( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜ξ゚听)ξハルシオンデイズなようです(^ω^ ) 第四話 そうして――?【side-T】〜

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218 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/12(月) 10:02:26.46 ID:Zhpyg8s20
《第四話 そうして――?》
             【side-T】
ξ;凵G)ξ「っ……!?」
ひゃっくりだったのかも知れないし、ただ単に脅ろいただけかも知れないけれど、
突然のバイブレーションに肩が震えた。ああ、こんな時に何よ!
誰そ彼とも付かない相手に転換した罵倒をあびせ、いつもより乱暴な仕草で携帯電話を取り出す。
ピッ。
ξ;凵G)ξ「あ」
手が滑った。ボタンを押してきずいたけれど、着いたのはメールじゃなく通話着信。
なんで、なんでこんな時に他人に私のこんな声聞かせなきゃならないんだろうか。
本当、今日はいい事がない。なさすぎる。

「もしもし、ツン?」

電話口から聞こえたのは、落ち着きを払った声。
ああ、誰とも付かなかった回線の向う側にいる人は――――
ξ;凵G)ξ「クー……?」
川 ゚ -゚)「ん。ああ、実はな、あの件で少し聞きたいことが……」
ξ゚听)ξ「え、あ。う、ん……」
クーの声が遠い。熱病に浮かされた時みたいに、全部が遠い。
出来るだけ平常を装った相槌をして、緩みそうになる琴線を必死に締めた。

219 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/12(月) 10:02:48.83 ID:Zhpyg8s20
川 ゚ -゚)「なあ、ツン――」
ξ゚听)ξ「うん?」
いつもと変わらないテンポでクーが口火を切った。不意に呼ばれた名前にドキリとする。

川 ゚ -゚)「ないているのか?」

……? 今、クーは、なんて言った?
段々とシナプスが繋がっていく。ないているのか? 泣いているのか。
言い当てられた? ――ううん、けど。私にだってちっぽけなプライドはある。
おえつを押し殺し、精一杯の虚勢を張る。ああ、もうこんなみみっちい努力なんかじゃ隠し通せはしないのは解かりきってる。
ξ゚听)ξ「泣いてないわよ。本当に」
川 ゚ -゚)「嘘だ」
ξ゚听)ξ「泣いてない」
川 ゚ -゚)「ツン」
クーが私を呼ぶ。ああ、何て穏かな響きなんだろう。
クーの声と反比例して心が乱れる。窓から初夏の風が吹き込んでくる。
今の私は熱病患者みたいだと思った。
世界が、遠い。

ξ;凵G)ξ「泣いてなんか、ない……!」

下手をすれば蝉の声にかき消されそうなほど、弱弱しい声量で私はクーに反論する。精一杯否定する。
ツン。もう一度、クーは私を呼んだ。

220 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/12(月) 10:03:59.18 ID:Zhpyg8s20


川 ゚ -゚)「今からそっちに行くから、待っててくれ」

相変わらず、クーは鏡のように平坦な湖面の声を出していた。それがいつも以上に酷く落ち着く。
回線が切れて、無機質な電子音が耳に届いて、
私は携帯電話を胸で抱きしめ、切れた回線に向け呟く。
伝わりはしない。むしろ伝わったらとてつもなく気恥ずかしいので、伝わらない方がいいと私は思う。

