( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)ブーンと猫と神様〜

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1 名前: ◆Joy86y.LIU [] 投稿日:2006/12/03(日) 01:17:59.67 ID:hgYoUsgd0        




昔々、あるところに若い夫婦が住んでいました。        





2 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:19:12.95 ID:hgYoUsgd0  

( ^ω^)「それじゃ、そろそろ行くおwwwwww」  

ξ^ー^)ξ「えぇ、今日も頑張りましょw」      



2人は幼いときから仲良しで、何をするにも2人一緒でした。  

いつものように毎朝同じ時間に起き、朝ご飯も一緒に食べ、以前に2人で一生懸命頑張って作った畑で仕事をする………。  

貧しいながらも幸せで平凡な暮らしをしていました。       



一見、幸せそうな、どこにでもいる夫婦のようですが、2人には1つだけ大きな悩みがありました。   


3 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:19:34.82 ID:hgYoUsgd0  

(´・ω・`)「やぁ、ブーンにツンじゃないか。おはよう」  

( ^ω^)「おっwwwショボンwwwwwおはようだおwwwwしぃちゃんも、おはようだおwwwww」  

(*゚ー゚)「ブーンさん、ツンさん、おはようございますw」  

ξ^ー^)ξ「おはよう、しぃちゃんwww今日はお父さんのお仕事のお手伝い?」  

(*゚ー゚)「うん、畑のお手伝いするのww」      



しぃはお父さんの手を繋ぎながら、天使のような笑顔で元気よく返事をしました。   


4 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:20:07.58 ID:hgYoUsgd0  

( ^ω^)「しぃちゃんは偉いおwwwwおじさん、関心しちゃうおwwwww」  

(´・ω・`)「もう10歳だからね。そろそろ手伝わせてもいいかなって。それじゃ、僕たちは行くよ」  

(*゚ー゚)「ブーンさん、ツンさん、バイバイwww」   

 ^ω^)^ー^)ξ「バイバイwww」      



同じ村にすむショボンは、ブーンとツンの幼馴染で、早くに結婚をし、子供もできました。  

ブーンとツン、それにショボンとしぃは、それぞれの畑へと向かいました。  


5 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:20:40.28 ID:hgYoUsgd0  

( ´ω`)「………」  

ξ゚听)ξ「………ブーン?」  

( ´ω`)「………おっ?」  

ξ゚听)ξ「………やっぱり気にしてるの?」  

( ^ω^)「おっおっwwwwwそんなことないおwwwww」  

ξ;;)ξ「ごめんなさい………きっと………私のせいなんだよね………」  

(;^ω^)「ツンのせいなんかじゃないお!!!ブーンはツンと2人でいるだけで幸せだお!!!」      



2人には子供ができなかったのです。   


6 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:21:13.28 ID:hgYoUsgd0        




          ( ^ω^)ブーンと猫と神様        





7 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:21:50.21 ID:hgYoUsgd0  

ブーンはツンを慰めながら、2人で一生懸命作った畑へと向かいました。  

季節はもう秋。  

畑に続く山道の木々は紅色に染まり、それはもう、この世のものとは思えないほど美しい光景で………。   

紅色に染まった木々から零れる木漏れ日は、2人の行く道を照らしていました。      



ξ;;)ξ「ごめんなさい………ごめんなさい………」  

( ^ω^)「ツンは気にしすぎだお………ほら、ツンの可愛い顔が涙で台無しだおwwww」      



しばらく山道を歩くと、2人の畑が見えてきました。  


9 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:22:33.62 ID:hgYoUsgd0  

( ^ω^)「ツン、泣き止んだかお?wwwwそれじゃ、今日も頑張るおwwwwww」  

ξぅー^)ξ「うん、頑張ろwww」    
 


今日の朝は少しだけ悲しい気分になりましたが、いつものように2人は畑仕事に取り掛かりました。  

今年の冬は暖かく過ごせそうだ………。    

今年はいつもよりも豊作のようで、2人の作業もいつも以上にはかどりました。    
 

一生懸命に仕事をすればするほど、時間が経つのを早く感じるもので、2人が気が付いた頃には、お日様は真っ赤に染まりながら山の裏側に隠れようとしていました。。  


11 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:23:12.69 ID:hgYoUsgd0  

2人仲良く手を繋ぎながら、少し薄暗くなった山道を通り、村へと帰りました。  

家に着く頃には、お月様が辺りを照らしていて、すっかり夜になっていました。      



( ^ω^)「うぃーwwwww今日も頑張ったおwwwww疲れたおwwwww」  

ξ^ー^)ξ「お腹空いたでしょ?wwwすぐに晩ご飯の準備をするからねwww」  

( ^ω^)「うはwwwktkrwwwっうぇwwwwその間に最後の仕事するおwwwwww」      



ブーンはいつものように畑仕事で使った道具の手入れを、ツンは近くの川で今日の晩ご飯で使う野菜を洗いに行きました。  


12 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:23:58.48 ID:hgYoUsgd0  

ツンがいつもの川でいつものように野菜を洗っていると、どこからともなく動物の鳴き声がしました。  

「ゴラァ………ゴ………ゴラァ………」  

ξ;゚听)ξ「ちょっと………何よ………この聞いたことないような鳴き声………まさか………UMA!?」      



ツンは辺りを見渡すと、近くに子猫が倒れているのを見つけました。  

毛は短く、雪のように白い子猫でした。   

何やらその子猫は弱っているようです。    
 

(;-Д-)「ゴラァ………」  

ξ゚听)ξ「何よ!ただの猫じゃない!まったく、驚かせt………って、この子、様子が変ね………」  


13 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:24:33.02 ID:hgYoUsgd0  

(;-Д-)「ゴ、ゴラァ………」  

ξ;゚听)ξ「よしよし、どうしたの………って、この子、ケガしてる………!!」      



その子猫の左後ろ足には砂に汚れた大きな傷があり、月明かりが子猫の血を不気味に照らしていました。      



ξ;゚听)ξ「大変………!!」      



ツンは野菜を洗うのも忘れ、その子猫を抱きかかえ、家へと走りました。  


15 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:25:42.24 ID:hgYoUsgd0  

