10 名前:タレント(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/17(火) 01:50:41.76 ID:z1UZ8CD50
ドクオが急に、「金を貸してくれ」と言ってきた。
遊園地に行くから髪を切りたい。だが金が無い。……だそうだ。
「金を貸せ」
その言葉に反応して、有無を言わさず拒否してしまったが……
川 ゚ -゚)(まぁ……散髪代程度なら……
貸してやらんこともなかったかな……)
12 名前:タレント(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/17(火) 01:51:13.56 ID:z1UZ8CD50
私は少し後悔していると同時に、何だか嬉しかった。
髪を切りに行く、友人と遊園地に行く。
それは当たり前の、ごく日常的なこと。
昔のドクオは当たり前に出来ていた。
今のドクオはそれが出来なくなっていた。
だから私は
ドクオがまた、私の大好きなお兄ちゃんに戻りつつあるのかも。
そんな期待をしてしまっていた……のかもしれない。
15 名前:タレント(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/17(火) 01:52:37.31 ID:z1UZ8CD50
川 ゚ -゚)「ドクオ、さっきはすまなかったな……
これ、使っt……
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「……」
新聞の上の散らばった毛、ハサミ、鏡、ドクオの頭。涙目。
コンマ何秒かで全てを把握した。
私は5千円札をスッとテーブルの上に置くと
ごめん。とだけ言って部屋を出て行った。
96 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:23:25.80 ID:gqAHm8wf0
(´・ω・`)「……と、いうわけなんだよ」
( ^ω^)「なるほどー。
ひろゆきとうまい棒の関係が手に取るように分ったお」
ブーンは、ふむふむと相槌をうち、僕の話を聞いている。
本当に理解しているのかは疑問だけど、まぁいいか。
(´・ω・`)「ところでブーン、今日はバイト休みかい? 」
( ^ω^)「これからだおwwwマンドクセwww」
時計を見る。午後7時30分ジャスト。
97 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:23:47.01 ID:gqAHm8wf0
(´・ω・`)「大変でしょ。深夜のコンビニバイトって」
( ^ω^)「そうでもないお?
朝昼は遊んだりゲームやったり好きにできるしwww」
(´・ω・`)「君さ、いつ寝てるの? 」
( ^ω^)「……さぁ? 」
ブーンはビールには手をつけず、つまみの枝豆ばかり食べている。
飲まないなら注文するなよな。金払うのは僕なんだから。
( ^ω^)「あ、餃子2人前追加でー」
98 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:24:11.85 ID:gqAHm8wf0
(´・ω・`)「まだ食べるの? もう晩御飯は食べたんでしょ? 」
ぐっと親指を突き出し、「余裕」という表情のブーン。
君はそんなに食べるからピザるんだよ。全く。
( ^ω^)「ところで、ショボン土曜は暇かお? 」
(´・ω・`)「仕事」
( ^ω^)「なんだおー。
久々にお家に遊びに行こうと思ったのに」
(´・ω・`)「嫌だよ。ブーンが来ると部屋が散らかるからね」
(;^ω^)「ひどいおwwwwwじゃあ日曜はどうだお? 」
99 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:24:44.35 ID:gqAHm8wf0
(´・ω・`)「嫌だってば。それに日曜は予定があるんだ」
「予定?」ブーンが枝豆をつまみながら聞き返す。
(´・ω・`)「うん。VIPワールドにね」
( ^ω^)「デートかおwwwwwwウラヤマシスwwww」
(´・ω・`)「君にはツンがいるじゃない」
( ^ω^)「そうだおねwwwwフヒヒヒwwww」
呑んでも居ないのに顔は急激に真っ赤になり、
枝豆を食べるスピードも速くなる。分り易い男だ。
本当に、ツンの事が大好きで仕方ないんだな。
ツンの話になると笑っちゃうくらいご機嫌になるから困る。
微笑ましいような、でもドクオの事を考えると複雑だ。
100 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:25:23.80 ID:gqAHm8wf0
そういえばドクオ、何で急に遊園地になんか誘ってきたんだろう。
しかも妹も同伴って。
でも、てっきり引きこもってるもんだと思っていたけど
違うみたいだ。少し安心した。
でもブーンは誘われていない。って事は
やっぱり、完璧にツンの事を忘れて立ち直ったわけじゃないんだろう。
そんな事をボーっと考えていると、2人前の餃子が到着した。
101 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:25:50.20 ID:gqAHm8wf0
(*゚ー゚)「きゃはははははwwwwwwwwww」
人を指差して笑うと、地獄に落ちるってバーチャンが言ってた。
それならバーチャン。今すぐこの憎たらしいクソガキを
どうか地獄に落としてやってください。
(*゚ー゚)「なにそwwwれwwwwwそのww髪型wwww」
しぃが涙目でゲラゲラと笑いながら、俺の頭をわしゃわしゃとかき乱す。
('A`)「やめてくれ……触るな……」
死にたい、本当に本心からそう思う。
(*゚ー゚)「まぁまぁwwwwそんな落ち込むなってwwwww
個性的でいいと思うよwwww私はwwwプッwww」
一方こちらのおっしゃってる事がちっとも本心とは思えないのは
俺が卑屈だからでしょうか?
