( ^ω^)ブーン系小説完結作品集('A`) 〜(´・ω・`)しょぼんたちは世界の果てに現れたようです 第十八話 真実の誤算〜

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3 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:17:02.92 ID:12qG+Fmf0
第十八話 真実の誤算

そこに文字は一切なかった。
ただ描かれている熊とウサギの絵。

(*゚ー゚)「どう?」
(´・ω・`)「文章は?」
(*゚ー゚)「……」
(´・ω・`)「あ、ええと」
(*゚ー゚)「これから書くもん!」

しぃはそういうと、ふて腐れたようにそっぽを向いて、私の手からスケッチブックを奪い取った。

まぁ、どうでもいい。


4 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:17:32.34 ID:12qG+Fmf0
夜が明けるとすぐに、私たちはV.I.P.D.C.へと向かった。
塔を出たとき、しぃが巨樹が無くなったという異変に気づいたようだったが、特に心配することもあるまい。
歩けばどれほど時間のかかるかわからない道程でも、ワープすれば寸秒の仕事で済む。
都市地区はまだ朝の喧噪を残していた。時刻にして、午前七時半といったところだろうか。
さすがに早すぎたか。そう考えていたが、意外にも超高層ビルの自動ドアは私たちを迎え入れた。

踏み入れると、ポツリと受付の女が笑顔で突っ立っているばかり。
この女、自分の存在意義を知っているのだろうか。
そう思って彼女の思考を探ってみる。
すると、この女は柘榴に登録済みの女であった。
……V.I.P.D.C.の改竄によるものか?
この女を配置した理由は一応、企業の体裁を繕ったというところか。
中途半端極まりないが。

女の案内で私たちは十二階へ向かった。
そこに、以前同様モララーとあの秘書はいるという。
エレベーターの中。誰も一言も口にしない。


5 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:17:47.81 ID:12qG+Fmf0
( ・∀・)「これはこれは。わざわざお越しいただきまして」

広がる電脳空間。
以前同様、監視カメラによる映像が壁面を埋め尽くしていた。
その中で、モララーはわざとらしい、紳士気取りのお辞儀をしてみせる。
隣の秘書もそれに倣う。

( ・∀・)「それで、何のご用でしょうか?」
(*゚ー゚)「えっと」

しぃが、「柘榴と会話したい」という主旨のことを話す。
そうすれば世界が救われるかもしれない……そんな無意味な熱弁を伴いながら。
よく考えるといい。
全世界を監視しているような趣味の悪い奴に救うなどという正義論が通じるはずもないだろうに。

だがモララーは本心を顔に出さず、話の途中で幾度もうなずき、
やがてしぃがしゃべり終わると笑顔を浮かべた。
瞬間。
その目と、私の目が交錯したような気がした。


6 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:18:28.61 ID:12qG+Fmf0
( ・∀・)「それは良案です……が、申し訳ありません。
     私にも柘榴とコンタクトを取る方法は思いつきませんね」
(*゚ー゚)「……」

しぃはしばらくモララーの目の奥を見つめているようだった。
が、やがて諦めたように溜息を吐く。

(*゚ー゚)「そっかー」
( ・∀・)「善処はしますよ。方法については模索させていただきますので。
     ……他に、ご用件はおありでしょうか?」

その問いに沈黙するしぃとペニサス。
元々、無い物ねだりのような形でやってきたのだ。
「善処します」などと答えられてはそれ以上追及しようもない。

(*゚ー゚)「何か……ある?」
('、`*川「えっと……な、ないです」


7 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:18:53.66 ID:12qG+Fmf0
(*゚ー゚)「んー。困ったね。とりあえず帰ろうか」

万策尽きた、といったところか。
まぁ元々実現不可能な願望である。
そして、私としては早々にあきらめてもらったほうが都合がいい。

('、`*川「で、でもこれからどうしますか?」
(*゚ー゚)「うーん」
( ・∀・)「あ、お帰りになるのですか?」
(*゚ー゚)「え……そのつもりだけど」

( ・∀・)「それなら……ええと、しょぼんさん」
(´・ω・`)「?」
( ・∀・)「少し残っていただけませんか? あなただけに、お話があるのです」

私はゆっくりとモララーを見、次いで秘書……アンドロイドの女を見た。
どちらも表情を変えない。
モララーは笑顔、秘書は無表情のままだ。


8 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:19:14.76 ID:12qG+Fmf0
(*゚ー゚)「えー、しょぼんだけ?」
( ・∀・)「すぐ済みますよ」

愚図ろうとするしぃをモララーはなだめる。
私はしばらく思案した。
この男が、私の知らない何かを知っているのは確かだろう。
それにしても、意図がまるっきりわからない。
そもそも、こいつは私を何と認識しているのだろうか。
言葉通り「しょぼん」なのか、「しょぼん」に入っている「柘榴」と認識しているのか……。

(´・ω・`)「わかりました」

私は答えた。
それ以外に答えようがない。

(*゚ー゚)「しょぼんくん」
(´・ω・`)「すぐ終わるよ」


9 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:19:37.12 ID:12qG+Fmf0
パタリ、と鉄扉が閉じてしまった。
秘書がしぃとペニサスを連れ出したのである。
今、この部屋には私とモララーしかいない。