薄暗い夜道、ツンは何度もこけそうになりながらも、その子猫を抱きしめ、なんとか家へと辿り着きました。      



(;^ω^)「おっおっwwツンおかえr………って、どうしたんだお!!??」  

ξ;゚听)ξ「そこの川でこの子猫がケガをして動けずにいたの!!だから………!!」  

(;^ω^)「おっおっwwwとりあえず、僕は薬草の準備をするから、ツンはその子猫を見てるお!!」  

ξ;゚听)ξ「うん!!」      


ブーンは家の裏山へ薬草を取りに行き、ツンは子猫のために有り合わせの布でお布団を作ってあげました。  

ツンの服と手には子猫の血がべっとりと付いており、その傷がとても深いものだったことを物語っていました。  


16 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:26:45.93 ID:hgYoUsgd0  

しばらくすると、ブーンが裏山から薬草を取ってきて、それをすり潰して子猫の傷に塗ってあげました。  

悲痛な鳴き声が、狭い部屋に響き渡りましたが、傷を治すためには仕方のないことでした。  

薬草を塗ると、傷からは血が止まり、子猫も楽になってきたようでした。      



その後、三日三晩、ブーンとツンは付きっきりで子猫の看病をしました。  

そして2週間後………。  


17 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:27:26.44 ID:hgYoUsgd0  

( ^ω^)「それじゃ、そろそろ行くおwwwwww」  

ξ^ー^)ξ「えぇ、今日も頑張りましょw」  

(,,゚Д゚)「ゴラァ!!」      



子猫は元気を取り戻し、元気に歩けるようになりました。  

2人と1匹は今日もいつもの畑へと向かいます。   


19 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:28:14.18 ID:hgYoUsgd0  

ケガが治ってから、子猫はブーンとツンにとてもなつきました。  

2人はその子猫にギコと名づけました。   

いつものように毎朝同じ時間に起き、朝ご飯も一緒に食べ、畑へ向かう2人へ付いて行く………。  

その日から2人と1匹はいつも一緒でした。    

ギコは他の猫と少しだけ鳴き声が違いますが、2人にとても可愛がられました。  

それはもう、まるで自分たちの息子のように………。  

ギコも2人のことをお父さんとお母さんだと思うようになりました。   


20 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:28:50.81 ID:hgYoUsgd0  

ギコはその可愛さからか、村で人気者になりました。      



(*゚ー゚)「ギコちゃん可愛いねwwwねぇねぇ、ナデナデしてもいい?」  

( ^ω^)「おっおっwwwwおkおkwwwwwww」  

(*゚ー゚)「ギコちゃん可愛いwwwwww」  

(,,*゚Д゚)「ゴ、ゴラァ!!」  

(´・ω・`)「それにしても、可愛い子猫だね。うらやましいよ」  

( ^ω^)「おっおっおっwwww自慢の息子だおwwwwwね、ツンwwww」  

ξ^ー^)ξ「えぇwwwフフフwww」  

(,,゚Д゚)「ゴラァ!!」  


22 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:31:23.52 ID:hgYoUsgd0  

お父さんとお母さんをを支配していた子供がいないという寂しさは、まるでギコが全部食べてしまったみたいに、消えてなくなりました。  

そのおかげで、お父さんとお母さんの間には常に笑顔が絶えませんでした。      



ギコはブーンのお腹の上が大好きでした。  

お父さんが仰向けになって寝転がると、すぐにお父さんのお腹の上に、顔の方を向いて乗っかりました。      



( ^ω^)「おっおっおっwwwwギコは甘えん坊さんだおwwwww」  

(,,゚Д゚)「ゴラァ!!」      



朝にお父さんを起こすとき、夜中に構ってほしいとき、急に寂しくなったとき、お父さんが風邪をひいて寝込んでしまったとき………。  

よくお腹の上に乗っかっていました。  


24 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:32:39.66 ID:hgYoUsgd0  

時は過ぎ、ギコがお父さんとお母さんの家に来て10年が経とうとしていました。      



ぽかぽか陽気の中、一緒に桜の花を見に裏山まで散歩した、春。   暑い日差しの中、畑仕事の合間に木陰でじゃれあった、夏。  

紅色に染まった木々の木漏れ日の中、里山を一緒に探検した、秋。  

深い雪で村が埋まってしまった中、お父さんのお腹の上で一緒に暖かい春を待った、冬。  

どれもギコにとっては、かけがえの無い思い出でした。      



しかし、出会いがあれば別れもある………時というものは、とても残酷なもののようです。  


26 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:34:25.22 ID:hgYoUsgd0  

( ;ω;)「ギコ!!大丈夫かお!!??しっかりするお!!」  

ξ;;)ξ「ギコ!!聞こえる!!??ギコ!!!」  

(;-Д-)「ゴ………ゴラァ………」      



この数日の間、ギコには食欲も無く、また、以前のように走り回れるような元気も残っていませんでした。  

お父さんが知っているどの薬草をギコに飲ませても、お母さんが作ったおいしい料理を食べさせようとしても、元気にはなりませんでした。  

老衰………猫は人間の何倍もの速さで歳を取るらしく、ギコは人間でいうお爺ちゃんになっていたのです。  

『お爺ちゃんになっても、俺はお父さんとお母さんの子ども』  

それはギコにとって誇れるべきことでした。  


27 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:35:27.71 ID:hgYoUsgd0  

(;-Д-)「ゴ………ラ………ァ………」  

( ;ω;)「ギコ!!死ぬなお!!!!ギコ!!!!!」  

ξ;;)ξ「ギコ!!ギコ!!!!」      



お父さんとお母さんはギコを優しく、暖かく抱きしめてやりました。      



(,,-Д-)「………」      



ギコはもう起きることのない、深い眠りにつきました。  


30 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:37:47.91 ID:hgYoUsgd0  

(,,゚Д゚)「何だ、ここは………ゴラァ………」      



ギコが目を覚ますと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。      



(,,゚Д゚)「あぁ………俺は死んだのか………ゴラァ………」  

「ギコや………ギコや………」      



何やら後ろの方から声が聞こえてきました。   


31 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:38:29.41 ID:hgYoUsgd0  

(,,゚Д゚)「誰だゴラァ!!!」  

( ´∀`)「こっちへおいでモナー」      



後ろを振り向くと、そこには大きな背の高い木があり、その木の下に1人の老人が立っていました。  

ギコはその老人の下へ走っていきました。      


(,,゚Д゚)「誰だゴラァ!!!何で俺の名前を知ってるんだゴラァ!!!!」   

