26 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/19(月) 17:53:29
【 4 】
僕は家に帰りついた
とまあ、その後はいつものくだりがあるわけだ
地の文書くのめんどくさいんです
うわなにをすきさまら
えーと、あえて言うなら、やっぱり僕が帰ってくる頃にはもう夜になっていたということだ
朝、出発しているのに帰ってきたら夜
僕みたいに、家賃収入のボンボンでなければこんなアホなことはできないだろう
それだけ僕の人生は虚しい物だと感じた
僕のアパートに住んでいる人はどこかで仕事をして、それで出た金の一部は僕の財布に入る
僕はそのことに少し罪悪感を覚えてはいたものの、この文章を書いている今でも家賃収入を止めれていない
止める気もない
世の中にはそういう職業だってあるのさ
僕は贅沢な悩みが持てて幸せだな
僕はそう思って眠った
27 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/19(月) 17:55:07
朝
曇り
大曇天
お世辞どころか皮肉を言っても晴れとは言えない
僕は朝食を暗いリビングで摂りながら僕は日記を見た
@────────────
今度、成人式があるそうだ
よーし、僕、成人しちゃうぞー
────────────@
僕は牛乳を吹いた
どうしてくれるんだ
床のフローリングに綺麗にスパッタリングのような模様が出来たじゃないか
畳じゃなくてよかったが、なんでこんなにハイテンションなんだろう
僕は吹いた牛乳を拭きながら考えた
それに成人しちゃうって言っても、彼がこの日記を書いているのは45歳ぐらいのときだ
どうみても今回も乱入です
いいことでもあったのかな?
なんでもいいや、僕もハイテンションになってきた
そして、成人式開場の場所を見て
( ><)「あははは、遠すぎるんです」
悲しい笑いを顔に湛えて、僕の膝は折れた
28 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/19(月) 17:56:38
( ><)「まあなんでもいいんです、行くんです」
大曇天、朝なのに辺りがあまり見えない
モララーさんには何か不思議な力があるんだろう
魅力というか、人を感化する力というか
僕はまだハイテンションだった
────────────
( ><)「着いたんです!」
ここは晴れている、何時間もバスを乗り継ぎ乗り継ぎしたから当然? か
成人式会場
とは言っても、今は誰もいない市民会館
( ><)「…………どうしたらいいんです……」
次の瞬間、僕の脳裏に
*────
と○ろじょー○「〜〜村に、いってらっしゃい」
────*
という音声が流れた
( ><)「そうだ、だー○の旅なんです!!」
僕はその旅の要領で、人を探し始めた
誰かいないか誰かいないか誰かいないいたーーーー!!!
( ><)「第一村人発見!!!!!」
Σミ;゚Д゚彡「な、何ですか急に……」
僕のハイテンションは未だに切れてないらしい
29 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/19(月) 17:57:36
僕は手短に自己紹介をして、彼に情報を求めた
僕の見るところによれば彼の年齢はおよそ40
成人式乱入があったのは大体20年前のはずだから……
ミ,,゚Д゚彡「はい、僕の成人式のときでしたよ」
ビンゴ!
( ><)「めちゃめちゃついてるんです!」
ミ,,゚Д゚彡「あの人は本当に何がしたいのか全く分かりませんでしたよ……」
ミ,,゚Д゚彡「まあ、彼のおかげで助かったという場面もあったんですけどね……」
彼は少し楽しそうな顔をして話を始めた
@────────────
不審者「新成人代表、前へ」
ミ,,゚Д゚彡「はい」
ミ,,゚Д゚彡(まったく……なんで俺が……)
フサ──この男の名前だが──は、柄にもないことをやらされる予定になっていたのでイライラしていた
( ・∀・)「はい! はい! はいはいはい!」
Σミ,,゚Д゚彡「っ!!…………きがくるっとる……」
どうみても20じゃない男が乱入してきた
不審者「な、なんだね君は!」
不審者はモララーに向かって叫んだ
( ・∀・)「ええ、だから成人代表で」
不審者「何を言ってる! お前は新成人じゃないだろう!」
( ・∀・)「……え? いや、だから成人……ん?」
(#・∀・)「新成人?!」
(#・∀・)「冗談じゃない! 成人式に成人が出て何が悪いんだ!」
────────────@
( ><)「なるほどwwwwwwww」
バロスしながら僕は妙に納得した
30 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/19(月) 17:58:41
つまり、モララーさんが言いたかったのは次の通り
『成人式』名前の通り、成人の式
だから自分は成人の代表で出てきた、と
どこにも『新成人式』とは書いていない、と
( ><)「モララーさん……酷いんです」
モララーさんの勇気には感服した、不審者に果敢に場違いなツッコミを入れる勇気には
ミ,,゚Д゚彡「それでね、その後は……」
@────────────
(#・∀・)「それに! よく見るとあんた不審者じゃないか!!」
不審者「あれ? 私は市長なんだけ……ど……」
自称市長の不審者はモララーに追い出された
何の因果だろうか、モララーは7年後の文化祭では追い出される
誰も市長と名乗る不審者を助けてはくれなかった
本当に市長だとしても、相当嫌われていたと見える
( ・∀・)「さあ、 も り あ が っ て ま い り ま し た ぁ !! 」
何を勝手に盛り上がっているんだ、フサはそう思った
すると男はクラッカーを取り出し
( ・∀・)「よっ」
パァン!!
快音を鳴らし
( ・∀・)「じゃあねー、僕のお名前はモララーだからねー、よろしくねー」
去っていった
ミ,,゚Д゚彡「…………」
ミ,,゚Д゚彡「……何がしたかったんだ…………まあいいか……スピーチしなくてもよくなったし」
残ったのは、白けた会場のみ
────────────@
31 名前:( ・∀・)は残そうとしたようです[] 投稿日:2007/03/19(月) 17:59:33
ミ,,゚Д゚彡「まったく、なんだったんでしょうね……」
( ><)「まったくなんです」
僕はお礼を言って、家に帰ることにした
モララーさん、いい仕事グッジョブですね
成人式が新成人だけのものじゃない
その発想はなかったわです
それに、日記には「成人しちゃうぞー」って書いてあったじゃないですか
「……え? いや、だから成人……ん?」だなんて
何をとぼけたことを抜かしておられるんだか
僕はこのときに気づいたんです
モララーさん、あなたはここに『困惑』を残していきました
でも、あなたが本当に残したかったのは『自分』なんですよね
皆の記憶の中に、自分を残そうとしたんですよね
あなたがどの場所でも名乗りまくっていた理由はそれなんでしょ?
自分のことを覚えてもらいたい
その気持ち、わかるんです
【関連】
一気読み
第1話
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第2話
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第3話
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第4話
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