10 名前:ゲーデル(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:00:00.15 ID:m011UWCk0
('A`)(あー、欝ダ……
オナニーでもして寝るか……)
こないだ借りた盗撮モンのエロDVDをデッキに入れた。
ブラウン管の中で、男と女が動物みたいにギシギシアンアン悶えている。
今頃、ツンとブーンもこんな風にしてんのか。
俺は一人で自分を慰めてるときに、ツンとブーンは愛し合ってるのか。
ツンは俺のことなんか好きなわけなくて
俺のこの気持ちは迷惑なだけで、報われることは無くて。
明日も学校で会って、その時は普通に接しなきゃいけないんだ。
忘れなきゃいけない。忘れる。忘れろ。忘れられるさ。
カンタンだ。自分にこう言い聞かせりゃいい。
('A`)「ツンは、お前のことなんか好きじゃない
そして、ブーンは大切な友達だ」
11 名前:ゲーデル(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:00:21.73 ID:m011UWCk0
そう、ツンは俺の事なんか好きじゃない。
ブーンだけを愛していて、ブーンだけを見てる。
……だったら俺、何してんだ?
ξ゚听)ξ「……ド、クオ?……」
('A`)「……ごめ……何やってんだ俺……」
頭に昇ってた血が、サーっと引いていくのが分る。
何て事してるんだ俺。最低だ。最低だ。最低だ。
俺はツンの部屋を飛び出した。
ツンが小さな声で呼び止める。
でも、振り返ることなんかできるわけない。
12 名前:ゲーデル(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/23(月) 02:00:42.80 ID:m011UWCk0
('A`)「はぁっ……はぁ……はぁ……はは……は……」
ただ走った。何で走っているかは、自分でも分らない。
全力疾走なんて何年ぶりだよ。足いてーし横腹も痛い。
おかげで、目からも汗が出てきやがる。
拭っても拭っても、汗は止まらない。
ダメだな。俺、逃げてばっかだ。
2 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:46:48.46 ID:Jyj197d/0(17)
( ´_ゝ`)「……あれ?」
川 ゚ -゚)「……」
( ´_ゝ`)「クー?」
川 ゚ -゚)「……」
( ´_ゝ`)「すいませんでした。もうしません」
川 ゚ -゚)「……分ればいい。詳しく聞かせろ」
(;´_ゝ`)「あ、うん……実はな……」
父さんの勤めていた、通信機器メーカーVIPは
社員数100人にも満たない、いわゆる中小企業。
ここ数年は、そこそこ上手く行っていて安定した状態にあった。
だが、それに調子をこいた幹部たちがSNSに手を出し大失敗。
多額の負債と社員を抱えたまま、倒産となった。
3 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:48:13.95 ID:Jyj197d/0(17)
( ´_ゝ`)「と、いうわけで……」
川 ゚ -゚)「……で、これからどうするんだよ」
母さんだって働いてはいるけど稼ぎは少ない。
どう考えても家族5人を養っていけるとは思えない。
私の学費だって居るし、これからしぃだって小学校に入学するってのに。
( ´_ゝ`)「まぁまぁ、父さんだって何も考えてないわけじゃない」
川 ゚ -゚)「疑わしいな」
( ´_ゝ`)「父さんの実家には行ったことあるよな? 」
川 ゚ -゚)「サイタマの? 」
( ´_ゝ`)「うん。そこに皆で引っ越そうと思ってる」
4 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:48:57.38 ID:Jyj197d/0(17)
サイタマの実家は、ボロいけど大きかった。
今は祖母と祖父と叔父さん(父さんの弟)だけなので
4人くらい増えても構わない、だそうだ。
そこで、弟さんの会社を手伝わせてもらうらしい。
……って事は、私は転校する事になるのか。
あぁ、折角VIP高校に入学できたってのに。
( ´_ゝ`)「だから、クーには転校してもらう。すまないね」
川 ゚ -゚)「……仕方ないさ」
「随分クールだな」そう言って父さんは少し笑った。
('A`)「どういう事だよ、それ」
5 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:49:23.91 ID:Jyj197d/0(17)
川 ゚ -゚)「お、ドクオおかえr
突然後ろから聞えた不機嫌な声。
ドクオが今帰宅したらしく、ドアの前に立ちすくんでいる。
( ´_ゝ`)「もっかい説明すんのマンドクセ
どこから聞いてたか産業で」
('A`)「サイタマ
みんなで
引越し」
( ´_ゝ`)「あぁそう」
6 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:49:45.61 ID:Jyj197d/0(17)
(;'A`)「よ、よくわかんねーけど
俺はイヤだからな!
