159 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:37:59.70 ID:UI/mhXhB0
本日は晴天なり。絶好のお出かけ日和。
さんさんと照りつける太陽が、俺を嘲笑っている気がする。
川 ゚ -゚)「おいドクオ? 顔色悪いぞ」
(*゚ー゚)「アハハー、本当だぁー」
VIP駅までバスで10分。
今日は日曜。晴天って事も手伝ってか、バスの車内は満席で
俺の座る席は無く、俺1人だけ立っている事になった。
('A`)「平気だよ。ちょっと……貧血なだけだ」
嘘。実を言うと、昨日は結局一睡も出来なかった。
160 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:38:20.74 ID:UI/mhXhB0
緊張と不安とで、どうしても眠れなくて
パソコンつけてネットやってオナニーしてVIPやって……
で、結局眠れなかった。
だから俺今日倒れちゃうかもしれないけどその時は
優しく介抱して欲しい。
川 ゚ -゚)「……席変わるか? 」
クーが心配そうに俺を見上げ、立ち上がろうとする。
('A`)「ク、クー……」
でも、そのとき俺は見てしまった、
クーの背後の、悪魔の鋭い視線を。
161 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:38:49.80 ID:UI/mhXhB0
('A`)「い、いいです。平気だ」
川 ゚ -゚)「……そうか? 」
座りたい。そんで思いっきり眠りたい。
もう足もフラフラだし、あ、やべ、意識朦朧としてきた……
(*゚ー゚)「お兄ちゃんがんばれぇ〜」
(#'A`)「……」
川 ゚ -゚)「しぃは優しい子だなぁ……。よしよし」
しぃの頭をなでなでするクー。へへへと笑うしぃ。
あぁダメだ……殺意が……
162 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:39:11.99 ID:UI/mhXhB0
『次はーVIP駅前ー、VIP駅前です。お降りの方はー
いろんな意味で落ちそうになってた時、アナウンスでハッと我に返る。
VIP駅前のバス乗り場から、VIPワールド直行バスが出ている。
だからショボンとはバス乗り場で待ち合わせをした。
とはいえバス乗り場も広いし、これだけ人がいるt
(*゚ー゚)「あっ! 」
しぃがバスを降りるなり全力でどこかに駆け出した。
('A`)川 ゚ -゚)「しぃ!? 」
それを追いかけ、同じ方向に走り出すクー。
164 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:39:52.96 ID:UI/mhXhB0
('A`)「あ、オイ……」
それらを追いかける気力なんかあるわけない俺。
よたよたと、傍のベンチへと倒れこむように座る。
('A`)「……うぇ……」
眠気のおまけに吐き気までする。きっと緊張からくるもんだろう。
一方で冷静な俺が言う。
……クーかショボンかの携帯に連絡しなきゃ。
ポケットから携帯を取り出し、アドレス帳を起動s
('A`)「あ、電池切れた……」
165 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:40:34.33 ID:UI/mhXhB0
ご臨終した携帯様をポケットに埋葬し、ため息を一度つく。
ポカポカの太陽、時折吹く冷たい風が心地よく……
「ちょっと、ドクオ? 」
……クー……?誰かが俺を呼んでいる。
あ、なんかかっこいいな、このセリフ。
「ドクオでしょ? ねぇ? 」
……この声は……
ξ゚听)ξ「……ちょっと、大丈夫? 」
166 名前:キャプテン(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/19(木) 00:41:18.72 ID:UI/mhXhB0
じわり、じわりと視界が晴れてくる。
くるくると綺麗に巻かれた髪、パッチリとした目、白くて綺麗な肌、
甘い匂い。何もかもが懐かしくて、全然変わっていなくて。
相変わらず、すっげー可愛い。
('A`)「……ツン」
ξ゚听)ξ「こんなところでどうしたのよ? 大丈夫なの? 」
俺はなんとか起き上がり、目をゴシゴシとする。
起き上がった事で出来たスペースに、ツンが品良く腰を降ろす。
ξ゚听)ξ「ねぇ、ドクオ? 」
ツンがくいくいと俺の服の袖を引く。
2 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:32:33.98 ID:w53TQg6w0
俺は反射的に、その手を振り払った。
ξ゚听)ξ「ご、ごめん……」
面食らった顔で、慌てて手を離すツン。
そのまま、うつむいて黙り込んでしまった。
('A`)「あ、……ごめん、ちょっと……体調悪くて」
誰に対してかよくわからないフォローを入れる俺。
ξ゚听)ξ「そう……大丈夫なの?
なんだか……随分痩せたんじゃない? 」
('A`)「平気だよ。
……それより、公衆電話ってどの辺にあったっけ?」
ξ゚听)ξ「電話? 携帯は持ってないの? 」
3 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:32:55.11 ID:w53TQg6w0
('A`)「電池切れ」
ξ゚听)ξ「じゃあ私の携帯でよかったら……」
小さな白いカバンを開いて、携帯を探すツン。
ξ゚听)ξ「あ……、家に忘れてきちゃったみたい」
('A`)「……公衆電話探す。じゃあ、」
正直、ツンとはもう一秒も一緒に居たくない。
最近じゃもう夢に登場しなくなってきたんだ。
ふっと思い出すこともあまりなくなってきたし
顔だって、もう忘れかけてた。だから……
フラリと立ち上がった俺の腕を、ツンがグイと引く。
4 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:33:16.46 ID:w53TQg6w0
ξ;゚听)ξ「だってアンタ、フラフラじゃない……
み、道とかで倒れたりして
それで車に轢かれたりしたら……」
('A`)「ねーよ」
ξ゚听)ξ「あっ、確かドクオの携帯、枝湯よね?
