281 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:30:53.73 ID:qyfA7buo0
第九話 裏の都合
ξ゚听)ξ「ブーン! せ、先生、システムを止めて!」
なお、再構成プログラムは進行中らしい。
ツンさんの悲痛な叫びに、先生は首を振った。
(-_-)「途中でやめるわけにもいかない。幸い、意識プログラムに異常が発生しただけだ。
再構成自体に問題はない」
ξ゚听)ξ「でも、ブーンが壊れちゃうよ!」
(-_-)「……」
ツンさんは先生にすがりつく。
先生はその手を強引に振り払った。
勢いあまってツンさんはしりもちをついてしまう。
その間。僕は直立したままツンさんと先生を交互に見ていた。
282 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:31:15.82 ID:qyfA7buo0
(*゚ー゚)「ツンさん」
ξ゚听)ξ「……」
なぜ先生がこんな態度をとるのかわからない。
そういった、茫然自失とした表情のまま動くのを忘れたツンさん。
そんな彼女にしぃが近づき、抱き起こそうとする。
ξ゚听)ξ「しぃ?」
(*゚ー゚)「……残念だけどさ、一人の命より世界の方が大切なんだよ」
ξ゚听)ξ「そんなこと……関係ない」
(*゚ー゚)「……かもしれないね」
強制的に機械を止めようとしないあたり、意外とツンさんは冷静なのかもしれない。
やがて、天井からノイズ交じりの声が響いた。
「再構成……ガガ……完了シマシタ……」
283 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:32:39.08 ID:qyfA7buo0
直後、ツンさんは急いでブーンに駆け寄った。
コードを引きちぎるように抜いていく。
その間、彼女は何度もブーンに呼びかけたが,彼は無言だった。
騒ぎを聞きつけたらしいビコーズが駆けつけてくる。
いつのまにか、ジョルジュも室内に突っ立っていた。
( ∵)「これは……どういうことです?」
(-_-)「こっちが聞きたいよ。ともかく、彼を至急修理しないといけないよね」
僕としぃとツンさん、三人がかりでブーンを奥の方にあった移動式のベッドに寝かせる。
( ゚∀゚)「申し訳ない……いきなりあの野郎が俺の銃を奪いやがった」
(-_-)「彼は?」
( ∵)「バルケン……ブーンの前世代です」
そのアンドロイドは伏したまま動かない。
事切れたかのように。
( ∵)「倉庫に格納したはずですから……動くはずはないのですが」
(-_-)「ふうん……」
284 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:33:33.33 ID:qyfA7buo0
その後、僕らはその部屋から追い出された。
中にいるのはツンさんと先生、そして急遽呼び出されたあの男の人『( ´∀`)』のみ。
鉄扉は固く閉じられ、中を窺い知ることは出来ない。
手術室のようだ。
気になるからといって中を見ることはできない。
廊下に佇む四人。
( ∵)「さて、これを私たちはどう捉えればいいんでしょうかね」
(´・ω・`)「?」
( ∵)「シャットダウンしたアンドロイドが勝手に動き出すなんて考えられない。
何か特殊性のある力が働かない限りは」
(´・ω・`)「……」
( ∵)「面白いといえば面白いですが、もしや悲しい未来を引き起こすことになるやもしれません」
285 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:34:02.59 ID:qyfA7buo0
( ・∀・)「悲しい現実は目の前に迫っていますが」
その声にハッとし、振り向く。
( ∵)「……これはこれは、モララーさん」
( ・∀・)「忠告の一つぐらい欲しいものですね」
( ∵)「申し訳ない。こちらとしても予想外だったもので」
( ・∀・)「……と、これはこれは、イレギュラーの皆さん」
にこやかな笑顔が余計に怖い。
よく見ると、モララーさんの後ろには秘書さんも立っていた。
( ・∀・)「いやあ、よくもまあ脱走してくれたもので」
川 ゚ -゚)「用意した食料が無駄になりました」
(´・ω・`)「あ、あの」
(*゚ー゚)「だって楽しそうだったんだもん」
川 ゚ -゚)「……」
女性二人がにらみ合い、膠着する。
一方、モララーさんは笑顔を崩さない。
( ・∀・)「まぁいいんですよ。あなた方の行動は筒抜けでしたから」
286 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:35:45.13 ID:qyfA7buo0
(´・ω・`)「え……監視カメラですか?」
( ・∀・)「いえ、あの監視カメラはあなたがたの想像通りさほど精度はよろしくない
知っていましたか? テクノポリスが我々「V.I.P.D.C」の傘下にあることを」
(´・ω・`)「!」
( ・∀・)「単刀直入に言えば、私とギコさんは繋がっていたんですよ」
それは確かに衝撃的だ。
しかし、「V.I.P.D.C」が柘榴の影響下にないことを考えればありえなくもない。
( ・∀・)「あなたたちがギコさんに接触した直後、彼から連絡が来ました」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「まぁ、そういうわけです。あと、ギコさんからの伝言が一つ。
『すまん』ですって」
(´・ω・`)「……」
ギコさんの秘密、か。
少し胸苦しいな。
287 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:36:23.71 ID:qyfA7buo0
( ∵)「それで、モララーさん。何の用です? あなたが苦情のためだけにわざわざ足を運ぶとは思えないのですが」
( ・∀・)「いえ、一つ面白い発見をしたもので」
( ∵)「と、いいますと?」
( ・∀・)「あなたがたが世界を停止させている間存在するべきは
テクノポリス、柘榴、そしてV.I.P.D.C.……だけのはずですよね?」
( ∵)「ええ」
( ・∀・)「もう一つあったんですよ。存在していた場所が」
( ∵)「それはありえないでしょう」
( ・∀・)「放棄地区」
( ∵)「!」
( ・∀・)「捨てられ、誰もいなくなった地区ですよ。地区というより、山といった方が正しいかもしれませんが」