だ、第一クーだってVIP高校g
川 ゚ -゚)「私のことは気にしなくていい」
( ´_ゝ`)「良いってさ」
('A`)「……な、なんだよ……お、俺はここにいるぞ……」
( ´_ゝ`)「ここ社宅だから無理だね」
(;'A`)「……」
( ´_ゝ`)「あとさ、お前は連れて行くつもりないから」
父さんがポツリと言った一言にリビングはシーンと静まり返る。
7 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:50:07.77 ID:Jyj197d/0(17)
川 ゚ -゚)「どういう事だ」
( ´_ゝ`)「だってそんな余裕ないし。
それにサイタマの田舎ってさ、結構世間体厳しいのよ」
(;'A`)「……だ、だからって……俺だけ置いていくのかよ……」
( ´_ゝ`)「自分が〔イヤだからな〕って言ったじゃん」
川 ゚ -゚)「……ふむ。言った」
(;'A`)「……クーおま……」
8 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:50:35.99 ID:Jyj197d/0(17)
確かに俺はニートだし、一日中家にいるのに
家の手伝いもしない、ゴミクズ以下の存在、まさに害虫だけど。
……いかん、自分で言って欝ってきた。
でもだからって……俺だけ置いていくなんて酷すぎやしないか?
( ´_ゝ`)「酷くは無いだろ……常識的に考えて……
だってドクオお前もういい年だぜ? 」
('A`)「……っ……」
( ´_ゝ`)「それにそうやって普通に外出れてるし
働けない体とは言わせないよ」
('A`)「……」
何も言い返せません。
9 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:51:04.09 ID:Jyj197d/0(17)
というわけで、俺、働かなきゃいけなくなりました。
今は、失恋とかレイプ未遂とか
……そんな事を考えている場合じゃないのです。
何しろ、生死の危機なのです。
はい、死のう死のうって言ってるけど、実際死にたくなんかありません。
ゴキブリの様にしぶとく生きる事に執着しております。
まずは、アルバイトを探さなきゃいけません。あと住むところも。
どう考えても、一人じゃ無理です。のたれ死ぬのがオチです。
でも父さんはあてになりません。彼は鬼です。俺を捨てる気です。
クーもダメ。あれは鬼の子です。
だとしたら、頼れるのは一人。
『やぁ、ドクオか』
('A`)「ショボン……」
10 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:51:29.48 ID:Jyj197d/0(17)
('A`)「今日はごめんな。急に……その、合流できなくて。
妹たちの相手までさせて」
『いいよいいよ。僕も楽しかったし』
あぁ、いい奴だショボン。俺、今ならお前の連帯保証人になっていい。
('A`)「でさ、相談があるんだよ」
『何? 』
('A`)「なんかいいバイト知らね? 」
『バイト? 唐突だね』
('A`)「楽で、儲かって、尚且つモテるかんじの」
『んなもんないよ』
12 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:51:52.56 ID:Jyj197d/0(17)
('A`)「ですよねー。
あ、あと住むトコも探してるんだが」
『どうしたの? ついにスポンサーに見放された? 』
('A`)「うん、そんなとこ。
俺置いてサイタマに引っ越すんだとさ」
『わー、寂しくなるね』
('A`)「ま、家族とかウゼーと思ってたし? 」
どう見ても強がりです。実際家族大好きです。
13 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:52:13.84 ID:Jyj197d/0(17)
しぃだって、裏は悪魔の様だけど可愛い妹です。
トーチャンもカーチャンも、こんなに立派に、……立派ではないけど
育ててくれました。感謝してます。
クーだって……
……クー、せっかくVIP高校に入学できたのに
転校する事になるんだな。
あんな風にクールに振舞っていたけど、実際は悔しいんだろう。
あの子はそういう子だ。
血の繋がりはないけど、何年も兄ちゃんやってきたんだ。
14 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:52:38.47 ID:Jyj197d/0(17)
最近の気象は異常。要は異常気象。
この日もとても暖かくて、中には半袖Tシャツを着てる人までいる。
俺はというと、結構な厚着。結構浮いてるが、気にしない。
(´・ω・`)「やぁ、久し振りだね。ドクオ」
そんな俺に近づいてくる、爽やか美青年。
あぁ、若さが眩しいよ。同じ年とは思えないね。
('A`)「ひ、久し振り」
(´・ω・`)「ん、少し痩せた? 」
「ツンにも言われた」そう言い掛けて止める。
名前を呼びたくない。口に出すのが怖かった。
適当に「そんなことないよ」とだけ言っておく。
15 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:53:03.60 ID:Jyj197d/0(17)
今日は、ショボンとマンション(アパート?)の契約に来た。
バイトまで紹介してもらったし、まるで保護者みたいだ。
しばらくショボンには足向けて寝れないな。
契約も面接も終わり、俺は一息つく。
これでなんとか生きていけそうだ……。
時計を見ると、もう昼過ぎだ。道理で腹が減った。
俺とショボンは、そこにあったパスタが上手いと評判の店に入った。
('A`)「ふー……。なんかごめんな、ショボン」
(´・ω・`)「ううん、いいよ。
なんか困ったことあったらいつでも連絡してきてよ」
ショボンの優しさに感動しつつ、いかすみパスタを頬張る。
俺の大好物だ。
16 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:53:53.31 ID:Jyj197d/0(17)
(´・ω・`)「ところでさ、最近ツンと会った? 」
(;'A`)「え!? あってないよ!? 」
身体がビクンッってなったから、フォークを皿の上に落としてしまった。
カチャン、という音が静かな店内に響く。
(´・ω・`)「そう……」
(;'A`)「……ど、どうかしたの? 」
(´・ω・`)「なんでもないよ。気にしないで」
何で急にツンの話なんだ?何で会ったとか聞くんだ?