ξ;凵G)ξ「ありがとう――」

それでもおえつは漏れ、部屋を満たしていたのだけれど。




221 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/12(月) 10:05:01.87 ID:Zhpyg8s20
クーが隣にいる。部屋には静寂がある。
ある程度予想していた通り、部屋に上がって来たクーは私を問い詰めるような事はなかった。
どうしてとか、何で泣いてたんだとか、そう言う疑問符を一切掛けて来ず、ただクーは黙って私の背中を撫ぜた。
ありがたいと思う。こう言う親友を持てて幸せだと思う。
ξ;凵G)ξ「クー……」
川 ゚ -゚)「ん」
静かな相槌。
ξ;凵G)ξ「……のね、っ……あのね――」
ああ、駄目だ駄目だ。言葉にしようとすると途端に涙が溢れてくる。
こう言う時私はどうしようもない歯がゆさを覚える。なんで涙腺如き人間は制御出来ないんだろう。
喋ろうとすればする程この舌は凍り付いて行って。
川 ゚ -゚)「ん」
落ち着いたクーの声がする。その声を聞くたびに世界はクリアになって、
私は一言ずつ(歩みは極めて遅いけれど、停滞なく)言葉を発して。

川 ゚ -゚)「ああ」

おえつが挟まり、聞き取り難い事この上のない声なのに、
クーは聴き返すことをしない。ただ時折相槌をいれて背中をさすってくれている。

222 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/12(月) 10:05:58.71 ID:Zhpyg8s20


精一杯になりながら、私はクーに伝える。そして答えの提示を暗に促す。
拒絶された事とか、ブーンが変わったってそう言う意味だったの、とか。
私はどうすればいいのか、とか。

川 ゚ -゚)「ツン」

馬鹿馬鹿しくもあり、きっと私が思っている以上に卑怯な方法で、私は暗にクーを責めている。
あの時クーに会ってさせいなければ、こんな思いをする事はなかったのに、と。
今の私はどうしようもなくらいの馬鹿だ。

川 ゚ -゚)「ツン」

苦々しい声でクーが私の名前を呼ぶ。ねぇ、教えてよ。
私の選ぶべき道は、どこにあるの。

241 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/12(月) 14:58:51.56 ID:Zhpyg8s20
川 ゚ -゚)「本当に、そう思うか」
ξ゚听)ξ「…………」
背中をさする手は、もうなかった。
変わりに、しっかりと私の両腕を掴むクーの繊細な手。
クーの顔を私が見る事はない。……いや、違う。出来ない。
川 ゚ -゚)「ツン。君が選ぶべき道は沢山あると、本当にそう思うか」
ξ゚听)ξ「っ……!」
きっと私は醜い顔をしている。
それを見られるのが今は一番怖い。自覚するのが今は恐ろしい。
だから俯いて、直視しないようにした。クーによって照らされた道を見ないようにした。
私は卑怯だ。道を教えてと頼んだのに、いざその答えを示されると拒絶する。
川 ゚ -゚)「道はいくつもないだろう。それ所か、一つしかない。それをツンも解ってる。ちがうか?」
ξ;凵G)ξ「……そんな、こと……」
ない、とは言えなかった。明らかな嘘で、彼の決意を無碍に塗り潰したくなかった。
でもそれを認めたくない私もいて、アンビバレンスな気持ちに振り回されている私は中途半端なところで言葉を切る。
川 ゚ -゚)「ツン、解ってるんだろう?」
言い当てないで。お願いだから。

242 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/02/12(月) 14:59:24.62 ID:Zhpyg8s20
ξ;凵G)ξ「私は、……わたし、はっ」
私は悔しかったのだろう。
あいつが、ブーンが私をおいて進歩しようとするから。
どんなに拙い一歩であっても、アイツは前進しようとしたのだ。
それが物凄く、くやしかった。
いつの間にか、クーの手は背中でも腕でもなく、私の頭の上にあった。
頑張ったな、と苦笑い気味の声が頭上から降ってくる。
ξ;凵G)ξ「クー」
鎌首をもたげて、クーを見た。
てっきり無表情でこっちを見ていると思っていた親友は、声質を裏切らず苦笑いでこっちを見ていて。
ξ;凵G)ξ「クー」
川 ゚ -゚)「ん」
ξ;凵G)ξ「ありがとう」
川 ゚ ー゚)「ん」
どうやら私は、もう一度内藤に逢わなくてはいけないらしい。





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