( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´・ω・`)しょぼんたちは世界の果てに現れたようです 第七話 静かに世界を崩してみる〜

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198 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:50:09.83 ID:SBh/PKqY0
第七話 静かに世界を崩してみる

/ ,' 3「お待ちしていました」

家を出た僕らの前に、さも当たり前のように荒巻さんが立っていた。
最早驚きもしない。耐性でも付いてしまったのだろうか。

(-_-)「これは荒巻さん。相変わらず勘が良い」

/ ,' 3「基本的に仕事に飢えている身でしてね。
    もっとも、近頃はずいぶん働いたような気もしますが
    それで、行くのでしょう? 柘榴へ」

(-_-)「うん」
/ ,' 3「彼らも?」

荒巻さんの視線が先生を飛び越え、僕らに刺さる。

(-_-)「らしいよ」
/ ,' 3「わかりました。まあ乗ってください。急いだ方がよろしいでしょうし」



199 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:50:49.17 ID:SBh/PKqY0
僕らを乗せたタクシーは夜の街道を走り抜け、
やがてメトロポリスの背にそびえる山の方へと向かう。
今回、後部座席には僕としぃ。助手席には先生が座っている。

後ろに流れる街の光を見つめながら、僕らは無言を通していた。

やがて光がなくなり、暗く狭い山道に入る。
……普通山道にも街灯ぐらいあると思うんだけど。
車が少ないから必要ないのか、普段使われないから必要ないのか。
唯一の明かりはこの車のフロントライト。
こんな状況でよく運転できるな、荒巻さん。

幽霊でも出てきそうだ。
ふとしぃを見ると、彼女はかたく目を瞑っていた。



200 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:51:19.46 ID:SBh/PKqY0

(-_-)「君たちは、向こうで何をするつもりだい?」
(´・ω・`)「も、もちろんツンさんとブーンを……」
/ ,' 3「それどころではないかもしれませんよ」
(´・ω・`)「え?」
/ ,' 3「今日行われるべき再構成がなされていない。
    この世界の大部分は再構成ありきの循環を行っているわけです」
(-_-)「ここで止めてしまえば、世界が基盤から崩壊することは十分ありえるってことさ」
/ ,' 3「もしそうなれば、一人の女性に構っている遑は無くなってしまうかも知れません」
(*゚ー゚)「違うよ!」
/ ,' 3「……はい?」
(*゚ー゚)「ブーンもだよ!」
/ ,' 3「そうですね……」

この世界の人々は今日を知っている。
昨日や明日も漠然と感じているが、知ってはいない。
別の時間に立たされたとき、ここの人がどうなってしまうのか。
想像も付かない。



201 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:51:53.34 ID:SBh/PKqY0
/ ,' 3「今は深夜だからまだ大丈夫でしょうけどね」
(-_-)「ま、どうにもならなければ最終手段を使えばいいさ」
/ ,' 3「ほう。と、いいますと?」
(-_-)「教えない。技術者の特権ですよ」

どうやら、先生には何らかの自信があるらしい。
安心して良いものか、ちょっと悩む。

ガタガタと車体が揺れ始め、僕らの身体は上下する。
どうやら、舗装されていない道に入ったらしい。
坂道を上ったり下ったり、右に曲がったり左に曲がったり。
視界がよろしくないから後部座席にいる僕は不安に包み込まれる。
しぃは時々「ひぇ」とか「わぅ」とか不明瞭な声を出しつつも、なんとか踏ん張っているようだ。
そうして時はしばらく流れ……
やがてタクシーは停まる。

/ ,' 3「ここですね」



203 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:52:24.06 ID:SBh/PKqY0
降り立った場所に空はなく、土の壁が僕らを取り囲んでいた。
どうも洞窟のようだ。
前も後ろも闇ばかり。入り口まで見渡すことが出来ない。
そんな中、古びた豆電球の下に一つの鉄扉があった。
ここが入り口だろうか。ずいぶんチンケな作りだ。
警備の人もいない。そりゃツンさんも逃げるよ。