何がなんでもないんだ?
17 名前:ご意見番(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/24(火) 01:54:38.31 ID:Jyj197d/0(17)
頭の中で質問がこんがらがって、まとめるのに時間がかかる。
('A`)「……なんかあったのか? 」
なんとか落ち着いて、もう一度聞いてみる。
(´・ω・`)「……」
ただ、黙るショボン。
('A`)「……なぁ、ショボン」
話を促す。
(´・ω・`)「……うん、……ツンがね、昨日……」
('A`)「……」
(´・ω・`)「……飛び降りて……マンションの屋上から……」
82 名前:ダンサー(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 01:48:28.54 ID:G2CFQout0
しばらく、ショボンの言ったことが理解できずにいた。
飛び降りて?マンションの屋上から?
それってどういう事だ?つ、つまり、じs
(´・ω・`)「命に別状は無いから安心して欲しい。
今は意識もはっきりしているらしいし」
(; A )「……」
俺のせいだ。俺のせいだ。俺のせいだ。
俺があんな酷い事をしたからツンは。俺が……
手が小刻みに震え、額から一筋の汗が流れる。
83 名前:ダンサー(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 01:49:01.44 ID:G2CFQout0
(´・ω・`)「昨日僕は仕事でね。残業で会社にいたんだけど……」
……夕方の7時くらいかな。仕事も一通り終わって
そろそろ帰ろうかなって時に、携帯が鳴ったんだ。
(´・ω・`)「はいもしもし」
『ショボ、ツンが、し、s、死んじゃ、しss』
公衆電話からだったからね。最初は誰かと思ったよ。
かなり焦ってるみたいで、何を言ってるかまるで分らなかったし。
『今、つ、ツンのお母さんから、電話で、病院で』
(´・ω・`)「……ブーンかい? ツンがどうかしたの? 」
84 名前:ダンサー(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 01:49:24.57 ID:G2CFQout0
ブーンから聞かされた内容が内容だったから
会社を飛び出して急いで病院に向かったよ。
( ´ω`)「……ショボン」
(´・ω・`)「ブーン。ツンは? 」
( ´ω`)「……大丈夫らしいお」
説明する気力もないくらい、ぐったりとしていてね。
助かったとはいえ、自殺した
という事事態にショックを受けているみたいだった。
( ´ω`)「……僕、気づかなかったんだお……
ツンが、自殺する程の何かを抱えてたって……」
(´・ω・`)「うん」
( ´ω`)「情けないことに、今も分らないお……
いくら考えても、分らない……何も……」
85 名前:ダンサー(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 01:49:46.50 ID:G2CFQout0
(´・ω・`)「ブーン、あんまり思いつめちゃダメだよ」
( ´ω`)「……」
ブーンは握り締めていた携帯を開いて、僕に見せた。
差出人はツン。2時間くらい前に送信されたメールだ。
('A`)「い、遺書メールって事か? 」
(´・ω・`)「うーん……」
86 名前:ダンサー(新潟県)[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 01:50:08.56 ID:G2CFQout0
内容を聞くのが怖い。
だってそこには、俺への恨みだけが詰まっているんだ。
耳をふさぎたくなる。
( ´ω`)「……これ、どういう意味だと思うお? 」
(´・ω・`)「分らない」
( ´ω`)「僕もだお」
ブーンは、携帯を握ったまま頭を抱えた。
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