( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜( ^ω^)ブーンは麻薬捜査官のようです〜

( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`)

( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`)更新情報


TOP ( ^ω^) ('A`) ( ´_ゝ`) (´・ω・`) 川 ゚ -゚) (*゚ー゚) ξ゚听)ξ




当サイトはブーン系小説の完結作品集 です。 読み物系は嫌いって方はご退場ください


下記からブーン系小説のジャンルを選択してください
ギャグ系:
戦闘系:
五十音別:
感動系:
カオス系:
作品一覧:
下ネタ系:
未分類:
その他:
216 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:23:33.16 ID:iyOe289Y0
高岡の母は今朝とほとんど変わらぬ様子で二人を居間にむかえた。
ただ、疲労は確実に溜まっているらしい。
その目からは生気がほとんど感じられなかった。

( ^ω^)「なんどもお邪魔して申し訳ありませんですお」

J( '-`)し「今しがたも刑事さんたちがお帰りになったところですけど・・・」

( ^ω^)「本隊に先を越されましたお」

川 ゚ -゚)「ご面倒をおかけしますが、もう少しお付き合い願えませんでしょうか」

J( '-`)し「今更何も隠し立てする物はありませんよ。
    私達親子の夜の顔もしられているのですから」

( ^ω^)「麻薬班の連中はそんな事も追及したんですかお」

J( '-`)し「私にはもう何にも残ってはいませんよ。お好きな事をお聞きください」


218 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:27:19.28 ID:iyOe289Y0
川 ゚ -゚)「では、単刀直入に覗います。荒巻と言う男はご存知ですね」

J( '-`)し「存じ上げております。私達親子を地獄から救い上げてくださった人です。」

( ^ω^)「荒巻はあなた方親子を苦しめたりはしなかったんですかお」

J( '-`)し「あの人は最初こそ娘を買ったものの、娘から私達親子の実情を聞くと、
    その後は惜しみなく私達に援助を差し出してくださいました。
    私の治療費まで捻出してくださって・・・」

川 ゚ -゚)「では、荒巻は貴方方へは何も見返りを求めなかったと?」

J( '-`)し「はい。あの人が何を考えていたのかはわかりませんが、
    私達に無償の援助をしてくださった事だけは事実です」

( ^ω^)「その・・・荒巻の本当の顔については、既に麻薬班に聞きましたかお?」

J( '-`)し「ええ。先ほど全て刑事さんたちから聞きました。
    娘を使って薬を子供達の間に蔓延させようとしたとか・・・」


220 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:31:34.87 ID:iyOe289Y0
川 ゚ -゚)「結局荒巻は娘さんを利用しただけかもしれないのですよ」

J( '-`)し「そうかもしれません。ですが・・・
      私達を一度は助けてくださったと言う事実は事実です。
      私はもう長くありません。娘も失いました。何も残ってはいません」

( ^ω^)「・・・・(また何も残っていないって言ったお)」

J( '-`)し「荒巻さんの住んでいる場所は、先ほど刑事さんたちにお話しました。
    もう、私から聞き出すことはありませんよ」

高岡の母はそう言うと虚空に目をやり、大きくため息をついた。

川 ゚ -゚)「では、娘さんの事を少し聞きたいのですが、よろしいですか?」

J( '-`)し「ええ。もう何も残っていませんから構いませんよ」

( ^ω^)(また・・・)


222 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:35:51.07 ID:iyOe289Y0
川 ゚ -゚)「娘さんの同級生のしぃさんの事なのですが、今日局内で自殺しました」

J( '-`)し「先ほど伺いました。何故そんな・・・」

川 ゚ -゚)「理由はわかりませんが、何か思い当たる事は無いでしょうか」

J( '-`)し「・・・娘は、しぃさんと特別な関係にあると、常々話しておりました」

川 ゚ -゚)「特別な関係・・・とは一体?」

J( '-`)し「私にもよくわかりませんが・・・
しぃさんは娘と強い精神的な絆を持っていたのかもしれません。
娘はしぃさんを家に呼んで、まじないごとめいた事をよくやっていました」

