( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)ツンとクーは姉妹になったようです 第4章「わたしたちの、すきま。」〜

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86 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:58:02.64 ID:M4KKdDfE0
第4章「わたしたちの、すきま。」


ツンちゃんが家に来てから早くも一ヶ月が経過した。
私は再び殺風景になった自分の部屋にかけてあるカレンダーをみて思わずため息をついてしまった。

ツンちゃんは私の部屋のとなりにある、物置と化していた部屋を整理してそこに入ることになった。
そしてその部屋の扉は、何より遠く何より重い扉になってしまった。

ご飯を食べるとき以外と、朝学校に出かけるとき以外に
彼女の顔を見かける時間は全体としてかなり少なくなってしまった。

当然のことながら彼女は学校にも行き始め、さらに接点が減っていった。
もしかして、世間のきょうだいたちは皆こうなのだろうか。
こんなので寂しくないのだろうか。

もしかしたら、部屋を分けたのは失敗だったかもしれない。
でも、いつまでもリビングのソファで寝かせるわけには行かない。

彼女は何度となくした私の提案を、ことごとく却下した。
そしてここのソファで寝ることにこだわった。
最初はよほど気に入っているのかとあまり気にも留めなかったが、
時間が経つに連れてやはりそれは不自然であると思うようになった。


87 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 00:59:04.46 ID:M4KKdDfE0
相変わらず両親は仕事人間で、二人も最初の頃こそ早く帰ってなんとか
団欒を造ろうと思っていたようだが、そうもいかなくなってきたようだ。

最近は一人ないし二人でご飯をつつくことが日常的になってきていた。
やはり、会話らしい会話はまるでなし。彼女は笑いもしない。
時々箸を止めてはふっと一息ついて、また食べ始める。

私がじっと見ているのを気にも留めず、黙々と食べ続けている。
なんだか儀式のようだ。習慣とか慣習とか、そういったものに縛られているアレ。
彼女にとって食事とは一日の中にある「儀式」に他ならない。
そうなんじゃないかとすら思えるようになっていた。

そんなこともあってやっぱり私は不機嫌だった。
毒ガスでも噴出しているんではないかというくらい、不機嫌だった。
学校では私が通るたび、さーっと人が避けて通るようになっていた。


88 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:00:09.88 ID:M4KKdDfE0
(*゚ー゚) 「ねー、どうしたのよ。最近はクーがドクーになったってみんな噂してるわよ」

川 ゚ -゚) 「毒でもなんでも好きなように呼んでくれたらいいさ。
     私はダメな姉貴だよ」

(*゚ー゚) 「噂の義妹ね?クーを悩ませるなんて、相当なへそ曲がりのようね」

川 ゚ -゚) 「あの子はヘソが背中についてるようだ・・・ほとんど私と口を
     きいてくれないんだよ」

(*゚ー゚) 「そっかぁ・・・気の利いたアドバイスなんてものをしてあげたいんだけど
     私にはそんな経験ないからなぁ。ごめんね」

川 ゚ -゚) 「いや、いいんだ。聞いてもらっただけでなんとなくすっとしたから。
      いろいろと角度を変えて接してみるよ」

(*゚ー゚) 「そう?でもあんまり根詰めないようにね。意固地になるのは、
     クーの悪い癖だから」

川 ゚ -゚) 「ありがとう。お礼に今日はミスドで何でも好きなもの頼んでいいぞ」


89 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:00:47.34 ID:M4KKdDfE0
予想外の出費だが、大丈夫。
しぃにはいつもお世話になっているからこれくらいはしてあげないと。