( ´∀`)「まぁまぁ、そんなに怪しまなくてもいいモナー。ワシは神様だモナー」  

(,,゚Д゚)「神様ぁ!!??」   


32 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:39:07.80 ID:hgYoUsgd0  

白い布の服を身に纏った老人の髪の毛とヒゲは真っ白でとても長く、立派な樫の杖を持っており、いかにも神様のような風貌でした。      


(,,゚Д゚)「その神様が一体、俺に何の用があるんだゴラァ!!!!」   

( ´∀`)「君にご褒美をあげようと思って呼んだんだモナー」  

(,,゚Д゚)「ご褒美ぃ!!??」   


34 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:40:27.71 ID:hgYoUsgd0  

( ´∀`)「そうだモナー。ご褒美として願いを1つだけ叶えてあげるモナー」  

(,,゚Д゚)「ご褒美ぃ!!??何だって俺にご褒美なんかくれてやるんだゴラァ!!!」  

( ´∀`)「ワシは君の一生をずっと見てきたモナー。君は子供のいない夫婦に、まるでその夫婦の子供のように振舞って、寂しさを忘れさせてあげたモナー。ワシはそれを見て、とっても感動したモナー。だからご褒美として1つだけ願いをかなえてあげるモナー」  

(,,゚Д゚)「本当か!!??それは本当なんだなゴラァ!!!」  

( ´∀`)「本当だモナー。神様は嘘を付かないモナー」  

(,,゚Д゚)「それなら俺を今すぐに生き返らせろ!!!生き返らせてお父さんととお母さんがいるところに連れて行けゴラァ!!!!」      



ギコはまだ死にたくはありませんでした。  

もっとお父さんとお母さんに甘えたいし、きっと2人も悲しんでいる。  

そう思ったギコは神様にそう頼みました。  


35 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:41:32.96 ID:hgYoUsgd0  

( ´∀`)「いいモナよー。その願い叶えてあげるモナー。ただし、条件があるモナー」  

(,,゚Д゚)「条件………」      



神様はギコを生き返らせる代わりに、4つの条件を出しました。  

1つ目は生前の姿では生き返らせることはできないということ。  

2つ目はお父さんとお母さんの前で『ゴラァ!!』と鳴いてはいけない。  

3つ目はお父さんのお腹の上に乗ったり、お父さんとお母さんに以前のように甘えてはいけないこと。  

そして最後の4つ目はお父さんとお母さんにギコの生まれ変わりだと気付かれてはいけないこと。      



( ´∀`)「どうモナか?この条件、飲むモナか?飲まないモナか?」  

(,,゚Д゚)「………」   


36 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:42:21.16 ID:hgYoUsgd0  

(,,゚Д゚)「その条件、飲んだゴラァ!!!!!!!」      



ギコに迷いは微塵もありませんでした。  

自分のことはどうでもいい。  

とにかく、お父さんとお母さんが寂しくないように、そばにいてあげなければ………。  

ギコは強い決心の下、神様に返事をしました。       



( ´∀`)「よし、わかったモナー。それではさっそく、君を生き返させるモナー」  

(,,゚Д゚)「ッッッッ!!!!????」      



神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。  


37 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:43:22.02 ID:hgYoUsgd0  

ミ,,-Д-彡「ゴ………ゴラァ………」  

ミ;゚Д゚彡「ゴ、ゴラァ!!!???」      



気が付くと、そこはお母さんが10年前に助けてくれた川原でした。  

川の音、それに砂利の冷たい感触………どれも10年前と変わっていませんでした。   

月明かりが照らす水鏡で自分の姿を見てみると、ギコの体は茶色で長い毛で覆われており、以前の面影はまったくありませんでした。      



ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ………」      



ギコはとりあえず、お父さんとお母さんが住んでいる家へと向かいました。  


39 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:44:50.45 ID:hgYoUsgd0  

月明かりが照らす見慣れた薄暗い道をしばらく走り、10年間一緒に暮らした家に辿り着きました。  

優しくて暖かい、そして懐かしい明かりが、暗い夜道を走ったギコの目に入り込んできました。  

中からお父さんとお母さんの会話が聞こえてきます………。      



( ´ω`)「ギコが死んで………もう半年かお………」  

ξぅ−゚)ξ「そうね………早いわね………」  

( ;ω;)「うぅ………ギコ………」  

ミ,,゚Д゚彡「………」      



窓からこっそり中の様子を伺うと、そこには今まで見たことのないお父さんとお母さんの悲しそうな表情がありました。  

死んで半年………ギコは知らない間に長い時間が過ぎていたようです。  

ここで生きていたときのように元気よく中に入りたいのですが、神様の条件を思い出し、そうもいきません。  

このとき、ギコは自分の無力さを恥じました。   


42 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:45:33.56 ID:hgYoUsgd0  

今、ここで中に入るのは不自然だろう………。  

ギコはそう思い、トボトボと家から離れて行きました。  

たまに後ろを振り向いて、優しくて暖かい、そして懐かしい明かりが遠くなっていくのを確認しながら………。  

行く当ての無いギコは、月明かりが照らす山道を歩いていきました。  

今までお父さんとお母さんに、たくさん可愛がられたことを思い出しながら………。  

しばらく歩くと、お父さんとお母さんの畑が見えてきました。  


43 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:46:57.97 ID:hgYoUsgd0  

今日はここで寝るか………。   

行く当ての無いギコは、お父さんとお母さんが畑仕事の合間によく休憩場所として使っていた、大きな桜の木の根元に寝転がりました。  

そういえば………いろんなことがあったな………。   

目を閉じると、10年間の思い出が、まぶたの裏に映し出されてきて、知らないうちに大粒の涙が零れてきました。  

今日は晴れていて、こんなにも月が明るくて綺麗なのに、そこだけまるで雨が降っているかのように、たくさんの涙が零れ落ちていました。  

お父さんとお母さんには感謝しても感謝しきれない………たくさんの恩があるんだと、改めて思いました。  


45 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:47:55.17 ID:hgYoUsgd0  

涙で濡れた顔をこすると、すぐ横に何やら石と花が置いてありました。  

生きていた頃はこんな物はなかったはず………。  

ギコはそれが何なのかを、涙で滲んだ視界で確認しました。  

石の大きさはギコと同じくらいで、周りには色とりどりの花々が供えてあり、石には『ギコ』と彫られてありました。   

これは………俺の墓………?  