( ^ω^)(まじない・・・高岡の大量の写真は偏執?執着?・・・今朝のテレビ?・・・
         何か引っかかるお・・・)

ブーンは足りない頭をフル回転させる。
すると奇跡的にこれらが符号する物を高岡の部屋で見た事を思い出した。


224 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:39:05.08 ID:iyOe289Y0
( ^ω^)「そうだお!オカルト雑誌だお!」

ブーンが突然声を張り上げた。
彼は思い出した。オカルト雑誌が数冊高岡の部屋にあった事を。

川 ゚ -゚)「オカルト雑誌?」

J( '-`)し「確かに・・・。娘としぃさんはオカルト雑誌をよく読んでいたように思います」

( ^ω^)「もう一度娘さんの部屋を観せていただけませんかお?」

J( '-`)し「ええ、構いません。どうぞ」


227 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:43:40.11 ID:iyOe289Y0
ブーンとクーは高岡の部屋に入った。
ベッドの上には今朝見たオカルト雑誌が無造作に置かれている。
ブーンはそれを取り、目次に目を通す。

川 ゚ -゚)「ブーン。オカルト雑誌が何か関係あるのか?」

( ^ω^)「ひょっとしたら、しぃの自殺と繋がるかもしれませんお」

川 ゚ -゚)「?どういうことだ」

ブーンは目次から目的の項目を見つけ出し、その頁を開いた。

( ^ω^)「これですお」

そこには「特集!ソウルメイト!」という見出しが書かれている。
ブーンには今朝聞いたばかりの言葉だった。


230 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/05(月) 23:47:32.84 ID:iyOe289Y0
川 ゚ -゚)「ソウルメイト?・・・なんだそれは?」

J( '-`)し「そういえば娘は先日、『しぃさんとは<何とかメイト>』だと話していました。
     今思えばこれの事でしょうか」

( ^ω^)「ひょっとしたらしぃさんにとって高岡さんは、
      親友を超えて崇拝に近い対象である存在だったのかもしれませんお。
      文武に秀でた高岡さんと自分を同化したかったのかもしれませんお」

川 ゚ -゚)「話がみえてこないな・・・」

( ^ω^) 「しぃさんの部屋から見つかった大量の高岡さんの写真も符合しますお。
      崇拝している絶対者が死んでしまった場合、
      同化した自らも存在していてはいけない・・・と考えるかもしれませんお」

川 ゚ -゚)「そんな馬鹿な話・・・」

( ^ω^)「今朝テレビでソウルメイトって言葉を話しているのを観たんですお。
     前世で繋がっていたとか、魂が惹き合っている人間同士とか、
     ソウルメイトっていうのはそういう人たちの事を言うんですお」  


236 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:00:36.94 ID:Qlj1M9gg0
川 ゚ -゚)「そんなものは妄想だろう?」

( ^ω^)「その通りただの妄想ですお。でも思春期の女の子の場合は・・・
      その辺は少年課のクーさんの方が明るいですお」

川 ゚ -゚)「うーん、確かに年頃の少女というものは、極端に走る例があるかもしれないな」

( ^ω^)「それにしぃさんはキャンディを服用していましたお。
      精神高揚作用が祟って勢い自殺したのかもしれませんお」

J( '-`)し「では、しぃさんが自殺したのは娘の所為なのでしょうか」

( ^ω^)「娘さんに責任は無いですお。と言うより、誰も悪くは無いですお。
      敢えて言うなら、ありもしない事をこれ見よがしに商売にする、
        卑劣な大人が悪いんですお」