( ・∀・)「……さて、しょぼんさん。
     もう少し上に行きましょうか」
(´・ω・`)「え……」
( ・∀・)「このビルの最上階ですよ」

外観から考えると、このビルは三十階ぐらいまであるようだ。
都市地区では珍しくないが、高いことに変わりない。

私はモララーの案内で電脳空間を出ると、来たときとは別のエレベーターに搭乗した。
動き出すエレベーターの中、モララーは先ほど違う微笑を浮かべていた。


10 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:20:17.09 ID:12qG+Fmf0
( ・∀・)「人が悪いですね、あなたも」

エレベーターが止まるとほぼ同時に、モララーは楽しげに呟いた。
その言葉の意味を解せぬままに最上階に足を踏み出す。

( ・∀・)「もう、彼女たちは柘榴と接触しているというのに」
(´・ω・`)「……どういうことです?」
( ・∀・)「ここでとぼけても意味がないと思いますがね」

私の予想のうち、悪い方が的中してしまっているらしい。
この男は全て見抜いているのだ。
立ち止まり、モララーを見る。

( ・∀・)「……これは申し訳ありません。
     突然こんなことを言い出してしまって。
     しかし……お互い正体を明かしておいた方が話しやすいと思いましてね」

瞬間、私は自らが被っている仮面を脱ぎ捨てることを決意した。

(´・ω・`)「ならば……」
( ・∀・)「?」
(´・ω・`)「お前は誰なんだ」


11 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:21:03.97 ID:12qG+Fmf0
何も言わず、モララーは歩き出した。
最上階からは、都市地区の光景がよく見えた。
長い廊下には扉が一つも取り付けられていない。
片面に窓があるということは、ある一つの大部屋を取り囲むようにして廊下があるということだろうか。

(´・ω・`)「私にも聞きたいことがいろいろとある」

本性で話をするのは思いの外心地がいい。
饒舌になって私は言う。

(´・ω・`)「お前は誰だ? 表向きでは荒巻に賛同していたようだが
       だがこのように世界を監視し、このV.I.P.D.C.という名前意外何もわかっていない企業に佇む。
       目的も、意図も何も明るみに出てこない」
( ・∀・)「それは……そうでしょうね。
     私自身、そう仕向けていましたから。
     荒巻という神を壁は暗躍するにはもってこいでしたよ
     彼の目立ちすぎる活躍が全面に押し出されていましたし」


12 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:21:49.94 ID:12qG+Fmf0

(´・ω・`)「お前は何をした? そして、何をしなかった?」
( ・∀・)「……することも、しないことも全て私の仕事です。
     言っておきますが、あなたよりも私は地位的に上ですよ……少なくとも、この世界ではね」
(´・ω・`)「なんだと……」
( ・∀・)「ヒントはもう与えましたがね」

突き当たりを曲がって更に歩く。
私は歩きながら窓の外をもう一度眺望した。
米粒が地面を蠢いている。
陽が燦々と照り輝いている。
この世界は私にとってあまりにも正常だ。

( ・∀・)「テクノポリスは私たちの傘下……と、以前言いました。
     あの時、潜在していたあなたは違和感を覚えませんでしたか?
     なぜ私の知らない組織と知っている組織が裏で繋がっているのか……と」
(´・ω・`)「確かに覚えたかもしれない。
       だがそれ以上詮索し得ないことだろう」
( ・∀・)「その判断はあまりにもお粗末だ」

モララーが立ち止まる。
そこに、二枚からなる大きな扉がそびえていた。


13 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[] 投稿日:2007/01/15(月) 22:22:15.71 ID:12qG+Fmf0
( ・∀・)「……ここに世界のすべてが収められています」

扉の上端を見上げ、モララーは言う。
もちろんこの部屋のことを私は知らない。
だが私の中には揺るいではならない、一つの定義がある。
「私は、この世界のすべてを知り尽くしている」
と。

それをこの部屋は覆すのだろうか。
或いは、ここに収められているのは私の知らない世界なのか。
私は戸惑い、また苛立っていた。

( ・∀・)「では、入りましょうか」
(´・ω・`)「待て」
( ・∀・)「……はい?」
(´・ω・`)「さっきお前は「お互い」と言っていたな。
       教えてもらおうか。お前の正体を」


14 名前:閉鎖まであと 7日と 22時間[sage] 投稿日:2007/01/15(月) 22:22:48.22 ID:12qG+Fmf0
モララーはノブにかけようとして手を止めた。
私を見て、一言。

( ・∀・)「私は神を創った」
(´・ω・`)「……」
( ・∀・)「と、これで満足ですか?」
(´・ω・`)「つまり、荒巻を創ったと?」
( ・∀・)「その通り」

あとは、部屋の中で順序立てて話しましょう。
そういってモララーは扉を開いた。

部屋の広さに合わないほど少ない蛍光灯だけが室内を照らす。

そこには何もなかった。
いや、何かがあった。




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