ギコは改めて、自分という存在がこの世から消えてしまったということを自覚しました。  


46 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:48:30.51 ID:hgYoUsgd0  

俺のためなんかに墓なんか作ってくれた………。  

俺のためなんかにたくさんの花を供えてくれた………。  

俺のためなんかに悲しんでくれた………。  

今度は………俺の番だ!!!   

ギコはお父さんとお母さんに恩返しをする決心をし、眠りにつきました。  


47 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:49:10.57 ID:hgYoUsgd0  

朝日がまぶた隙間から入り込んで、泥のように眠っていたギコを起こしました。  

もうしばらく寝てよう………。  

疲れてたギコはそう思い、再びまぶたに隙間ができないよう、固く固く閉じました。  

どうやってお父さんとお母さんに恩返しをしようか………そんなことを考えながら再び気持ちのいい夢の世界へ足を踏み入れようとしたとき、何かの気配に気がつきました。      



( ^ω^)「おっおっ?何だ?この猫………」  

ξ゚听)ξ「見かけない猫ね………」  

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」      



そこにはギコを囲むようにしてしゃがんでこちらを見ている、懐かしい顔………お父さんとお母さんの顔がありました。  


49 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:49:50.66 ID:hgYoUsgd0  

ミ,,゚Д゚彡「………」  

ξ゚听)ξ「見かけない猫ね………」  

( ^ω^)「おっおっwwwこっちへおでおwwwww」  

ミ,,゚Д゚彡「ゴr………ッッッ!!!」      



この前までなら、お父さんとお母さんに近づいて甘えるのが、ギコにとって何よりの幸せでした。  

いつものようにお父さんに近づいて甘えようとしたとき、神様の4つの条件を思い出しました。      



ミ,,゚Д゚彡「………」  


50 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:50:24.20 ID:hgYoUsgd0  

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」  

(;^ω^)「ちょwwwwwいきなりなんだお!!??wwww」    
 


お父さんがギコに手を差し伸べられた瞬間、ギコは全身の毛を逆立たせて威嚇しました。  

今まで出したことのないような怒った声も、このとき生まれて初めて出しました。      



ミ#゚Д゚彡「ウウウウゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」  

(;^ω^)「馴れ合いを知らない猫だおwwwwwどっかのコテとは大違いだおwwwwww野生のオーラ炸裂だおwwwww」  


51 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:51:20.08 ID:hgYoUsgd0  

お父さんとお母さんのそばに、少しの間だけでもいいからいたい………。  

だからギコは一生懸命、お父さんとお母さんに向かって威嚇しました。  

本当はこんなことはしたくない………いや、してはいけない………。   

そばにいたいのに甘えてはいけない………。  

神様の4つの条件が、ギコの綺麗に透き通った心を締め付けました。   

ごめんなさい、ごめんなさい………そう思いながらギコは一生懸命鳴きました。   


53 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:52:15.45 ID:hgYoUsgd0  

ξ゚听)ξ「この子………お腹が空いてるのかしら………」  

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」  

ξ゚听)ξ「よしよし………怖がらなくていいからね………」      



お母さんはそう言うと、お昼ご飯のために作ったおにぎりを、ギコの前に置きました。      



ξ^ー^)ξ「はいww怖がらなくていいからねwwwお食べwwww」  

( ^ω^)「よしよしwwwwそれじゃ仕事するおwwwww」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  


