃなく、最後の絶望だった。

しぃはもう帰ってこないのだろう。
しぃともうあえないのだろう。

しぃが僕を殺そうとした? 両親を殺した?
今でもそんなことは信じない。

きっと何か裏があるはず……。
そう思うことさえも、虚しいのだろうか。


98 名前:閉鎖まであと 7日と 20時間[] 投稿日:2007/01/16(火) 00:02:06.36 ID:34YV2TWz0
もういいや。
僕はベッドに寝転がる。
何もかも諦めて、普通に考えることにしよう。

しぃは死んだ。
それは悲しい。
しぃは僕を襲おうとした。父親と母親を殺した。
それは許されないことだ。

でも僕は、そんな彼女が好きだった。
だからこそ、余計に悲しく、許すことができないのだ。

・・・

・・



(´・ω・`)しょぼんたちは世界の果てに現れたようです 完




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