( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´・ω・`)しょぼんたちは世界の果てに現れたようです 第五話 不協和音と二人の神様〜

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126 名前:布袋(ほてい)[] 投稿日:2006/12/29(金) 00:58:31.71 ID:SBh/PKqY0
第五話 不協和音と二人の神様

あるときね、おじいさんが罠にかかっている鶴を助けてあげたんだよ。
そしたらね、その日の夜にね、そりゃあ可愛い娘さんがおじいさんの家に訪ねてきたんだ。

娘さんはこういったの。えっと、
「雪で道に迷ってしまいました。一泊めてくださいな」って。
おじいさんは「いーよー」って言ったの。
そしたらその娘さんが
「はたをおらせてください。でも、そうしているときにのぞいちゃだめです」って。

それで娘さんは一人で部屋に閉じこもり、はたをおりはじめたの。
でもあんまり音も聞こえないからおじいさんは気になって中をのぞいちゃったんだ。
そしたらね、娘さんが死んじゃってたの!
その向こうにおばあさんが立っててね。
「次はあんたよ……」
って!
タイトルは「湯けむり温泉殺人事件」でどうかな?

(*゚ー゚)「どうかな?」
(´・ω・`)「鶴は?」

ちなみにこの話は街を歩いているときにされたものだ。
だから当然絵は見れなかった。
何の得もない……悲しい。


127 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:00:01.76 ID:SBh/PKqY0
タクシーに乗っていたときはよくわからなかったけど、歩いてみるとこの街は結構広い。
倉庫街を抜けるだけで三十分近くかかってしまった。
それから閑静な住宅街を歩き、少し賑わいを見せる場所に出た。

(-_-)「……疲れた」

ヒッキー先生はすでに満身創痍らしい。
僕もしぃも息が上がってしまっている。

(´・ω・`)「まだ、ですか?」
(-_-)「そろそろ見えてくるよ……ああ、あれだ」

主にクリーム色に塗られた外壁。
アルファベットの「W」に似た記号が描かれた旗が掲げられている少し大きめの建造物。

(´・ω・`)「ここは?」
(-_-)「ここの公的機関の一つ……まぁ、王宮みたいなモノかな」

おどけた口調先生は言う。
実際はただの市役所にしか見えない。

(-_-)「ここにはテクノポリスの主要公的機関が詰め込まれている。
    とはいえ、そもそも街の規模が大したことないからこの程度の建物なんだけど」


128 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:00:28.05 ID:SBh/PKqY0
自動ドアから中に入る。
ロビーには人がまばらに存在していた。
世間話をしている人や新聞を読んでいる人など、結構暇そうに見える。

(-_-)「僕だけど、ギコさんいる?」

ヒッキー先生が受付と会話を交わしている間、僕としぃは建物の中を観察する。
先生はテクノポリスの技術は僕らの世界より二百年も優れていると言っていたけど、
街の外観もこの施設の内装も僕らの時代とあまり変わっていない気がする。
都市地区の超高層ビルの方がある意味近未来っぽい。
全ての最新技術をアンドロイドに注いでいるからかな?

(*゚ー゚)「おー、おー……おー?」

しぃも、感動する要素を見出せなかったらしい。

(-_-)「お待たせ、面会中らしいよ」
(´・ω・`)「じゃあ待つんですか?」
(-_-)「多分大丈夫だよ、さあ行こう」


129 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:00:59.68 ID:SBh/PKqY0
先生に連れられて、僕らは建物の二階に向かった。
「環境課」とか「地域振興課」とか、それっぽい文字が並んでいる。
時折すれ違う人は必ず先生に挨拶する。
やっぱり、名の売れた人なんだな。

(*゚ー゚)「これから誰に会うんですか?」
(-_-)「ああ、この街のトップ」
(´・ω・`)「え」
(-_-)「大丈夫だよ。気さくな人だからね。それに、君たちとさほど年も変わらないし」

やがて一際豪華っぽい扉の前に立つ。
この感覚……モララーさんと出会ったときを思い出すな。
そういえば今頃都市地区では騒ぎになっているのだろうか。
なってるだろうな……やっぱり来るんじゃなかったかな……

先生が扉をノックし、少し声をはりあげた。

(-_-)「ギコさん、僕だよ!」


130 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:01:26.69 ID:SBh/PKqY0
「おーう、入れ入れ」