( ∵)「そこが、存在していたと」
( ・∀・)「ええ。監視カメラによる映像から明らかです」
288 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:37:29.68 ID:qyfA7buo0
いつかの荒巻さんの言葉を思い出す。
あの場所が主神地区と呼ばれる日はいつなのか……。
( ・∀・)「行きましょうか」
( ∵)「……放棄地区に? 一体なんのためです?」
( ・∀・)「興味のため……というよりは義務ですかね。
柘榴は世界全てを管理するべきなのではないですか?」
( ∵)「……」
そのとき、鉄扉が開き、先生が中から登場した。
(-_-)「お待たせ……って、人が増えてるね」
( ∵)「彼らは?」
(-_-)「大丈夫だと思うよ。重大な損傷ではなかったし……入って」
289 :VIP皇帝:2006/12/30(土) 21:38:01.49 ID:qyfA7buo0
( ^ω^)「お」
ブーンが立っている。
元気そうだ、ひとまず安心。
そのそばで、ツンさんが少し脱力したように座っていた。
心配しすぎた、というふうに。
手をさすっているのは勢いあまって彼を殴り飛ばしたからだろうか。
(-_-)「こっちのアンドロイドはどうするの? バルケンとかいうの」
( ∵)「危険性を内含する以上放置するわけにもいきません。処分させます」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「さて、ではあなたたちにも聞いてもらいましょうか」
(-_-)「ん?」
モララーさんが先生たちにも先ほどの話をする。
290 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:38:34.07 ID:qyfA7buo0
(-_-)「なるほど、放棄地区か」
( ・∀・)「勿論、無理にとは言いませんが
柘榴の方々は行くべき。
イレギュラーの二人にはこの世界から出る方法が見つかるかもしれない。
それ以外の人にとってもそそる話だと思うのですがね」
(-_-)「さて、どうする?」
( ^ω^)「行きたいお」
ξ゚听)ξ「あんたはダメよ! さっき直ったばっかりじゃない」
ツンさんの制止を、しかしブーンは聞かなかった。
( ^ω^)「僕は行くお……行かなきゃダメなんだお」
ξ゚听)ξ「え……」
( ^ω^)「なんかよくわからないお。でも」
(-_-)「まぁいいんじゃない? 多分問題は無いよ」
ξ゚听)ξ「じゃ、じゃあ私も行く!」
意味も無く胸を張るツンさん。
(´・ω・`)「しぃ」
(*゚ー゚)「行くよ!」
聞くまでも無かった……か。
その瞬間、モララーさんが見せたどこか狡猾な笑顔を僕は見逃せなかった。
291 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:39:51.95 ID:qyfA7buo0
(-_-)「で、どうやって主神地区まで?」
( ∵)「車で行きますか?」
( ・∀・)「……あなた、知らないのですか? 柘榴の管理者のくせに」
( ∵)「?」
( ・∀・)「柘榴の果てにはエレベーターが設置されています。
それを使えば、放棄地区へ向かうことができるのですよ」
柘榴にそんなエレベーターがあるのか。
いや、でもなんでだ?
やっぱり、主神地区っていうのが関係するのかな。
( ・∀・)「善は急げとはよく言ったものです。さて、行きましょうか」
292 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:41:19.40 ID:qyfA7buo0
(*゚ー゚)「あ、ちょっと待って!」
( ・∀・)「?」
(*゚ー゚)「上で荒巻さんが待ってるままだよ!」
あ、そういえば。
忘れかけてたな。
でも、モララーさんは怪訝そうな顔で首を横に振った。
( ゚∀゚)「ん? そんな奴いなかったぞ」
(*゚ー゚)「ほえ?」
( ゚∀゚)「さっき上に行った時には誰もいなかった。
まあ、そのときに銃を奪われちまったわけだが……」
(*゚ー゚)「そう……」
相変わらず神出鬼没だな。
いや、消えたのは今回が初めてか。
( ・∀・)「さ、行きますよ」
295 :猪(友達がvipper):2006/12/30(土) 21:46:32.74 ID:qyfA7buo0
挿話四
ξ゚听)ξ「先生」
(-_-)「なに?」
ξ゚听)ξ「逆に聞きたい。なんで先生は私にこれほど手を焼いてくれるの?」
(-_-)「……僕の開発した技術に関わっている」
ξ゚听)ξ「それは、具体的に?」
(-_-)「そうだなあ。あまり詳しくは言いたくない」
ξ゚听)ξ「どうして?」
(-_-)「僕が見つけたのは忌避すべき事実だからさ。少なくとも、この世界にいる人々が知るべきことじゃない」
ξ゚听)ξ「……」
(-_-)「頃合いを見計らって教えるよ」
ξ゚听)ξ「本当ですか!」
(-_-)「多分ね」
・・・
・・
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【関連】
一気読み
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プロローグ
第一話
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第二話
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第三話
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第四話
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第五話
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第六話
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第七話
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第八話
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第九話
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第十話