J( '-`)し「でも、そんな思い込みだけで後追い自殺なんてするものでしょうか」

川 ゚ -゚)「それはなんとも言えませんね・・・・
     しかし、あり得ない可能性ではないかもしれません」

J( '-`)し「そういうものなのでしょうか・・・」

( ^ω^)「本当のところは亡くなったしぃさんにしかわからないかも知れませんお」


239 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:05:35.89 ID:Qlj1M9gg0
これがしぃの自殺の理由なのだろうか。
ブーンは自分で話していても、これは都合のいい詭弁かもしれないと考えていた。
しかし、この結論が関係者を一番傷付けないものだと、心のどこかで思っている。

ブーンが少し思索に耽っていると、携帯が鳴り出した。

携帯「何処から見てもスーパマンじゃないスペースオペラの主役になれない」

( ^ω^)「もしもしブーンですお。室長、なんですかお?」

从'―'从『今、対策本部に緊急召集がかけられましたよ。
    荒巻の生存が確認された上に、潜伏先が判明しましたよ。
    高岡さんのお母さんの証言から判明したようです』

( ^ω^)「それは一大事ですお。すぐに戻りますお」

ブーンは携帯を切って、渡辺から告げられた内容をクーに話した。


240 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:08:28.97 ID:Qlj1M9gg0
川 ゚ -゚)「急転直下というやつか。急いで戻ろうブーン」

( ^ω^)「そういう訳で僕らは帰りますお。ご協力ありがとうございましたお」

J( '-`)し「協力するも何も、私には何もありませんから、お役に立たなかったでしょう」

( ^ω^)「それは言わない方がいいですお」

J( '-`)し「え?」

( ^ω^)「『私には何もありません』っていうのは言わない方がいいですお。
      貴方にはまだ貴方の人生がありますお。
      病気に犯されていても、まだまだ生きなくてはいけませんお。
      娘さんのためにも・・・」

J( '-`)し「あの子の為に・・・」


244 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:11:41.46 ID:Qlj1M9gg0
しばらくの沈黙の後、高岡の母は言った。

J( '-`)し「こんな若い人からお説教されるなんて情けないですね」

( ^ω^)「あ、お説教なんてつもりで言ったんじゃないですお。僕はただ・・・」

J( '-`)し「わかっていますよ刑事さん。」

―――なげやりに生きるのにはまだ残された時間が多すぎますね

そう言って高岡の母はブーンに微笑んだ。
ブーンの他愛も無い言葉に救われるものがあったのだろうか。
ブーンにその答えはわからなかったし、誰にわかるようなものでもなかったが、
初めて高岡の母と本当の言葉のやり取りが出来たと思った。


246 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:15:20.61 ID:Qlj1M9gg0
二人は高岡の家を辞して、刑事局へと車を走らせた。
車内でブーンは高岡の母と最後に交わした言葉を思い返す。

―――なげやりに生きるのにはまだ残された時間が多すぎますね

これでよかったのだろうか。
いや、よかったのだ。そうでなければ救いが無さ過ぎる。
いくら荒んだ社会だと言えども、全てを無くした人が希望を持つ事くらい許されるべきだ。

( ^ω^)「クーさんは絶望した事がありますかお?」

川 ゚ -゚)「唐突だな。勿論あるさ。絶望した事が無い人間なんて居ないんじゃないか」

( ^ω^)「人は絶望するから希望が持てるのかもしれませんお」

川 ゚ -゚)「どうしたんだ一体。何か悟ったか?」

( ^ω^)「それ程の事ではないですお」


248 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:19:22.62 ID:Qlj1M9gg0
クーには何故突然ブーンがそんな事を言い出したのか皆目見当がつかなかった。
しかし、何故か自分の心の内を覗き見られたような気がして、少しきまりが悪かった。
そこで話題を強引に変えた。