54 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:53:00.63 ID:hgYoUsgd0  

お父さんとお母さんはギコのすぐ横に荷物を置き、2人の畑へと向かいました。  

目の前にはお母さんが作ったおにぎり………。  

ギコは昨日から何も食べていないせいか、何も考えずに食らいつきました。  

喉が詰まりそうになりましたが、空っぽのお腹にお母さんのおにぎりを詰め込みました。  

途中、神様の条件を思い出しましたが、何も起こらないようなので、食べ物を貰うことは大丈夫なのだと確信しました    

おにぎりを半分くらい食べ終えた頃、ギコは目頭が熱くなっているということに気が付きました。  


55 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:53:40.40 ID:hgYoUsgd0  

お母さんが握ってくれたおにぎり………。  

横に置かれたお父さんとお母さんの荷物からする懐かしい匂い………。  

そして、お父さんとお母さんが働く様子………。  

何も変わっていませんでした。  

ただ変わっているのは自分の立場だけ………。  

ギコはお父さんとお母さんのそばに再び戻ってこれたことに感謝しながら、残り半分のおにぎりを食べました。  

残り半分のおにぎりは、なんだかギコにはしょっぱく感じてしまったようです。  


57 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:54:49.79 ID:hgYoUsgd0  

お日様が1日のうち1番高くに昇る頃、お父さんとお母さんはいつものように大きな桜の木の根元で休憩を始めました。  

ギコは心とは思っていることと反対のこと………お父さんとお母さんから離れたところに、ちょこんと座りました。      



( ^ω^)「うはーwwww休憩するおーwwwwww」  

ξ^ー^)ξ「さ、お弁当にしましょうwwww」      



お父さんとお母さんはいつものようにお昼ご飯を食べ始めました。  

少し離れたところからお父さんとお母さんの様子を伺って………そばに行きたいんだけど、行けなくて………。      



ミ,,゚Д゚彡「………」      



ギコは黙ってお父さんとお母さんを見ていることしかできませんでした。   


58 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:55:35.18 ID:hgYoUsgd0  

ξ゚听)ξ「あら………さっきの猫、まだいるわ」  

( ^ω^)「おっおっおっwwwww本当だおwwwwwそんなとこにいないで、こっちにおいでおwwwwww」  

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!」  

(:^ω^)「ちょwwwwやっぱりかおwwwwwwそれじゃ仕事に戻るおwwwww」      



そういうと、お父さんとお母さんは畑仕事に戻っていきました。  

ギコの心の中は、寂しい気持ちと申し訳ない気持ちで、薄暗い悲しい色に染まっていました。  


59 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:56:20.20 ID:hgYoUsgd0  

ギコは畑から少し離れたところで、お父さんとお母さんの畑仕事を見守っていました。  

これからどうしようか………。  

どうやって恩返ししようか………。  

そんなことばかり考えながらお父さんとお母さんを見守っていると、いつのまにやら、お日様は真っ赤に染まりながら山の裏側に隠れようとしていました。  

お父さんとお母さんも家へ帰る準備を終え、ギコの墓の前に座り込んで、目を閉じ、手を合わせました。      



( ^ω^)「ギコや………今日も父ちゃんと母ちゃんはケガもなく、無事に仕事を終えることができたお………」  

ξ゚听)ξ「今日はもう帰るけど………また………また明日も来るからね………」  

( ぅω^)「グス………それじゃ帰るお………」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  


61 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:57:05.21 ID:hgYoUsgd0  

ギコは、自分が死んだせいでお父さんとお母さんが悲しんでいる、と思いました。  

お父さんとお母さんの悲しみを無くすには、神様の4つの条件を破らないように、以前のギコを忘れさせるように振舞えばいい。   

ギコに大きな目標ができました。  

目標のできたギコは、気付かれないように、お父さんとお母さんの後を追うことにしました。  

夕焼け色の少しだけ薄暗い家路は、ギコにはとても懐かしく感じさせるものでした。  

でも、以前のようにお父さんとお母さんに甘えながら家に帰ってはいけないので、なんだか心細い気がしました。  


62 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:57:45.22 ID:hgYoUsgd0  

ξ゚听)ξ「あれ?さっきの猫………ついてきてるわ………」  

( ^ω^)「あの猫はきっとツンデレなんだおwwwwww」  

ミ,,゚Д゚彡「………」      



家に着くと、お父さんとお母さんは家の中に入っていきました。  

ギコは神様の4つの条件が気になって、中に入ることは出来ませんでした。  

暗かった家に暖かな明かりが灯り、お母さんはすぐに川へ野菜を洗いに行きました。  


63 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:58:59.16 ID:hgYoUsgd0  

お母さん1人で夜道は危険だ………。  

玄関から出てきたお母さんを、ギコは少し離れて後を追いました。      



ξ゚听)ξ「あら?さっきの………着いてきちゃったんだ」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  

ξ^ー^)ξ「フフフ………お腹空いてるんでしょwww後でご飯あげるからねwww」      



月明かりが照らす夜道を、ギコとお母さんが歩きます。  

ギコとお母さんの間に少しだけ距離はありましたが、それはまるで、ギコが生きていたときのような光景でした。  


64 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 01:59:24.91 ID:hgYoUsgd0  

川に着くと、お母さんはいつものように野菜を洗い始めました。  

ギコはお母さんに寄り添いたい気持ちを一生懸命抑え、少し離れたところでちょこんと座りました。      



ξ^ー^)ξ「フフフ………すぐに終わるから待っててねwww」  

ミ,,゚Д゚彡「………」      



そのときでした。   


65 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:02:21.86 ID:hgYoUsgd0  

「ウウウウゥゥゥゥゥ………ワン!!!!ワン!!!!!111!!!」  

「ヴヴヴヴヴヴ………」      



ギコがいる反対側の、お母さんから少し離れた暗闇の中から、獰猛そうな野犬数匹が現れました。  

今にもお母さんを襲いかかるかのように、涎を垂らしながら威嚇していました。      



ξ;゚听)ξ「ちょ………ちょっと………」  

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!!!!!!!111!!」      



お母さんを守らなきゃ………!!!    

ギコはそれ以外のことは考えず、自分よりも何倍も大きい野犬に全速力で立ち向かっていきました。  


67 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:03:07.23 ID:hgYoUsgd0  

ミ,,-Д-彡「………」  

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」  

( ^ω^)「おっおっおっwwww起きたみたいだおwwwww」  

ξ;;)ξ「よかった………よかったぁ………」      



目を覚ますと、お父さんとお母さんの顔がギコを覗き込んでいました。  

懐かしい天井の色、家の暖かい明かり、生きていたときに布団として使っていた座布団………。  

どうやら家の中にいるようです。  


68 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:03:48.65 ID:hgYoUsgd0  

ミ,,゚Д゚彡「………」      



お母さんは………!?  

お母さんを見てみると、ケガはしていないようです。  

どうやらお母さんは無事みたいです。  

ギコは安心しました。  

そして、すぐに神様の4つの条件が頭をよぎり、家を出るために起き上がろうとしました。      



ミ;゚Д゚彡「………グッッッ!!!???」      



少しでも動こうとすると、それを拒むかのように全身に激痛が走りました。   

体のいたるところに薬草を染み込ませた包帯が巻かれてあります。   


69 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:05:04.01 ID:hgYoUsgd0  

ξ;凵G)ξ「ありがとうね………私なんかのために、本当にありがとうね………」  

( ^ω^)「おっおっおっwwwwwお前は偉い猫だおwwwwwたった1匹で野犬をやっつけてしまうなんてwwwwww」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  

( ^ω^)「それにしても酷い傷だおwwwwww治るまで、ここで休んでいくといいおwwwwwww」      



全くそのときのことは覚えていませんが、どうやら野犬を全部やっつけたようです。  

その代償として全身にたくさんの傷を負ってしまいました。   

神様の4つの条件が気になりましたが、冷静に考えてみると、どうやら家に入ることは大丈夫なんだと確信しました。  


70 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:06:27.21 ID:hgYoUsgd0  

恩返しのためにお母さんを助けるつもりが、逆に世話になってしまった………。  

ギコは、これからもっと恩返しをしなければならないと、強く強く心に決めました。   

お母さんが助かったことを知ってホッとしたのか、ギコは急に眠たくなり、目を閉じました。      



( ^ω^)「おっおっおっwwwww寝てしまったおwwwww………なんだかギコに似ているおwww」  

ξ^ー^)ξ「フフフ………そうねwww」  

( ^ω^)「そうだおwwwこの猫をフサギコって呼ぶお!!!wwwww」  


71 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:07:37.90 ID:hgYoUsgd0  

それから数週間、フサギコという名前をお父さんから貰ったギコは、家の中で療養しました。   神様の4つの条件が気になり、お父さんとお母さんがギコに触ろうとすると、相変わらず全身の毛を逆立たせて威嚇しました。  