中から、豪快そうな声が聞こえてきた。
なんというか、西洋風。
それに重なり、何かを叫ぶような怒声が聞こえてきた。
入っちゃまずいんじゃないのかな。

でも先生はためらうことなく、

(-_-)「それじゃ、失礼」

中には二つの、対談用らしいソファと事務机。
壁にはいくつもの本棚がくっついている。
いかにも市長室、といった感じだ。

中には二人の男の人がいた。
そのうちの一人……机の向こうの椅子に座り、タバコをふかしている人が右手をあげた。


132 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:02:53.01 ID:SBh/PKqY0

( ,,゚Д゚)「よう、ヒッキー」
(-_-)「お邪魔かな? ギコ」
( ,,゚Д゚)「うんにゃ、んなこたねーよ」

でも、ギコさんの前にいる少し貧弱そうな男の人は、納得できないらしくギコさんに詰め寄っていた。

( ><)「まだ話は終わってないんです!」
( ,,゚Д゚)「うるせーなヘタレインポ、知らねーもんは知らねーんだよ」
( ><)「そんな態度でいいんですか! こ、こっちにも考えがあるんです!」
( ,,゚Д゚)「へえ、どんな?」
( ><)「僕は教えられてないからわかんないんです!」
( ,,゚Д゚)「ダメじゃねえか」

なにやら険悪なムードが漂っている。
にしてもギコさん。モララーさんと違って敬語すら使わない。
これでトップというのだから、この街の治安が少々心配になってくる。

(*゚ー゚)「ねえ、へたれってどういう意味?」
(´・ω・`)「根性なしってこと」
(*゚ー゚)「なるほど……」

インポの方はわかってるのかな。


133 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:04:01.05 ID:SBh/PKqY0

( ><)「もーいいんです! あなたと話すのは疲れたんです!」
( ,,゚Д゚)「そりゃこっちの台詞だ。癇癪持ちのクソインポ、誰かのヴァギナの中でミンチにしてやろうか」
( ><)「上層部に報告するんです! 制裁が下るのを楽しみにしておいてください!」

叫声をあげて、その男の人はくるりとギコさんに背を向け、僕らをにらみつける。
威圧感がないからか、ちっとも怖くない。
肩を怒らせ、僕らを押しのけて出て行くヘタレさん。
バタン、と勢いよく扉が閉められる。

(-_-)「今のは?」
( ,,゚Д゚)「柘榴の連中。ったく、昨日から鬱陶しい」
(-_-)「用件は?」
( ,,゚Д゚)「誰かが逃げ出したんだってよ。それでこっちに来てないかって」

……ハッとするまでもなかった。
間違いなくツンさんとブーンのことだ。

( ,,゚Д゚)「必ずここを通ってるはずだからってな。まぁ今みたいに追い返してるわけだが」
(-_-)「そう」

先生は言葉少なに頷いた。それはそうだろう、先生も事実を知っている。
それにしてもツンさんはなぜ逃げ出したりしたんだろう。
ブーンを作るため? そのためだけに逃げ出す必要なんてあるのかな。


134 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:04:36.29 ID:SBh/PKqY0
( ,,゚Д゚)「そしたら一方的にキレやがって。てめーらの内部事情なんか知るかってんだ」
(-_-)「大変だね。それに制裁とか言ってたよ?」
( ,,゚Д゚)「まぁもう一つ話があったんだが……それは後で話す。それよりも」

ギコさんはニヤリと笑って直立不動の僕らを見た。

( ,,゚Д゚)「こいつらがイレギュラーってやつか」
(-_-)「うん。えーっと……あれ、そういえば名前聞いてなかったね」

今の今まで忘れてたのか。
まぁ僕らも忘れていたけど。

(´・ω・`)「しょぼんって言います」
(*゚ー゚)「しぃです」
( ,,゚Д゚)「おうおう、俺はギコっていう。よろしくな」

そういって右手を突き出されたので黙って握手に応じる。
その気はないけど、逆らえる雰囲気ではないな。


135 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:05:18.51 ID:SBh/PKqY0
(-_-)「でさ、例のこと調べてくれた?」
( ,,゚Д゚)「てめーで調べろと言いたかったが、地位的に俺も滅多なことは言えねえ」
(-_-)「それはどうも」
( ,,゚Д゚)「だが二日じゃ調べられることにも限りがあった……これ」