ついでにツンちゃんへとお土産を買っていくことにした。
ポン・デ・リングなら、誰でも好きだよな・・・

ツンちゃんの部屋の扉を、ドキドキしながらノックする私。
片手にはさっき買った、ミスドのポン・デ・リングがたくさん入った箱を持っている。

男の子の部屋に入るんじゃないんだから、そんなに鼓動を高めなくても・・・
と自分に突っ込んでみてもどうしようもない。

高まるものは高まるまま、放っておけばいい。

ガチャリとドアが開く。隙間からは、ツンちゃんがこちらをのぞいていた。


90 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:01:29.09 ID:M4KKdDfE0
ξ゚听)ξ「どうしました?」

川 ゚ -゚) 「ミスドに寄ったもので、ついでにツンちゃんへのお土産を
     買って・・・きたんだけど」

ξ゚听)ξ「ありがとうございます。台所においといてください。
     あとで食べますから」


ツンちゃんの口調には拒絶の色がありありと出ていた。
しかし私はここで食い下がった。いつものように「ああ、そう」と引き下がっては
埒が明かない。


91 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:01:53.05 ID:M4KKdDfE0
川 ゚ -゚) 「いや、私は一緒に食べようと思って持ってきたんだが」

ξ゚听)ξ「一緒に?どうしてですか?」

川 ゚ -゚) 「こうやってドーナッツでも食べて、お茶でも飲みながら
     ワイワイお話をするのが夢だったんだ。これじゃあダメかな」

ξ゚听)ξ「私と食べたっておいしくないですよ」

川 ゚ -゚) クー「一人で食べたらもっとおいしくない」


92 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:03:39.23 ID:M4KKdDfE0
じりじりと長期戦の様相を呈してきた。持久力には正直あまり自信がない。
しかしどうしてこう、この子は頑ななんだろう。何か理由でもあるのだろうか。

隙を見てツンちゃんはぐいっとドアを閉めようとした。
とっさに私はノブを握り、持てる力のすべてを込めてドアを引っ張った。

私がドアノブを絶対に離す気がないことがわかると、ツンちゃんはため息をついた。


ξ゚听)ξ「しょうがないですね・・・ひとつ食べたら部屋に戻りますから」

川 ゚ -゚) 「おお、それはよかった。じゃあ早く下にいこう。飲み物は何がいい?
      紅茶?緑茶?麦茶?ウーロン茶?」

ξ゚ー゚)ξ「お茶ばっかりですね」

ツンちゃんがクスリと笑った。私はそれを見逃さなかった。
笑うとツンちゃんはなんて可愛いんだろう。そして、どうしてこんな可愛い子が
笑わないんだろうか。


93 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:04:16.57 ID:M4KKdDfE0
川 ゚ -゚) 「今・・・笑った!!笑っただろう!!」

ξ゚听)ξ「え?笑ってないですよ」

川 ゚ -゚) 「いや笑った!!ツンちゃん、笑ったよ、キミは!!」

ξ゚听)ξ「笑ってないです!!」

川 ゚ -゚) 「私は怒ってるわけじゃないんだぞ?それにいいじゃないか、笑ったって。
     笑ったツンちゃんは最高にステキだったよ」

ξ゚听)ξ「とっ、とにかく私は笑ってません!!もう部屋に戻ります!!」


95 名前:愛のVIP戦士[] 投稿日:2007/03/11(日) 01:05:07.64 ID:M4KKdDfE0
あっという間に彼女は降りていた降りていた階段を駆け上り、自分の部屋に
飛び込んで猛烈な勢いで扉を閉めてしまった。

でも私は見てしまった。彼女が顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたことを。
そして知ってしまった。笑うとまるで太陽のように輝くことを。

余計気になったのは、彼女はどうしてそうまでして自分の感情を
隠したがるのか、ということだった。

私のこれは元来の性格なので、直しようもない。だけどツンちゃんはそうじゃない。

しかし私は上の二つを知ったおかげでしばらくツンちゃんとは目も合わせて
もらえなかったのだが。


第4章「わたしたちの、すきま。」 〜終〜




【関連】
一気読み
第1章 - 第2章 - 第3章 - 第4章 - 第5章

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