私ね、最近この辺りに引っ越したの。それでね……」
(;'A`)「ちょ、っとまて……」
ξ゚听)ξ「どうしてよ? 」
5 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:33:36.65 ID:w53TQg6w0
(;'A`)「知らない男家に入れるとかは……ダメだろ」
ξ゚听)ξ「ドクオは知らない男じゃないわ。友達じゃない」
だとしたら余計ダメなんだよ。
(;'A`)「ブーンに怒られるぞ」
ξ゚听)ξ「どうして? 」
いやどうしてって……
7 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:34:01.38 ID:w53TQg6w0
ξ゚听)ξ「ドクオだったら大丈夫よ。
ブーンだって怒らないわ」
サラリと傷つく事を言ってのけるね。お前は。
ξ゚听)ξ「さっ、いきましょう」
抵抗する俺の手を取り、ぎゅっと握るツン。
ツンの手は細くて、白くて、冷たくて、小さくて
それがあんまり心地よかったから
脳が発した『離せ』って命令を、俺はあっさりシカトしてしまった。
8 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:34:31.43 ID:w53TQg6w0
ξ゚听)ξ「どうぞー。散らかってるからあんま見ないでねー」
ツンの住むマンションは、駅から徒歩10分もかからない距離にあった。
大きくは無いけど新築っぽいし、いいお値段がしそうだ。
さすが、お嬢様ってかんじか。
('A`)「おじゃまします」
部屋に入るなり鼻をふわりと刺激する甘い匂い。
広くはないけど決して狭くも無く、高そうな家具が並ぶお部屋。
ツンはここで生活してるんだ。
そう考えて少し興奮した自分が情けなくて、やるせなくなる。
ξ゚听)ξ「充電器そのあたりに刺さってるから」
('A`)「すまんね」
9 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:35:02.15 ID:w53TQg6w0
ご臨終した携帯が、赤いランプを灯し息を吹きかえらせる。
携帯の画面に表示される時刻はもう昼。
俺どんだけ駅前で寝てたんだよ……
……さて、可愛い妹達はどうしてるだろう?
ショボンとは合流してるんだろうか。
数回の呼び出し音の後、俺の耳には聞きなれたクーの声と
騒がしい音が飛び込んできた。
('A`)「もしもし」
『もしもし、ドクオか? 今どこだ? 』
('A`)「そらこっちのセリフだよ。今どこだよ? 」
10 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:35:26.57 ID:w53TQg6w0
『今か? 今はVIPワールドだぞ』
……はい?
『いやね、しぃが急に走り出しちゃっただろ?
それで追いかけた先に2人がいてだね』
……
『そこに丁度VIPワールド行きのバスが来たもんだから
ま、いいか。乗っちゃおって事で……』
('A`)「……俺の事は忘れてた・と」
『そういう事になるな』
11 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:35:57.85 ID:w53TQg6w0
いやいや……ちょっとまてよ……
少しはさ、探してくれてもいいんじゃないか?
それとも何か?俺ってそんな存在薄いか?
いてもいなくてもいい的なポジションなのか?
('A`)「……そいじゃ俺、帰ります。おじゃましました」
ξ;゚听)ξ「え?」
体調が悪いのも単なる寝不足と緊張で、今は普通。
電話も済んだ。俺がもうここにいる意味は無い。
ξ゚听)ξ「ちょっと待ちなさいよドクオ」
('A`)「それじゃ、ブーンと仲良くな」
ツンの静止も聞かず心にも無い事を言って、部屋を出ようとする俺。
ξ゚听)ξ「……」
靴を履こうと玄関で屈んだとき、頭に激痛が走る。
ξ#゚听)ξ「待てって言ってるでしょっ! 」
12 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:36:18.52 ID:w53TQg6w0
ツンが俺の後頭部に思いっきりビンタを食らわせたのだ。
(;'A`)「い、いてて……なにすr
ξ#゚听)ξ「いつもそうやって逃げ出すんだから!!
残された方の気持ち、考えたことあるの!? 」
(;'A`)「ツ、ツン? ちょっと落ち着k
ξ#゚听)ξ「気に食わないことがあるなら直接いってよね!」
(;'A`)「気に食わないとかじゃn
ξ#゚听)ξ「じゃあなんなの!?どうして……――」
13 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:36:50.32 ID:w53TQg6w0
ツンは怒っている。
それは、今俺が帰ろうとしていることもある。
でも一番は、俺が急にみんなの前から消えたことだ。
('A`)「……ごめん」
ξ゚听)ξ「……謝ってほしいんじゃないわよ。
理由を聞いてるの」
急に冷静になったツンは涙目で、返す言葉に詰まる。
('A`)「……」
14 名前:運送業(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/20(金) 02:37:12.27 ID:w53TQg6w0
ξ゚听)ξ「ねぇ、なんとか言いなさいよ……
ずっと、心配してたんだから……私も、ブーンも」
('∀`)「ふっ……はは……」
私も、ブーンもか。
なんか急にバカバカしくなってきた。
ξ゚听)ξ「……な、なにが可笑しいのよ」
('∀`)「そんなに知りたい?……じゃあ教えてやるよ」
このモヤモヤは怒りなのか、悲しみなのか、嫉妬だろうか
俺は泣きたいのか、それとも怒鳴り散らしたいのか。
自分でも良くわからなくなっていた。
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