それでもお父さんとお母さんはギコを嫌いになんかならず、家に居させてくれました。  

ギコは申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちで一杯でした。  

ケガが治ると、ギコはお父さんとお母さんと共に行動しました。  

畑仕事をするとき、山に薬草を取りに行くとき、お母さんが川に野菜を洗いに行くとき………。  

生きていたときよりも少しだけ距離はありましたが、お父さんとお母さんを守るため、ずっとずっと着いていきました。  


72 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:08:17.42 ID:hgYoUsgd0  

ギコは何度も何度もお父さんとお母さんに甘えそうになったり、『ゴラァ!!!』と鳴きそうになりました。  

だけど、一生懸命に我慢し、お父さんとお母さんへの恩返しをしました。  

家にいるネズミを全部捕まえたり、畑仕事に行くときに忘れ物があると教えてあげたり………。  

ギコは一生懸命に頑張りました。      



しかし、ある日の晩に事件が起こりました。  


73 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:08:53.51 ID:hgYoUsgd0  

ギコとお父さん、お母さんが眠りに着いた丑三つ時………1人の男が家に忍び込もうとしました。      



(*'A`)「フヒヒヒ………サーセンwwwwww」      



男の名前はドクオ。  

夜な夜な人の家に忍び込み、お金を盗んで生計を立てている泥棒です。      



(*'A`)「ンッフwwwwフヒハッ☆さて………仕事すんべかwwwwフヒヒ………」  


74 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:09:57.93 ID:hgYoUsgd0  

ドクオは物音1つ立てずに、家に忍び込みました。  

土足のまま、タンスのある部屋へ入っていきました。       



('A`)「まずはタンスの中を拝見させて頂きますか………」      



ドクオがタンスを開けようとしたとき、ドクオも気付かないようなカタッという小さな音が出てしまいました。      



ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」  


77 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:10:38.02 ID:hgYoUsgd0  

ギコはすぐに異変に気付き、タンスのある部屋へと走っていきました。      



(*'A`)「あらぁ………お財布発見wwwwグフフフ………wwwww」  

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!ゴラァァァァァアアアアアア!!!!!1111111!!!!!!」  

((:*'A`))「ビクンッ☆フヒハッwwwwwwwサーセンwwwwwwww」  

('A`)「って、ただの猫じゃんかよ………驚かせやがって……… ブ チ 殺 す ぞ 」  

ミ#゚Д゚彡「ゴラァァァァァアアアアアア!!!!!1111111!!!!!!」      



ギコはこの男が泥棒だと確信し、力いっぱい足に噛み付きました。  


78 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:11:28.89 ID:hgYoUsgd0  

(;'A`)「イッテェェェェエエエエエエ!!!!111!何すんだ!!!!11!!このファッキン猫!!!!!1111!!!」      



ギコは何度もドクオの片方の足で蹴られながらも、一生懸命噛みました。  

ギコの口がドクオの血で一杯になったところで、口を離しました。      



ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!!」  

(#'A`)「この野郎………俺のシルクの肌を傷つけやがって………ブチ殺してやらぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!11!!!」  

(#゚ω゚)「誰じゃいコラァァァァアァァアアアアアアアアアア!!!!!!!11!!!」  


79 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:12:27.65 ID:hgYoUsgd0  

騒ぎに気付いたお父さんが、タンスのある部屋へと勢いよく入ってきました。      



(;'A`)「ヤッベ!!気付かれた!!!ドロンします☆フヒハハハハハハハwwwwwwwwww」  

ミ#゚Д゚彡「フゥゥゥゥゥーーーーッッッッ!!!!!!」      



お父さんに見つかったドクオは一目散に家を飛び出し、夜の闇へと消えていきました。  

お父さんは部屋の様子と、ドクオ、それにギコの逆立った毛を見て、一体何が起きたのか把握しました。  


80 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:13:02.13 ID:hgYoUsgd0  

( ^ω^)「フサギコ………お前、泥棒が来たのを教えてくれたのかお?wwwww」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  

