311 名前:ξ゚听)ξツンはコタツでみかんが食べたいようです[] 投稿日:2007/10/13(土) 04:53:07.84 ID:8Cr3WmIZ0
『 氷柱抱きつき我慢大会〜!! 』
TVの画面には聞いたこともないし見たこともないような
マイナーな芸人たちがベタな企画をやらされている。
深夜のTVにはありがちでそろそろ飽きてきた。
ξ#゚听)ξ「あの馬鹿、おっそいわねー、何やってんのかしら」
一人でTVを見ていることに飽きた私は、
今はいないもう一人の部屋の住人に不満を漏らす。
その不満が届いたのか玄関の開く音が聞こえた。
( ^ω^)「ただいまだおー」
ξ#゚听)ξ「遅い! みかん買うのに何時間かかってんのよ! 」
スーパーのビニール袋を提げて帰宅したもう一人の住人に
私は不満をぶつける。
(;^ω^)「コンビニに売ってなかったから、24時間やってるスーパーまで行ったんだお」
そういって彼が袋から取り出したのはみかん。
ξ#゚听)ξ「ねぇ、何これ? 」
(;^ω^)「えー、みかんですお」
ξ#゚听)ξ「確かに、みかんね。私だってひらがなくらい読めるわよ」
313 名前:ξ゚听)ξツンはコタツでみかんが食べたいようです[] 投稿日:2007/10/13(土) 04:55:40.57 ID:8Cr3WmIZ0
私の目の前には確かにみかんが置かれている。
ξ#゚听)ξ「どう見ても円柱型してるけど? 」
私はみかんの缶詰を指でつつく。
ξ#゚听)ξ「こたつにみかんって言ったら、普通のみかんに決まってるじゃない! 」
(;^ω^)「し、しかたなかったんだお! これしかなかったんだお」
そういって彼は起用に缶切りで缶を開けると器にみかんを移す。
( ^ω^)「これじゃ、ダメかお? 」
彼はスプーンでみかんをすくうと私の目の前に差し出す。
( ^ω^)「はいツン、あーんだお」
ξ////)ξ「な、なに恥ずかしい事してんのよ! 」
( ^ω^)「はい、あーんだお」
彼はいつものように、にこやかに笑いながらスプーンを私の口元に持ってくる。
―毎回、毎回その笑顔にだまされると思ったら大間違いなんだから!
―絶対に開けないわよ!
( ^ω^)「ツン、あーんだお」
314 名前:ξ゚听)ξツンはコタツでみかんが食べたいようです[] 投稿日:2007/10/13(土) 04:57:47.42 ID:8Cr3WmIZ0
それでも、彼はめげない。
―くー! ずるいわよその顔!
―うー! 絶対開けないんだから!!
( ^ω^)「ツン、あーんするお」
―うううーー!
ξ//o//)ξ「あーん」
その瞬間、口の中にみかんの甘い味が広がる。
316 名前:ξ゚听)ξツンはコタツでみかんが食べたいようです[] 投稿日:2007/10/13(土) 05:00:05.81 ID:8Cr3WmIZ0
( ^ω^)「おいしいかお?」
彼はうつむく私の顔を覗き込むように見上げる。
ξ////)ξ「……うん」
私の言葉に彼は嬉しそうな笑顔を浮かべた。
( ^ω^)「それはよかったお」
そういってスプーンを置くとコタツに手を入れるとブルッと震えた。
( ^ω^)「はぁー、コタツはあったけぇおー」
ξ////)ξ「……」
そんな彼の手にそっとコタツの中で握ると、ひんやりと冷たい。
―外、寒かったのかな?
―悪いことしちゃったかな?
ξ////)ξ「……」
そんなことを考えながら、彼の手を包み込むように握ると、冷えた手の温度が心地よかった。
( ^ω^)「お? ツン、どうかしたかお」
ξ////)ξ「……別に。ちょっと手が熱いから冷やそうと思っただけ」
317 名前:ξ゚听)ξツンはコタツでみかんが食べたいようです[] 投稿日:2007/10/13(土) 05:02:38.24 ID:8Cr3WmIZ0
( ^ω^)「そうかお? 」
それ以上、彼は何も言わずにTVを見ていた。
ξ////)ξ「…………みかん、ありがと」
私は聞こえないようにポツリと呟いた。
―き、聞こえてないよね?
( ^ω^)「…………どういたしましてだお」
彼はこっちも見ないで、いつもの笑顔を浮かべたままそう答える。
でも、コタツの手はしっかりと握り返してくれた。
〜 fin 〜