/ ,' 3「私はここで待機していますので」

そういってお辞儀する荒巻さん。
怖くないのだろうか。いやいや、どう考えても怖いだろうに。

(-_-)「いつも申し訳ないです……さ、行こうか」
(*゚ー゚)「荒巻さん、またね!」
/ ,' 3「……ええ、また」



204 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:52:54.03 ID:SBh/PKqY0
思えばここまで来るのにさほど時間はかからなかった。
テクノポリスと柘榴は隣接してるのか。
もしくは、テクノポリスの中に柘榴があるのか……

鉄扉の向こうには長い廊下が続いていた。
まだ、見た目に違わぬ光景である。
コツコツと、三人の足音が高く響いた。
しぃが先ほどから僕の腕にかじりついている。

(´・ω・`)「……そんなに怖がりだったっけ?」
(*゚ー゚)「いや、そうでもないはずなんだけどね……なんだか……その、雰囲気的に」
(´・ω・`)「……」

まぁ、異様な空気が立ちこめているのは確かだ。



205 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:53:14.81 ID:SBh/PKqY0
廊下の先にあったもう一つの鉄扉を開くと、そこに下へと降りるための螺旋階段が続いていた。
一段ずつ慎重に降りていく。底知れないし。

(-_-)「……二時か。ちょっと急いだ方がいいかな」

先生が腕時計を見て呟く。
そして少しばかり歩調を早めた。

(´・ω・`)「ここって結構広いんですか?」
(-_-)「まぁそれなりにはね。都市地区ぐらいあるんじゃないかな」

さらりと答える先生。
とりあえず、想定できる範疇でないことはわかった。

(-_-)「世界全体を動かす場所だから当然といえば当然……といっても、
    僕もここの全てを知ってるわけじゃないけど」

(´・ω・`)「そうなんですか?」

(-_-)「というか、柘榴の人も知らないんじゃないかな。
    僕らはただ先人の残したモノを繕いながら使っているだけだし」



207 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:53:55.28 ID:SBh/PKqY0
そのときである。
奈落のような底から、声が聞こえてきた。

「止まれ!」

(-_-)「おや、物騒な声」

言いながら先生はどんどん下に降りていく。
僕らは躊躇しながらも先生について行く。

「止まれってのに!」

トントンとせわしない足音が聞こえてきたかと思うと闇から一人の男が姿を現した。
その風貌に寒気を覚える。
特殊部隊みたいな服装に肩に担がれた銃。
どことなくロシアっぽい。

( ゚∀゚)「……アンタか」
(-_-)「えっと、ジョルジュ君だっけ」



208 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:54:21.22 ID:SBh/PKqY0

( ゚∀゚)「アンタのせいでこっちはいろいろ引っかき回されて大変だぜ」
(-_-)「なんのことだか」
( ゚∀゚)「よく言うな、共犯者もいいとこだってのに……いや、アンタが仕向けたって方が正しいか?」

下卑た笑い声をあげるジョルジュ。
僕らにはその言葉の真意はわからない。
先生はその言葉を受け流す。

(-_-)「ツンはここにいるの?」
( ゚∀゚)「幽閉してある。処分はまだ決まってねえが」
(-_-)「ブーンも?」
( ゚∀゚)「ああ」

(-_-)「引き渡してくれないかな?」
( ゚∀゚)「断る」



209 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:54:43.22 ID:SBh/PKqY0
静かな火花を散らす両者。
やがて先生は短く息を吐く。

(-_-)「正直、君じゃ話にならない」
( ゚∀゚)「なんだと?」
(-_-)「君たちが求めているのは不毛な会話じゃないだろう? 柘榴本体の修理だ」
( ゚∀゚)「ッ……」
(-_-)「さっさと通してくれる? こっちにも時間がない」

再び火花。
だが、結局ジョルジュが折れたようだ。
黙って道を開け、先生は平然とそこを通過する。
僕らもついていこうとする……が。

( ゚∀゚)「おい、お前らはなんだよ」

案の定、低い声で呼び止められる。



210 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:55:23.33 ID:SBh/PKqY0
答えに手間取っていると、先生が助け船を出してくれた。