( ^ω^)「そうかおそうかおwwwwwwお前は賢い猫だおwwwwwwww」      



ギコはとても嬉しく思いました。  

お父さんとお母さんの役に立ってもらえた………。  

ギコはこれからもずっとずっと、お父さんとお母さんに恩返しをしていこうと心に決めました。  


81 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:15:01.81 ID:hgYoUsgd0  

時は過ぎ、ギコがお父さんとお母さんの家に戻ってきて3年が経とうとしていました。      



ぽかぽか陽気の中、少し離れて歩いたけど、桜の花を見に裏山まで散歩した、春。  

暑い日差しの中、お父さんとお母さんの畑仕事の手伝いをした、夏。  

紅色に染まった木々の木漏れ日の中、お父さんとお母さんのために栗やキノコを採ってきた、秋。  

深い雪で村が埋まってしまった中、お父さんとお母さんのために暖を取るための木の枝を運んできた、冬。  

ギコはいつも一生懸命に頑張りました。      



そんな、もうすぐ夏になろうとしている、梅雨の雨の日のことでした。  


82 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:16:00.20 ID:hgYoUsgd0  

( ´ω`)「………ゴホッゴホッ………」  

ξ゚−゚)ξ「ブーン………大丈夫………?」  

( ´ω`)「………大丈夫………だお………ゴホッゴホッ………」  

ミ,,゚Д゚彡「………」      



お父さんは病気で倒れてしまいました。  


84 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:17:10.44 ID:hgYoUsgd0   

あんなに元気だったお父さんが、ここ数日の間に起き上がることもできないくらいに病気で衰弱してしまいました。  

ギコが裏山からいろんな薬草を持ってきて、お母さんが煎じてお父さんに飲ませても、治りませんでした。   

お医者さんに見せても、どうすることもできないと言われました。  

お医者さんが言うには、現代の医学では治すことができず、持って残り数日の命だということでした。      



ミ,,゚Д゚彡「………」      



お父さんに何もすることができないギコは、自分の非力さに情けなくなってきました。  

部屋は雨が瓦に叩きつけられる音と、ギコとお母さんの悲しみで支配してました。   


85 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:18:15.34 ID:hgYoUsgd0  

ある日の晩、ギコはお父さんが寝静まったことを確認し、お父さんの顔を覗き込みました。  

お父さんは以前のような、ふっくらとした顔ではなく、骨と皮だけの、可哀想な姿になっていました。  

寝息も以前のような、気持ちよさそうな夢心地のものではなく、とても苦しそうな地獄で息をしているようなものでした。   

ギコは変わり果てたお父さんの姿を見て、目頭が熱くなっているのがわかりました。  

初めてギコを拾ってくれたこと、野良猫なのにちゃんとお世話をしてくれたこと、生まれ変わってからも優しくしてくれたこと………。  

思い出と感謝の気持ちはギコの心から溢れるくらいあるのに、助けることができない………。  

ギコは自分の非力さに情けなく、悔しくなってしまいました。   


86 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:19:27.99 ID:hgYoUsgd0  

そのとき、目頭に溜まったギコの涙がお父さんの額に零れました。  

どうやら、お父さんはギコが枕もとにいることに気付いたようです。      



( ´ω`)「ゴホッゴホッ………フサギコかお………?」  

ミ,,ぅД;彡「………」  

( ´ω`)「ごめんだお………ゴホッ………咳がうるさくて寝れないのかお………ごめんだお………」  

ミ,,;Д;彡「………」  

( ´ω`)「フサギコや………お願いがあるんだお………」  

ミ,,ぅД;彡「………」  

( ´ω`)「もう………ゴホッ………僕は長くないから………僕の代わりに………ツ、ツンを………守ってほしいお………」  


88 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:20:07.78 ID:hgYoUsgd0  

お父さんの震える声がギコの心に突き刺さりました。  

お父さんへの最期の恩返しは、お父さんの代わりにお母さんを守ること………?  

ギコはお父さんへの恩返しを、そんな形で終わらせたくはありませんでした。  

お父さんが天国へ逝ってしまう前に、何かできないんだろうか。  

ギコは小さい頭の中で一生懸命考えましたが、答えを導き出すことはできませんでした。      



ギコは、お父さんが再び眠りにつくのを見届けて、寝ることにしました。   


90 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:20:46.68 ID:hgYoUsgd0
 

ギコはお父さんにしてあげる、最期の恩返しのことを考えながら、夢の世界へと入っていきました。       



ミ,,゚Д゚彡「………ん?何だ、ここは………ゴラァ………」  

ミ,,゚Д゚彡「………あぁ、夢か………ゴラァ………」       



気が付くと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。  

でも、それはいつか見たことのある、素晴らしい光景でした。       



ミ,,゚Д゚彡「ここは………来たことがあるぞ!!!………ゴラァ!!!!!!」  

「ギコや………ギコや………」      



何やら後ろの方から声が聞こえてきました。   


92 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:22:05.83 ID:hgYoUsgd0
 

ミ,,゚Д゚彡「誰だゴラァ!!!」  

( ´∀`)「こっちへおいでモナー」  

ミ;゚Д゚彡「お、お前は………!」      



後ろを振り向くと、そこには大きな背の高い木があり、その木の下に1人の老人が立っていました。  

白い布の服、真っ白でとても長い髭と髪、立派な樫の杖、それに特徴的な喋り方………あのときの神様のようです。  

ギコはその神様の下へ走っていきました。      



( ´∀`)「久しぶりモナねー、ギコ。いや、今はフサギコと呼ぶべきモナか?」  

ミ,,゚Д゚彡「何の用だゴラァ!!!俺はちゃんと約束を守っているぞゴラァ!!!!」   

( ´∀`)「まぁまぁ、今日はそんなことで君を呼び出したんじゃないモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「何だと!!!???」   


94 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:23:26.83 ID:hgYoUsgd0
 

( ´∀`)「君を生き返えらせてから、今日までずっと君の事を見ていたモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「だから何なんだゴラァ!!!!」   

( ´∀`)「まぁまぁ、落ち着くモナよ。ちょっと条件を破りそうな危ない感じのときもあったけど、君はワシが出した条件をちゃんと守って、あの2人のために恩返しをしている姿を見て、ワシはまた感動したモナー」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  

( ´∀`)「だから、今回も君にご褒美をあげるモナー」  

ミ,,゚Д゚彡「………ッッッ!!!???」  


97 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:24:06.85 ID:hgYoUsgd0
 

( ´∀`)「君のお父さん、君がこの夢から覚めて5時間後に死ぬモナー」  

ミ,,゚Д゚彡「な、なんだって!!!???」  

( ´∀`)「だから君のお父さんを助ける方法を教えてあげるモナー」  

ミ,,゚Д゚彡「ほ、本当か!!!???」  

( ´∀`)「本当だモナよ。神様は何だってできるモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「だったら、さっさと教えろゴラァ!!!!!!1111!!」  


100 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:25:05.04 ID:hgYoUsgd0
 

( ´∀`)「そう慌てるモナよ。なーに、簡単なことモナー」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  

( ´∀`)「君のお父さんのお腹の上で『ゴラァ!!』って鳴いて、自分がギコの生まれ変わりだってことを気付かせれば、1発で治るモナー。次の日から現場復帰可能だモナー」  