102 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:26:12.78 ID:gqAHm8wf0
( ><)「あ、い、いらっしゃいです」
近所の、ヘアサロンわかんないです。
クーに謝られ、しぃに爆笑され、髪も心もあと肌もボロボロな俺は
そこに行かざるを得なかった。
( ><)「あ、あの。どういった髪型に……」
戸惑った様子の美容師が、準備をしながら聞く。
('A`)「整えてください」
その一言だけ。俺の望みはそれだけだ。
美容師も大体状況は察したようで、少し考えた後その注文を聞き入れた。
103 名前:留学生(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/18(水) 02:26:53.80 ID:gqAHm8wf0
数十分後、俺の髪はだいぶ短く、薄くなった。
……正直、似合ってない。
美容師は、「極端に短いとこがだいぶあったので
それに合わせるとどうしてもこの長さにせざるを得なかったんです」
そう言い訳のように言った。
('A`)「あ、でも、前よりはだいぶ良いです……うん」
俺は自分に言い聞かせる。
店を出ると、4月の冷たい風が頭皮に吹き
一度大きくくしゃみをすると、家へ向かって歩き出した。
152 名前:キャプテン(新潟県) : 2007/04/19(木) 00:34:27.76 ID:UI/mhXhB0
X DAY前日の夜。
俺は、そりゃあもうすごい勢いで猛烈に緊張していた。
どうしようどうしようどうしよう怖い怖い怖い
わけのわからない不安に襲われる。
【ジリリリリリリリリ】
(;'A`)「う、うわっ!! 」
落ち着こうぜ俺。ただの携帯の着信音だ。
すべり落ちたイスに座りなおし、ケータイを開く。
153 名前:キャプテン(新潟県) : 2007/04/19(木) 00:34:58.19 ID:UI/mhXhB0
('A`)「も、もしもし」
『もしもし、ドクオ?』
懐かしい。ショボンの、少し高くて柔らかい声だ。
緊張やらなんちゃらで、俺は少し泣きそうになってしまう。
('A`)「うん、何? 」
『何って。明日だろう? 』
('A`)「あっ、あぁ、そうだったね」
さも今思い出しましたよ。みたいな言い方をしてみる。
小さな見栄みたいなもんだ。
『忘れてたの?僕は結構楽しみにしてたのにな』
('∀`)「あ、はは……」
これは人間関係から逃げてた報いかな?
脳から「これを喋れ」って指令が全然伝わってこない。
154 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:35:19.41 ID:UI/mhXhB0
『じゃあ、明日VIP駅前に9時ね。寝坊するなよ? 』
('A`)「把握した」
『それじゃあ、おやすみ』
('A`)「え? 」
『え? 』
('A`)「あ、いや……何も聞かないんだな、と」
『あぁ……うん』
('A`)「……ごめん」
ショボンは何にも聞かないでくれて
なにもかもがそのまんまで
それがたまらなく、申し訳なかった。
155 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:35:40.02 ID:UI/mhXhB0
川 ゚ -゚)「……なに? しぃも行くだと? 」
(*゚ー゚)「うん、そうだよー
お兄ちゃんのお友達と3人でいくのー」
川 ゚ -゚)「聞いてない……友達と行くとしか聞いてないぞ」
騙したな、あのゴキブリめ。
私の大切な可愛い可愛いしぃをお前なんかに任せて
もし万が一の事があったらどうするつもりだ。
(*゚ー゚)「ク、クー……ちゃん?」
川 ゚ -゚)「私も行く! 私も行くぞ……! 」
158 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:36:17.15 ID:UI/mhXhB0
翌朝、遂にX DAYはやってきた。
('A`)「さて、そろそろ行くか」
(*゚ー゚)ノ「はぁーい♪」
川 ゚ -゚)「うむ」
('A`)「……」
朝になって突然、クーが一緒に行くと言い出した。
どういう事かはよくわからないが、1人も2人も変わらないし
情けないけどクーがいてくれれば心強い。
結局、兄妹総出で遊園地に向かう事になった。
【関連】
一気読み
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第三話
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第四話
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第五話
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