そういってギコさんは引き出しの中から書類の束を取りだした。
表紙には赤文字で「極秘事項」と書かれている。
なんだか、刑事ドラマっぽいな。

受け取った先生がそれをパラパラとめくっている。

( ,,゚Д゚)「……柘榴の連中がつっかかってきたのはそのことなんだよ」
(-_-)「へえ?」
( ,,゚Д゚)「勝手に調べるなみてえなこと言ってたぜ。ただの昔話だってのに、何が気に入らねえんだか」
(-_-)「ふうん……」
( ,,゚Д゚)「……で、科学オタクのてめーがその昔話を信じるのか?」
(-_-)「もう基盤はできているだろう? 桃太郎でいえば、もう大きな桃は僕らの手元にある」

(*゚ー゚)「死んじゃってるけどね、中の子供」
(´・ω・`)「めっ!」


136 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:06:10.13 ID:SBh/PKqY0

(-_-)「……しょぼんくん」
(´・ω・`)「はい?」
(-_-)「そこのソファに座って。少し話が長くなるから」

シリアスな空気を帯びた先生の声に僕は少し身じろいだ。
しぃと共におそるおそるソファに座り、次の言葉を待つ。

(-_-)「さて、ここに一つの昔話がある」

そういって「極秘事項」の書類を見せる先生。

(-_-)「ただの昔話かもしれない。だけど、事実と合致する部分もあるんだよ」
(*゚ー゚)「どんな内容ですかー?」

絵本作家志望のしぃが早速食いつく。


137 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:07:14.07 ID:SBh/PKqY0

(-_-)「簡潔に説明しよう、こんな内容だ。
    その昔、神様は天と地と草木と動物を創造した
    そして神様はそこを世界の果てと名付けた
    動物はやがて進化を遂げ、ついには人間と呼ばれる高等生物が誕生した
    人間は嫉妬した。なぜ自分たちの世界は「果て」なのかと
    人間は神様の再降臨を願った。そして願い通り神様は果てに訪れた
    嫉妬する人間たちに、神様は長大なる文明と知識を与えたのである
    ……とまあ、こんな感じだ」

始まりは聖書みたいだったけど、後からはずいぶん違った。
ここでも「果て」とか「嫉妬」とかいう言葉が出てくるんだ。

(-_-)「……注目すべきは最後の部分。
    『嫉妬する人間たちに神様は超大な文明と知識を与えたのである』」
( ,,゚Д゚)「これを、現在の状況と一致させたいんだろ?」

二百年以上前からの文明はそういう理屈で……
いやいや待て待て。ただの昔話じゃないか。

(´・ω・`)「でもそれ、信用できるんですか?」
(-_-)「まぁただの昔話だけどね……ギコ」
( ,,゚Д゚)「ああ。この後にもう少し、続くんだよ」


138 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:07:52.51 ID:SBh/PKqY0
( ,,゚Д゚)「やがてその文明も古びてしまう。果てが混迷に包まれたとき、神は二人となって舞い戻る」
(´・ω・`)「二人……」
(-_-)「はっきり言おう。この二人……君たちのことじゃないかと思っている」

(*゚ー゚)「おー、神様かー」

楽観的な思いを漂わせているしぃを思わず殴りたくなる。
神様? 冗談じゃない。僕もしぃも一介の高校生だ。

(-_-)「突然現れたイレギュラー。可能性はなきにしもあらず、といったところかな」
(´・ω・`)「待ってください! それはあまりにも短絡的です」
(-_-)「かもしれない。でもさっきも言ったけど文明が追いついたと同時に出現……
    これはポイント高いよ」
( ,,゚Д゚)「いいじゃねえか、神様。この世界を自由に作りかえてみろよ」

ギコさんが笑い飛ばす。
反論の言葉が浮かばない。
でもそれは相手の主張が理にかなっているからじゃない。
ただ僕の頭が混乱しているだけだ。
多分


139 名前:福禄寿(ふくろくじゅ)[] 投稿日:2006/12/29(金) 01:08:14.60 ID:SBh/PKqY0
「何かわかったら教えてくれよな」というギコさんの言葉を背に受け、僕らは部屋を出た。
そのまま一階に降りて外に出る。
道路が夕焼け色に染まっていた。

僕はなんとなく無言になってしまった。
そしてあの昔話のことを考えていた。

結論はすぐにでた。
あんなもの、嘘っぱちだ。

先生やギコさんが悪いとは言わない。でもあの昔話はデタラメ。
たまたま事実と似ているだけだ。
じゃないと説明がつかない。

倉庫街にたどりついたころ、僕はもうヘトヘトになっていた。
身体的にも、精神的にも。

そして第八倉庫の扉を開けたとき、そんな疲労は吹き飛んでしまった。

(-_-)「ツン……?」

そこに、ツンさんとブーンはいなかった。




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