(-_-)「助手」
( ゚∀゚)「ああ?」
(-_-)「必要な人材だ。ほら、早くしないと世界が壊れる」

ひょうきんな言い方に、ジョルジュはあからさまに疑念を顔に出す。
が、反証できるわけでもないので沈黙を貫いた。

(-_-)「ほら、行くよ」
(´・ω・`)「あ、あ、はい」
(*゚ー゚)「了解です、師匠!」
( ゚∀゚)「……」

とりあえず僕は軽くしぃの頭を叩いておいた。



211 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:56:04.09 ID:SBh/PKqY0
永遠とも思えるほどの長い螺旋階段の先には二つの道に続く分岐点があった。
先生はとまどいもなく左に進む。
そして、おそらく最後と思われる鉄扉の先に、都市地区で見たのとは違う意味での電脳空間が広がっていた。

様々な機器の真ん中に一つの大きな椅子みたいなものがあり、そこに何かが座っていた。
おそらくアンドロイドだと思う。しかしブーンとは違って金属質の肌。
一目でそれとわかる外見だ。
そしてその彼からは幾つものコードがそこかしこの機器に取り付けられていた。

一人の男がせわしなく機械を操作していたが、僕らに気づいて顔をあげる。

( ´∀`)「あ、これはこれはヒッキー先生……って、あれ? そっちの人は誰モナ?」
(-_-)「そんなことはいいから、さっさと始めよう」
( ´∀`)「よろしくお願いするモナ」
(-_-)「エラーの状況は?」
( ´∀`)「全く機能しないんだモナ。非常プログラムも起動しない……」
(-_-)「へえ……ほら、助手!」
(´・ω・`)「あ、は、はい」
(-_-)「そんなところでボサッとしててどうすんの」



212 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:56:31.17 ID:SBh/PKqY0
近づいて見てみても何がなんだかさっぱりだ。
にしてもこいつの顔……やたらと人間っぽいな。

(*゚ー゚)「なんかしょぼんくんに似てない?」
(´・ω・`)「そうかな……」
(*゚ー゚)「ほら、眉毛をちょちょいといじれば……ははっ」
(´・ω・`)「笑うなよ」

( ´∀`)「当初からあまり調子はよくなかったモナ。
      でも今日は起動すらしないんだモナ」
(-_-)「内部の故障かな」
( ´∀`)「内部はチェック済モナ。でも、どこにもエラーは見つからなかったモナ」
(-_-)「ふむ、それは変だね」

僕らは先生の傍にしゃがみこんでいるだけで、実際は何もできていない。



213 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:57:11.10 ID:SBh/PKqY0

(-_-)「今、何時かな」
( ´∀`)「午前三時二十分モナ」
(-_-)「そろそろなんとかしないとヤバいよね……よし」

意を決したかのように先生は立ち上がる。
そして、数ある機器の中の一つに歩み寄った。

( ´∀`)「どうするんだモナ?」
(-_-)「世界をつぶそう」
( ´∀`)「……?」
(-_-)「柘榴本体の緊急プログラムを作動させる。再構成一歩手前の状態にするんだ」
( ´∀`)「え……」
(-_-)「テクノポリスとここ以外が全て一旦消失してしまうけど仕方ない」



214 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:57:22.85 ID:SBh/PKqY0
先生は次々と操作を進めていく。
やがて、天井のスピーカーから声が流れた。

「ぷろぐらむ、作動準備……あんどろいどヲ本体カラトリハズシテクダサイ……」

(-_-)「助手、コード抜いて」
(´・ω・`)「え……」
(-_-)「適当に引っこ抜けば大丈夫だから」

言われたままにアンドロイドから男の人と一緒にコードを取り外していく。
線の拘束から解放されたアンドロイドはだらりと脱力した姿勢をとった。

「作動シマス……」

そのアナウンスから数秒後。
ゆらり、と空気が揺れたような気がした。



215 :神主と初詣:2006/12/29(金) 19:57:42.83 ID:SBh/PKqY0
(-_-)「……よし」
( ´∀`)「どうなったモナ?」
(-_-)「世界は再構成を待ったまま停滞しているよ……さて、今日中になんとかしないと」

いたって平静な先生に男の人は狼狽を隠せない。
僕らも同様だ。世界が停滞……抽象的すぎてよくわからない。

(-_-)「ねえ、君」
( ´∀`)「モナ?」
(-_-)「ビコーズさん呼んできて。取引するから」

その言葉に男の人は一瞬目を丸くさせたが、やがて小走りで部屋を出て行った。

(´・ω・`)「……」
(-_-)「さて、皆目見当つかないなあ」

そんなことをいう先生は少し楽しそうでもあった。




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