川 ゚ -゚)「ところで、ブーンは何故刑事局に入ったんだ?」

( ^ω^)「これはまたえらく唐突ですお」

川 ゚ -゚)「おかえしだ。なんとなく聞きたくなったんだ。
     ブーンの性格からして向いている職業とは思えないのでな」

( ^ω^)「確かに僕の性格はこんな仕事にはむいてませんお。
      でも、刑事になると決意した切欠はありますお」

川 ゚ -゚)「是非知りたいものだな」

クーは咄嗟に振った話題に乗ってきたブーンの言葉を受けて、
こんなお人好しが刑事になった切欠を本気で知りたくなってきていた。


251 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:24:12.37 ID:Qlj1M9gg0
( ^ω^)「あれは、二年前のキャンディ騒ぎの時ですお・・・。
      僕が妹と二人で買い物に行った帰りの事ですお。
      僕と妹は偶々強盗事件の現場に居合わせてしまいましたお。
      犯人はキャンディによる身体強化者でしたお。そして・・・」

―――妹は犯人に殴られて死んでしまいましたお。―――

ブーンのあまりにもショッキングな告白にクーは言葉を失った。
この呑気で感情的な青年の過去にそんな深い傷があろうとは。
しかも、トラウマをさらりと語ってのけた事にもクーは驚愕した。

川 ゚ -゚)「思い出させて悪かったな・・・」

( ^ω^)「毎日思い起こしていますから問題ないですお」

何でも無い事のよう、さらりと言ってのけたブーンに、クーは少し動揺した。

川 ゚ -゚)「しかし、お前はそんな大きな傷をよくさらりと他人に喋れるな。
     普通は言いたくないはずだぞ」

クーが直球を投げる。


254 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:28:13.09 ID:Qlj1M9gg0
( ^ω^)「感情を込めて話していないから大丈夫ですお。
     この件に関して感情を込めると・・・心がもたないですお。
     もっとも、感情を込めないで話せるようになるまでには結構苦労しましたお」

クーは隣に座っている青年が、見た目以上にタフなのだと認識した。
過去の傷が、彼の甘さとも言える優しさの根源かもしれない。

( ^ω^)「『しっかりしていなかったら生きていられない。
      優しくなれなかったら生きている資格が無い』
      探偵フィリップ・マーロウの名台詞ですお」

優しくなれない自分は生きている資格が無いのだろうか。クーは思った。

( ^ω^)「渡辺室長もクーさんもしっかりしていて優しいですお。
      僕は全然しっかりしていないので、まだまだですお」


256 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:31:36.70 ID:Qlj1M9gg0
川 ゚ -゚)「私が、優しい?」

( ^ω^)「今朝会った時はおっかない人だと思ってましたお。
     一緒に行動してもっとおっかない人だと確信しましたお
     だけど、僕の島流しの話を聞いて馬鹿にしなかったのは、
     室長とクーさんだけですお」

川 ゚ -゚)(馬鹿だとは思ったのだが・・・言わないで良かった。しかし、私が優しい?)

―――優しい

クーは心の中でそのことばを繰り返していた。
ブーンには嫌われているとばかり思っていたのだが。
クーが思索に耽っていると、ブーンが聞いた。


257 名前: ◆K/ms5.N0fc [] 投稿日:2007/03/06(火) 00:33:37.20 ID:Qlj1M9gg0
( ^ω^)「クーさんはどうして少年課なんですかお?」

川 ゚ -゚)「え、わ、私は特に深い理由は無いな。
     ただ、子供の頃から人類を守る正義の味方になりたかった。
     子供達は人類の未来だろう?だから子供達を守ろうと思ったんだ」

( ^ω^)「クーさんらしいですお」

川 ゚ -゚)「そうかな・・・」

何故かそれきり声は生まれなかった。
クーはまだ心の中で同じ言葉を反復している。

黙り込んだ二人を乗せた車は、刑事局の駐車場に滑り込んだ。




【関連】
一気読み
第一話 - 第二話 - 第三話 - 第四話 - 第五話 - 第六話 - 第七話

http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1172989627/
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1173246578/


ブログパーツ ブログパーツ
inserted by FC2 system