ミ,,゚Д゚彡「わかったぞゴラァ!!!!!わかったから、さっさと夢から覚ましやがれゴラァ!!!!!!!111111!!」  

( ´∀`)「まぁまぁ、最後まで話を聞くモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「………」  

( ´∀`)「ワシが出した条件は君が死ぬまで有効だってことを忘れてはいけないモナよ?」  

ミ,,゚Д゚彡「そ、それじゃ………俺は………」  


102 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:26:11.98 ID:hgYoUsgd0
 

( ´∀`)「そうモナー。君のお父さんが元気になる替わりに、君が死ぬモナよ」   

ミ,,゚Д゚彡「………」      



神様が言った一言は、ギコの小さな体に重く圧し掛かりました。  

次こそ本当に死んでしまう………。  

もうこれ以上、お父さんとお母さんのそばにいることはできない………。  

だけど、答えはもう決まっていました。  


104 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:26:46.30 ID:hgYoUsgd0
 

( ´∀`)「どうモナか?やるモナか?やらないモナか?」   

ミ,,゚Д゚彡「わかった!!!!やってやる!!!!だから、さっさと夢から覚ましやがれゴラァ!!!!!!!!111!」  

( ´∀`)「よし、わかったモナー。それでは起こすモナよー」  

ミ;゚Д゚彡「ッッッッ!!!!????」      



神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。  


106 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:27:40.21 ID:hgYoUsgd0
 

ミ,,-Д-彡「………」  

ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」      



ギコは目を覚ますとすぐに、お父さんたちが寝ている部屋へと走っていきました。  

今日は梅雨の時期には珍しく、窓の外は青空に染まっていたのですが、ギコはそんなのには目もくれず、急いで走りました。  

一刻も早くお父さんを苦しみから解き放ってあげたい………。  

ギコの頭の中は、その1文によって支配されていました。  


108 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:28:20.52 ID:hgYoUsgd0
 

部屋につくと、お父さんは苦しそうな寝息を立てながら眠っていました。  

お母さんのお布団は片付けられていました。  

どうやら朝ご飯の支度をしているようです。  

ギコは、その小さな口にお父さんのお布団を咥え、上半身が出るくらいまで捲り上げました。  

そしてギコはお父さんのお腹の上に乗り、力いっぱい鳴きました。      



ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」  


110 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:30:10.00 ID:hgYoUsgd0
 

( ´ω`)「ん………お………フサギコ………?」  

ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」      



どうやらお父さんは起きたようです。  

これで自分をギコの生まれ変わりだと気付いてくれれば………。  

ギコは休まず鳴き続けました。        




ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」   


111 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:30:52.01 ID:hgYoUsgd0
 

ギコの目からは大粒の涙がお父さんのお腹の上に零れ落ちていました。  

これでお父さんとお母さんとは最期なんだ………。  

ギコは泣かずにはいられませんでした。      



ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」  

( ´ω`)「ギコ………?」  


114 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:31:58.23 ID:hgYoUsgd0
 

ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」  

( ´ω`)「そうかお………お前は………ギコだったのかお………」  

ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」  

( ´ω`)「ギコや………ゴホッ………今まで気付かなくて、ごめんだったお………」   

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと!!!!ギコなの!!!???」      



お母さんもギコの鳴き声に気付いたようで、台所から走ってきたようです。   


115 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:32:48.53 ID:hgYoUsgd0
 

これで最期………お母さんに気付かれてもいいだろう………。  

昨日までギコの頭の中を支配していた無力感は充実感へと変わっていました。  

これでお父さんは助かる………本当に恩返しができたんだ………。      



ミ,,;Д;彡「ゴラァァァァァアア!!!!!!!!!!!!!!!!1111!!!!!!!!!      



ギコは最期のお別れの意味も込めて、大きな声で鳴いて部屋を走って出ていきました。  


117 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:34:03.61 ID:hgYoUsgd0
 

ギコは一生懸命は走りました。  

雨上がりの空は、ギコの透き通った心のように限りなく青に近い色でした。  

毎日、お父さんとお母さん一緒に歩いた山道を抜け畑へ………。  

これで来るのが最期となる畑を名残惜しく思いながら、畑の先にある誰も入らない山へと入っていきました。  

ギコの亡骸はお父さんとお母さんに見られたくいない………。  

ギコはそう思いながら、誰も入ることない山の奥深くへと走りました。  


119 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:35:11.59 ID:hgYoUsgd0
 

ここまで来れば見つかることもないだろう………。  

そう思った瞬間、強烈な眠気に襲われました。  

大きな木の根元で無意識的に横になると、まぶたが重たくなってきました。  

しっとりとした、少しだけ冷たい土がとても心地よく感じてしまいまい、よけいに眠たくなってきました。   

………あぁ………これで最期か………。  

ギコはお父さんとお母さんとの思い出を思い出しながら、最期のときを待つことにしました。   


120 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:36:48.16 ID:hgYoUsgd0
 

ケガをした自分をお母さんが拾ってくれて、お父さんが傷を治してくれたこと………。  

お父さんとお母さんと一緒に毎日、畑へ通ったこと………。  

お父さんとお母さんと楽しい10年間を過ごしたこと………。  

死んでも自分のことを忘れてくれなかったこと………。  

畑の近くに立派なお墓を作ってくれたこと………。  

生まれ変わってもなお、優しくしてくれた3年間………。   

どれもギコにとっては宝物でした。      



今までの思い出が映し出されているまぶたの裏のスクリーンが、段々と白く薄くなってきました。  

………これで………これで本当に最期か………。  

ギコはお父さんとお母さんの、これからの幸せを願いながら、眠りにつきました。  


121 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:37:32.91 ID:hgYoUsgd0
 

ミ,,゚Д゚彡「………ん?ここは………ゴラァ………」  

ミ,,゚Д゚彡「………本当に死んでしまったようだな………ゴラァ………」       



気が付くと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。  

ギコは本当に死んでしまったことを実感したようです。       



「ギコや………ギコや………」      



後ろの方から声が聞こえてきました。   


123 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:39:06.57 ID:hgYoUsgd0
 

ミ,,゚Д゚彡「………」  

( ;∀;)「こっちへおいでモナー」  

ミ,,゚Д゚彡「………」      



大きな背の高い木の下に、白い布の服、真っ白でとても長い髭と髪で、立派な樫の杖を持った特徴的な喋り方の………あの神様が立っていました。  

ギコはその神様の下へ歩いていきました。      



( ;∀;)「うぅ………感動したモナよ………泣いたのなんて何100年ぶりモナよ………グスッ………」  

ミ,,゚Д゚彡「約束は………約束はちゃんと守ってくれたんだろうな?ゴラァ………」   

( ;∀;)「うんうん………君のお父さんはちゃんと元気になったモナよ………グスッ………」  

ミ,,゚Д゚彡「………」   


124 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:39:57.10 ID:hgYoUsgd0
 

( ぅ∀`)「今日は何て素晴らしい日なんだモナー。心が晴れ晴れしているモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「………」   

( ぅ∀`)「よし、ワシを感動させてくれたお礼として、またご褒美を上げるモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「………」   

( ´∀`)「安心するモナよ。今回は何の条件も付けないモナよ。さぁ、何でも叶えてやるモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「俺は………」   

( ´∀`)「うんうん」  

ミ,,゚Д゚彡「俺は………俺はまた、お父さんとお母さんの子どもになりたいゴラァ!!!!!!」  


127 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:41:54.20 ID:hgYoUsgd0
 

( ´∀`)「お安い御用だモナよ。それではさっそく、お父さんとお母さんの子どもになるモナよ」  

ミ,,゚Д゚彡「ッッッッ!!!!????」      



神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。      



( ´∀`)「これだけ強くなったんだモナ………きっと、あの2人を守れるような強い子どもになれるモナよ………今度こそ………今度こそ幸せになるモナよ………」  
 
 

その10ヵ月後………桜が例年以上に咲き誇った春………お父さんとお母さんの間に、それはそれは可愛い子どもが生まれました。  


129 名前: ◆Joy86y.LIU [sage] 投稿日:2006/12/03(日) 02:42:25.92 ID:hgYoUsgd0
 
 
 
                   おしまい  
 






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